二次創作小説(紙ほか)

Re: 第九十九話 水柱 ( No.215 )
日時: 2014/01/06 17:18
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9pFPYMWe)
プロフ: このハイドロポンプ率はなんなんでしょうか。

至近距離から、ルナバインのハイドロポンプが放たれる。
今のギャロップに、躱す術はない。
「っ、これしかねえ! どの道喰らえばもう持たねえし、ギャロップ、フレアドライブ!」
一か八か。
ギャロップは、全身を激しく燃え盛る業火で包み込む。
フレアドライブはギャロップを覆う炎の盾となり、ハイドロポンプを少しづつ蒸発させていく。
とはいえ炎ではやはり水には勝てない。やがて炎の盾は弱まっていき、破られ、ハイドロポンプの残りがギャロップに直撃する。
「ふーっ、危なかったぜ。まともに喰らったら間違いなく終わってたな」
リョーマの機転で、どうにかギャロップは持ち堪えた。
「どうせもう一発喰らえば体力持たねえし、特攻かけるぞ! ギャロップ、フレアドライブ!」
業火をその身に纏い、ギャロップは地を駆ける。
「ルナバイン、ハイドロポンプ」
ルナバインが翳した手から水柱の如く大量の水が放たれ、ギャロップの行く手を阻むが、
「躱しな!」
地を蹴って大きく跳び上がり、ギャロップはハイドロポンプを躱す。
「っ、ルナバイン、サイコバーン!」
慌ててルナバインは念力を溜め込み、衝撃波を放つが、少し遅かった。
大きな嘶きが響き、巨大な火炎弾がルナバインへと激突した。
ルナバインが吹っ飛ばされると同時に、ギャロップも技の反動を受け、その場に倒れた。
「……ちっ、最後のサイコバーンさえなけりゃな」
リョーマが呟いた直後、床に倒れていたルナバインがゆっくりと起き上がる。
サイコバーンにより少しだが威力を削られた。
それがなければ、今の一撃でルナバインを仕留められていただろう。
結果として、ギャロップだけが反動で力尽きてしまった。
「結果論を考えてもしょうがねえな。ギャロップ、よくやった」
ギャロップをボールに戻し、気持ちを切り替え、リョーマは次のボールを取り出す。
「飛翔せよ、トロピウス!」
リョーマの二番手は、度々出て来ているトロピウス。
「まずはそいつを倒さねえとな。トロピウス、龍の波動!」
トロピウスは衝撃波と共に龍の力を込めた波動の弾を撃ち出す。
「ルナバイン、躱しなさい」
ルナバインは上空へ跳び上がり、龍の波動を躱すと、
「気合玉」
気合を一点に集中して念弾を作り上げ、その弾を掴み、トロピウスへと投げつける。
しかし、
「甘い! トロピウス、リーフストーム!」
トロピウスは草の翼を思い切り羽ばたかせ、鋭く尖った無数の葉の嵐を起こす。
風に乗って飛ぶ無数の葉——刃は、気合玉を容易く切り裂き、破壊し、ルナバインの体をも切り裂いていく。
嵐がおさまった時には、既にルナバインは倒れていた。
「ここまでね。ルナバイン、戻りなさい」
表情を変える事もなく、ルナバインをボールに戻し、二つのボールを取り出すラピス。
「……やっぱりこの子ね。相性が不安だけど、この子じゃないと突破出来ないわ。積み技も使ってこなさそうだし」
片方のボールを仕舞い、残したボールから次なるポケモンを繰り出す。
「プラネム、素敵なひと時を」
ラピスのポケモンは小惑星のような形のポケモン、プラネム。
「どんな魂胆かは知らねえが、岩タイプはありがてえな。リーフストームが通ってくれるぜ」
「一概に有利とは言い切れないんじゃないの? こっちには岩技があるのよ」
「有利だなんて言ってねえよ。寧ろ覚醒されてる時点で俺は不利なんだって。相手が健気な女の子なら尚更だ」
「つまらない冗談ね」
簡単に会話を挟んだ後、双方が戦闘状態に入り直す。
「トロピウス、リーフストーム!」
「プラネム、スターフリーズ」
トロピウスが嵐のような大風に乗せて無数の尖った葉を放つと同時に、プラネムが星型の巨大な氷塊を撃ち出す。
初っ端から、お互いの大技が激突する。



(奴は確かポリゴン2を持ってたよな。そこを考えると、へラクロスを残さないといけない。となると……)
レオとソライトのバトル。
残りポケモンは互いに三体。戦況的には今のところ互角。
しかし、ソライトは『覚醒』を使用している。
「ここはお前だな。頼んだぜ、アブソル!」
悩んだ末に出した二番手はアブソル。
「それでは行きますよ! ジバコイル、雷!」
いきなりジバコイルはユニットをフル回転させ、雷に匹敵するほどの超高電圧の電撃を撃ち出す。
「アブソル、躱して火炎放射!」
これくらい火力がある相手だと、相殺は狙わない方が安全。
アブソルは電撃を躱すと、灼熱の炎を放って反撃する。
ジバコイルの鋼のボディが炎に焼かれる。効果抜群だが、相手は覚醒した天将のポケモン。これくらいではびくともしない。
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
どこからかジバコイルは大量の水を出現させ、太い水柱のように撃ち出す。
「躱して辻斬り!」
しかし一直線の単調な攻撃なら回避は容易い。
水柱を躱し、一気にジバコイルとの距離を詰め、アブソルは額の鎌を振るってジバコイルを切り裂く。
しかし、
「逃がしませんよ! ジバコイル、磁力線!」
空中でぐらつくジバコイルだが、三つのユニットを回転させ、荒れた磁力の波を起こす。
ただでさえ空中にいるアブソルは体勢が不安定、さらに軌道の見えない磁力線を避けることは出来ず、磁力の波を喰らってしまう。
(流石に覚醒してるだけあるな。ちくしょう、一発一発が重い!)
普通の磁力線でさえ、相当な威力だ。
幸いジバコイルがアブソルに効果抜群を取れる技はなさそうだが、もし効果抜群を喰らえば致命傷は免れないだろう。
「さあ攻めていきましょう。ジバコイル、雷!」
地面に倒れるアブソルに対し、ジバコイルは上空から雷の如き電撃を放つ。
「まずいっ! アブソル、身代わりだ!」
直後、ジバコイルの雷がアブソルを貫く。
しかし、瞬時にそのアブソルは破裂して消えてしまう。
その少し後ろに、体勢を立て直した本体のアブソルが現れる。
「おや、そう言えば報告がありましたね。貴方のアブソルの身代わりはガーネットから聞いていましたが、忘れていました」
「本当はまだ見せたくなかったけど、そんなこと言ってられないしな」
出し惜しみする余裕はレオには無い。
「アブソル、サイコカッター!」
アブソルは額の鎌に念力を纏わせ、鎌を振るって二発の念力の刃を飛ばすと、
「火炎放射!」
念力の刃の後に続け、灼熱の業火を放つ。
「ジバコイル、サイコカッターは耐えなさい。雷!」
二発の刃をそれぞれ左右のアームに喰らうジバコイル。
少しぐらつくが、それでも踏みとどまり、超高電圧の電撃を撃ち出して反撃する。
流石に万全の威力は出せなかったようだが、それでも火炎放射が相殺される。
「磁力線!」
さらにジバコイルはユニットを回転させ、強い磁力の波を起こす。
技こそ見えないが、磁力線が近づいてくると耳鳴りがする。
「アブソル、火炎放射!」
アブソルは灼熱の炎を放ち、磁力線を止め、
「辻斬り!」
一瞬でジバコイルとの距離を詰め、すれ違いざまに額の鎌を振り抜く。
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
「読めてるぜ! アブソル、サイコカッター!」
ジバコイルが大量の水を撃ち出そうとユニットを構えるが、それよりも早く念力を纏ったアブソルの鎌がジバコイルを切り裂き、その動きを止める。
「ふむ、翻弄されていますね。一発当てれば勝ちなのですが……セドニーのバジリールでも苦戦するのも頷けますね」
困ったように呟いた上で、なおソライトは余裕の表情を崩さず、何かを計るようにアブソルの動きをうかがう。



「リーフィス、行って来い」
ジンの二番手は、透明な花瓶に入った、植物の体を持つ爬虫類型のポケモン。
観葉ポケモンのリーフィス。水・草タイプ。
「あらあ? 虫タイプのへラクロスに対してリーフィス? 何か策でもあるのかしらあ」
サクラの質問にジンは答えず、リーフィスへと指示を出す。
「リーフィス、ハイドロポンプ」
リーフィスは瓶の中の水を体内に汲み込み、激流の如き水柱を発射する。
雨の力も重なり、その威力は相当なものだ。
「へラクロス、メガホーン!」
へラクロスは翅を広げ、角を構えて思い切り突撃する。
しかし、メガホーンでもハイドロポンプを打ち破る事が出来ず、水柱を相殺するに留まる。
「リーフィス、大地の怒り」
リーフィスが瓶の下から根を伸ばし、床に突き刺し、力を送る。
直後、へラクロスの周囲の床が吹っ飛び、大量の砂や瓦礫がへラクロスに襲い掛かる。
効果は今一つだが如何せん技の威力が高く、へラクロスは吹っ飛ばされる。
「ハイドロポンプだ」
その隙を逃さず、リーフィスは激流の如き水柱を撃ち出す。
宙を舞うへラクロスに直撃し、へラクロスはさらに吹っ飛び、地面に落ちて戦闘不能となった。
「うーん、まあ、しょうがないわねえ。へラクロス、よく頑張ったわあ」
へラクロスを労い、ボールに戻すサクラ。そして次のボールを取り出す。
「さあ、ドータクンはもういないし、チェリム、行くわよお!」
サクラの次のポケモンは先ほどのチェリム。
「チェリム、日本晴れ!」
待ってましたとばかりに、チェリムは小さい擬似太陽を打ち上げ、周囲の雨雲を晴らす。
同時に、チェリムの姿が花開いた桜のようなポジフォルムへと変化する。
それを見て、ジンはふとモンスターボールを取り出すが、
「……どうせ晴天か。これなら交代する必要もないな。こいつでは例のカビゴンは厳しいしな」
小さく呟き、そのボールを再び仕舞う。
「さあ、これで自慢のハイドロポンプは使えないわよお。どうするのかしらあ?」
「天候を変えただけでそこまでアドバンテージを取ったつもりか? 羨ましい思考回路だな」
サクラの挑発を、ジンは逆に皮肉を込めて一蹴する。
「ふふん、まあいいわあ。チェリム、ウェザーボール!」
チェリムは大きく跳び上がり、白い玉を放り投げる。
日の光を浴びたその白い玉はどんどん赤くなり、炎を纏い、リーフィス目掛けて落下する。
「リーフィス、ハイドロポンプ」
リーフィスは頭上に水柱を撃ち出すが、先ほどとはうってかわってその勢いは弱い。
日差しが強い状態のため、水技の威力が落ちてしまうのだ。
水柱は炎の玉を止められず、リーフィスに直撃する。
「この程度のダメージか。それなら十分やりあえるな」
リーフィスがすぐに体勢を立て直したのを確認し、ジンはサクラの方に向き直る。
「生憎だが、天候が雨から晴れになったところで、こちらとしては何の支障もない。寧ろ、こっちの方がありがたいかもな」
「あらあ? 何よ急にぃ。そんなに強がらなくてもいいのよお?」
「口で説明するより、実際にやった方が早いか」
ジンの口元が、ほんの僅かに緩む。
そして。

「リーフィス、ソーラービーム」