二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百三十八話 太鼓 ( No.275 )
日時: 2014/09/05 22:21
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)

「グライオン、砂風だ!」
グライオンが羽ばたいて風を起こし、砂を乗せて激しい砂嵐を起こす。。
「ホムロソク、熱風!」
対してホムロソクは大きく息を吸い、灼熱の強い息を吹きかける。
双方の放つ風が激突し、周囲に爆風が放たれるが、両者共全く動じない。
「グライオン、ストーンエッジ!」
グライオンが周囲に尖った岩を出現させ、ホムロソク目掛けて一斉に撃ち出す。
「ホムロソク、躱して火炎放射!」
ホムロソクは揺らめく炎のような不規則な動きで次々と岩を躱し、灼熱の業火を放つ。
「グライオン、炎の牙!」
グライオンが飛び上がり、牙に炎を纏わせて滑空する。
火炎放射の中に突っ込み、その炎を自らの牙に吸収し、より強力になった炎の牙をホムロソクに食い込ませる。
「ホムロソク、引き剥がせ。サイコキネシス!」
炎の牙はホムロソクには効果今一つ。
グライオンに噛み付かれながらも、ホムロソクは強い念力を操作し、グライオンに念力を掛け、牙を引き剥がし、念力を操ってグライオンを投げ飛ばす。
「ホムロソク、火炎放射!」
追撃をかけようとホムロソクが灼熱の業火を放つが、グライオンは尻尾を使って上手く着地し、すぐに飛び立って炎を躱す。
「よーし、グライオン、砂風!」
グライオンが羽ばたき、周囲に砂嵐を起こす。
「ホムロソク、熱風!」
ホムロソクも灼熱の激しい息を砂風にぶつけ、再び爆風が巻き起こる。
「グライオン、ストーンエッジ!」
その爆風の中へとグライオンが無数の尖った岩を放つ。
無数の岩は風の中で軌道がずれ、結果としてホムロソクに多方面から無数の岩が襲い掛かる。
「ホムロソク、サイコキネシス!」
ホムロソクは強い念力を操作し、周囲に迫り来る岩を全て止める。
だが、
「ストーンエッジ!」
その隙を狙って、グライオンが再び一斉に尖った岩を撃ち出す。
今度は全ての岩が一直線にホムロソクを狙う。
慌てて念力を解除するが、そこから回避する余裕は無く、ホムロソクは岩の直撃を喰らってしまう。
「本当なら敵の体勢を崩したところでハサミギロチンを仕掛けるんだが、ゴーストには通用しねえからな。グライオン、砂風だ!」
グライオンが大きく羽ばたき、砂を乗せて突風を起こす。
「さっきの戦法、いいな。それならホムロソク、シャドーボール!」
大きく下がって風の範囲内から逃れ、ホムロソクは影の弾を次々と放っていく。
先ほどのグライオンと同じ戦法。風に乗って軌道がずれ、周囲から影の弾が襲い来る。
「ギャヒャヒャ! 俺の戦術が通用するかよ! ストーンエッジ!」
グライオンが周囲に尖った岩を浮かべて周りに撃ち出し、影の弾を壊していくが、
「ふふ、そこじゃない。火炎放射!」
風の中を掻い潜り、グライオンとの距離を詰めていたホムロソクが、灼熱の炎を吹き出す。
流石に躱す余裕は無く、グライオンは炎に焼かれて吹き飛ばされる。
「私が気に入ったのは、二発目のストーンエッジだ。相手の隙を突く戦術は私も大好きなんだよ」
ニヤリと笑みを浮かべるセイラだが、これくらいではグライオンを倒せないことも分かっている。
「ククク、やるじゃねえの。やっぱりお前と戦うことになって正解だったかもしれねえな」
どんな敵だろうが、絶対に臆さない。
笑いに笑いながら、立ちはだかるもの全てをひれ伏させる、それが破天将メジスト。
「ギャヒャヒャヒャ! やっぱりバトルはこうだよなあ! 能力使ってひれ伏させるより、バトルで直接叩きのめした方がよっぽど面白えってなあ!」
戦いを望む悪魔のように、メジストが笑う。



「ほな行くでー、ポコキング!」
「神秘のひと時を、ルナバイン」
マゼンタのポケモン、ポコキングに対し、ラピスのポケモンはルナバイン。
「ルナバイン、まずはウッドハンマー」
杵を持ち上げ、ルナバインが跳ぶ。
その杵を振り回し、上空から思い切り叩きつける。
「ポコキング、躱して腹太鼓!」
後ろに飛び退いてポコキングは振り下ろされる杵を躱し、腹をポコポコと叩いて鳴らす。
「……攻撃力が最大まで上昇。プラネムの黒い霧、忘れさせてしまったし、どうしようかしら?」
ラピスが小さく呟くが、その声に焦りはない。
「どのくらいの攻撃力になったのか確認しておきましょうか。ルナバイン、もう一度ウッドハンマー」
再びルナバインが杵を振り回し、ポコキングへ叩きつける。
「ポコキング、ドレインパンチ!」
対して、ポコキングは光を灯した拳を繰り出す。
杵と拳が激突するが、やがてルナバインが弾き飛ばされる。
同時に、拳の光がルナバインの体力を吸い取り、ポコキングを回復させる。
「覚醒した状態でのルナバインのウッドハンマーを跳ね返す……火力だけは相当なものね」
でも、とラピスは続け、
「効果は今一つだったし、体力はそこまで回復してはいないはず。加えて私のルナバインはスピードで大きく勝ってる。攻撃の隙を狙えば、そのポコキングでも私には勝てない」
「そう思うやろ?」
それを聞いたマゼンタの表情に浮かぶのは得意げな笑み。
「残念やけど、うちのポコキングはそれだけでは終わらないんよ?」
一拍おいて、マゼンタは次の技を指示する。

「ポコキング、バトンタッチ!」

ポコキングが自らボールへと戻っていく。
「ほな、次はあんたやで、バフォット!」
マゼンタの二番手はバフォット。
しかし、普通の状態ではない。腹太鼓で、攻撃力が最大まで上がった状態を引き継いでいる。
「……うーん、これはどうなのかしら。ブラッキーとネクロシア頼りになりそうね。どうせ知ってるんでしょう? 私の切り札はネクロシアだって」
「まあね。リョーマはんから聞いとるで」
「やっぱりね。それじゃ、ルナバインで出来るだけ削りましょうか。ルナバイン、気合玉よ」
ルナバインが右手に気合を溜め込み、気合のエネルギーの弾を作り上げ、それを投げつける。
「バフォット、ぶち壊す!」
バフォットは大きく吠え、渾身の力で突撃する。
気合玉など容易く破壊し、その先のルナバインまで一気に迫る。
「ルナバイン、躱してハイドロポンプ」
横っ飛びでバフォットの突進を躱し、ルナバインはバフォットの横に回り込む。
突き出した右手から大量の水を噴射し、バフォットを吹っ飛ばす。
「当たらなければどうってことないわ。ルナバイン、もう一度気合玉」
再びルナバインは右手に作り上げた気合のエネルギー弾を投げつける。
「バフォット、メタルブラスト!」
バフォットもエネルギーを凝縮し、鋼のエネルギーの砲撃を放つ。
やはり気合玉は破壊され、砲撃がルナバインに迫る。
「ルナバイン、躱してウッドハンマー」
砲撃を跳び上がって躱し、ルナバインが杵を振りかぶるが、
「バフォット、メガホーン!」
バフォットが跳び上がり、硬い真っ赤な角を突き出す。
杵を容易く弾き、さらに凄まじい威力を込めた角でルナバインを突き飛ばす。
恐ろしい勢いでルナバインは吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられ、一撃で戦闘不能となった。
「ルナバイン、よくやったわ。戻って休んでなさい」
特に焦る様子もなく、ラピスはルナバインをボールに戻す。
「流石に腹太鼓の火力は侮れないわね。まあルナバインは耐久もそんなに高くないし、こんなものかしらね」
でも、とラピスは言葉を続け、
「突破出来ないわけじゃない。ブラッキーに新しい技を覚えさせた甲斐があったってものよ」
薄ら笑いを浮かべ、ラピスは次のボール、ブラッキーが入ったボールを取り出す。



「フワライド、ハリケーン!」
フワライドが四本の腕を振り、嵐のような暴風を起こす。
「ボンバット、ボーンラッシュ!」
ボンバットは骨バットを両手で杖のように振り回し、風の塊を迎え撃つ。
風の勢いは非常に強く、大きく押し戻されるが、それでもボンバットは耐え切った。
「よーし、ボンバット、ぶち壊す!」
骨バットを片手に持ち替え、ボンバットは大きく跳躍し、大きく振りかぶった骨バットを叩きつける。
「くっ、フワライド、ゴーストダイブ!」
頭をぶん殴られてよろめくフワライドだが、すぐに体を震わせて体勢を立て直し、一瞬のうちに虚空へと姿を消す。
少し時間を置いて、ボンバットの背後からフワライドが現れ、四本の腕でボンバットを叩き飛ばす。
「負けんじゃねえぞ! ボンバット、雷パンチ!」
受け身を取って起き上がり、ボンバットは拳に電撃を纏わせ、フワライドへと殴りかかる。
対して、
「フワライド、小さくなる!」
ボンバットの拳が直撃する寸前で、フワライドの体が、空気が抜けたように収縮する。
その大きさは先ほどの四分の一ほど。ボンバットの拳はフワライドを捉えられず、大気を震わせるのみ。
「ハリケーンだ!」
その大きさのまま、フワライドは嵐のような暴風を巻き起こす。
体が小さくなっても、火力は全く変わらない。
風を迎え撃つには間に合わず、ボンバットが大きく吹き飛ばされる。
「チッ、ボンバット、シャドークローだ!」
すぐに起き上がり、ボンバットは右手に影を纏う。
その影を鋭い爪のように伸ばし、フワライドとの距離を詰め、影の爪を突き出す。
「フワライド、さらに小さくなる!」
だがフワライドはさらに自らの体を縮め、爪の間を通り抜けてシャドークローを躱し、
「ハリケーン!」
返す刀で嵐のような暴風を放ち、再びボンバットを吹き飛ばす。
「くそ、まだ終わらねえぞ! ボンバット、立て直せ! ぶち壊すだ!」
まだ倒れない。しぶとく起き上がり、骨バットを構えるボンバットだが、そこで気付く。
肝心のフワライドの姿が見えない。
(小さくなるで物陰に隠れてやがるのか? ったく、面倒くせえ真似しやがるぜ。引っ張り出して、一発ぶちかましてやる)
そんなことを考えつつ、周囲の様子を探るライロウだったが、
(……ん、待てよ)
ふと、一つの考えが頭をよぎる。
(あのフワライド、ゴーストダイブを覚えてなかったか!?)
それに気付いた時には遅かった。
「残念だけど、もう終わりだぜ」
セドニーの言葉と共に、虚空からフワライドが現れる。
収縮した体を一瞬で膨張させ、四本の腕でボンバットを叩き飛ばした。
立て続けの高威力の攻撃の前に、遂にボンバットは戦闘不能となってしまう。
「……チッ、俺としたことが、油断しちまったみてえだな。ボンバット、よく頑張った。休んでろ」
少し不機嫌そうに、ライロウはボンバットをボールに戻す。
「俺を七位だからって甘く見るんじゃねえぜ。七位とはいえ、俺だって天将の一員だ。甘い相手には絶対負けねえ自信はあるぞ」
「フッ、そうみてえだな。先にああ言っておきながら、痛い目を見たのは俺の方だったようだ」
両手で頬を叩き、ライロウは気合を入れ直す。
「もう油断はしねえ。本当の勝負は、ここからだぜ」
自信満々にそう告げ、ライロウは次なるモンスターボールを取り出す。