二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百三十三話 発見 ( No.270 )
- 日時: 2014/08/25 10:50
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
トパズとメジストを退けた宴会の次の日。
三つの宝玉は、『ブロック』支部最大であるらしいテンモン支部で厳重に守ることになった。
そして、レオとアスカは今、『ブロック』アカノハ支部にいた。
話は少し前に遡る。
長い宴を終え、ミヤビに別れを告げ、レオとアスカはポケモンセンターの宿を借りていた。
ちなみにライロウはすぐにテンモンシティへと戻った。
疲れ切ったレオとアスカは、すぐに眠ってしまったが、正午になって目を覚ました頃、レオのライブキャスターが着信音を鳴らす。
「ん……誰からだ……リョーマさん?」
眠い目を擦り、通信を繋げる。
「もしもし、おはようございます、リョーマさん」
『おう、レオか。残念ながらもう昼だ。ライロウから聞いたぜ、昨日はご苦労だったな』
「正直危なかったですけどね。ミヤビさんがいなかったら負けてました」
『らしいな。あのトパズ、覚醒すると2位になるバケモノなんだってか? こりゃ次に奴が来る時は俺が出るしかなさそうだな』
ところで、とリョーマは続け、
『疲れているところ悪いんだが、急ぎの用があってな。アスカと一緒にアカノハまで来てくんねえか? アカノハまで来る手段はこっちで手配するからよ。まあ疲れてるだろうし、無理にとは言わねえ。何なら明日でも構わねえが』
「いえ、大丈夫ですよ。六時間寝ましたから、行けます」
丁度、向かいのベッドから目を覚ましたアスカが起き上がった。
『よっしゃ。じゃあ今から一時間後に、サクラの小型飛行機が向かう。それに乗って、アカノハまで来てくれ。じゃ、後でな』
「了解です」
そして、通話は切れた。
「どうしたの?」
眠そうな目でアスカが尋ねる。
「リョーマさんからだ。一時間後に迎えが来るから、アカノハに来てくれって」
「……『ブロック』って、大変ね」
そして話は元に戻る。
『ブロック』アカノハ支部の会議室に、リョーマが招集をかけた者たちが集まっていた。
現在いるのは、リョーマ、テレジア、レオ、アスカ、サクラ、カンタロウ、テレジア。
「スティラのエフィシとテンモンのライロウにも声を掛けた。エフィシはホロも連れてくるらしい。相当人が集まるぜ。今回はなるべく人が多い方がいいからな」
そこで、ふとレオが声を上げる。
「じゃあ、僕も一人呼びましょうか? 力になってくれそうな奴を一人知ってます」
「お、やるじゃねえか。じゃあ頼むぜ、出来れば今日か明日までに来るように言ってくれ」
「分かりました。ちょっと失礼します」
レオは一旦席を外し、通話を掛ける。
「あ、もしもし? レオだけど、ちょっと頼みがあるんだ」
エフィシ、ホロ、そしてライロウも到着し、残るはあと一人。
「そういえば、レオさん、テレジアさん」
声を上げたのはエフィシだ。
「以前、輝天将がスティラタウンに襲って来たことがありましたよね」
あの時は、レオはガーネットと戦った。直属護衛を初めて知ったのもあの時だ。
「あの事件から相当日が経っていますが、マリアさんが行方不明になってしまったんですよ」
「えっ!?」
思わず声を上げるレオ。
「森の中はちゃんと探したんですの?」
「はい。『ブロック』の者たち総出で探しましたが、神隠しにでもあったかのように忽然と姿を消してしまいました」
テレジアの疑問にエフィシが答える。
「全く消息が掴めないので、捜査も打ち切りになってしまいましたが、私としては心配です」
「手掛かりのねえもんをいくら当てずっぽうに探したって出てこねえよ。今回の件が解決した後に暇だったら手伝ってやるぜ。バイト代は貰うがな」
それより、とリョーマは続け、
「レオ、そのお前の友達は、すぐに来れるっつってたんだよな?」
「ええ。もうすぐ来ると思いますけど」
と、そこで会議室のドアがノックされる。
「噂をすれば来たみたいですね。入っていいよ」
ドアが開く。
入って来たのは、黄色いセミロングの髪に、派手な色合いの服を着た少女。派手な見た目に反して、瞳は暗い。
「セイラだ、よろしく頼む」
元イビル所属、現在は更生した少女、セイラが簡単に自己紹介し、レオの隣に座る。
「おう。先に俺だけ自己紹介しとくぜ。俺の名はリョーマ、『ブロック』の副統率だ。よろしくな。じゃあ、本題に入るか」
全員の視線が、一斉にリョーマに向けられる。
「蒼天将の研究所を潰した後、俺とカンタロウ、テレジアは何日も掛けて奴らのアジトを探していた。そして、ようやく奴らのアジトを突き止めた!」
歓声が上がると同時に、リョーマが壁に映った地図をドンと叩く。
「ツクモシティから結構進んだところに、ヨービエル山っていう雪山がある。ユキカブリやフロンを初めとする氷ポケモンの住処で、奴らの特性、雪降らしによって年中雪が降ってる町だ。そこから気流が流れてるから、ツクモシティはいつも曇ってるらしいな」
それでだ、とリョーマは続け、
「ヨービエル山をレーダーで探ってみた。ああいう人が滅多に来ない山の奥は、隠れて何かをやるのに最適だからな。結果、ビンゴだ。奴らのアジトは、ヨービエル山の地下に作られている」
「上手いとこに作ったモンだべ。雪さ常に降ってっから、飛行ポケモンも探しづれェんだべさ」
「そんな訳で、明日、ヨービエル山に向かい、奴らのアジトを叩く。さっきも言ったとおり雪山だ。かなり寒いから、暖かい服装で来な。遠くから来てて持ってないって奴はコートやらなんやら貸してやるぜ」
その後、こちらの作戦会議やスケジュールなどを話し合い、この場は解散となった。
「父さん、明日までにアカノハシティに冬服を届けてほしいんだけど、いいかな?」
『リョーマから聞いたぞ。明日、N・E団のアジトに乗り込むそうじゃないか』
「うん。危険な戦いになると思うけど、安心して。絶対勝つよ」
『十分に気をつけるんだぞ。冬服の方は、後で送っておこう』
「ありがと、父さん。じゃあね」
レオが今いる場所はポケモンセンター。
ライオとの通話を切ると同時、セイラが入って来た。
「お、セイラ。防寒対策は大丈夫か?」
「後でコウホクシティまで行ってタイツでも買ってくるつもりだ。ある程度の寒さには慣れている」
ところで、とセイラは続け、
「N・E団について、貴様に言っておきたいことがある」
そう言って、レオの隣に座る。
「何だ?」
「私が以前イビルに所属していたことは今さら言うまでもないが、どこの地にもそういう輩はいる。例えばホウエン地方にはアクア団やマグマ団という組織が争っていたことがあったし、ロケット団という組織はカントー地方やジョウト地方の大都市を占拠し、地方全体を征服しようとさせたこともある」
そこでだ、とセイラはさらに続ける。
「この手の組織は、いくつかのタイプに分けられる。まずは、自分のしていることが正しいと思っているタイプ。さっきのアクア団やマグマ団などがそうだったが、この場合は更生の可能性が高い。実際、この二つの組織の長は自らの間違いに気づき、既に服役を終えているそうだ。かつて短い間ではあるものの世界を完全に支配した、B・S団もその一つだな」
何故セイラはこんな事を知っているのだろう、と思ったが口には出さない。
「次に、ボスの圧倒的なカリスマ性で成り立つタイプだ。構成員はボスに惹かれてついて行くが、その真の考えを理解している者は少ない。シンオウ地方のギンガ団やイッシュ地方のプラズマ団だな。考えが理解されないというのも、リーダーとしては苦しいのかもな」
だが、とセイラは一旦切って、さらに言葉を続ける。
「もう一つパターンがある。私が所属していたイビルのように、自分たちの事を悪だと思っている連中だ。正直、この手の連中が一番厄介だ」
「どういうことだ?」
「そもそも自分たちの事を悪だと分かっているから、自分の行動の間違いに気づいて改心することがない。私たちの組織の名を考えてみろ。『イビル』だぞ? 『邪悪』だぞ? かつてのイビルのボス、マターは、この世の全てが悪であるという奴の思想から組織の名を付けたそうだ。マターは最期の瞬間まで自らの信念を突き通したそうじゃないか。自分の組織を潰されてなお、改心の欠片も見せないような奴なんだよ」
レオはその場面に立ち会っていたため、鮮明に覚えている。
最期の瞬間、マターは天を仰ぎ、勝ち誇った笑みを浮かべて崖から身を投げたのだった。
「ここからが本題だ。あくまでも私の勘だが、今回のN・E団は、イビルと同じ匂いがする」
「……なに?」
「さっき、リョーマ……だっけか? あの男にN・E団が起こした事件を聞いたが、どうもそんな気がする。以前貴様と共に地下に落ちた時にも感じたが、どうも奴らは自分たちのやっていることを悪だと分かっている様子が伺える」
つまり、N・E団はイビルと同様、もしくはそれ以上に危険である存在が高いということだ。
「……でも、それが分かったところでどうしようもなくないか? どのみち戦う必要があるわけだし」
「ふふ、まあ警戒してかかれってことさ。相手は考えの全く読めない謎の組織、用心してかかるに越したことはない。明日は敵のアジトを潰すんだろう? 今日はちゃんと調整しておくんだな」
「ああ、セイラもな。特に『覚醒』を使った天将は、七位でも相当な強さを持ってる。油断するなよ」
「ふふ、分かっているさ」
今日は休憩や調整をし、明日は朝一番でN・E団のアジトへ突入だ。