二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百一話 二連発 ( No.217 )
日時: 2014/01/25 21:51
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: BoToiGlL)
プロフ: いろんな奴のバトルが混ざるとタイトルを付けづらい。

リーフィスが光を吸収する。
次の瞬間、その植物の体から、太陽光線の如き白い光が発射される。
「速いっ! チェリム、ウェザーボール!」
チェリムが白い玉を打ち上げるが、それが落下するよりも早く太陽光線が直撃し、チェリムを吹っ飛ばした。
「にゃるほど。ソーラービームを持ってるのねえ」
ソーラービームは草タイプの技の中でもとりわけ強力な技だが、技の出が非常に遅いという弱点がある。
しかし、日差しが強ければ話は別。太陽の光を借りることで、技の出が非常に早くなるのだ。
「だけどそれじゃダメなのよねえ。チェリムには特性フラワーギフトがあるからあ、効果今一つの特殊技じゃチェリムは倒れないわよお」
フラワーギフトは、日差しが強い時に味方及び自身の攻撃と特防が上がる特性だ。
「そうか、フラワーギフトを忘れていたようだ。ならばリーフィスでは厳しいか」
少し考えるジンだが、やがてボールを取り出し、
「リーフィス、一旦戻れ」
リーフィスを戻し、別のボールを取り出す。
「やはり最初からこいつを出すべきだったな。出て来い、テイルーン!」
代わりに出て来たのは、イーブイの進化系によく似たシルエットの、四足歩行の獣型のポケモン。
体色は緑色で、宙に浮いており、頭と背中を覆うように雲が掛かっている。
雲ポケモンのテイルーン。ゴースト、飛行タイプだ。
テイルーンが場に出たその時、頭上の小型太陽がフリーズしたように止まる。
同時、チェリムの姿もネガフォルムに戻ってしまう。
「テイルーンの特性、エアロックだ。こいつが場にいる限り、天候の影響は全て無効化される」
「うーん、これはちょっと厳しいわねえ。でもここでこの子を戻しても何も変わらないしい、チェリム、このまま頼むわよお」
蕾の姿だが、チェリムは頷く。
「よおし! チェリム、バグノイズ!」
チェリムは耳をつんざく甲高い雑音を起こす。
テイルーンの動きを止めつつ、体の内側からダメージを与え、
「エナジーボール!」
自然の力を一点に集めた弾を撃ち出す。
テイルーンに連続攻撃が命中するが、いずれも効果は今一つ。
「所詮はその程度か。テイルーン、さっさと決めるぞ」
ジンの言葉を受け、素早く体勢を立て直すテイルーン。
そして、
「テイルーン、ブレイブバード」
テイルーンの背中を覆う雲が、鳥のような形に変化する。
直後、テイルーンが輝くオーラを纏ったかと思うと、チェリム目掛けて猛スピードで突貫する。
「これも速いっ! チェリム、躱して!」
だがそのスピードが桁違いだった。
躱す隙も無く、テイルーンの突貫を正面から喰らい、チェリムは吹っ飛ばされる。



「ジバコイル、雷!」
「アブソル、躱して火炎放射!」
ジバコイルがユニットを回転させ、雷に匹敵する高電圧の電撃を撃ち出す。
対してアブソルは電撃を最小限の動きで躱すと、すかさず灼熱の炎を放って反撃する。
「辻斬りだ!」
さらに額の鎌を振るい、ジバコイルを切り裂く。
「ううむ、押されていますね。こちらの指示が雑なのか、貴方が慎重なのか……」
確かにソライトが覚醒してから、レオはかなり慎重に戦っている。
なかなか隙を晒さないアブソルの長所も活かし、相手の僅かな隙を見つけて攻撃し、出来るだけ深追いはしない。
「あんたのジバコイルは、一撃一撃はかなり重いけど、その分攻撃は単調だ。攻撃を確実に躱し、欲張らずに攻撃を仕掛ければ、負けるような相手じゃない」
「なるほど……電磁波でも覚えさせておけばよかったですかね」
結果論を言っても仕方ありませんね、とソライトは続け、
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
ジバコイルは大量の水を水柱のように噴射する。
「アブソル、躱してサイコカッター!」
アブソルは横に素早く逸れて水柱を躱し、鎌に念力を纏わせる。
「逃がしませんよ! ジバコイル、磁力線!」
しかしアブソルが鎌を振るうよりも早く、ジバコイルは周囲の磁力を強め、磁力の波を起こす。
軌道の見えない技が突然に襲い掛かり、アブソルは逆に吹っ飛ばされてしまう。
「ジバコイル、雷!」
その隙をソライトが見逃すはずがない。
ジバコイルはユニットをフル回転させ、雷の如き超高電圧の電撃を撃ち出す。
「まだだ! アブソル、身代わり!」
直後、アブソルを電撃の槍が貫く。
しかし、そのアブソルはまるで風船のように弾き飛んでしまう。
「読み通りなのですがねえ! ジバコイル、磁力線!」
本体のアブソルがジバコイルのすぐ近くに現れるが、それを見越していたソライトはすかさず指示を出す。
ジバコイルが周囲に磁力の波を放ち、確実にアブソルを捕らえる。
だが。

磁力線をまともに喰らったアブソルが、再び風船のように弾け飛んだ。

刹那。
「アブソル、火炎放射!」
ジバコイルの真っ正面に現れたアブソルが、灼熱の炎を噴き出す。
「ッ……! 身代わりを二回重ねて来ましたか!」
ジバコイルの鋼の体が業火に焼かれ、その銀色のボディを焦がしていく。
「止めだ! アブソル、辻斬り!」
それでもまだジバコイルは倒れていなかったが、体勢を立て直すよりも早く、鋭い鎌の一撃がジバコイルに止めを刺す。
赤い目を点滅させ、やがてその目から光が消え、ジバコイルは戦闘不能となった。
「危なかったぜ。何とか体力は残ってたみたいだな」
身代わりは自身の体力を少しではあるが消耗するため、連打は出来ない。
今の戦術は半ば賭けのようなものだったが、上手く行った。
「身代わりの二連発は想定外でした。お見事です」
「敵に褒められても、嬉しくないぜ」
「おやおや、これは手厳しい。私は本心で述べているのですがねえ」
まあ構いませんが、と呟き、ソライトは次のポケモンを繰り出す。
「行きなさい、ポリゴン2!」



マゼンタの最後のポケモンは、白い着物を着た雪女のようなポケモン。片目は青い髪に覆われている。
フローリア、雪女ポケモン。見たとおりの氷タイプ。
「貴様の手持ちを見たところ、今までの三体は全て格闘タイプに弱いようだが」
「せやねー。ま、あんまり考えたことないし、関係あらへんよ」
「それはそれで、私にとっては好都合だ」
ロフトが小さく笑みを浮かべ、
「では行こうか。ネクロシア、シャドークロー!」
ネクロシアが鋭い影の爪を手に纏わせ、静かに忍び寄る。
「フローリア、躱してアイスバーン!」
フローリアは影の爪を最小限の動きで避け、氷の衝撃波を周囲に放つ。
ネクロシアは衝撃波をまともに喰らい、吹っ飛ばされ、体の一部を凍りつかせて戦闘不能になった。
「ラムパルドを倒せば上出来だな。ネクロシア、よくやった。戻って休んでいろ」
ロフトはネクロシアを労い、ボールへと戻し、最後のボールを取り出す。
「これで最後か。行け、エルレイド!」
ロフトの最後のポケモンは、セドニーの持つサーナイトとよく似たポケモン。
足はサーナイトと比べ、太くは無いが頑丈になり、足を覆うドレスのような部分はなく、頭には赤い突起、両肘には鋭い刃を持つ。
刃ポケモンのエルレイド。エスパー、格闘タイプ。
「まずはエルレイド、剣の舞!」
「ほな、フローリア、悪巧み!」
エルレイドは戦いの舞により攻撃力を、フローリアは脳を活性化させて特攻を底上げする。
「行くぞ! エルレイド、サイコカッター!」
「ほな行くでー! フローリア、気合玉!」
エルレイドは右肘の刃に念力を纏い、それを振り抜いて念の刃を飛ばす。
フローリアは気を一点に凝縮し、その気合を溜め込んだ弾を撃ち出す。
双方の技は一直線に飛び、激突し、衝撃で爆炎と煙が上がる。
「エルレイド、インファイト!」
エルレイドは煙の中に突っ込み、煙の向こうのフローリアに猛攻を掛ける。
「フローリア、ハイドロポンプ!」
対するフローリアは大量の水を噴射するが、エルレイドは両腕の刃を構えてハイドロポンプを突っ切り、フローリアに渾身の拳の一撃を叩き込む。
ハイドロポンプに威力を削がれたとはいえ、剣の舞で攻撃が上がったエルレイドの効果抜群の一撃は重い。
「こら痛いわー……フローリア、アイスバーン!」
一撃でやられるほどフローリアは弱くない。
すぐに立ち上がり、氷の衝撃波を放って反撃する。
「エルレイド、リーフブレード!」
エルレイドは緑色に光る刃を振り抜いて衝撃波を破ると、さらにもう片方の刃を伸ばし、フローリアを切り裂く。
「フローリア、躱してアイスバーン!」
後ろに飛び退いてリーフブレードを躱し、フローリアは再び氷の衝撃波を周囲に放つ。
今度は衝撃波が決まり、エルレイドは強烈な一撃に大きく押し戻されるが、なんとか踏みとどまる。
「火力だけはあるようだな! エルレイド、サイコカッター!」
「火力だけやないで? フローリア、気合玉!」
再びエルレイドは念力の刃を、フローリアは気を凝縮した弾を撃ち出す。
お互いの技は再び激突し、爆発を起こす。