二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百九話 金獅子 ( No.230 )
- 日時: 2014/03/06 10:39
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
「ネクロシア、戻りなさい」
ラピスがネクロシアを戻すと、ラピスの瞳の紫の光は消え、腕に浮かんだ模様が消える。
同時に、ボールに描かれた鎖の模様が光を失う。
「悔しいけど、エース対決は完敗ね」
だけど、とラピスは続け、
「あたしに勝ったからといって、N・E団を甘く見ない方がいいわよ。言い訳するわけじゃないけど、今のあたしの力は半分と少し。今回のバトルくらいで調子に乗ってると、二位とか一位に叩き潰されるわよ」
「忠告ありがとうよ。だが俺はこう見えてバトル中は常にフィールド全体に気を配ってるからな、いつでも油断はしないぜ」
「ま、あたしは貴方が他の誰かにボコられるのを楽しみにしてるわ。それじゃあね」
そう言ってラピスは小さな機械を取り出す。
その機械のボタンを押すと、ラピスの真下の床が開き、ラピスはゆっくりと床の下へと行ってしまった。
「まあこんなもんか。さて、こっからは他の奴らの支援にでも行くか。ブレイオー、まだまだ余裕だよな?」
リョーマの言葉に、勿論、とでも言うようにブレイオーは頷く。
部屋を出ると、逃げ道を塞ぐための壁は消えていた。
改めて最奥を目指そうとするリョーマだったが、そこでふと立ち止まる。
「もうバトルが終わってる可能性が一番高いのは……実力的に見て、サクラだな」
そう呟き、リョーマはライブキャスターを起動させる。
「オールガ、アクアテール!」
「レントラー、躱して十万ボルト!」
レオとソライトのバトルは、両者一歩も譲らない互角の戦いが続いている。
どちらも相応にダメージは受けているが、弱る気配は一向にない。
オールガが宙に跳び上がり、高速回転して勢いをつけ、水を纏った尾ビレを叩きつける。
それをレントラーは躱し、高電圧の電撃を撃ち出して反撃する。
「オールガ、ぶち壊す!」
オールガは尾ビレを振るい、電撃を弾き飛ばす。
「怒りの炎!」
その隙を狙い、レントラーは憤怒の感情の如く荒れ狂う業火を放つ。
効果は今一つだが、それでもそこそこの威力はある。
さらに、炎はオールガを囲み、その視界を狭める。
「馬鹿力だ!」
「そうは行きませんよ! 氷柱落とし!」
隙を狙って、レントラーが渾身の力を込めて突撃を仕掛ける。
対してオールガは冷気を放ち、巨大な氷柱をレントラーの目の前に落とし、行く手を阻む。
「甘い! レントラー、突っ込め!」
しかしレントラーは行く手を遮る氷柱を打ち砕き、オールガに激突し、吹っ飛ばす。
「まだ炎は残ってんだぜ。そんな状態で氷を使っても、レントラーのパワーの前では無意味だ」
だが決してオールガの氷柱落としが弱い訳ではない。
寧ろ、この灼熱の業火の中でもそれなりの強度を保っていることを評価すべきだろう。
「オールガ、アクアテール!」
オールガは素早く体勢を立て直し、尾ビレに水を纏い、水飛沫を撒き散らすようにその場で尾ビレを振るう。
飛ばされた水飛沫は、炎に降りかかり、消火される。
「オールガ、岩雪崩!」
虚空から、レントラー目掛けて大量の岩が降り注ぐ。
「レントラー、躱して十万ボルト!」
襲い来る岩を全て躱し切ると、レントラーは高電圧の強力な電撃を放つ。
「オールガ、もう一度岩雪崩!」
再びオールガは虚空から岩を落とす。
今度はレントラーへとではなく、自身の正面に落とし、電撃を防ぐと、
「シューティングと行きましょうか。オールガ、アクアテール!」
水を纏った尾ビレを振るい、オールガは次々と岩を打ち、レントラー目掛けて飛ばす。
「そう来るか……! レントラー、十万ボルト!」
レントラーも連続で電撃を撃ち出し、岩を破壊していく。
しかしオールガの方が技が早い。
レントラーの電撃が遅れてきたところを狙い、岩が命中する。
「一度当たればこちらのもの! オールガ、一気に決めなさい!」
オールガの尾ビレを振るスピードが加速する。
無数の岩が次々とレントラーに襲い掛かる。
「これしかねえ! レントラー、馬鹿力!」
思い切って正面突破の指示を出すレオ。
レントラーは体勢を取り戻し、守りを捨て、全力で突撃する。
岩が命中、勿論ダメージもゼロではないが、その岩も砕き、オールガへと突っ込む。
「喰らいませんよ! オールガ、躱しなさい!」
「逃がさねえぞ! レントラー、十万ボルト!」
オールガが尾ビレで床を叩き、反動で跳び上がり、レントラーの突撃を躱す。
だがレントラーは素早く技を切り替える。高電圧の電撃が、宙に跳んだオールガを捉えた。
効果抜群、ダメージは大きい。
「ッ、ここは迎え撃つべきでしたね」
だがオールガはまだ倒れない。
瞳に闘志を燃やし、まだ起き上がる。
「マジかよ、相当効果抜群の攻撃喰らってるはずだぞ」
「仮にも天将五位の私の切り札です。甘く見てもらっては困るのですがねえ」
「別に軽視してるつもりはねえけどな。敵が起き上がるなら倒すだけだぜ。レントラー、十万ボルト!」
「そう上手くは行かせませんがねえ。オールガ、氷柱落とし!」
レントラーが高電圧の強力な電撃を撃ち出すが、オールガは冷気を放って大きな氷柱を落とし、電撃を止め、
「ぶち壊す!」
床を蹴って跳び上がり、上空から勢いをつけて尾ビレを叩きつける。
「レントラー、これは躱すぞ!」
頑丈な床を容易く凹ませるほどの一撃だが、レントラーは素早く横へと逸れて尾ビレの一撃を躱し、
「これはどうだ! レントラー、ユカリさんのスミロドンを思い出せ! 氷の牙!」
レントラーがスミロドンと戦った訳ではないが、レオが教えているので、レントラーは指示の意味をすぐに理解する。
牙に氷を纏い、大きく伸びたその牙を床へと突き刺す。
同時に、二連の氷の衝撃波が地を這ってオールガに襲い掛かる。
この戦術もカンタロウとの特訓で編み出した技の一つだ。
シヌマジムの湿地では使えなかったが、ここならば問題なく使える。
「上手い作戦ですが、オールガには効きませんね。ぶち壊す!」
オールガは尾ビレを振り抜き、氷の衝撃波を砕くと、
「アクアテール!」
その尾ビレに水を纏い、レントラー目掛けて跳び、尾ビレを叩きつける。
「躱す余裕は無いか……! レントラー、馬鹿力!」
レントラーも渾身の突進を繰り出し、オールガを迎え撃つ。
しかし単純なパワーではオールガに劣る。
威力こそ削いだが、やがて押し負け、レントラーが押し戻される。
「ぶち壊す!」
だがオールガの攻撃はまだ終わっていない。
勢いをそのままに、渾身の力を込めて横薙ぎに尾ビレを振るい、決して軽くないレントラーを容易く吹き飛ばす。
「レントラー! 大丈夫か!?」
それでも、レントラーは耐えた。
大ダメージには間違いないが、それでもレントラーはまだ倒れてはいない。
だが、
「よく耐えましたね。ですが次で終わりです。オールガ、岩雪崩!」
オールガが虚空から無数の岩を落とす。
オールガの最高火力を受けた今のレントラーには、それを躱す力は残っていなかった。
無数の岩に覆われ、レントラーの動きは完全に封じられてしまう。
「私の勝ちです! オールガ、ぶち壊す!」
床を蹴って、オールガは真っ直ぐに跳ぶ。
尾ビレを二、三度振るって勢いを付け、取り囲む岩ごとレントラーを叩き飛ばし、決着を付ける。
「レントラー!」
レオの叫びと、オールガが尾ビレを岩に叩きつけたのは、ほぼ同時だった。
刹那。
巨大な電撃の砲弾が、オールガを吹き飛ばした。
「ッ!?」
予想外の事態に驚いたのはソライトだった。
吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられたオールガは、それでもまだ起き上がり、赤い瞳に怒りを込めて低く唸り声を上げる。
破壊された岩の中から出て来たのは、瞳を金色に輝かせたレントラーだった。
「これは……透視能力か!」
レントラーというポケモンは、透視能力を持っており、壁の向こうにいる敵などを見つけることが出来る。
そしてそれを行うとき、瞳が金色に輝くのだ。
そして、先程の電撃の砲弾は。
「ギガスパーク……まさか、このタイミングで新技を習得しますか……」
極限まで追い詰められたことで、この状況を打破すべく、新しい技、ギガスパークを覚えたのだ。
そして岩の内側から、オールガが襲い来る方向を確認し、電撃の砲弾を撃ち出したのだ。
「ですが状況は変わりませんよ。どの道貴方のレントラーはあと一撃で終わりです。オールガ、決めなさい! ぶち壊す!」
オールガが部屋を揺るがすほどの咆哮を上げ、尾ビレで床を蹴り、ほぼ床と水平に跳ぶ。
跳んで来てくれるのはレオにとってはありがたかった。
レントラーにはもう、オールガのところまで行く力は残されていなかった。
今のレントラーに出来るのは、最後の一撃で勝負を決めることだけだった。
「レントラー、最大火力でギガスパーク!」
体内の有りっ丈の電気の力を一点に凝縮させ、レントラーは破裂音を立てる巨大な電撃の砲弾を作り上げる。
突っ込んで来るオールガに向けて、砲弾が放たれた。
オールガの最大パワーを持ってしても、ギガスパークを破壊することは出来ず、逆に吹き飛ばされたのはオールガだった。
壁に叩きつけられ、オールガは床へと落ちる。
電気によって体を痙攣させ、戦闘不能となっていた。
それを確認したレントラーも、力尽き、ゆっくりと床に倒れた。