二次創作小説(紙ほか)

Re: 第九十六話 開戦 ( No.210 )
日時: 2013/12/21 11:06
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: d1Bequrp)

「行くぜ、シャワーズ!」
「羽ばたけ、オオペラー!」
セドニーの初手はシャワーズ。
対するカンタロウの一番手は、非常にカラフルな羽毛に、音符の形をした頭の鳥ポケモン。
お喋りポケモンのオオペラー。ペラップの進化系で、エスパー・飛行タイプ。
「一応言っとくが、『覚醒』の力を馬鹿にしない方がいいぞ。どれくらいの力を引き出せるか分からねえが、覚醒率が最低でも、俺の力はアカノハの時よりもずっと強いぜ」
「そォでねェとつまんねェだ。お前がどンだけ強かろォが、全力で叩き潰してやるだべ」
「やれるもんならな! シャワーズ、ハイドロポンプ!」
まずはシャワーズが先手を取る。
大きく息を吸い、激流の水柱のような大量の水を噴射する。
「オオペラー、サイコキネシス!」
対してオオペラーは強い念力を操作し、念の壁を作って大量の水を受け止める。
しかしハイドロポンプの勢いに押し負け、壁は破られ、水の直撃を喰らってしまう。
「ッ、サイコキネシスで弱めても、威力高えべな」
ある程度は抑えたが、それでもダメージは大きい。
「オオペラー、ドラゴンビート!」
オオペラーは龍の心臓の鼓動のような音波を放ち反撃。
「シャワーズ、冷凍ビーム!」
対してシャワーズは冷気を一点に集中させ、光線に変えて撃ち出し、ドラゴンビートを打ち破る。
「タイプ相性が悪いだな……オオペラー、サイコキネシス!」
冷凍ビームを躱すと、オオペラーは強い念力を操り、今度は念力の波を攻撃として放つ。
「シャワーズ、ハイドロポンプ!」
シャワーズは大量の水を噴き出し、念力を突破するが、
「オオペラー、暴風だべ!」
既にそこにはオオペラーはおらず、シャワーズの上方から羽ばたき、嵐のような暴風を巻き起こす。
シャワーズは吹き荒れる風に呑まれて吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「それが最高火力だな。シャワーズ、ハイドロポンプ!」
だがシャワーズはすぐに起き上がると、大きい水柱のような大量の水を噴射して反撃。
「オオペラー、暴風!」
再びオオペラーは羽ばたき、嵐のような暴風を起こす。
だが、この荒れ狂う暴風ですら、ようやくハイドロポンプを何とか防げるほどだ。
覚醒の力が如何に強力かがよく分かる。
(様子見も兼ねて器用なオオペラーさ出したけンど、甘かったべ。こっちもパワーで押してかねェと、こりゃ勝てそうにねェだな)
表情には出さないが、心の内でカンタロウは呟く。
「こないならこっちから行くぜ? シャワーズ、シャドーボール!」
シャワーズは影の弾を作り上げ、何発も連続して撃ち出す。
「これなら、オオペラー、暴風!」
オオペラーは羽ばたいて荒れ狂う風を巻き起こし、シャドーボールを纏めて吹き飛ばす。
「サイコキネシス!」
さらに強い念力を操り、念の波を飛ばす。
シャワーズに命中するが、覚醒によってパワーアップしたシャワーズには大きなダメージではない。
(やっぱし耐久も上がってるだな。こりゃ長い戦いになりそうだべ)
苦しい戦いになることを予感し、小さくカンタロウは舌打ちする。



「行くぞ、マリルリ!」
「頼むで、トリデプス!」
ロフトのポケモンは、青い体に白の水玉模様があり、兎に似た長い耳を持つポケモン。
水兎ポケモンのマリルリ。水タイプ。
一方マゼンタのポケモンは、鋼鉄の盾のように分厚い顔を持つ、鈍重そうな怪獣型ポケモン。
シールドポケモンのトリデプス。化石から復元される古代ポケモンの一種で、鋼・岩タイプ。
「マリルリ、まずはアクアテール!」
最初に動いたのはロフトのマリルリ。
水を纏った尻尾を振り回し、水飛沫を飛ばしながら、トリデプスへと叩きつける。
「効かへんでそんな攻撃。トリデプス、ストーンエッジ!」
尻尾の一撃がトリデプスの顔面に命中するが、トリデプスは全く動じない。
寧ろ打ち付けられた尻尾が弾かれるほどの硬さで、トリデプスはマリルリの攻撃を止め、尖った岩を周囲に浮かべる。
「流石に硬いな。だがそれは正面だけだ。マリルリ、気合パンチ!」
トリデプスがストーンエッジを放つが、出が遅く、見切られてしまう。
マリルリは既に岩の射程範囲から逃れており、トリデプスの側面から思い切り力を込めた渾身のパンチを放つ。
「トリデプス、アイアンヘッド!」
トリデプスはただでさえ硬い頭をさらに硬化させ、マリルリの拳を迎撃する。
両者がぶつかり合うが、技の威力、攻撃力で大きく勝っているはずのマリルリが押し負ける。
それだけトリデプスの顔は硬いのだ。
「それならば! マリルリ、草結び!」
突如トリデプスの足元に結ばれた草が出現し、トリデプスの足を引っ掛け、転ばせる。
トリデプスは特防も高いが、硬い頭で受けられず、トリデプス自身も重いため、ダメージは比較的大きい。
「そやけど、マリルリの特攻もそんな高くないはずやで。これくらいならまだまだ余裕や」
トリデプスはゆっくりと立ち上がるが、
「マリルリ、草結び!」
立ち上がった直後のトリデプスの足元に、マリルリは再び草の罠を仕掛ける。
それとほぼ同時に、
「トリデプス、メタルバースト!」
地面に倒れたトリデプスの体から銀色の光が放たれ、マリルリを貫く。
「ッ、メタルバーストを持っているか……!」
忌々しそうにロフトが呟く。
メタルバーストは最後に受けたダメージをより高火力で相手に返す技。
マリルリは体力が多いポケモンだが、それでも大きなダメージが入っただろう。
「だがその手が分かった以上、もう安々とは引っかからないぞ」
「そりゃ当たり前やで。トリデプス、ストーンエッジ!」
トリデプスは尖った岩を周囲に出現させるが、やはり放つまでが遅い。
「マリルリ、アクアテール!」
大きく跳んでマリルリは岩を躱し、水を纏った尻尾を振り回し、トリデプスの背中へと叩きつける。
トリデプスが小さく呻く。大きなダメージが入ったのは明らかだろう。
「そのトリデプスは正面こそ硬いが、逆に言えば側面や背後なら攻撃が通る。そこにマリルリの火力を持ってすれば突破など容易い事だ。そのトリデプスは技の出も遅いしな」
そして、とロフトは続け、
「勝ち筋が分かれば、後はそれをやるだけだ。少々早いが、決めるとしよう。マリルリ、アクアテール!」
マリルリは水を纏った尻尾を振るう。
狙いはトリデプスの足。長い尻尾をトリデプスの足に巻きつけ、その尻尾を思い切り引っ張り、相当な重さのあるトリデプスを転ばせてしまう。
「気合パンチ!」
直後。
拳を握り締め、無防備なトリデプスの体へと、マリルリが渾身のパンチを繰り出す。



レオの進んだ通路の先には、さらに下へと続く階段があった。
そこを降りると、通路は一本しかなく、すぐに扉が見えた。
迷わずレオはその扉を開く。
中は薄暗い実験室のような所だった。
何に使うのかも分からない機会が、ガラスで分けられた部屋の向こう側に並べられている。
そして。
「これはこれはレオ君、お久しぶりです」
N・E団蒼天将、ソライトが、こちらに背を向けて立っていた。
レオが来ると、ソライトはゆっくりと振り返る。
「ここが一番奥だな。となるとここを仕切ってるのはお前か」
「ご名答。私を倒せば、貴方達の勝ちとなります」
「だったら話は早い。さっさと決めてやるぜ」
意気込んでボールを取り出すレオ。
「さて、私が貴方と戦うことについては何の問題もありませんが、『覚醒』はどうしましょうか」
ソライトの言葉は、独り言のような話し方だ。
「まずは様子見といきましょうか。無闇に手の内を晒すのは好きではありませんし、『覚醒』が必要なら使う、といった形で構いませんね」
「舐めやがって。お前がそれでいいならいいけど、正直第七位のお前なんか怖くもなんともないぞ」
「ふふふ。その威勢がどこまで続くか、見せてもらいましょう」
ソライトも静かにボールを取り出し、不敵な笑みを浮かべてレオに対峙する。