二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百二十九話 渾身 ( No.266 )
日時: 2014/07/28 21:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ポリゴンZ、雷!」
ポリゴンZが体を激しく振動させ、雷に匹敵するほどの高電圧の電撃を放つ。
「パンプッチ、エナジーボール!」
パンプッチは杖を振り、凝縮した自然の力を撃ち出し、電撃を相殺、さらに、
「放電だ!」
パンプッチが新しく覚えた技、放電。
パンプッチの周囲全体に、激しく電撃を撒き散らす。
「これは躱せませんね……だったらポリゴンZ、冷凍ビーム!」
放電の電撃は範囲が非常に広い反面、雷や十万ボルトほどの威力は無い。
放電を一発耐え、冷凍ビームで反撃を狙うポリゴンZだが、
「遅いぜ! パンプッチ、ハイドロポンプ!」
パンプッチが翳した杖から、大量の水が噴射される。
放電を喰らった直後のポリゴンZに直撃し、大きく吹っ飛ばす。
「エナジーボール!」
さらにパンプッチは追撃をかける。
手にした葉の杖を振り、自然の力を集めた弾を撃ち出す。
「あまり調子に乗らないでくださいよ! ポリゴンZ、サイコキネシス!」
ポリゴンZは自身に念力をかけて強引に体勢を戻し、さらに念力の波を放ってエナジーボールを防ぎ、体勢を立て直す。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
「ポリゴンZ、冷凍ビーム!」
パンプッチが大量の水を噴射し、ポリゴンZが冷気を込めた光線を放つ。
水がポリゴンZに命中するが、その水の中を貫き、冷気の光線がパンプッチを捉える。
「やっと当たりましたか! ポリゴンZ、サイコキネシス!」
どちらも攻撃を喰らったが、パンプッチの方は効果抜群を受けている。
立て直しが早かったポリゴンZが、強い念力を操り、念力の波を飛ばす。
「くっ、パンプッチ、シャドーボール!」
何とかパンプッチは影の弾を放つが、威力が十分ではない。
勢いは削いだものの、念力を受けてしまう。
「パンプッチ、立て直せ! エナジーボール!」
体勢を戻し、パンプッチは杖を振る。
指揮棒のように杖を操り、連続で凝縮した自然の力を撃ち出す。
「ポリゴンZ、冷凍ビーム! 全て撃ち落としますよ!」
ポリゴンZの放つ冷気の光線が、鞭のようにしなる。
襲い来るエナジーボールを、次々と破壊していくが、
「そこだ! パンプッチ、もう一度エナジーボール!」
ポリゴンZの真上まで来ていたパンプッチが杖を突き出し、エナジーボールを放ってポリゴンZを吹っ飛ばす。
「そろそろ底が見えてきたぜ。パンプッチ、ハイドロポンプ!」
パンプッチの杖の先から、大量の水が噴き出す。
「そのポリゴンZの戦法は、典型的なゴリ押しだ。能力の高さも加わって最初は苦戦するけど、細かい戦術を使わない分、次の動きを予測しやすくなっていく。三体も相手にしている時間があったし、もうそいつの動きは殆ど把握してるぜ」
大量の水が、ポリゴンZを襲う。
「ッ、ポリゴンZ、サイコキネシス!」
体勢を崩しながらも、何とかポリゴンZは強い念力を放つ。
威力は削いだものの、水を全身に浴びる。
「畳み掛けろ! パンプッチ、放電!」
パンプッチが周囲に電撃を撃ち出す。
「放電くらいなら! ポリゴンZ、一発耐えて冷凍ビーム!」
放電は威力はそこまで高くない。
無理に躱そうとせず、一発受けて体勢を立て直そうとするが、
「残念だったな。これで僕の勝ちだぜ」
刹那、マツリの耳に入ってきたのは、レオの勝ち誇ったような声。
「貴方の勝ち? 一体何をどうしたら、そんな結論が——」
「自分のポケモンを見てみろよ」
レオに促され、マツリはポリゴンZに目線を移す。

マツリが見たものは、目を瞑り、痺れて小刻みに痙攣するポリゴンZだった。

「ポリゴンZはただでさえ機械製で、しかも全身に水を浴びている。その状態で電撃を喰らえば、どうなるかくらい分かるだろ」
単純に言えば、一時的にポリゴンZの体がショートしているのだ。
「ッ……それを狙っていたんですか……!」
ポリゴンZはまだ痙攣しており、動けない。
そして、パンプッチは既に杖を振り上げている。
「パンプッチ、エナジーボール!」
振り下ろした杖の先から、自然の生み出す命の力を凝縮した念弾が撃ち出される。
ようやくポリゴンが顔を上げた時には、もう遅かった。
既に目の前に、翠色に輝く自然の波動が迫っていた。



「行って来なさい、ルカリオ!」
アスカのポケモンは、リオルの進化系、ルカリオ。
「ほう、よく鍛えられているポケモンだな。だが、我のマカドゥスには到底及ばんようだな」
「うっさいわね! ルカリオ、ラスターカノン!」
ルカリオが右手を突き出すが、
「遅い」
既にマカドゥスはルカリオの目の前に迫っている。
「マカドゥス、ダイヤブラストだ」
「ッ!? ルカリオ、神速!」
ルカリオが咄嗟に超スピードで離れた直後、先ほどまでルカリオがいたところを煌めく爆風が吹き飛ばした。
「ルカリオ、インファイト!」
神速を使って壁まで下がったルカリオが、壁を蹴って跳び出す。
だが。
「躱せ」
ルカリオの怒涛の連続攻撃を、マカドゥスは左眼のみで全て見切る。
ルカリオの突き出す拳、爪、蹴り。それら全ては恐ろしいほどの勢いを誇り、しかし、マカドゥスには届かない。
「悪の波動!」
「ダイヤブラスト!」
ルカリオの悪意に満ちた波動がマカドゥスを捉えるが、全く怯む様子もなく、マカドゥスは煌めく爆風を飛ばす。
爆風をまともに受けたルカリオが吹っ飛ばされる。
効果今一つであることが信じられないくらいの、大ダメージだった。
「一撃で大ダメージを与えるパワー、相手を圧倒するスピード。どんな攻撃を撃ち込まれようとも決して倒れない精神力。我のマカドゥスは、戦場において必要なものを全て兼ね備えている。数多の戦闘を勝ち抜いて来た我らに、貴様のような小娘如きが勝てるはずがないだろう」
輝天のトパズの口元が僅かに緩む。
「……っ、まだ分かんないでしょ! ルカリオ、神速!」
ルカリオは起き上がると、地を蹴って一瞬でマカドゥスの後ろへと周り、
「ラスターカノン!」
右腕を突き出し、鋼の力を一点に集め、光線に変えて放出するが、
「マカドゥス、磁力線!」
マカドゥスの周囲を磁力の波が覆う。
強烈な磁力によって、鋼の光線は容易く打ち消される。
さらに、
「もう一度磁力線だ!」
マカドゥスを覆う磁力の波が、一斉に周囲に放射される。
強い磁力がルカリオを襲い、吹っ飛ばす。
「……無駄だな」
小さくトパズが呟く。
「そのルカリオの力を見せてもらっていたが、その程度の実力では到底我がマカドゥスには敵うまい。次でとどめを刺す」
アスカが言葉を返す前に、トパズは次の技を指示する。

「マカドゥス、雷だ!」

マカドゥスの岩のような体毛がぴんと逆立ち、全身に電気を纏う。
次の瞬間、マカドゥスの体から、八本の雷撃の槍が放出された。
それら全てが凄まじいスピードで、かつ確実にルカリオに襲い掛かる。
躱せる隙も無く、八本の雷撃をまともに浴びたルカリオが吹っ飛ばされる。
地面に落ちた時には、既にルカリオは戦闘不能になっていた。
「……ルカリオ、ありがとう。戻って休んでて」
ルカリオをボールに戻し、震える手でアスカは最後のボールを掴む。
「戦意だけは相変わらずか。その姿勢は評価するが、勇気と無謀は全くの別物だぞ」
トパズの声に対し。
「うっさいわね……まだ終わったわけでもないのに、よくもそんな大口を叩けるわね!」
怒りに震え。
アスカが、激昂する。
「何の関係もない忍者の人たちの村を傷つけておいて、よくもそんな口が叩けるわね! あんたらみたいなクズに、私は絶対に負けないから!」
アスカの怒声に、トパズは何も答えなかった。
瞬き一つせず、じっとアスカの目を見据える。
そして、アスカが最後のボールを取り出す。
「行って来なさい、ゴウカザル!」
アスカの最後のポケモンは、橙色の体に白い体毛を持つ大きな猿のようなポケモン。
頭部には激しい炎が燃え盛り、腕や足、胴には、金色の輪のような硬い模様が目立つ。
ヒコザルの最終進化系、火炎ポケモンのゴウカザル。炎・格闘タイプ。
「行きなさいゴウカザル! マッハパンチ!」
拳を構え、ゴウカザルは動く。
ルカリオの神速をも上回るスピードで瞬時にマカドゥスとの距離を詰め、潰れた右眼のすぐ下に拳をめり込ませ、殴り飛ばした。
トパズの表情が僅かに変化する。
「ゴウカザル、ストーンエッジ!」
ゴウカザルの周囲に、無数の尖った岩が浮かぶ。
両腕を大きく振り下ろし、岩を一斉に撃ち出す。
「マカドゥス、磁力線!」
マカドゥスが磁気を操り、磁力の波を起こす。
襲い来る岩は、全て磁力の波に破壊される。
「マカドゥス、ダイヤブラスト!」
一瞬でマカドゥスがゴウカザルとの距離を詰める。
周囲に青白く煌めく爆風を起こし、ゴウカザルを吹き飛ばそうとするが、
「ゴウカザル、フレアドライブ!」
ゴウカザルは怯まなかった。
紅の色を超えてさらに勢いを増す青白い灼熱の炎を纏い、ゴウカザルはダイヤブラストに真っ向から挑む。
爆風の中を突っ切り、渾身の力を込めてマカドゥスに激突、マカドゥスを吹き飛ばした。
「気合玉!」
そしてゴウカザルは両手を構える。
自らに宿るありったけの気を一点に凝縮させ、巨大なエネルギーの波動を放出した。
渾身の気合玉がマカドゥスを捉え、大爆発を起こす。