二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百十話 決着 ( No.233 )
- 日時: 2014/03/06 20:53
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: mGXNpy6x)
決着は付いた。
両者とも戦闘不能になったが、そのタイミングを考えれば、レオの勝ちだ。
「オールガ、よくやりました。戻って休みなさい」
「レントラー、頑張ったな。すぐにポケモンセンターに連れてってやるから、それまで休んでてくれ」
お互いにそれぞれのポケモンを労い、ボールへと戻す。
同時に、ソライトの瞳の蒼い光が消え、ボールの鎖の模様も光を失う。
「さて、負けてしまいましたね。これで残る戦力はセドニー一人……これは勝てませんね。私たちの負けです」
そう言うソライトだが、口調は軽い。
「生憎だがここにはリョーマさんも来てる。お前たちはここで纏めて捕まえられて終わりだぜ」
「それはどうでしょう。まあとにかく、私の話を聞いてください。折角私に勝ったのですから、それを讃え、私たちの次の作戦をお教えしましょう」
上から発言なのが気に食わないが、レオは一先ずソライトの話を聞く。
「私たちの次の作戦は、ヨザクラタウンにある三つの宝玉を頂くことです。それを防ぎたければ、ヨザクラタウンへ行き、N・E団と戦いなさい」
では、とソライトは小さなリモコンのような機械を取り出し、ボタンを押す。
刹那、ソライトの背後にある無数の機械が爆発し、粉々に吹き飛ばされた。
「ッ!?」
爆発と爆風に思わず腕で目を覆うレオ。
「私の研究を見られたくはありませんからね。証拠隠滅させて頂きますよ。それでは、さらばです」
ソライトの足元の床が開き、ソライトはゆっくりと地下に消えてしまう。
同時に、
「レオ!」
後ろの床が開き、リョーマとブレイオーが飛び込んできた。
「リョーマさん……すいません、ソライトを逃がしてしまいました」
「いや、謝る必要はねえ。寧ろ読み通りだ」
「?」
頭に疑問符を浮かべるレオを見て、リョーマはにやりと笑う。
「外にサクラとマゼンタが控えてる。逃げ出そうとするN・E団を、一網打尽にしてやるぜ」
ピピピ……と。
唐突に、セドニーのポケットの中の機械が音を立てる。
「ッ……何だ何だ。こっちはまだ戦闘中だっての」
苛立ちを募らせながら、セドニーは機械を取り出す。
「少し待ってくれ。空気を読めない馬鹿からの着信だ」
バトルを勝手に一時停止し、セドニーは機械を操作し出す。
「何だソライト。こっちはまだバトル中だぞ」
『そうですか。セドニー、今すぐに撤退してください。こちらの戦力で残っているのは貴方だけです』
「は? おいおい、ふざけんなよ。何で七位の俺が残ってて五位と三位が負けてんだよ、おかしいだろ」
『とにかく、この戦いは私たちの負けです。すぐに撤退してください』
「ちっ、後でじっくり話を聞かせてもらうからな」
そして通話は切れる。
「何があっただか」
「何か知らねえが、撤退しろってよ。だから俺はここでおさらばだ。お前よかったな、敗北を免れて」
「なるほど。だけンどそォはさせねェだ。ここは逃がさねェだぞ」
「だよなあ……普通はそう来るんだよな。だから嫌なんだよ、途中で撤退すんのは」
面倒くさそうに頭を掻き、セドニーはぼやく。
そして、
「バジリール、大成長!」
突如、カンタロウとセドニーを分断する形で、無数の蔦が床から現れ、天井に突き刺さる。
「逃がさねェだぞ! ムクホーク、ブレイブバード!」
ムクホークは炎のようなオーラを身に纏い、蔦へと激突する。
しかし蔦は何重にも仕掛けられており、一撃では破れない。
分断された向こう側へカンタロウが踏み込んだ時、そこにはセドニーの姿は無く、床に穴が空いているだけだった。
「逃がしただか……ここに飛び込むのは、危険だべな」
ムクホークを戻すと、カンタロウは急いで部屋の外へ飛び出す。
奴らが外から逃げる可能性も十分にあり得る。もしそうなら、カンタロウの鳥ポケモンたちで追跡出来る。
そう考えていたカンタロウだったが。
唐突に、研究所全体が揺れ始めた。
「何だ!?」
体勢を崩し、カンタロウは転びそうになり、慌てて壁に手を着く。
直後。
カンタロウの数メートル先の床に裂け目が入った。
裂け目はどんどん大きくなっていく。研究所自体が、分断されているのだ。
地上で待つサクラとマゼンタにも、その様子ははっきりと分かった。
「研究所が、分けられとる!?」
「分かったよお! この中から、飛行機か何かが出てくるわあ!」
サクラがそう言った刹那だった。
轟音と共に、地下から、コンテナの付いた飛行機、N・E空中輸送ドッグが現れた。
「来たわねえ! カビゴン、ギガスパーク!」
「フローリア、アイスバーン!」
空中輸送ドッグへと、電撃の砲弾、さらに氷の衝撃波が放たれる。
まともに当たれば、撃墜は免れない。しかし、
「バジリール、十万ボルト!」
ドッグの入り口が開き、ポケモンが現れた。
セドニーの切り札、バジリールが、高電圧の強力な電撃を放ち、砲弾と衝撃波を食い止める。
N・E空中輸送ドッグが、空中へと浮上する。
「バジリール、下だ!」
バジリールがドッグの真下へと電撃を放つ。
追ってきたカンタロウのムクホークに命中し、ムクホークも止められる。
直後。
ドッグの扉は閉まり、N・E空中輸送ドッグは遥か遠くへと飛び去って行った。
戦いを終えた五人は、シヌマ支部の会議室に戻って来ていた。
レオから話を聞き終え、リョーマが口を開く。
「……なるほど。つまり、奴らの次の目標はヨザクラタウンか。正直、あの町についてはほとんど知らねえんだよな」
「あそこは隣町だから少しは知ってるけどお、ヨザクラタウンの宝石なんて初めて聞いたわあ。あそこは辺境の地だし、情報が少ないのよねえ」
サクラ曰く、ヨザクラタウンの住人は非常に少なく、しかも殆どの人が一生涯を町の中で暮らすらしい。
「あそこは文明が遅れてるというか、古い文化のまま発展した町みたいな感じねえ。一応ジムがあるけどお、ホクリクにジムが八つしかないわけじゃないし、誰もあんな山奥には行きたがらないわよねえ」
だが、N・E団がそこを狙っている以上、誰かが行かねばならない。
「それなら、僕が行きますよ」
レオは立ち上がった。リョーマやサクラは『ブロック』としての仕事もあるだろうから、彼らに任せっきりではいけない。
「行ってくれるか、だが気をつけろよ。あそこは情報が殆どない、もしかしたら危険な場所かもしれねえぞ。まずは、ここからの行動を決めようか」
リョーマの言葉を受け、一旦座るレオ。
「まず、レオ、言ってくれた通り、お前はヨザクラタウンに行ってくれ。十分に気をつけて行けよ。やばいと思ったら俺かテレジアに連絡しな。すぐに駆けつけるぜ」
「はい。任せてください」
次に、リョーマはカンタロウの方を向く。
「カンタロウは、俺の方を手伝ってくれ。お前の鳥ポケモンは頼れる面子が揃ってるから、アジト探しにも一役買ってくれそうだ」
「それくれェ楽勝だべ。六匹とも協力できるだ」
カンタロウの言葉を聞いてニヤリと笑い、リョーマは次にマゼンタの方を向く。
「マゼンタ、お前には悪いんだが、サクラの仕事の方を手伝ってくれねえか? 出来るならお前もこっちを手伝って欲しいんだが、サクラが一人になると絶対に仕事をしねえから、厳しくしてやってくれ」
「リョーマ、子供扱いしないでもらえるう? 仕事くらい一人で出来るわよお!」
「その言葉を信用した結果、仕事が溜まりに溜まって、俺のところに泣きついて来て、テレジアが手伝っても一週間終わらなかったあの事件をお前はもう忘れたのか?」
サクラが文句を言うがリョーマはすぐに黙らせる。
「リョーマさん、それならお任せやで。私が仕事するのは嫌やけど、させるんなら任せとき」
「マゼンタちゃん!?」
約一名納得がいかない人がいるようだが、とりあえずここからの動きは決まった。
今日は全員疲れを取り、明日の朝から行動を開始する。
リョーマはトロピウスに乗り、カンタロウはペリッパーの口の中に乗り込み、アカノハシティへと戻る。
マゼンタはサクラと共にシヌマシティに残る。
そしてレオは、次の街、ヨザクラタウンへと進み、N・E団の事を伝える。