二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百五話 狩人 ( No.223 )
- 日時: 2014/02/10 21:50
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
「テイルーン、十万ボルト」
先攻を取ったテイルーンが、高電圧の電撃を撃ち出す。
「カビゴン、ぶち壊す!」
対してカビゴンは右拳を突き出し、電撃を弾き飛ばすと、
「ギガスパーク!」
左手に電気を集め、破裂音を立てるほどの強力な電撃の砲弾を作り上げ、それを投げつける。
「テイルーン、躱せ」
しかしテイルーンはふわりとした動きで容易く砲弾を躱してしまう。
「見た感じ火力と耐久だけのようだな。緋天将のフィニクスのような火力バカには強いが、俺のテイルーンのスピード型にとっては脅威でも何でもないぞ」
「あらあ? 仮にも身分が上の人のエースをバカなんて言っちゃっていいワケぇ?」
「俺は別に緋天将の部下ではない。奴の何を言おうが俺の勝手だ」
「ガーネットちゃんが聞いたらブチ切れそうだけどねえ。カビゴン、スプラッシュ!」
カビゴンが腕に水を纏う。
鈍重そうな見た目に反し、一気にテイルーンの所まで飛び上がると、水飛沫を撒き散らしながらその腕を振るう。
「遅い。テイルーン、躱してサイコバーン」
だがテイルーンは振り下ろされる直前にその腕の下をくぐり抜け、スプラッシュを躱し、念動力を爆発させて衝撃波を飛ばす。
「甘い甘い! カビゴン、スプラッシュ!」
だがカビゴンは吹っ飛ばされなかった。
それどころか体勢すら殆ど崩さず、水を纏ったままの腕をアッパーのように突き上げ、テイルーンを吹っ飛ばす。
「なるほど、そう来るか」
「まあねえ。見た感じ、そのテイルーンは総合的には貴方の手持ちで一番強いんだろうけどお、火力はさっきのリーフィスの方が高いみたいねえ。それくらいの攻撃なら、カビゴンは余裕で受けられるわよお」
あんまり甘く見ないでよお、とサクラは続ける。
「その程度で勝ったつもりか? とことん甘い思考回路だな」
「その甘い思考回路相手に一体一まで追い詰められてるのは貴方だけどねえ」
ジンの蔑みを、サクラはのらりくらりと躱していく。
「カビゴン、ぶち壊す!」
カビゴンが右腕を振り回し、全力の拳の一撃を放つ。
「テイルーン、躱して十万ボルト」
それをテイルーンは後ろに下がって躱すと、その位置から高電圧の電撃を放つ。
「カビゴン、躱してスプラッシュ!」
カビゴンはあろうことか大ジャンプし、電撃を躱すと、今度は腹部全体に水を纏い、テイルーンを押し潰さんと迫る。
「テイルーン、躱してサイコバーン」
それでもテイルーンは持ち前のスピードでスプラッシュの範囲内から逃れ、カビゴンが床に落ちた隙を狙って念力の爆発の衝撃波を叩きつける。
「今のを避けるなんて、なかなかやるわねえ」
「寧ろ今の程度の攻撃で当たると思っていたのか?」
「正直当たると思ってたわあ。カビゴン、ギガスパーク!」
カビゴンの両手に電気が集まり、バチバチと音を立てる電撃の砲弾が作り上がる。
それを順番に投げつけ、二発の電撃の砲弾がテイルーンに襲い掛かる。
「テイルーン、躱して十万ボルト」
しかしそれもテイルーンは砲弾の隙間を掻い潜って躱し、高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
耐久力の高いカビゴンとて無敵ではない。
少しづつだがダメージは蓄積され、限界を超えれば倒れてしまう。
「あんまり弱音は吐きたくないけど、ちょっと厳しいわねえ……カビゴン、スプラッシュ!」
カビゴンが右腕に水を纏わせ、水飛沫を上げながらその腕を叩きつける。
だがやはりテイルーンの動きを捉えられず、スプラッシュは空振りに終わる。
「テイルーン、サイコバーンだ。奴を転倒させろ」
ここでテイルーンはカビゴンの懐へと突っ込み、足元まで一気に距離を詰め、念力を爆発させた衝撃波をカビゴンの足へと放つ。
短い足に衝撃波を受け、カビゴンが体勢を崩し、そのまま背中から転倒する。
「これは……! カビゴン、起き上がって! 追撃が来るわよお!」
うつ伏せならまだ起き上がれるのだが、背中から倒れてしまったため、手足がなかなか届かず、上手く起き上がれないのだ。
「テイルーン、十万ボルト」
そしてその隙を逃すほどジンは甘くない。
高電圧の強力な電撃を撃ち出し、カビゴンにまともに命中する。
「行け。テイルーン、ブレイブバード」
テイルーンの背中を覆う雲が、鳥の形になる。
激しいオーラを纏い、転倒と電撃の痺れで上手く起き上がれないカビゴンに標的を向け、全力で突貫する。
ようやくカビゴンは起き上がったが、そこからブレイブバードを躱す術は無い。
テイルーンの突貫が、カビゴンの腹に直撃した。
「ポリゴン2、トライアタック!」
ポリゴン2の周囲に三色の光の玉が浮かび、炎・氷・電気を模した三色の光線が放たれる。
「へラクロス、躱して瓦割!」
へラクロスは翅を広げ、上空へ飛んで光線を躱すと、硬い角をポリゴン2へと叩きつける。
「ポリゴン2、十万ボルト!」
ポリゴン2は高電圧の強力な電撃を放ち、へラクロスを迎撃する。
角と電撃が競り合うが、次第にへラクロスが押されていき、やがてへラクロスが吹き飛ばされる。
「今です、ポリゴン2、破壊光線!」
へラクロスの隙を逃さず、ポリゴン2は赤黒く光る必殺の光線を撃ち出して来る。
「またこれか! だったらこっちにも考えがあるぜ。へラクロス、行くぞ!」
吹っ飛ばされたへラクロスだが、素早く受け身をとって起き上がる。
すぐそこには、極太の破壊光線が迫る。
「勝負かけるぞ! へラクロス、最大パワーで瓦割!」
破壊光線に合わせ、へラクロスは渾身の力を込め、大きな角を思い切り破壊光線に叩きつける。
「無駄です。十万ボルトにすら打ち負けた瓦割で、破壊光線に対抗するなど不可能ですよ。それくらい分かるでしょう?」
実際。
へラクロスの最高火力を以ってしても、破壊光線を押し返せていない。
ソライトの予想通り、すぐに破壊光線がへラクロスを押し戻している。
十秒もしないうちに、へラクロスが吹っ飛ばされた。
だが。
「どうかな」
レオの表情に浮かぶのは小さな笑み。
「やってみなきゃ、無駄かどうかはわかんないぞ!」
破壊光線を止める必要は無い。へラクロスが倒れない程度に威力を削げば、それで上等だ。
吹っ飛ばされたへラクロスは、空中で体勢を整える。
すぐ後ろの壁を蹴り、翅を広げ、ポリゴン2に突っ込む。
ここで。
「……まさか」
ソライトがようやくレオの作戦に気付く。
レオが注目したのは、破壊光線のその性質だった。
破壊光線はノーマルタイプ最強の大技。
しかし、その強力さが災いし、攻撃を命中させた場合、反動でしばらく動けなくなってしまう。
レオはその隙を突いた。
いくら即座に反撃を撃てるポリゴン2でも、攻撃の反動には逆らえない。
そして、その反動は、レオにとってこれ以上無いまでのチャンスとなる。
「狙い通りだぜ! へラクロス、もう一回、最大パワーで瓦割だ!」
ポリゴン2との距離を一気に詰め、もう一度へラクロスは渾身の力を振るい、大きく硬い角を全力でポリゴン2に叩きつけた。
効果抜群の一撃が見事に直撃し、ポリゴン2は吹っ飛ばされる。
「まだです! ポリゴン2、トライアタック!」
ようやくポリゴン2の反撃が消える。
周囲に三色の玉を浮かび上がらせるが、
「遅えんだよ! へラクロス、襲撃だ!」
ポリゴン2の目の前に瞬時に迫ったへラクロスが、角を横薙ぎに振るい、ポリゴン2を叩き飛ばす。
壁に激突したポリゴン2は、そのまま地面に落ち、動きを止め、戦闘不能となった。
「流石ですね。ポリゴン2、よく頑張りましたね」
ソライトはポリゴン2をボールに戻し、最後のボールを取り出す。
「さてと、貴女をバトルで使うのは久し振りですね」
その言葉はボールの中のポケモンへのもの。
ボールに描かれた二重の鎖は、蒼い光を放っている。
同時に、ソライトの瞳が輝きを増す。
「想像はついているでしょうが、私の最後のポケモンは水タイプ。荒れ狂う大波を巻き起こし、貴方を敗北へ引きずり込んで差し上げましょう」
ソライトが、最後のポケモンを繰り出す。
「蒼天に嵐を起こせ、オールガ!」
ソライトの最後のポケモンは、鮫やシャチに似たポケモン。
体は深海のように深い青、額には角が生えており、その赤い眼光は非常に鋭い。
口を開けば、びっしりと鋭利な牙が生え揃っている。
オールガ、シャチポケモン。水・悪タイプ。
場に出るや否や、オールガは大気を震わす程の大きな咆哮を上げる。
「ッ……!」
思わず耳を塞ぐレオ。
咆哮によってソライトの後ろのガラスの壁が振動し、次々と砕ける。
「水タイプってとこまでは想像通りだけど……まさか典型的なアタッカーとは思ってなかったな」
まだそうと決まったわけではないが、このオールガは小細工を仕掛けて来るようなタイプでは無い。
瞳に赤い光を滾らせ、対峙する敵を睨みつける。
その赤い目は狩人の目。いざバトルが始まれば、小細工無しに襲い掛かってくるだろう。
だが、レオはそれくらいで怯む男ではない。
「行くぞ、へラクロス。こいつを倒せば、僕らの勝ちだ」
レオの言葉に応えるように、へラクロスは角を振り回し、一歩進み出る。
「オールガ、手加減は必要ありません。ただ目の前の邪魔者を蹴散らすだけでいいのです。貴女の一番の得意分野でしょう?」
こちらもソライトの言葉に応えるように、オールガは再び天に向かって咆哮する。