二次創作小説(紙ほか)

Re: 第九十一話 祝福者 ( No.195 )
日時: 2013/12/02 22:19
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: IvdLyRwl)

「メガヤンマ、虫のさざめき!」
「レントラー、十万ボルト!」
メガヤンマが翅を高速で振動させ、周囲に音波を飛ばす。
レントラーは強烈な電撃を放ち、音波を相殺する。
「エアスラッシュ!」
しかし、続けざまに放たれた空気の刃がその音波を追い越す勢いで飛び、レントラーを切り裂く。
「メガヤンマ、辻斬り!」
レントラーの後ろに一瞬で周り、メガヤンマが横薙ぎに翅を振ってレントラーを切り裂く。
「怒りの炎!」
体勢を崩しつつもしっかりとメガヤンマを見据え、レントラーは憤怒の如く激しく燃え盛る炎を放つ。
メガヤンマは躱そうとするものの回避が遅れ、灼熱の炎に焼かれる。
「今度はこっちからだ! レントラー、十万ボルト!」
体を燃やすメガヤンマに、さらに強い電撃が襲いかかる。
「ッ、メガヤンマ、虫のさざめき!」
体の一部が燃えているが、それでもメガシンカは強烈な音波を放ち、電撃を防ぐ。
「そろそろ体力がもたないかな……メガヤンマ、そろそろ決めに行くよ! サイコキネシス!」
体の炎を消火し、メガヤンマが強い念力を操る。
レントラーの動きを操作し、その動きを止める。
「まずいっ……レントラー、抜け出すぞ!」
「無理無理! メガヤンマ、虫のさざめき!」
もがくレントラーだが、念力を打ち破れず、メガヤンマの放つ強力な音波を喰らい吹っ飛ばされる。
「これで終わり! メガヤンマ、エアスラッシュ!」
メガヤンマが一際力強く羽ばたき、空気の刃を飛ばす。
周りの木々を薙ぎ倒すかのような勢いで飛ぶ刃は、レントラーを確実に捕らえ、その体を切り裂いた。
レントラーが地面に落ちる。目を回し、戦闘不能となって倒れていた。
「レントラー、よく頑張った。休んでてくれ」
レントラーをボールに戻し、遂に最後の一手となったボールを取り出す。
そのボールを掲げ、レオは観客席のカンタロウを見る。
レオの視線に気付き、カンタロウは笑みを浮かべ、親指を突き立てる。
(よっし!)
ママルに向き直り、レオは最後のポケモンを繰り出す。

「頼んだぜ、トゲキッス!」

レオの最後のポケモンは、卵形に近い体型を持つ、白い天使のようなポケモン。
首は再び短くなり、手と羽が一体化し、腹部にはいくつかの小さな赤・青の三角模様がある。
祝福ポケモンのトゲキッス。トゲチックの進化系で、幸せを分け与えるポケモンと言われている。タイプはノーマル・飛行。
「あのトゲチック、進化したんだ? でも進化には珍しい光の石が必要なはずだよ」
「あそこにいるカンタロウが譲ってくれました。だからこの勝負は絶対に負けられないんです」
レオの言葉を、ママルは頷きながら聞く。
「なるほどね。一週間前よりも遥かに強い闘志を感じると思ったけど、そういう訳か」
だけど、とママルは続け、
「そう簡単には勝たせないよ。私だって勝ちたくってジムリーダーやってるんだからね」
「そうでなけりゃ、バトルなんて楽しくありませんよ」
そう言い、改めてレオは相手のメガヤンマを見据える。
「よーし、トゲキッス、お前の力を見せつけてやるぞ! エアスラッシュ!」
レオの言葉に応えるようにトゲキッスは翼を広げると、その翼を羽ばたいて空気の刃を飛ばす。
メガヤンマのものよりは遅いが、しかしそれでも十分なスピードだ。
「メガヤンマ、エアスラッシュ!」
メガヤンマも空気の刃を放ち、お互いの刃は激突、相殺される。
「メガヤンマ、虫のさざめき!」
「トゲキッス、波動弾!」
メガヤンマの放つ強力な音波を、トゲキッスは波動を一点に凝縮した念弾を撃ち出し相殺、さらに、
「エアスラッシュ!」
再び空気の刃を撃ち出す。
対応が遅れ、メガヤンマの体が切り裂かれる。
「サイコバーンだ!」
体勢を崩すメガヤンマに、トゲキッスは念力を爆発させた衝撃波を放つ。
ようやく体勢を整えたメガヤンマまともに命中し、メガヤンマは吹っ飛ばされ、木の幹に激突し、戦闘不能となる。
「メガヤンマ、よく頑張ったね。二体倒せば上等よ」
ママルはメガヤンマを労い、ボールに戻す。
「さあ、最後はエースのストライクですよね。最終的にストライクに勝つことをイメージして特訓して来ましたから、絶対に負けませんよ」
自信を持ってレオは言う。
しかし、
「私の最後のポケモンは、ストライクじゃないよ」
ママルの言葉に、レオは耳を疑う。
「え? それじゃ、エースは」
「説明するより、見せた方が早いね」
そして、ママルの手にしたボールから、最後の一手が繰り出される。

「ファイナルバトル・スタート! ハッサム!」

ママルの最後のポケモンは、全身を赤い鋼のコートで覆ったポケモン。
骨格はストライクとほぼ同じだが、体色が明らかに違う。
両手の鎌は無くなり、その代わりに頑強そうな鋏になっていた。
ハッサム、鋏ポケモン。ストライクの進化系であり、虫・鋼タイプだ。
「ママルさんのエースも、進化してたんですか」
「そういうこと。私だってこの一週間、何もしてなかった訳じゃないんだからね?」
それじゃあ、とママルは続け、
「最後のポケモン同士の戦い、始めようか! ハッサム、バレットパンチ!」
鋏を構え、ハッサムは地を蹴り、跳び上がる。
弾丸の如きスピードで一気にトゲキッスまで迫ると、一瞬のうちに数発の連続パンチを繰り出す。
「トゲキッス、波動弾!」
バレットパンチを耐え、トゲキッスは波動を凝縮した念弾を撃ち出す。
ハッサムは素早く後ろへ下がるが、必中技の波動弾は途中で軌道を変え、確実にハッサムを捕らえる。
「そう言えば必中技だったね……ハッサム、シザークロス!」
地面に着地すると、再びハッサムは跳ぶ。
両腕の鋏を斜め十字形に振るい、トゲキッスを切り裂く。
「トゲキッス、エアスラッシュ!」
対してトゲキッスは羽ばたいて後ろへ下がり、空気の刃を飛ばす。
シザークロスはトゲキッスを捕らえられず、刃を破壊するに留まる。
「サイコバーン!」
そこにトゲキッスは念力を爆発させて衝撃波を撃ち出す。
「ハッサム、ウッドハンマー!」
頑丈な木の幹の如く硬化させた鋏を振り下ろし、ハッサムは衝撃波を相殺し、地面に降りる。
「そのハッサム、飛ぶのは苦手みたいですね」
ハッサムの動きを見ていたレオが言う。
「そうだね。進化して攻撃力や防御力は上がったけど、素早さは落ちちゃったの。翅も小さくなったし」
確かに、バレットパンチのスピードこそ速かったものの、他の動きはストライクの時に比べると遅い。
加えて、攻撃を放った後は必ず地面に降りている。
ストライクの時とは違い、長時間の飛行が出来ないのだろう。
「だから何だって訳じゃない。飛べなくなったらなったで新しい長所も生まれるしね! ハッサム、辻斬り!」
直後、ハッサムが一瞬でトゲキッスとの間合いを詰める。
すれ違いざまに鋏を振り抜き、トゲキッスを切り裂く。
「っ、トゲキッス、エアスラッシュ!」
空中で体勢を崩すが、それでもトゲキッスは空気の刃を放って反撃。
「ハッサム、後ろ! バレットパンチ!」
しかしハッサムは連続パンチで空気の刃を破壊し、
「ウッドハンマー!」
鋏を構え、大きく跳び上がる。
トゲキッスの上空から、木の幹のように硬化させた鋏を振り下ろし、叩きつける。
「トゲキッス、躱してサイコバーン!」
トゲキッスは大きく横へ飛び、ギリギリまで狙いを定めてきたハッサムの一撃を何とか躱す。
ハッサムは勢いそのままに水溜りへと激突、水飛沫が派手に舞い散る。
その隙を突き、トゲキッスが念力を爆発させた衝撃波を放つ。
ハッサムは躱そうと跳ぶが間に合わず、衝撃波を喰らって吹っ飛ばされる。
「ハッサム、バレットパンチ!」
だがハッサムもただではやられない。
すぐに鋏を構え直し、弾丸のように跳び、高速の連続パンチで反撃し、トゲキッスを殴り飛ばす。
「いいね、いいねぇ、この激しいぶつかり合い! レオ、あんたもあんたのポケモンも、この程度でくたばんなよ! もっと思いっ切りガンガン来いっての!」
「勿論ですよ。僕たちは、こんな状況を何度も乗り越えてきたんですからね!」
「そうでなくっちゃねえ! ハッサム、ウッドハンマー!」
ハッサムが大きく跳び上がり、大木の幹の如く硬化させた鋏を上から振り下ろす。
「トゲキッス、波動弾!」
トゲキッスはそれを見据え、波動を一点に凝縮した念弾を撃ち出す。
紅の鋏と白の念弾がぶつかり合い、火花を散らす。