二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百三十九話 聖天将 ( No.276 )
- 日時: 2014/11/16 11:26
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: ようやく更新出来ました。最近ほんと忙しくて……
「ネクロシア、シャドークロー!」
右手に鋭い影の爪を纏わせ、ネクロシアが音も立てずにゲンガーに迫る。
「ゲンガー、ダークリゾルブ!」
ゲンガーが闇の力を纏い、黒いオーラを放つが、
「その技は見切ったぞ。ネクロシア、跳べ!」
ネクロシアは大きく跳躍し、闇のオーラを躱すと、急降下して影の爪をゲンガーに突き立てる。
黒く鋭い爪がゲンガーに突き刺さった。効果は抜群、ダメージはかなりのものだろう。
「ネクロシア、もう一度シャドークローだ!」
再びネクロシアの右手が影の爪を纏う。
ゲンガーの急所を狙い定め、確実に倒さんと迫るが、
「そうは行きませんよ。ゲンガー、回避です!」
ゲンガーは透過能力を使い、咄嗟に床に潜り、何とかネクロシアの爪から逃れる。
「チッ、逃したか。ネクロシア、立て直すぞ」
シャドークローを戻し、一旦構えを解くネクロシア。
その瞬間をエフィシは見逃さなかった。
「今です! ゲンガー、乗り移る!」
ネクロシアの背後からゲンガーが現れ、魂を分離させる。
ネクロシアが気付き、反応するよりも早く魂を憑依させ、体の内側から大ダメージを与える。
「ッ、ネクロシア、耐え切れ! 奴の魂が離れたら、こちらも乗り移るだ!」
どうにかネクロシアは内側からの攻撃を耐え切り、ゲンガーの魂は元の体に戻る。
一拍置いて、ネクロシアの体からも魂が飛び出す。
「N・E団の女よ、貴女は乗り移るの弱点を知らないようですね」
対して、エフィシは落ち着いた様子で語る。
「何だと?」
「乗り移るを使った時には本体が残り、本体に攻撃すれば普通にダメージが通る。そこまでは知っているはずだ。ゲンガー、ダークリゾルブ!」
ゲンガーが闇の力に覆われ、黒いオーラが放たれる。
しかし、その狙いはネクロシア本体では無い。
「その様子だと知らないようだから教えてあげましょう。敵が乗り移るを使って来た時には、その魂に攻撃するといい。大ダメージを与えられますよ」
「……!」
ロフトが気づいた時には遅かった。
闇のオーラがネクロシアの魂を呑み込み、ネクロシアの残りの体力を蝕み、削り取った。
「ルカリオ、インファイト!」
ルカリオが地を蹴って跳び出し、ドータクンとの距離を一気に詰める。
「ドータクン、サイコキネシスだ」
対するドータクンは強い念力を操作し、ルカリオの動きを止めようとするが、
「それなら、悪の波動!」
それよりも早くルカリオが悪意に満ちた波動を放ち、念力を打ち破る。
一瞬動きが止まったドータクンの顔面に、ルカリオの拳が叩き込まれ、さらに怒涛の連続攻撃がドータクンを襲う。
最後に青白い波動を纏った拳の一撃を浴びせ、ドータクンを吹っ飛ばした。
しかし、それでもまだドータクンは倒れない。
「流石に硬いわね! ルカリオ、悪の波動!」
「効かんぞ。ドータクン、ジャイロボールだ」
ルカリオが再び悪意に満ちた波動を放つが、ドータクンは高速で回転して悪の波動を弾き、さらにそのままルカリオに突撃、回転しながらの体当たりでルカリオを弾き飛ばす。
「雲が減って来ているな。ドータクン、もう一度雨乞いだ」
「させないわよ! ルカリオ、今度こそ仕留めなさい! インファイト!」
ドータクンが雨雲を呼び寄せた直後、ルカリオがドータクンに連続で打撃を浴びせる。
最後に足に波動を纏い、渾身の蹴りでドータクンを吹き飛ばす。
地面に落ちたドータクンは、それでもまだ倒れない。
何とか起き上がろうと、体を震わせるが、
「終わりよ。ルカリオ、悪の波動!」
ルカリオが掌をドータクンの額に当て、零距離の悪の波動を放ち、とどめを刺した。
「……まあこんなものだろう。雨を降らせれば、ドータクンの仕事は終わりだ。ドータクン、戻っていろ」
顔色一つ変えずに、ジンはドータクンをボールに戻す。
「さあ、次は何かしら。さっさと来なさいよ、こっちは急いでるんだから」
「……」
アスカの言葉には答えず、ジンは次のボールを取り出す。
「行け、テイルーン」
ジンの二番手はテイルーン。
テイルーンが場に出ると同時に、特性エアロックが発動し、雨が止み、時間が止まったかのように雲が動かなくなる。
「あら、折角雨を降らせたのに、意味がないんじゃないの?」
「本気でその質問をしているのだとしたら、貴様を救いようのないバカだと判断してもいいか」
「ふふふ、流石に冗談よ。残りの一体に恩恵があるんでしょう? それくらいは判断出来て当然よね」
「分かっているなら余計な口を叩くな。時間の無駄だ」
険悪な雰囲気の中、バトルは進んでいく。
セイラと別れた後、レオは地下へ地下へと進んでいった。
途中で何回か下っ端の集団と戦ったが、いずれも薙ぎ払い、奥へと突き進む。
地下四階の階段を降りたところで、レオは足を止める。
広いホールのような空間だった。薄暗いが、ホールの端を見渡せる程度の光はある。
周囲を見回すが、ほとんど何もない。
あるものといえば、ホールの向こう側の壁に取り付けられた扉。
そして。
その扉を守るように立つ、一つの人影。
「誰だ」
ボールを取り出し、レオは警戒しつつその人影に近づく。
人影の正体は一人の女だった。
非常に派手なドレスを着ている。光を反射するクリスタルのような白を基調に、袖は琥珀色、ドレスには様々な色の宝石の模様が散りばめられている。
右耳、左耳には白い宝石の嵌め込まれたピアス、そして首には虹色の輝きを放つ宝石の嵌め込まれたネックレスを着けている。
そして一番目を惹くのが、ドレスの真ん中に刻み込まれたN・E団の紋章。
「よくここまで辿り着きましたね」
その女が口を開く。
滑らかで美しい、穏やかな声。
「貴方達の中で誰がここに来ることになるのか、ずっと楽しみに待っておりました」
柔和な笑みを浮かべ、優しげな口調で目の前の女は語る。
(……こいつ、何者だ? 何を考えている?)
レオの頭の中で警告音が鳴る。
アカノハのジムリーダー、モミジと雰囲気は似ているが、こいつは違う。この女は危険だと、レオの勘が告げる。
目の前の女の考えが読めない。ここにいる以上、N・E団であることは間違いないのだが……。
「一つ、いいことを教えて差し上げましょう」
笑みを崩さず、女は言葉を続ける。
「この扉の奥には、我らの主が待っております」
「っ……!?」
女の言葉に、驚愕を表すレオ。
この女の言葉を信用するのであれば、女が守る扉の奥には、N・E団のボスがいるということになる。
「……それは、信用していいんだな?」
「ええ。しかし、主と会いたければ、私に勝たなければなりません。私を倒し、この先へ進むのです」
いつの間にか、女の手にはモンスターボールが握られている。
「その前に、聞きたいことがある」
「何でしょうか?」
「お前は、何者だ」
「ああ、そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね」
目の前の女は、ゆっくりと告げる。
「選ばれし七人のうち、最後の天将にして、我らが主を護る者。七天将序列第一位、聖天のオパールでございます」
(……やっぱりか)
薄々察しは付いていたが、やはりこの女が正体不明だった最後の天将。
おそらく、聖天将の役目はN・E団のボスを守ること。
N・E団のボスがここまで全く姿を現さなかった以上、オパールと名乗ったこの女もずっとこのアジトにいたのだろう。
「さあ、ここまで辿り着いた勇気ある者よ、貴方のポケモンを出しなさい。私を超えてその先に進み、真実をその目で確かめるのです」
「……上等だぜ。N・E団のボスの顔、見させてもらうぜ」
N・E団最強の天将に、レオが立ち向かう。