二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百十四話 分身 ( No.242 )
日時: 2014/04/13 14:02
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ゲンガー、ヘドロ爆弾!」
ゲンガーがヘドロの塊を、今度は直接レントラーへと投げ付ける。
「レントラー、氷の牙!」
レントラーは牙に氷を纏い、ヘドロに突き刺し、破壊する。
だが、破壊されると同時、爆弾が破裂し、煙幕が立ち込める。
「ゲンガー、ヘドロ爆弾!」
さらにゲンガーは自らの周囲に爆弾をばら撒く。
無数の煙幕が立ち込め、フィールドを包み込む。
「シャドーボールだ!」
煙の壁の向こう側から、連続で影の弾が放たれる。
「レントラー、薙ぎ払え! 怒りの炎!」
レントラーは荒れ狂う灼熱の炎を放ち、影の弾を全て防ぎ切る。
炎が辺りを照らし、視界を晴らす。
だがそこにゲンガーはいない。
「レントラー、奴はどこかに潜ってる。見つけ出して迎撃だ」
レントラーの瞳が金色に光るが、
「同じ戦法は通用せんぞ! ゲンガー、シャドーボール!」
直後、レントラーの真上から影の弾が襲い掛かる。
対応が遅れ、レントラーは影の弾を受けてしまう。
「上下左右、四方八方、常に気を配れ。忍びはどこから襲って来るか分からんぞ」
笑みを浮かべたゲンガーが、天井をすり抜けて現れる。
「気配を全く感じさせず、さらにあの短時間で誰にも気付かれずに天井まで移動する……流石ですね」
「忍びにとっては朝飯前だ。我々の前では、通常のバトルでの常識は通用しない。どこから攻撃が来てもおかしくないと思え」
ミヤビの言葉に続き、ゲンガーがケラケラと笑いながらミヤビの元へ戻って来る。
「レントラー、ここから立て直すぞ! ギガスパーク!」
レントラーは起き上がると、咆哮と共に電気の力を一点に集める。
巨大な電撃の砲弾を作り上げ、それを撃ち出す。
「ゲンガー、躱せ」
ゲンガーは床に潜り、電撃の砲弾を躱し、静かにレントラーに忍び寄る。
「レントラー、氷の牙!」
レントラーの瞳が輝く。
牙に長く鋭い氷を纏わせ、床下にいるゲンガーに狙いを定め、床に突き刺す。
「ゲンガー、躱してサイコキネシス!」
牙のすぐ前でゲンガーが床から飛び出す。
そのまま念力を操り、レントラーを吹っ飛ばそうとするが、
「読み通り! レントラー、そのままだ!」
氷の衝撃波が床を伝い、ゲンガーを吹っ飛ばす。
草木が邪魔し、コンクリートの床で使った時ほどの伸びはないが、この至近距離なら当たる。
「レントラー、ギガスパーク!」
さらにレントラーの電撃の砲弾が撃ち出される。
破裂音を立てて弾ける電撃の砲弾がゲンガーを捉え、吹っ飛ばした。
「攻めていくぞ! レントラー、怒りの炎!」
「ぐっ、ゲンガー、鬼火からサイコキネシス!」
レントラーが荒れ狂う灼熱の炎を放つが、ゲンガーは体勢を崩しながらも鬼火を前方に浮かべ、念力を操って鬼火の壁を作る。
怒りの炎の方が勢いは強く、次第に鬼火の壁は押され、そして破られてしまうが、そこにはもうゲンガーはいない。
レントラーの瞳が金色に光るが、
「見切られるなら先に攻撃させてもらおうか。ゲンガー、シャドーボール!」
直後、レントラーの近くの木の中から両手に影の弾を構えたゲンガーが飛び出し、シャドーボールを放つ。
「レントラー、ギガスパーク!」
しかし一瞬早くレントラーがゲンガーの居場所を見切っていた。
シャドーボールをあえて躱さず、一発耐え切り、巨大な電撃の砲弾を撃ち出す。
砲弾に吹き飛ばされ、ゲンガーは地面に落ちて戦闘不能になった。
「ゲンガー、よくやった。戻って休め」
ゲンガーをボールに戻すと、ミヤビはレオの方を向く。
「私のゲンガーは耐久に少し難があるのでな。だが、攻撃面に関しては相当鍛えておるつもりだ。そのゲンガーのシャドーボールを耐え切り、すぐに反撃に出られたそのレントラーの姿勢、見事だ」
レオを賞賛し、ミヤビは次のボールを取り出す。
「それでは、次はこいつがお主の相手をしよう。出でよ、カミギリー!」
ミヤビの二番手は、水色の体のカミキリムシのような虫ポケモン。
長い触覚に鋭い爪、そして四本のしなやかで長い腕を持つ。
噛み切りポケモンのカミギリー。悪・虫タイプで、毒タイプは持っていない。
ジムリーダーが得意とするタイプのポケモンのみを持っている訳ではない事はレオも知っているため、驚くことはない。
(カミギリーか。四本の腕の連続攻撃には、気をつけないとな)
「では、始めるぞ。カミギリー、まずは毒突きだ」
カミギリーの四本の腕が、毒を帯びる。
直後、一気にレントラーとの距離を詰め、四本の毒手が襲い掛かる。
「レントラー、氷の牙!」
レントラーは牙に長く鋭い氷を纏わせ、カミギリーを迎え撃つ。
しかし、二本の腕は弾いたものの、残りの毒手がレントラーを突き刺す。
「くっ、レントラー、怒りの炎!」
「そうは行かぬぞ。カミギリー、辻斬りだ!」
レントラーが体勢を立て直し、炎を放とうとするが、それよりも早くカミギリーは素早くすれ違いざまにレントラーを切り裂く。
「まだだ! レントラー、ギガスパーク!」
レントラーはそれでも踏み止まり、巨大な電撃の砲弾を撃ち出す。
「躱しきれぬか? カミギリー、毒突きだ」
カミギリーは毒を纏った四本の腕を突き出すが、砲弾の相殺は出来ず、吹っ飛ばされる。
「レントラー、続けて馬鹿力!」
吹っ飛ぶカミギリーを追い、レントラーは全力で突進攻撃を仕掛ける。
だが。

「甘い。カミギリー、影分身!」

レントラーの突撃が命中する直前、カミギリーの姿が消える。
レントラーがブレーキを掛け、振り返れば、そこには大量のカミギリーが立っていた。
「纏めて薙ぎ払え! レントラー、怒りの炎!」
レントラーが荒れ狂う灼熱の炎を放つが、
「カミギリー、辻斬り!」
大量のカミギリーが、一瞬で消える。
同時に、レントラーの後ろにいた本物のカミギリーが四本の腕を振り抜き、レントラーを切り裂く。
急所に一撃を受けたようで、レントラーは地面に倒れ、ここで戦闘不能となる。
「ゲンガーを倒したのは上出来だぜ。レントラー、よく頑張った」
レントラーをボールに戻し、レオは次のボールを取り出す。
「さあ頼むぜ、トゲキッス!」
レオのポケモンは先ほど出したトゲキッス。
「トゲキッスか。では行くぞ、カミギリー、毒突き!」
カミギリーが動く。
草や木の陰を利用しながら巧みにトゲキッスに近づき、一気に飛び出し、四本の毒を帯びた腕を突き出す。
「トゲキッス、波動弾!」
トゲキッスは波動を一点に集めた念弾を放つ。
カミギリーの毒手は、波動弾に相殺される。
「エアスラッシュ!」
「影分身!」
トゲキッスが空気の刃を放つが、カミギリーは影に姿を写し、何体もの分身を作り出す。
トゲキッスの放った空気の刃は、分身の一つを打ち消しただけに終わる。
「それは効きませんよ! トゲキッス、波動弾!」
再びトゲキッスは波動を一点に集めた念弾を撃ち出す。
分身の間をすり抜け、波動弾がカミギリーに命中する。
「よっしゃ、トゲキッス、大文字!」
続けてトゲキッスは大の字型に燃え盛る灼熱の炎を放つ。
しかし無数のカミギリーの偽物が炎の前に立ち塞がる。
炎は偽物を打ち消すが、その間に本物のカミギリーは再び残った偽物の中に紛れ込んでしまう。
「何回隠れたってすぐに見つけ出してやる! トゲキッス、波動弾!」
再びトゲキッスは波動を一点に凝縮し、念弾を打ち出す。
だが。
「カミギリー、辻斬り!」
木の上に隠れていた本物のカミギリーが飛び出し、波動弾の発射よりも早く腕を振るい、トゲキッスを切り裂いた。
「一度決まった戦法が二度通用すると思うでないぞ。ましてや何の搦め手も使わずに放たれた技など、攻略するのは容易い」
ミヤビの言葉に呼応するように、カミギリーも笑うような声を上げる。
「……やっぱり忍者の長となると、今までのジムリーダーとは違う。一筋縄ではいかないな」
だが、レオはこれくらいで怯む男ではない。
相手が強いほど、戦い甲斐がある。