二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百三十六話 因縁 ( No.273 )
日時: 2014/08/29 15:48
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: KG6j5ysh)

レオ、アスカ、セイラは、最初三人で行動していたが、途中の分かれ道でアスカと分かれ、その後はレオとセイラの二人で行動している。
さらなる地下への階段を見つけ、下っていった先も、まだ分かれ道はない。
「しかし、ここまでずっと一本道だよな」
「扉もあるにはあるが、ほぼ全て鍵がかかっている。中に敵がいるなら倒していくが、わざわざこじ開ける必要もないしな」
常に周囲を警戒しながら、広い通路を進む二人。
しかし、そこで遂に敵と遭遇する。
「ギャヒャヒャ! ようやく見つけたぜ侵入者。俺は今ちょっと機嫌が悪いし、見つけた敵を逃がすつもりは無い。俺様の餌食となってもらおうじゃねえか」
N・E団の紋章が描かれた、真っ黒なフードを被った男。
N・E団で最も危険な男、破天将メジスト。
「っ、よりにもよってメジスト、お前が相手かよ……!」
想定していた中で最悪の相手。
僅かに後ずさりするレオだが、
「何だお前か。ふふ、それなら私が相手になってやる」
引き裂くような笑みを浮かべ、セイラが進み出た。
「おい、待てよ! 昨日説明しただろ、こいつは戦った相手の精神力を奪う力を持ってる。こいつに会ったら即逃げろって言われたじゃねえか!」
「ふふ、知ってる。知ってるし、その点なら心配いらない」
「は?」
「以前お前と一緒に地下へ落ちたことがあっただろう。あの時、私はこいつと戦っている。その能力がきかないことも証明済みだ」
だから任せておけ、とセイラはさらに進み出て、ボールを取り出す。
「レオ、貴様は先に行け。どうせこいつの相手は私しか出来ないんだろう? だったら、ここは私がやる」
「……すまんな、じゃあ頼んだぜ。気をつけろよ!」
セイラに例を言い、レオはメジストのすぐ横を一気に走り抜ける。
「逃がさねえぞ! グライオン、行って来い!」
メジストがすかさずグライオンを出し、レオの行く手を塞ごうとするが、
「そうはいかない。ホムロソク!」
セイラが繰り出した、青い火の蝋燭のようなゴーストポケモンがグライオンの目の前に現れ、グライオンに立ち塞がる。
「ふふ、残念だったな。しかしこの道を通っていて正解だったよ。お前とやり合えるのは、今回の面子の中では私しかいなかったからな。あの猫撫で声の気色悪い女ももしかしたら戦えるかもしれないが」
「クソが、またお前かよ。これじゃあ俺様の能力が何のためにあるのか分かんねえじゃねえかよ」
口調に明確な怒りを含め、メジストは言葉を続ける。
「こうなりゃ実力行使だ。お前を叩きのめし、お前一人だけでも再起不能にしてやる。覚悟しろや!」
メジストが叫んで、フードを捲り上げる。
同時に瞳から黒い光を放ち、さらに顔には龍の顔面のような模様が浮かび上がる。
「さあグライオン行って来い! 目の前の相手を完膚無きまでに叩きのめすぞ!」
「ホムロソク、このままお前が行け。目の前のこの男が無様に負ける姿を拝ませてもらおうじゃないか」
闇の最深部に生きる男と、闇から抜け出した少女が対峙する。



道中で襲い来る下っ端たちを次々と蹴散らし、マゼンタはアジトの奥の方まで来ていた。
さらに奥へ進もうとするマゼンタだが、そこで一風変わった扉を見つける。
濃い紫色に塗られ、無数の星のような煌めきが散りばめられており、上の方には三日月のような模様が大きく描かれている。
「……」
少し警戒しながらも、マゼンタはその扉を開く。
部屋には壁に沿って本棚が置かれており、天井からは地球や月など、いくつもの星の模型が吊り下げられている。
そして。
部屋の最奥には、紫色のツインテールに、黒いゴスロリを着た車椅子の少女。
部屋の主、夜天のラピス。
誰かが部屋に入って来たことに気づき、ラピスは振り返る。
「……また貴女なのね」
冷たい光を湛えた瞳をこちらに向け、小さくラピスは呟く。
マゼンタにとっては、相性のいい相手ではない。
以前戦った時は、ブラッキーにギリギリまで追い詰められた。
とはいえ、ここで引くわけにもいかない。
車椅子の向きを変え、ラピスはボールを取り出す。
「さあ、始めるわよ。特に貴女に話すこともないし」
発せられる声は、感情のこもらない冷たい声。
ゴスロリの袖を捲り上げ露出した腕に、龍の腕のような模様が浮かび上がる。
同時に、ラピスの瞳が濃い紫色の光を放つが、
「……くぅっ」
ラピスの右腕の皮膚が見えない何かに切られたように裂け、血が滲み出る。
「っ……、どうしたの。早くモンスターボールを出しなさいよ。まさかとは思うけど、敵の心配なんてしてないわよね」
『覚醒』の代償に少し表情を歪めるが、その声は冷たいまま。
「……まさか。ほな、始めよか。さっさと終わらせるでー」
マゼンタも表情を変えず、袖口からボールを取り出す。



「頼んだわよお、ガーメイル!」
「守護せよ、ハッサム!」
サクラのポケモンは、黒い体を貴重とし、オレンジ色の模様のついた蛾のようなポケモン。
ガーメイル、ミノガポケモン。虫、飛行タイプ。
対するブレイズのポケモンは、同じ虫タイプを持ったハッサム。
「さあ、行くわよお! ガーメイル、まずは蝶の舞!」
ガーメイルはまず蝶のように美しく飛び回り、特攻、特防、そして素早さを一気に上げる。
「ではこちらも。ハッサム、剣の舞」
対するハッサムは鋏の付いた腕を激しく振り回し、攻撃力を底上げする。
「ハッサム、バレットパンチ」
「ガーメイル、目覚めるパワー!」
ハッサムが地を蹴って飛び上がり、弾丸のような連続パンチを繰り出す。
同時に、ガーメイルも無数の赤いエネルギー弾を撃ち出す。
「ッ! ハッサム、回避です!」
すんでのところでハッサムはエネルギーの球体を躱す。
「あらあ? ばれちゃったみたいねえ」
「危ないところでしたよ。その目覚めるパワー、炎タイプですね」
「大正解。鋼ポケモン用に仕込んでおいたんだけど、失敗しちゃったわねえ。使うタイミングがまずかったかしらあ?」
「さあ、どうでしょうかね。ハッサム、襲撃」
ハッサムが一瞬でガーメイルとの距離を詰める。
そのまま鋏を振り上げ、叩きつけようとするが、
「ガーメイル、虫のさざめき!」
ガーメイルが翅を激しく振動させて衝撃波を放ち、ハッサムの鋏を食い止める。
さらに、
「ガーメイル、エアスラッシュ!」
翅を大きく羽ばたかせ、ガーメイルは鋭い空気の刃を飛ばし、衝撃波に押し戻されたハッサムを切り裂く。
「ハッサム、立て直しなさい。バレットパンチ」
立ち上がり、鋏を構えると、ハッサムは一瞬でガーメイルの目の前まで迫る。
そのまま弾丸のような連続パンチを放ち、ガーメイルを吹っ飛ばす。
「馬鹿力です」
吹っ飛ぶガーメイルをさらに追い、ハッサムは渾身の力を込めて鋏を叩きつける。
「ガーメイル、回避よお!」
ガーメイルが大きく羽ばたき、ギリギリでハッサムの鋏を躱す。
馬鹿力の勢いのままハッサムは落下し、床に激突、大きく凹ませる。
「あらあ? 上司の部屋の床にヒビ入れちゃって大丈夫う?」
「どの道このアジトはもう使えませんからね。破壊してしまっても特に問題はありません」
床に大きく穴を作ったハッサムが立ち上がる。
「ハッサム、バレットパンチ!」
「ガーメイル、虫のさざめき!」
ハッサムが拳を構え、ガーメイルが翅を大きく振動させる。
弾丸の如き拳と衝撃波が、激しくせめぎ合う。



「ムクホーク、インファイト!」
ムクホークがいきなり捨て身の突貫を仕掛ける。
翼をグレイシアに叩きつけると、怒涛の連続攻撃を浴びせ、最後に強靭な脚で蹴り飛ばす。
「よっし! ムクホーク、蜻蛉返り!」
グレイシアの体勢が整わない内に、ムクホークが猛スピードでグレイシアに突撃する。
そのままの勢いを残し、ムクホークはホロの元へと戻り、そのままボールに戻る。
「よくやった。行って来い、テペトラー!」
代わりにホロが繰り出したのは、グレイシアには有利なテペトラー。
「ダメージをあたえつつ、有利なポケモンの後出し。随分と姑息な戦術を使うじゃないの」
「これも勝つためだぜ。もしかして、この戦術を使われると勝てないってか?」
「生意気な口利けるのも今のうちよ。その顔がいつ絶望に染まるか見ものだわ」
「残念だけどそうはいかないぜ! テペトラー、波動弾!」
テペトラーが力を溜め込み、波動を凝縮した念弾を撃ち出す。
「グレイシア、シャドーボール!」
対するグレイシアは影の弾を作り上げ、波動弾と相殺させる。
さらに、
「アイアンテール!」
尻尾を硬化させて大きく跳び、上空から尻尾を振り下ろす。
「テペトラー、サイコパンチ!」
テペトラーは拳に念力を纏わせ、突き出した拳から念力を飛ばしてアイアンテールを防ぐが、
「グレイシア、冷凍ビーム!」
続けて撃ち出されたグレイシアの冷気の光線を喰らい、体の一部が凍りつく。
「ちっ、テペトラー、ビルドアップ!」
テペトラーは自らの筋肉を増強させ、内側から強引に氷を砕くと同時に、攻撃力と防御力を上げる。
「積ませないわよ! グレイシア、シャドーボール!」
「遅いぜ! テペトラー、サイコパンチ!」
グレイシアが黒い影の弾を放つが、ビルドアップが間に合い、念力の拳によって打ち消される。
「アクアジェット!」
今度はテペトラーが先に動く。
瞬時に水を纏い、弾丸のように飛び出し、グレイシアに突撃する。
「グレイシア、止めなさい! 冷凍ビーム!」
突っ込んでくるテペトラーへ、グレイシアが冷気の光線を放つ。
テペトラーが纏う水を、瞬時に 凍りつかせていくが、
「残念だったな! テペトラー、そのまま突っ込め!」
テペトラーの勢いは全く止まらない。
レオと戦った時と全く同じ。氷のアクアジェットがグレイシアを吹っ飛ばした。
「ッ! グレイシア、立て直すわよ!」
「そんな暇やらないぞ! テペトラー、波動弾!」
床へと叩きつけられたグレイシアが起き上がるが、それよりも早くテペトラーが両手を構え、波動弾を撃ち出す。