二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百十五話 代わり身 ( No.243 )
日時: 2014/04/23 18:00
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「トゲキッス、まずは残った分身を消すぞ。サイコバーン!」
トゲキッスが体内に念力を溜め込み、それを爆発させて衝撃波を起こす。
カミギリーは悪タイプを持っているためダメージは無いが、影分身を消すのは容易い。
「何度やっても同じこと。カミギリー、影分身!」
「どうかな! トゲキッス、波動弾!」
カミギリーが無数の分身を作り上げるが、トゲキッスの放つ波動の念弾は立ち塞がる分身を打ち消し、本物へと狙いを定めて飛んでいく。
「やむを得ん。カミギリー、毒突き!」
カミギリーの腕が毒を纏う。
四本の腕を突き出し、波動弾を破壊するが、
「そいつだ! トゲキッス、エアスラッシュ!」
間髪入れずにトゲキッスが空気の刃を放ち、カミギリー本体を確実に切り裂く。
「カミギリー、立て直せ。影分身だ」
カミギリーは立ち上がると、再び無数の分身を作り上げる。
「トゲキッス、サイコバーン!」
トゲキッスは念力を溜め込み、爆発を起こして衝撃波を撃ち出すが、
「カミギリー、穴を掘る!」
全てのカミギリーが一瞬でその場から消えた。
レオがフィールドを見回すと、フィールドの端の方に、床に穴を掘った後があった。
(飛行タイプのトゲキッスにわざわざ穴を掘るを使ってきたってことは、普通にそのまま攻撃してくるとは考えられない。ここは何かしてくるぞ)
警戒し、レオはフィールド全体に気を配る。
しかし、警戒など全く意味が無かった。
「カミギリー、毒突き!」
ミヤビの声が響いた、その刹那。

フィールドに無数に穴が空き、無数のカミギリーが飛び出してきたからだ。

「そう来たか! だったらトゲキッス、サイコバーン!」
対するレオの反応は早かった。
トゲキッスは念力を体内に溜め込み、それを爆発させ、周囲へと衝撃波を放つ。
衝撃波を浴び、無数のカミギリーは全て打ち消された。
もう一度言おう。

無数のカミギリーは、全て打ち消された。

刹那。
トゲキッスの真下からカミギリーが飛び出し、毒を帯びた四本の腕を突き刺した。
「っ! しまった、トゲキッス!」
予想していなかった不意の一撃を受け、トゲキッスが吹っ飛ばされる。
「決めろ。カミギリー、辻斬り!」
カミギリーが一瞬のうちにトゲキッスとの距離を詰める。
四本の腕を振るい、急所を見極め、トゲキッスを切り裂いた。
トゲキッスは床に落ち、戦闘不能となってしまう。
「……マジかよ。トゲキッス、よく頑張った。戻って休んでてくれ」
トゲキッスをボールに戻し、レオは考える。
(この展開は予想してなかったな……こんなに早くトゲキッスがやられるとは思ってなかったし。本当なら今回は後はパンプッチとポッチャマで行きたかったけど、パンプッチじゃカミギリーとの相性が悪い。ここは作戦を変えるしかないな)
作戦を決め、レオがボールを取り出す。
「ここはお前に任せる! 頼むぜ、アブソル!」
レオの三番手は、アブソルだ。
「アブソルか。ではその力を見せてもらおう。カミギリー、影分身!」
カミギリーが自らの影に姿を写し、無数の分身を作り上げる。
「思い切って行くぞ! アブソル、地面に火炎放射!」
対して、アブソルは灼熱の炎を床へと放つ。
業火はフィールドの草を燃やし、薄暗いフィールドが紅蓮の炎に照らされ、全体が火の海となる。
「……なるほど。そう来るか」
燃え上がる炎が、カミギリーの偽物を全て打ち消す。
残った本物も、炎に焼かれていく。
「アブソル、もう一度火炎放射!」
再びアブソルが業火を放つ。
いくら隙の少ないカミギリーと言えど、全身が炎に包まれた状態でこの攻撃を躱すことは出来ない。
「アブソル、辻斬りだ!」
灼熱の炎に苦しむカミギリーのすぐ横を一瞬で通り過ぎ、額の黒鎌がカミギリーを切り裂く。
火の海が静まると、カミギリーは床に倒れ、戦闘不能になっていた。
「カミギリー、よくやった。戻って休め」
カミギリーをボールに戻し、ミヤビは次のボールを取り出す。
「本来であればまだここからこの草木を利用するつもりであったが、こう焼かれてしまえばそれも成り立たぬ。ここは作戦を変え、こいつを使うとしよう」
ミヤビが、三番手のポケモンを繰り出す。
「出でよ、ドクロッグ!」
ミヤビのポケモンは、紫色の毒ガエルのようなポケモン。
手の甲に鋭い毒針を持ち、さらに毒々しい赤色の毒袋をゆっくりと動かし、低い声を上げてアブソルを威嚇している。
毒突きポケモンのドクロッグ。毒・格闘タイプ。
(この構え方、さらにさっきのミヤビさんの発言。決めつけるのは危険だけど、こいつは搦め手重視のタイプじゃなさそうだ)
簡単に推測するレオ。断言は出来ないが、そのような場合を警戒するに越したことはない。
すると、ドクロッグは何か危険なものを察したかのように大きく身震いし、アブソルを睨む。
「何だ? まあいいや。じゃあ行きますよ! アブソル、火炎放射!」
先に動いたのはアブソル。
ドクロッグを見据え、灼熱の業火を撃ち出す。
「ドクロッグ、躱して毒突き!」
ドクロッグは大きく跳躍して炎を躱すと、右手の甲の毒針から猛毒を滲み出し、アブソル目掛けて突き刺す。
「アブソル、サイコカッター!」
アブソルは額の鎌に念力を纏わせ、念力の刃を飛ばそうとするが、
「読めておるわ。ドクロッグ、悪の波動!」
ドクロッグが悪意に満ちた波動を放つ。
波動は念力の刃を容易く打ち砕き、波動がアブソルを捉える。
「ドクロッグの特性は危険予知。相手が持つドクロッグにとって危険な技を持っているかどうかが分かる」
さらに、とミヤビは続け、
「忍びの修行において感覚が研ぎ澄まされた私のドクロッグは、その技がどの程度危険かも分かる。エスパー技に極端に弱いドクロッグは、エスパー技を持つ相手と対峙した際、通常より大きく身震いするのだよ。そして、アブソルが持つエスパー技といえば、サイコカッターくらいだろうからな」
ドクロッグは着地し、ケラケラと笑う。
「さあ、バトルを再開しようか。ドクロッグ、マグナムパンチ!」
ミサイルの如き勢いで、ドクロッグが右拳を突き出す。
「アブソル、辻斬り!」
アブソルは拳を躱し、額の鎌を振るってドクロッグの横腹を切り裂く。
「ドクロッグ、悪の波動!」
辻斬りは効果今一つ。すぐに体勢を整え、ドクロッグは悪意に満ちた波動を撃ち出す。
「アブソル、火炎放射!」
対してアブソルは灼熱の炎を放つ。
波動と炎が激突し、相殺される。
「毒突き!」
気配を消していつの間にかアブソルのすぐ近くまで忍び寄り、ドクロッグが右拳の毒針を突き出す。
回避は間に合わず、アブソルは毒突きを喰らってしまう。
「追撃せよ。マグナムパンチ!」
ドクロッグは一旦右拳を引き、ミサイルの如き勢いをつけてもう一度右拳を繰り出す。
「ッ、アブソル、サイコカッター!」
アブソルは体勢を崩しながらも、念力を纏った鎌を振るい、マグナムパンチを受け止める。
「ドクロッグ、一旦退け」
深追いはせず、ドクロッグは大きく跳躍してミヤビの元へと戻る。
「アブソル、火炎放射!」
アブソルは体勢を立て直し、灼熱の炎を噴き出す。
「ドクロッグ、躱して毒突き!」
ドクロッグは再び大きく跳躍して炎を躱し、上空から右拳の毒針をアブソルへと突き立てる。
「アブソル、躱してサイコカッター!」
素早く飛び退き、毒針を躱すと、アブソルは鎌に念力を込めて鎌を振り抜き、それを飛ばす。
「ドクロッグ、マグナムパンチ!」
だがドクロッグは体勢を屈め、刃を躱すと、そのままの体勢で一気にアブソルとの距離を詰め、アブソルを殴り飛ばす。
「そこだ! アブソル、身代わり!」
刹那、アブソルが消える。
ドクロッグが殴り飛ばしたアブソルは、風船のように破裂して消えてしまう。
「今だ! アブソル、サイコカッター!」
ドクロッグの背後からアブソルが現れる。
額の黒鎌に念力を纏い、直接ドクロッグを切り裂く。
まさにその瞬間。

「ドクロッグ、身代わり!」

アブソルが切り裂いたドクロッグは、風船のように破裂してしまう。
「マグナムパンチ!」
すぐそこからドクロッグが現れ、アブソルを殴り飛ばした。
効果抜群の一撃。ダメージは相当大きい。
「くそっ、こいつも身代わりを持ってたのかよ……」
「驚くこともないだろう。代わり身など、忍びにとっては常套手段。寧ろ警戒して当然の戦法だ」
ミヤビの元へと下がり、再び不敵な笑みを浮かべるドクロッグ。
「……まだまだ。ここからですよ。確かに不意は突かれたけど、身代わりを持っていると分かれば怖くない」
レオの言葉と共に、アブソルは起き上がり、ドクロッグを睨む。