二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百三話 無痛 ( No.221 )
- 日時: 2014/02/07 21:33
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: d1Bequrp)
ブレイブバードの直撃を受け、吹っ飛ばされたチェリムは、壁に激突し、戦闘不能となってしまう。
「チェリム、お疲れ様。休んでてねえ」
チェリムを労い、ボールに戻すサクラ。
「この子で最後ねえ。頼むわよお、カビゴン!」
サクラの最後のポケモンは、やはりカビゴン。
「ふん、そいつがいることは知っていると教えた上、最後のポケモンもゴーストタイプと教えてやったのに、それでもカビゴンを出すか」
「それで逆に貴方が負けちゃったらあ、すっごく恥ずかしくないかしらあ?」
「……まあいい。テイルーン、一旦戻れ」
ジンはボールを取り出し、テイルーンを戻すと、
「リーフィス、行ってこい」
先ほど戻したリーフィスを繰り出す。
同時に、フリーズしていた小型太陽が再び動き出す。
「にゃるほど、エース対決の前に、ちょっとでも削っとこうってわけねえ? 無駄よおそんなの! カビゴン、ギガスパーク!」
先に動いたのはカビゴン。
バチバチと音を立てて弾ける巨大な電撃の砲弾を作り上げ、リーフィスへと投げつける。
「リーフィス、ソーラービーム」
対してリーフィスは白い太陽光線を撃ち出すが、ギガスパークを押し返すことが出来ず、電気の砲弾がリーフィスに命中する。
「カビゴン、ぶち壊す!」
カビゴンがゆっくりとリーフィスに近づき、その腕を振り回す。
動きは遅いが、その分火力は非常に高い。
「リーフィス、大地の怒り」
カビゴンの拳が届くより早く、リーフィスは地面を揺らし、カビゴンの足元の床を割り、無数の瓦礫を飛ばし、カビゴンを上へと打ち上げる。
「リーフィス、ソーラービーム」
上空のカビゴンに向けて、リーフィスは太陽光線の如き白い光を撃ち出す。
その瞬間。
ジンは己のミスに気付いた。
「これはチャンスよお! カビゴン、ギガインパクト!」
上空に打ち上げられたカビゴンの重量級の体が、重力に従い、勢いをつけてリーフィスに襲い掛かる。
さらにその身には、凄まじい量のオーラを身に纏っている。
ソーラービーム如きでは押し返せるはずもなく、リーフィスはカビゴンの全力の一撃に文字通り叩き潰された。
カビゴンが立ち上がると、既にリーフィスは戦闘不能になっていた。
「打ち上げてくれて助かったわあ。あの体勢なら確実に攻撃出来るしねえ」
「リーフィス、戻って休んでいろ」
サクラの言葉は無視し、リーフィスをボールに戻すジン。
そしてすぐに、最後のボールを取り出す。
「行って来い、テイルーン」
ジンのエース、テイルーンが再び姿を現す。
「ふっふーん、これで最終戦ねえ」
楽しそうな笑みを浮かべ、サクラは目の前の敵を見据える。
ソライトの三番手は、ノーマルタイプの人工ポケモン、ポリゴン2。
「来たなポリゴン2。アブソル、行くぜ! 辻斬りだ!」
アブソルが先攻を取る。
一瞬でポリゴン2へと近づき、額の黒鎌を振り抜き、ポリゴン2を切り裂く。
「ポリゴン2、ダイヤブラスト!」
だがポリゴン2は体勢を一切崩さず、周囲へと青白く煌めく爆風を放ち、アブソルを吹っ飛ばす。
大量を相当消耗していたアブソルは、この一撃で戦闘不能となった。
「アブソル、よくやった。ジバコイルを倒せば上出来だ」
レオはアブソルをボールに戻し、ポリゴン2を見る。
(そうだ、確かこいつは痛みを感じないようにプログラムされてるんだったな。これを意識しとかないと危ないかもな)
痛みを感じないと言っても、ダメージ自体は通るのだが、すぐに反撃されるのは厄介だ。
「とにかく、次はお前だ。頼んだぜ、へラクロス!」
レオの次のポケモンはへラクロス。ポリゴン2には効果抜群が取れるが、すぐに反撃が飛んでくるため油断は出来ない。
「行くぞへラクロス、まずは瓦割だ!」
翅を広げてへラクロスは飛ぶ。
ポリゴン2へと一気に近づき、大きな角を思い切り振り下ろす。
「ポリゴン2、十万ボルト!」
あろうことか吹っ飛ばされながらもポリゴン2は正確にへラクロスを狙って電撃を放ってくる。
「マジかよ……へラクロス、躱して岩雪崩!」
へラクロスは再び翅を広げ、大きく飛んで電撃を躱すと、ポリゴン2に狙いを定め、無数の大きな岩を落とし、ポリゴン2の動きを封じてしまう。
「瓦割だ!」
そこへへラクロスが突っ込む。
硬い角を思い切り振り下ろし、岩を粉々に砕き、勢いを衰えさせることなくポリゴン2に角を叩きつける。
「それくらいではやられませんがねえ。ポリゴン2、トライアタック!」
ポリゴン2の周囲に赤、青、黄の三色のエネルギーの玉が浮かぶ。
直後、その玉からそれぞれ三つの光線が撃ち出される。
「へラクロス、躱して襲撃!」
三本の光線を掻い潜り、ポリゴン2との距離を一気に詰めるへラクロスだが、
「ポリゴン2、ダイヤブラスト!」
それよりも早くポリゴン2が周囲に煌めく爆風を放ち、逆にヘラクロスを吹っ飛ばした。
「今です! ポリゴン2、破壊光線!」
ポリゴン2の口元が光を放つ。
刹那、轟音と共に凄まじい威力の赤黒い光線が撃ち出される。
「まずいっ! ヘラクロス、これは躱せ!」
吹っ飛ばされるヘラクロスは、それでも何とか空中で体勢を立て直し、間一髪で破壊光線を躱した。
「危ねえな、やってくれるじゃねえか」
「出来ればここ一番で、決め技として使いたかったのですが、タイミングを間違えてしまいましたね」
「残念だな。僕のポケモン達は、これくらいでやられるほど弱くないぜ」
「そうでなくては。仮にも我々N・E団の要注意人物なのですからね」
ヘラクロスが着地し、改めて体勢を立て直す。
感情のこもらないポリゴン2の無機質な瞳が、それをじっと見据える。
「エルレイド、サイコカッター!」
「フローリア、気合玉!」
ロフトとマゼンタの最後のポケモン同士の戦い、その二体はほぼ互角。
しかしエルレイドには決め手となり得るインファイトがあるため、少々マゼンタが不利。
エルレイドの放った念力の刃が、フローリアの放つ気合玉とぶつかり合い、相殺される。
「こうなれば! エルレイド、剣の舞だ!」
ここに来てエルレイドが再び積み技を使う。
戦いの舞により、攻撃力がさらに強化される。
「ほなうちも、フローリア、悪巧み!」
それに合わせ、フローリアも瞬時に脳を活性化させ、特攻をより強化する。
「行くぞ! エルレイド、インファイト!」
守りを捨て、エルレイドが特攻を仕掛ける。
「それだけは喰らわへんで! フローリア、アイスバーン!」
対するフローリアは氷の力を一点に集中、そして爆発させ、冷気の衝撃波を撃ち出す。
しかし、
「甘い! エルレイド、そのまま突っ込め!」
エルレイドは右拳の一撃で衝撃波を粉砕し、左の拳を握り締め、フローリアに殴りかかる。
「そこやで! フローリア、ハイドロポンプ!」
一瞬の隙を突いてフローリアはエルレイドの側面へ跳び、大量の水を噴き出す。
「ッ! エルレイド!」
咄嗟に左拳を突き出すエルレイド。
しかし大量の水に押し負け、吹っ飛ばされる。
「アイスバーン!」
「させん! サイコカッター!」
フローリアが追撃に放つ氷の衝撃波を、エルレイドは念力の刃を放ち、何とか防ぎ切る。
お互いに突破力が底上げされているこの勝負では、最早、先に攻撃を当てた方が勝ちという戦いになる。
「そろそろ決めるぞ! エルレイド、リーフブレード!」
自然の力を込めた両腕の刃を伸ばして構えを作り、エルレイドはじっとフローリアを見据える。
フローリアの動きを見る。少しでも隙を見せれば、次の瞬間には双刀がフローリアを切り裂く。
対して、マゼンタは迷わなかった。
こちらから出来ることは、攻撃を撃つことだけだ。
「フローリア、ハイドロポンプ!」
マゼンタがそう叫んだ直後、両者が動く。
エルレイドが一気に迫る。
水技に相性のいいリーフブレードは、ハイドロポンプを突っ切り、確実にフローリアを切り裂く。
はずだったのだが。
「フローリア、アイスバーン!」
フローリアはハイドロポンプをすぐに止め、すぐにアイスバーンに切り替える。
放たれた氷の衝撃波は、先に撃ち出されたハイドロポンプをあっという間に凍りつかせてしまう。
つまり。
ハイドロポンプを突っ切っていたエルレイドが、氷漬けになった。
「くっ……何だとッ……!?」
ロフトの表情に浮かぶのは驚愕。
対するマゼンタが浮かべるのは、勝ち誇った笑み。
「決めたるで! フローリア、アイスバーン!」
フローリアは氷の力を一点に集中させる。
それを瞬時に爆発させ、衝撃波を起こし、エルレイドを吹っ飛ばす。
「ッ、エルレイド!」
体を半分ほど凍りつかせ、エルレイドが地面に倒れる。
既に目を回し、戦闘不能になっていた。