二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百二十話 本領発揮 ( No.254 )
日時: 2014/06/06 20:06
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 6.Nua64i)

屋敷の外、コタロウとケケのバトル。
「手っ取り早く終わらせるぞ、バトルは二対二だ。スモーガス、火炎放射!」
スモーガスが大きな口を開き、灼熱の炎を放つ。
「上等! ドクケイル、ヘドロ爆弾!」
対するドクケイルは無数のヘドロの塊を撃ち出す。
火中でヘドロが爆散し、火炎放射を相殺する。
「ならばスモーガス、毒煙幕!」
スモーガスは有毒な黒煙を放つ。
双方が煙に包まれ、視界が遮られる。
「スモーガス、火炎放射!」
スモーガスの周囲に浮かぶ二つの赤い玉が動く。
ドクケイルの位置を把握し、灼熱の炎を撃ち出そうとするが、
「そんな手は効かねえよ。ドクケイル、ピッカリ玉!」
ドクケイルの放った白い玉が、閃光を放つ。
眩しい閃光によって、スモーガスの動きが一瞬止まる。
「そこだな! ドクケイル、サイコキネシス!」
その隙を逃さず、光によってスモーガスの位置を突き止めたドクケイルが強い念力の波を撃ち出す。
念力の直撃を受け、スモーガスが押し戻される。
「ヘドロ爆弾!」
さらにドクケイルが爆発するヘドロの塊を放つ。
「スモーガス、火炎放射!」
スモーガスは灼熱の炎を噴き出し、ヘドロ爆弾を防ぐ。
「忍びか何だか知らねえがよ、対したことねえな。あんた一応ジムリーダーなんだろ? もう少し楽しませてくれよ」
仮面の奥でケケが嘲笑う。
対して、コタロウは怒りを浮かべるでもなく、ケケを見据えて言い返す。
「随分と余裕だな。まあ確かに、今のうちに余裕を見せておいた方がよいだろう。すぐにその余裕もなくなるだろうからな」
「……へえ」
仮面に隠れて表情は見えないが、ケケの口調は明確に変わる。
「だったら見せてくれや、忍者さんの本気をよお。ドクケイル、サイコキネシス!」
ドクケイルの目が光り、強い念力が放たれる。
対して、
「スモーガス、ダークリゾルブ!」
スモーガスの体を黒い闇が包む。
念力は闇の力に掻き消され、直後、闇のオーラがドクケイルに撃ち出される。
瞬く間にドクケイルは闇のオーラに呑まれ、体力を蝕まれていく。
「……ッ! ドクケイル、立て直せ! 月の光だ!」
ダークリゾルブを何とか耐え切り、ドクケイルは青白い神秘の光を放ち、傷を癒していく。
しかし。
それはコタロウにとっては最高のチャンス。
「戴きだ。スモーガス、催眠術!」
スモーガスの左右の赤い玉が動く。
ドクケイルに向けて術を放つと、やがてドクケイルはふらつき、地面に落ちてしまう。
「言ったであろうが。すぐに余裕ではいられなくなると」
無表情で、しかし強くコタロウは言い放つ。
「……ちっ、ドクケイル、起きろ! サイコキネシスだ!」
だが、ドクケイルは起き上がらない。
よほど強力な催眠術だったようで、ドクケイルはまるで死んだように眠ったまま動かない。
「まずは一体。スモーガス、火炎放射!」
スモーガスが大きく口を開き、灼熱の業火を放つ。



アヤメのゴルバットに対し、キキはアゲハントを繰り出す。
ゴルバットの右足には、不思議な光を放つ小さな宝石が結び付けられている。
「その石、進化の輝石ね」
キキがその石に気付く。進化の輝石は、進化前のポケモンの耐久力を高める道具だ。
「そうよ。これのおかげで、私のゴルバットは父上のクロバットに劣らない耐久力を持ってる。ゴルバット、行くよ! まずはエアスラッシュ!」
先攻を取ったのはゴルバット。大きく羽ばたき、空気の刃を放つ。
「アゲハント、躱して蝶の舞!」
アゲハントはふわりと舞い上がり、空気の刃を躱すと、美しい舞によって特殊能力と素早さを上げる。
「アゲハント、サイコキネシス!」
アゲハントは強い念力を操作し、念力の波を撃ち出す。
「ゴルバット、エアスラッシュ!」
ゴルバットは再び空気の刃を放つが、蝶の舞によって特攻の上がっているアゲハントには火力で劣る。
刃が打ち破られ、ゴルバットは念力の波を受ける。
「それなら、ゴルバット、毒々!」
ゴルバットはすぐに体勢を立て直し、猛毒の液体をアゲハントに浴びせかける。
「躱しても無駄だよ。毒タイプが放つ毒々は、必ず命中する」
アヤメが言った通り、アゲハントは毒々を躱し切れず、猛毒を浴びてしまう。
「毒々……また面倒な戦法ね。アゲハント、ギガドレイン!」
アゲハントの針のような長い口が光を帯びて伸び、ゴルバットを突き刺す。
「ゴルバット、守る!」
しかしゴルバットの周囲に守りの結界が出現し、ギガドレインは弾かれてしまう。
「くぅーっ、面倒くさいわね! アゲハント、サイコキネシス!」
ギガドレインを弾かれたアゲハントだが、すぐに強い念力の波を撃ち出す。
「ゴルバット、躱して!」
軌道の見えない念力だが、ゴルバットは研ぎ澄まされた第六感によって念力を見切り、念力の波を躱す。
「ベノムショック!」
さらにゴルバットは特殊な毒液を放つ。
「アゲハント、サイコキネシス!」
再びアゲハントは念力を操作し、降りかかる毒液を止め、受け流すが、
「もう一度ベノムショック!」
既に間合いを詰めていたゴルバットが、もう一発毒液を放つ。
アゲハントに毒液が浴びせられると、猛毒によって出来た傷に毒液が染み込み、一気に毒がアゲハントの体力を蝕む。
アゲハントの表情が苦痛に歪み、キキに焦りが生じる。
薄ら笑いを浮かべたアヤメが、その様子を見据える。



ミヤビのカミギリーに対し、メジストのポケモンはグライオン。
「断言する」
突然、ミヤビがそう言い放つ。
「あぁ?」
「このバトル、お主のグライオンは私のカミギリーにダメージを与える事は出来ん。お主のグライオンのその鋏は、私のカミギリーには届かぬ」
それを聞いたメジストの口元が歪む。
「ギャヒャヒャヒャヒャ! 随分と面白い事を言うじゃねえか。でもよ、俺は今まで何度も見て来たぜ?」
狂ったような高笑いを上げ、メジストは続ける。
「そうやって自信満々に自分を語って来たクズ共が、俺様の目の前に倒れ伏すのをなあ! グライオン、ハサミギロチン!」
翼を広げ、グライオンが飛ぶ。
鋏を大きな刃のように伸ばし、カミギリーを一撃で仕留めんと迫る。
「カミギリー、影分身!」
対して、カミギリーの姿が消えた。
グライオンの鋏は太い木の枝を容易く断ち切ったが、既にそこにはカミギリーはいない。
だが、それだけではない。
影分身で無数に分身を作り出したはずのカミギリーが、一匹たりとも見当たらないのだ。
「あぁ!? どういう事だ、出て来い!」
「お望みならば出て来てやろう。カミギリー、辻斬り!」
突如、グライオンの頭上の木の上からカミギリーが現れ、四本の腕を振るう。
「それで不意打ちのつもりか? グライオン、炎の牙!」
対するグライオンの反応は早かった。
牙に炎を纏わせ、頭上から襲い来るカミギリーに噛み付き、爆炎を起こす。
しかし、
「隙だらけだ。カミギリー、辻斬り!」
炎の牙を喰らったカミギリー、正確にはカミギリーの影分身の一体は、一瞬で消滅する。
そしてその刹那、グライオンの背後から本物のカミギリーが飛び出し、四本の腕を振るい、グライオンの背中を切り裂いた。
さらにそれだけではない。
グライオンが再び顔を上げると、そこにいるのは素早く動き回る無数のカミギリー。
今までどこに隠れていたのか、夥しい数のカミギリーが森の中を自由自在に飛び回る。
「いい気になんじゃねえぞ! それで勝ったつもりか? グライオン、砂風!」
グライオンが大きく羽を広げ、砂塵を含んだ風を起こす。
風はグライオンを中心に竜巻のように渦巻き、周囲に砂塵と突風を巻き起こす。
例え木の後ろに隠れていようとも、逃れる隙は無い。
しかし、
「ふっ、無駄なことよ」
先ほどまで大量にいたカミギリーは既にそこにはいない。
「それで私のカミギリーを捉えたつもりなら、N・E団2位も随分と甘いな」
「ハッ、何言ってやがる。今の砂風を躱す術はねえ。お前の宣告は潰れたんだよ」
「そういうところが、甘いと言っているのだよ。カミギリー、毒突き!」
刹那。
地面に無数の穴が空き、一斉にカミギリーの群れが飛び出した。
同時に、メジストの口元が歪む。
「ギャヒャヒャ! 釣られやがったな、それくらいは読めてんだよぉ! グライオン、砂風!」
グライオンが翼を広げる。
周囲に風を集め、砂塵を巻き上げる。
「だから言っているであろう」
対して、ミヤビの表情は全く揺るがなかった。

「そういうところが、甘いと言っているのだよ」

グライオンの真下から、本物のカミギリーが飛び出し、毒を帯びた四本の腕を突き刺した。
「ッ、そう来やがったか! だが残念だったな、こいつは毒に対する耐性は強い! グライオン、とどめを刺せ! ハサミギロチン!」
毒突きを喰らったグライオンは怯まなかった。
鋏を断頭台の刃のように大きく伸ばし、カミギリーを両断する。
流石のカミギリーも、この瞬間に必殺の刃から逃れる術はない。
だが。
「カミギリー、辻斬り!」
カミギリーの腕が、グライオンの腕を弾いた。
勢いよく放たれた必殺の刃が、軌道を逸らされ、さらにその勢いを止められず、執行者自身に牙を剥く。
自らの刃に身を切り裂かれたグライオンが、そのまま地面に落ちた。