二次創作小説(紙ほか)

Re: 第九十話 眼鏡 ( No.194 )
日時: 2013/11/24 17:37
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: IvdLyRwl)
プロフ: カボチャポケモンはパンプジンよりパンプッチの方が好き。

「進化したお前の力を見せてやるぞ! パンプッチ、シャドーボール!」
パンプッチは魔法を使うように手にした葉の杖を振り、一度に二発の影の弾を放つ。
「ワークロ、マグナムパンチ!」
ワークロは右拳の一撃で一発目を、さらに左拳を突き出し、二発目を破壊する。
「冷凍パンチ!」
拳を握り締め、地を蹴ってワークロは跳ぶ。
浮遊するパンプッチとの距離を一気に詰め、冷気を込めた拳を振りかぶる。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
しかしワークロの攻撃よりも速く、パンプッチは杖を突き出し、そこから大量の水が噴射される。
これにはワークロも押し負け、逆に吹き飛ばされてしまう。
「くーっ、やるじゃないの。やっぱり進化すると強くなるね」
先程からこちらの攻撃を全て破壊か軽減で凌いできたワークロだが、ようやく直撃を喰らった。
「まだまだ! ワークロ、穴を掘る!」
ワークロは起き上がると、素早く地面に潜る。
「こっちの勢いを止めに来たか。でもそれなら、パンプッチ、悪巧み!」
ワークロが出てこない間にパンプッチは脳を瞬時に活性化させ、特攻をさらに上げる。
「冷凍パンチ!」
「エナジーボール!」
パンプッチの真下から地面を破って飛び出してきたワークロに対し、パンプッチは杖を真下に向け、自然の力を凝縮した波動弾を撃つ。
しかし悪巧みを二回使ったパンプッチの特攻は非常に高く、ワークロは押し負け、エナジーボールの直撃を喰らって地面に叩きつけられ、戦闘不能となってしまう。
「ワークロ、ありがとう。よく頑張ったね」
ワークロをボールに戻し、ママルは次のボールを取り出す。
「私のポケモンはどうも耐久に難がある子が多いんだよね、トノッパーとかワークロとか。だけど次からは違うよ! バトルスタート、メガヤンマ!」
ママルの三番手は、緑色の大きな古代のトンボのようなポケモン。
翅は薄いが頑丈で、背中や尾には黒い棘を持つ。
鬼蜻蛉ポケモンのメガヤンマ。古代ポケモンの一種で、虫・飛行タイプ。
「こいつが新しいポケモンか……強そうだな」
「新しいポケモンじゃないよ。私のポケモンの中では二番目に強い」
ニヤリとママルは笑うと、
「じゃあ行こうか! メガヤンマ、エアスラッシュ!」
メガヤンマは羽ばたき、空気の刃を飛ばす。
だがその速度が尋常ではない。
力強い羽ばたきにより猛スピードで飛ぶ空気の刃は、パンプッチに躱す暇を与えず、その体を切り裂いた。
「っ、速い! パンプッチ、シャドーボール!」
それでも何とか耐え、パンプッチは杖を振り、二発の影の弾を放つが、
「メガヤンマ、躱して虫のさざめき!」
メガヤンマは影の弾を避け、翅を高速で振動させ、強力な音波を飛ばす。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
パンプッチは杖を振り、大量の水を飛ばす。
悪巧みもあり、大量の水が音波を打ち破る。
「メガヤンマ、エアスラッシュ!」
だがその水は再び躱され、メガヤンマは高速の空気の刃を飛ばす。
パンプッチは刃に切り裂かれ、ついに力尽き、戦闘不能となる。
「パンプッチ、よくやった。後は後続に任せてくれ」
パンプッチをボールに戻し、次のボールを取り出すレオ。
「次はお前だ、頼んだぜ、レントラー!」
レオの三番手はレントラー。
電気タイプを持つので、躱し辛いエアスラッシュを半減出来る。
「エアスラッシュを抑えに来たね。だけどそう甘くはないさ。メガヤンマ、虫のさざめき!」
メガヤンマは翅を高速で振動させ、音波を飛ばす。
「レントラー、十万ボルト!」
対してレントラーは強力な電撃を撃ち出し、音波を相殺。
「怒りの炎!」
さらに憤怒の感情の如く激しく燃え盛る炎を放ち、メガヤンマの周りを炎で包む。
「逃げ場なしって訳ね。メガヤンマ、虫のさざめき!」
再びメガヤンマは周囲に音波を飛ばし、炎を纏めて薙ぎ払う。
完全に打ち消すことは出来なくても、抜け出すには十分。
「氷の牙!」
しかしそこにレントラーの長く鋭い氷の牙が襲いかかる。
牙がメガヤンマに喰い込み、その体を凍らせる。
「メガヤンマ、振り払え! サイコキネシス!」
メガヤンマは念力を発し、何とかレントラーを引き剥がす。
「エアスラッシュ!」
氷の牙から抜け出したメガヤンマがすぐさま反撃に出る。
高速の空気の刃が放たれ、レントラーを切り裂く。
だが、
「……え?」
特訓ではカンタロウの鳥ポケモンの飛行技を喰らってもすぐに反撃に出られていたレントラーが、大きく仰け反った。
エアスラッシュのダメージが、やけに大きい。
「ふふん、特性色眼鏡だよ」
そんなレオの様子を見て、得意げにママルは言う。
「この子の特性、色眼鏡は、効果今一つの相性を一つ無視して攻撃出来る。電気タイプだからって、エアスラッシュは半減出来ないよ」
だから、レントラーは普通よりも大きなダメージを受けた。
(それは……厄介だな!)
レオの持つポケモンには、メガヤンマの主力技となる虫と飛行技をどちらかでも四分の一に抑えられるポケモンはいない。
つまり、全ての技を等倍で喰らってしまう。
「この子の強みはそこ。本来苦手なタイプの前でも、この子は止まらないよ。メガヤンマ、エアスラッシュ!」
「くっ、レントラー、十万ボルト!」
再び高速の空気の刃を飛ばすメガヤンマに対し、レントラーは高電圧の電撃を撃ち出して迎撃。
技同士のタイプ相性は変わらないので、刃は電撃に破壊され、メガヤンマは電撃を浴びる。
「これくらい何ともない! メガヤンマ、サイコキネシス!」
効果抜群だが、エアスラッシュで軽減していた分、ダメージは大きくない。
すぐにメガヤンマは体勢を立て直し、強い念力の波を放って反撃する。
「レントラー、十万ボルト!」
再びレントラーは高電圧の強力な電撃を放つ。
「メガヤンマ、辻斬り!」
念力と電撃がぶつかり、相殺された次の瞬間には、メガヤンマはレントラーのすぐ横まで近いていた。
レントラーが躱す隙もなく、メガヤンマの翅がレントラーを切り裂く。
「虫のさざめき!」
さらに翅の振動で強力な音波を飛ばし、レントラーを吹き飛ばす。
「エアスラッシュ!」
「氷の牙!」
そのままの体勢で羽ばたき、メガヤンマは空気の刃を飛ばす。
体勢を崩しながらも、何とかレントラーは鋭い氷の牙を作り、刃を受け止める。
「くっそ、強い……!」
メガヤンマの猛攻に、レオは苦しい表情を浮かべる。



そして、観客席でカンタロウは静かに戦況を見守っていた。
(オラの勘だが、レントラーじゃあのメガヤンマには勝てねェ。必然的にあいつの出番になるだな)
カンタロウがレオに渡した例の道具は、レオの最後のポケモンに使われている。
(このオラが見極めただ、間違いはねェ。最善のタイミングであれさ使えたはずだべ)
カンタロウに出来る事はそこまで。後はレオの勝利を祈るしかない。
(だがレオ、勘違いするでねェぞ)
レオを、そして今の戦況を見据えるカンタロウの眼は厳しい。
(あれさ使ったッて、お前が絶対勝てるッで訳でねェ。確かにお前の勝利に大きく近づけてはくれるけンど、最後の鍵はレオ、お前の気持ち次第。その点さ忘れとッと、お前は勝てねェだぞ)
レオをじっと見、カンタロウは静かに流れを見守る。