二次創作小説(紙ほか)

Re: 第四話 水の皇子 ( No.27 )
日時: 2013/08/15 13:31
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

新しい仲間、コリンクをゲットしたレオは、再び次の町へ向けて進みだす。
途中、何人か新米トレーナーがバトルを挑んできた。
しかし、レオはウチセトポケモンリーグ三位入賞の実力者である。
ポケモンの能力にそう大差はないが、バトルの経験が大きくものを言い、ポケモンの力を引き出すのが、当たり前ではあるがレオの方が圧倒的に上手い。
なので、
「カプリン、体当たりだ!」
レオは今一対一のバトルの途中なのだが、やはりバトルはレオが有利に進めている。
相手のポケモンのカプリンに懐かしさを覚えつつ、
「ポッチャマ、横に躱してバブル光線!」
ポッチャマはカプリンの突進を横に逸れて避けると、そこから勢いよく泡の光線を発射する。
泡はカプリンの側面に命中、カプリンは大きく体勢を崩す。
「貰ったぜ! ポッチャマ、アクアジェット!」
その隙を逃さず、ポッチャマは体に水を纏って突撃し、カプリンを吹っ飛ばす。
「カプリン!」
カプリンは地面に落ち、戦闘不能となっていた。
言い方は悪いが、新米トレーナはレオの敵ではない。
「よっし、いい感じだ。ポッチャマもコリンクも良い動きをしてくれるぜ。後は、僕がしっかりと力を引き出してやらないとな」
そう独り言を言いながら、レオは次の町へと歩いていく。


ハスバナシティ。
そこまで大きくないが、民家がたくさん並ぶ、風流な町だ。
最大の特徴は、町のあちこちに池があること。
その池には、町の名前と同じように、蓮の葉や花がたくさん浮かんでいる。
「こういう町の雰囲気もいいよなあ。都会もいいけど、僕はこういう町の方が好きだな」
そんなことを呟きつつ、レオはまずポケモンセンターへと入る。
ウチセト地方ではポケモンセンターとショップが別々に建てられていたが、ホクリク地方ではポケモンセンターの中にショップもあるようだ。
とりあえず、ポケモンを回復してもらい、
「さて、それじゃ、早速だけどジムに挑戦するか」
ジムへと向かうべく、ポケモンセンターを出たところで、
「あら、レオも来たわね。今からジム戦?」
アスカと出会った。
「ああ。ちょいと今から行ってくるぜ」
「へーえ。あ、そうそう、ここのジムは二対二のバトルだったわよ」
「……というと、アスカはもうジムに挑んだのか?」
「ええ。でも相性が最悪。草タイプの新しい子はゲットしていたんだけど、その子もジムリーダーの切り札との相性がよくなかったの」
話を聞くに、アスカはジムに挑んだが、負けてしまったようだ。
「せっかくだから教えてあげる。ジムリーダーは水タイプ使いの胡散臭い男。後は自分の目で確かめなさい」
また鍛えなくちゃ、とアスカは言い、ポケモンセンターへと入っていった。
(水タイプか。だったらコリンクがいるし、相性はいいな)
自分の頬を軽く叩いて気合を入れ、レオはジムへと向かう。
ハスバナシティのジムは、大きな水色の建物。
所々に、蔦のような装飾品や、蓮の葉や花の絵が描かれている。
「お願いします!」
レオはその扉を開け、ジムに入る。
ジムの壁は、明るい水色のタイルで覆われていた。
水タイプのジムなので、バトルフィールドはプール状になっていると思ったのだが、違った。
バトルフィールドは湿地のようになっている。苔が至る所に生えており、所々には水溜り。
そして、
「ハーッハッハッハ! これはまたお若い挑戦者だなァ!」
バトルフィールドの向こうに立つのは、黒いテンガロンハットを被った、二十代後半の青年だ。
藍色のスーツ系の服を着ており、胸ポケットと、帽子の縁には椿の絵柄のバッジが付けられている。
帽子からは水色の髪が飛び出し、右目を覆っている。
「僕の名前はツバキ。水タイプのエキスパートとして、ジムリーダーをやってるンだよォ」
ツバキと名乗った、このジムリーダーは、やたらテンションが高い。
「それにしても、今日は若い挑戦者がよく来るなァ。さっきも君と同い年くらいの女の子が来たよォ。炎タイプを使ってきたから、僕が勝ったけど、それでもなかなか強いトレーナーだったなァ」
「その子、赤いロングヘアーの子ですか? だったら僕の幼馴染ですよ」
レオがそう言うと、ツバキは驚いたような表情を見せる。
「へェ? 確かにそうだったよォ。ってことは、君も強いトレーナーだと期待しちゃっていいんだよねェ?」
「ええ。一年前、僕はウチセトのポケモンリーグで三位に入賞しました。ポケモンの腕には、まあまあ自信がありますよ」
そのレオの自信に満ちた言葉を聞き、ツバキは満面の笑みを浮かべる。
「オォォォォケェェェェェイ! 今日は最高の対戦相手が来たよォだねェ。僕の最高の力を持ってお相手するよォ!」
その言葉を引き金に、レオとツバキは同時にボールを取り出す。
「頼んだぜ、コリンク!」
「アメクジ、バトルスタンバァイ!」
レオの一番手は、水タイプに対して有利なコリンク。
対するツバキの一番手は、水色の、丸っこい四足歩行のポケモン。
尻尾は三股に分かれており、一番長い尻尾には赤い珠が埋め込まれている。
アメクジ、アメーバポケモン。水タイプだ。
そして、アメクジがフィールドに降りると同時、バトルフィールドの上空に黒雲が出現、雨が降り出した。
「……雨?」
「そうだよォ。アメクジの特性は雨降らし。バトルに出ると、そのバトルが終わるまで永続的にフィールドに雨を降らせるのさァ」
雨のバトルへの影響は説明不要だよねェ、とツバキは付け足す。
「それじゃあ早速はじめよォか! ポケモンは新しいと言えど、相手はポケモンリーグ三位、遠慮はいらないんだよねェ。思いっきり行こォじゃありませンかァ!」
「遠慮なんていりませんよ、当たり前じゃないですか。僕だって全力で挑戦しますからね!」
ホクリク地方での、レオの初めてのジム戦が始まる。

『ハスバナシティジム ジムリーダー ツバキ  ハイテンション・ウォータープリンス』