二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百二十一話 偽り ( No.255 )
日時: 2014/06/16 22:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

念力を突っ切り、マニューラはエーフィの脳天に手刀を振り下ろす。
エーフィの周囲を守っていたリフレクターが、一瞬で砕け散った。
「なるほど、そう来るか。エーフィ、シグナルビーム!」
瓦割自体はエーフィに効果は今一つ。
すぐに体勢を立て直し、額の珠から激しく発光する光線を撃ち出す。
「マニューラ、躱して辻斬り!」
「吹き飛ばせ。エーフィ、ダイヤブラスト!」
シグナルビームを躱し、鉤爪を構えて一気に距離を詰めるマニューラ。
しかしエーフィが青白く煌めく爆発を起こし、周囲をマニューラもろとも吹っ飛ばす。
「エーフィ、シグナルビーム!」
「まだまだ! マニューラ、氷柱落とし!」
エーフィが激しく発光する光線を放つが、マニューラはそれを躱すと、冷気を頭上に打ち上げ、無数の氷柱を落とす。
「エーフィ、サイコキネシス!」
エーフィは額の珠を青く光らせ、強力な念力を操り、氷柱の動きを止めてしまう。
その氷柱の軌道を変え、マニューラに狙いを定めるが、
「マニューラ、辻斬り!」
そのマニューラは既にエーフィの横を通り抜け、鉤爪を構えている。
斬撃がエーフィを捉えた。同時にエーフィの念力の集中が切れ、念力が崩れる。
辻斬りを受けたエーフィに追い打ちをかけるように、鋭く尖った氷柱がエーフィへと降り注いだ。
それでもまだ起き上がろうとするエーフィだが、
「マニューラ、とどめよ。辻斬り!」
マニューラの鉤爪がエーフィを逃がさない。
一瞬のうちに切り裂かれ、エーフィは戦闘不能となった。
「まあよいだろう。エーフィ、戻って休め」
特に表情を変えず、焦る様子もなく、トパズはエーフィをボールに戻す。
「せっかく我から先手を取ったのだ、一ついいことを教えてやろう」
「負けてるってのに、随分と上から目線ね」
「この勝負、我は最後の一体となるまで『覚醒』を使用しない。我が最後の一体を出すまでに、出来るだけアドバンテージを取っておくんだな」
「大層な余裕ね。あんまり私を甘く見ない方が身のためよ」
「軽視しているつもりはない。何しろお前の情報は殆ど我々に伝わっておらぬからな。戦闘においては、未知の敵と戦う時こそが一番警戒しなければならない時だ。未覚醒とは言え、我は慎重にお前の戦術やその癖を分析しているつもりだ」
無駄話はこの辺にしておこう、と最後に告げ、トパズは次のボールを取り出す。
「撃墜せよ、ガルラーダ!」
トパズの二番手はガルラーダ。圧倒的な空中戦性能を誇るが、マニューラとは相性が悪い。
「あんたの手持ちは三体とも聞いてるわよ。残りのチリーンも、マニューラとは相性よくないわよね」
「タイプ相性だけで敗れるほど、我は弱くはないぞ」
「そうでなくっちゃね! マニューラ、氷柱落とし!」
マニューラが頭上に冷気を放つ。
冷気はいくつもの氷柱となり、ガルラーダへと降り注ぐ。
「ガルラーダ、ブレイブバード!」
対して、ガルラーダも動く。
翼を広げ、激しいオーラを身に纏い、凄まじい勢いで突貫する。
アスカに回避の指示をさせる暇も与えず、マニューラを吹っ飛ばす。
「ッ、なんてスピード……! マニューラ、立て直して! 辻斬り!」
「ガルラーダ、攻め立てよ! 悪の波動!」
マニューラが起き上がったところに、悪意に満ちた波動が襲い掛かる。
持ち前の俊敏さを生かして何とか悪の波動を躱し、一気にガルラーダとの距離を詰め、すれ違い様に鉤爪を振るう。
「逃さんぞ! ガルラーダ、襲撃!」
その場で辻斬りを耐え切り、ガルラーダは超スピードでマニューラを追う。
「させないわよ! マニューラ、サイコパンチ!」
マニューラが握り締めた拳に念力が宿る。
念力で強化されたパンチを繰り出しガルラーダが高速で振るう翼と競り合う。
「悪の波動!」
「辻斬り!」
ガルラーダが悪意に満ちた波動を繰り出すが、マニューラはそれよりも早くガルラーダの背後へと回り込み、ガルラーダの背中を切り裂く。
鉤爪が背中の卵の殻を切り裂いたと同時に、ガルラーダが大きく体勢を崩す。
「なるほど、弱点は背中の殻ね! マニューラ、氷柱落とし!」
「そう簡単に弱点は晒さんぞ。ガルラーダ、躱して熱風!」
マニューラが冷気を打ち上げ、無数の氷柱を落とす。
しかしガルラーダは既に氷柱の射程圏を逃れている。
激しく羽ばたき、灼熱の風を起こす。
「マニューラ、躱しなさい!」
マニューラは距離を取って、さらに大きく飛び上がり、熱風の範囲から逃れるが、
「ガルラーダ、襲撃!」
既にガルラーダはすぐそこまで迫っている。
「マニューラ、サイコパンチ!」
ガルラーダが横薙ぎに振るった翼と、念力を込めたマニューラの拳が、再び激しく競り合う。



「くっ、オオペラー、ハイパーボイス!」
「ディザソル、躱して辻斬り!」
レオとマツリのバトル、オオペラー対ディザソルは、ディザソルが優位にバトルを進めている。
オオペラーの補助技は全て躱され、さらにディザソルの攻撃を躱し切れていない。
オオペラーが大音量の音波を放つが、ディザソルは素早くそれを躱して一気にオオペラーとの距離を詰め、額の刃を振り抜き、オオペラーを切り裂く。
急所を狙い澄ました一撃を喰らい、オオペラーはここで戦闘不能となってしまう。
「オオペラー、ありがとう。休んでてください」
マツリはオオペラーを戻すと、すぐに次のポケモンを繰り出す。
「行きますよ、フォリキー!」
マツリの二番手はフォリキー。しかし相変わらずディザソルとの相性は悪い。
「またエスパータイプか。僕のディザソルには不利じゃないのか?」
「そうでもないですよ。私のフォリキーは、こんな技を持ってますからね」
それでは始めましょう、とマツリは続け、
「フォリキー、鬼火!」
フォリキーは無数の青い火の玉を放つ。
不規則に、しかし確実にディザソルとの距離を詰めて行く。
「なるほど、火傷狙いか! だがそうは行かないぜ、ディザソル、怒りの炎!」
ディザソルは憤怒の感情の如く荒れ狂う炎を放ち、無数の鬼火を打ち消す。
「それならこれはどうですか? フォリキー、もう一度鬼火!」
再びフォリキーは無数の青い火の玉を宙に浮かべる。
ここまでは先ほどと同じだが、
「サイコキネシス!」
ゆっくりと動く火の玉を強い念力が操る。
先ほどまでと違い、極端にスピードアップした青い炎がディザソルに襲いかかる。
だが、
「ディザソル、神速!」
ディザソルは既にそこにはいない。
一瞬でフォリキーの真横まで移動し、フォリキーを吹っ飛ばしている。
「辻斬り!」
さらに額の鎌を振るい、フォリキーを切り裂く。
効果は抜群、ダメージは大きい。
「くっ、速い……!」
「さっきも言っただろ。そんな安い小細工、僕のディザソルには通用しないんだって。搦め手を上手く決めたけりゃ、ミヤビさんに特訓でもしてもらうんだな」
歯噛みするマツリに対し、レオが浮かべる表情は余裕。
「ッ、あまり私を馬鹿にしない方が身のためですよ。N・E団の恐ろしさを、貴方はまだ分かっていない」
怒りを浮かべるマツリ。しかし、
(……と、まあここまではこんなものですかね)
表情の内側で、マツリは小さく笑う。
(そろそろ、彼にも余裕が出てくる頃ですよね。そこを見計らって、彼がいい気になったところで一気に突き落とすとしましょうか)
マツリは変装の天才である。多種多様な変装、演技の出来る彼にとって、表情を偽ることなど造作もない。
(こういうやり方はあんまり好きじゃないんですが、トパズ様の命令には逆らえませんしね。フォリキーには悪いですが、必勝の作戦のために、ここで負けてもらうことになりそうです。そして、レオ君、最後に負けるのは貴方です)
表情という仮面の奥で、マツリは不敵に笑う。