二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二話 卵 ( No.20 )
- 日時: 2013/08/15 13:30
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
そんなこんなで、レオとアスカはメガキタウンまで行くことになった。
「アスカはさ、引っ越した後何してたんだ?」
「私? えーっと、あんたが初めてのポケモンを貰ったほぼ同時期にカントー地方で初めてのポケモンを貰って、カントーとジョウトを半年ほどかけて旅したわ」
時期が同じなのは、同年代なので当たり前ではある。
「カントーか……ってことはあの有名なオーキド博士にも会ったことあるのか?」
「会ったっていうか、初めてのポケモンをくれたのがそのオーキド博士。私の初めてのポケモンは……フシギダネって分かる? 最終的にフシギバナになるポケモンなんだけど」
「一応知ってる……ごめん、あんまりフシギバナにはいい思い出が無いんだ……」
一年前の旅では、とんでもないフシギバナを使ってくるジムリーダーがいたのをレオは思い出した。
アスカは特に気に留めず、
「で、レオは私が引っ越した後、何してたのよ?」
「僕も同じようなもんだよ。初めてのポケモンを貰って、チヅルやキラと同じ日に旅に出て、ウチセトを旅した。勿論一人な」
それに対し、へーえ、とアスカは気の抜けた調子で返す。
そろそろ、行く手にいくつかの建物が見えてきた。メガキタウンまではそう遠くないらしいので、おそらくそこがメガキタウンだろう。
「意外に早く着いたわね。さて、ソライト博士は……っと」
「博士っていうくらいだから、研究所にいると思うんだけど」
探してみた結果、一分足らずでそれっぽい建物を見つけた。
というか、目立つ建物がこの研究所とポケモンセンターしかなかったため、ほぼ確実にここだろう。
「失礼します」
「おじゃましまーす」
レオは研究所のような扉を開け、建物の中へと入る。
ライオの研究所と違い、中は薄暗く、人も一人しかいない。
リクルートスーツのような服の上から白衣を着た、男にしては少し長めの蒼い髪の男だ。
その男は、熱心にコンピューターの画面を見ながら、何か文字を打ち込んでいる。
「すいません、ソライト博士ですか?」
レオが呼びかけると、その男は動きを止め、座っている椅子を回転させ、ゆっくりとレオとアスカの方へ振り向く。
「おやおや、お客様ですか。別に見られて困るものはありませんが、私の研究所なのですから、入るときには一声かけていただけると助かるのですが」
その男はメガネをかけ、この国の人にも外国人にも見える顔だちをしていた。
「すいません、でも最初声をかけたはずなんですけど……」
「ええ、私もちゃんと挨拶して入りましたよ」
レオとアスカが答えると、その男は少しキョトンとした表情になるが、すぐに表情を取り戻す。
「おっと、そうでしたか。これは失礼、私は研究に夢中になると、周りに目が行かなくなってしまうんですよ。申し訳ない」
そして、その男は立ち上がる。
「私はソライト。ポケモンの進化について研究している科学者です。ポケモンの知識には、自信がありますよ」
ところで、とソライトと名乗った科学者は続け、
「貴方たちは、何の用でここに来たのでしょう? こんな陰気くさいところにわざわざ来たということは、何かしらの用があるのでしょう?」
ソライトにそう言われ、レオはディスクを取り出す。
「僕はライオの息子で、父親の代わりにこのディスクを届けてほしいと言われ、ここまで持ってきました」
レオがディスクを取り出すと、ソライトは小さい笑顔を作り、
「そうでしたか。前々からこのデータをくれないかライオさんにお願いしていて、データも収集が難しいものだと聞いていたのですが、こんなに早く完成するとは、流石ライオ博士」
ソライトはそのディスクを受け取る。
「ライオさんに、ありがとうとお伝えください。貴方たちも、わざわざこんなところまで来て下さり、ありがとうございます」
そして、ソライトは奥の棚から二つの箱を取り出す。
「貴方方にもお礼をしなくては。この二つの箱のうち、好きな方を選んでください。中に何が入っているかはお楽しみです」
箱の大きさはほぼ同じ。
「アスカ、どっちがいい?」
「じゃあ、私は右で」
「オーケー。じゃあ僕は左」
そして、二人は同時に箱を開ける。
中に入っていたのは、
「「卵?」」
両方とも、卵のようなものが入っていた。二つで模様が違う。
「これらはポケモンの卵です。私くらいの科学者になれば、卵の模様でどんなポケモンが生まれるか分かるものですが、この二つの卵は相当珍しいものですよ。この二つを、お礼として差し上げましょう」
そして、レオとアスカは(ソライト曰く)珍しい卵を貰った。
お礼を言い、研究所を出ようとしたその時。
「失礼ですが、一応お二人の名前を聞いておきたいのですが」
ソライトが二人に呼びかけた。
「名前ですか? 別にかまいませんよ、僕はレオです」
「私はアスカですよ」
「ありがとう、レオ君にアスカさん、いい名前ですね」
ソライトはそう言って笑う。
レオとアスカはソライトにもう一度礼を言い、研究所を出る。
研究所に戻ったレオとアスカは、ライオにお使いを終えてきたことを報告した。
「そうかそうか、ソライト博士は喜んでくれていたか。それはよかった」
「父さん、あとポケモンの卵を貰ったんだけど」
そういって、レオは卵を取り出す。アスカも少し遅れて取り出す。
「へえ、ポケモンの卵か。珍しいものだ、大事に扱うんだぞ」
ライオは笑って、さらにこう言った。
「今すぐ旅に出たい気持ちはあるだろうが、今日はそろそろ時間も遅くなってくることだし、明日旅に出るといい。今日は新しいポケモンと、コミュニケーションを取ってもいいな」
「分かったよ、父さん」
「私もそうするわ。ヒコザルと一日でも早く仲良くなりたいし」
いよいよ明日から、レオの新しい旅が始まる。