二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百四十話 超速 ( No.277 )
日時: 2014/11/18 22:54
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ハッサム、馬鹿力」
「ガーメイル、躱してエアスラッシュ!」
ガーネットの部屋では、ブレイズとサクラの激しい戦闘が行われている。
ハッサムが鋏を振り回し、ガーメイル目掛けて叩きつけるが、ガーメイルはふわりと飛び上がってそれを躱し、空気の刃を飛ばす。
「バレットパンチです」
弾丸の如き連続パンチで、ハッサムは刃を粉砕、さらに、
「襲撃です」
翅を広げ、一瞬でガーメイルの背後に回ると、鋏を振り抜く。
「ガーメイル、目覚めるパワー!」
鋏の打撃を受けたガーメイルが吹き飛ばされるが、赤く輝くエネルギーの弾を乱射し反撃。
「全て捌きますよ。バレットパンチ」
襲い来るエネルギー弾を、ハッサムは目にも留まらぬ連続パンチで次々と破壊していく。
最後の一つを破壊し、一旦構えを解いたその瞬間。
「虫のさざめき!」
既にハッサムのすぐ後ろに迫っていたガーメイルが翅を振動させて衝撃波を放ち、ハッサムを吹き飛ばす。
「この子の特性は色眼鏡。タイプ相性じゃ、ダメージは抑えられないわよお」
「やってくれますね。ハッサム、襲撃」
立ち上がったハッサムが、一瞬で消える。
次の瞬間にはガーメイルの真ん前に現れ、拳のように鋏を突き出し、ガーメイルを殴り飛ばす。
「馬鹿力です」
吹っ飛ぶガーメイルの上を取り、ハッサムは両腕を掲げ、渾身の力で鋏を振り下ろす。
「まだまだぁ! ガーメイル、エアスラッシュ!」
しかしその寸前、ガーメイルが翅を羽ばたかせて空気の刃を飛ばす。
刃はハッサムの腕のすぐ下を通り抜け、その赤い体を切り裂く。
空中で体勢を崩したハッサムが落下し、床に叩きつけられる。
「目覚めるパワー!」
床に倒れるハッサムに、容赦無くガーメイルは炎の力を持つ赤いエネルギー弾を放つ。
全弾がハッサムに命中し、炎の力が鋼の体を焦がし、ハッサムを戦闘不能にする。
「おやおや、やられてしまいましたか。ハッサム、よく頑張りました。休んでいなさい」
少しだけ驚いた様子を見せ、ブレイズはハッサムをボールに戻す。
「思ったよりやりますね。ただの下賎な女だと思っていましたが、そうでもないようですね」
「ひっどぉーい。あたしは天下の『ブロック』の統括の一人よお? てゆーか、ガーネットちゃんよりも弱いあんたに、あたしが負けるとでも思ってるワケぇ?」
「ですが貴女は我が主にとって危険な存在だと判断しました。私はガーネット様の側近。主の外敵は、抹殺するのみ」
僅かに鋭い表情を見せ、ブレイズは次のボールを手に取る。




テペトラーの放った波動弾が、体勢のまだ整わないグレイシアに迫る。
だが、
「甘いわね! グレイシア、守る!」
グレイシアの周囲に、光の結界が張られる。
必中の波動弾だが、守護の結界を破ることは出来ず、勢いを削がれて消滅してしまう。
「ふぅ、危ない危ない。やっぱりこういう技はいざって時にまで隠しておくべきよね。残念だったわね、ここで一気に決め切りたいところだろうけど、そうは行かないわよ」
ガーネットが薄ら笑いを浮かべ、ホロを挑発する。
「だからどうしたってんだ。戦況は何も変わってないぜ? テペトラー、もう一度波動弾だ!」
テペトラーが両手を構え、波動を凝縮した念弾を放つ。
「グレイシア、シャドーボール!」
対するグレイシアは影の弾を放ち、波動弾を相殺すると、
「アイアンテール!」
大きく飛び上がり、上空から硬化させた尻尾を叩きつける。
「テペトラー、サイコパンチ!」
テペトラーの右手を念力が覆う。
念力によって強化された拳を突き出し、グレイシアのアイアンテールを真っ向から迎え撃つ。
「もう一発サイコパンチ!」
さらに動くはテペトラーの左手。
念力を纏った左手を、右手を引っ込めると同時に放ち、グレイシアを殴り飛ばした。
「くっ、グレイシア、シャドーボール!」
何とか上手く着地し、グレイシアは影の弾を連続で撃ち出す。
「テペトラー、躱してアクアジェット!」
テペトラーは水を纏い、シャドーボールの間を次々と潜り抜け、グレイシアを狙うが、
「シャドーボール!」
グレイシアは小さく跳び、ギリギリのところでアクアジェットを躱し、テペトラーに向けて影の弾を放つ。
シャドーボールがテペトラーの背中に命中し、テペトラーが体勢を崩す。
「そこよ! アイアンテール!」
尻尾を硬化させ、グレイシアが跳ぶ。
テペトラーの上から、勢いをつけて硬い尻尾を振り下ろす。
「回避の余裕は無いな……テペトラー、ここは耐え切ってくれ!」
テペトラーは両腕を交差させ、防御の体勢を取る。
アイアンテールを正面から受けるが、どうにか耐え切った。
「まだ終わらないわよ。冷凍ビーム!」
着地したグレイシアが間髪を入れずに冷気を込めた光線を撃ち出す。
「冷凍ビームは効かないぜ! テペトラー、アクアジェット!」
テペトラーが水を纏って突撃する。
先程と同じように冷凍ビームによって周囲の水を凍らせ、勢いを増してグレイシアに突っ込んで行く。
しかし。
「読み通りよ。グレイシア、アイアンテール!」
グレイシアが尻尾を硬化させて、回転しながら跳躍する。
それによって、テペトラーの氷のアクアジェットはギリギリのところでグレイシアを捉えきれなかった。
刹那。
回転によって勢いを増したグレイシアのアイアンテールが、凍結したアクアジェットを容易く砕き、テペトラーの脳天に直撃した。
「嘘だろ!? テペトラー!」
地面に叩きつけられたテペトラーは、戦闘不能になっていた。




ミロカロスの放つ極太の水柱に、為す術もなくドラピオンは押し流される。
雨によってさらに強化されたハイドロポンプを耐えることは出来ず、ドラピオンは戦闘不能になってしまう。
「うう、ドラピオン、よく頑張ったね。休んでてね」
シーアスはドラピオンを労い、ボールに戻すが、すぐに切り替えて次のボールを手に取る。
「次は貴方よ、ビビッドン!」
シーアスの二番手は、ミロカロスとの相性がいい電気タイプのビビッドン。
「ここでミロカロスを戻してもメリットはありませんわね。申し訳ないですが、少しでもビビッドンの体力を削ってください」
テレジアの言葉を受けたミロカロスが頷く。
「大丈夫かぁ? ミロカロス残しといた方が、役に立つかもしれねえぞ?」
「黙っててください。ミロカロス、ハイドロポンプ!」
後ろのリョーマを黙らせ、バトルが再開される。
ミロカロスは雨によって強化された太い水柱を撃ち出す。
「ビビッドン、十万ボルト!」
対するビビッドンは高電圧の強い電撃を放出する。
水柱の中を貫通し、ミロカロスに強い電流を浴びせる。
「気合玉!」
さらにビビッドンは右手に気を凝縮させ、作り上げたエネルギー弾を投げつける。
電気をまともに受け、痺れて動けないミロカロスに直撃し、ミロカロスがゆっくりと床に倒れ、戦闘不能となる。
「ミロカロス、お疲れ様です。ゆっくり休んでください」
ミロカロスをボールに戻し、特に何も言わずにテレジアは次のボールを取り出す。
「お願いしますわ、セラーナ!」
テレジアの出したポケモンはセラーナだ。
「まずはもう使わないこの雨を晴らしましょうか。セラーナ、日本晴れ!」
セラーナが小さい太陽のような光の玉を打ち上げる。
天井に辿り着くと玉が眩しい光を発し、雨を降らせる黒雲を押しやり、辺りを照らす。
「続けて蝶の舞!」
さらにセラーナは蝶のように美しく舞、特殊能力と素早さを上昇させる。
「準備を整える気ね。そうはさせないわ! ビビッドン、サイコバーン!」
ビビッドンが体内に念力を溜め込む。
凝縮した念力を爆発させ、衝撃波を飛ばす。
対して、
「セラーナ、宿り木の種!」
テレジアが技を指示した瞬間、セラーナがシーアスの視界から消えた。
「!?」
シーアスが困惑している間に、セラーナはビビッドンの後ろまで回り込み、植物の種を植え付ける。
瞬時に種から蔦が生え、ビビッドンに絡み付き、体力を吸い取る。
「何が起こったか分からないようですけど」
薄ら笑いを浮かべ、テレジアは理解が追いついていないシーアスを見据える。
「私のセラーナの特性は葉緑素。天気が晴れの時、素早さが倍になりますわ。さらに蝶の舞で素早さが上がっているこの状態、貴女とビビッドンでは到底私のセラーナの動きを目で追うことは出来ないでしょうね」
目にも留まらぬ速度で、セラーナはビビッドンの周りを動き回る。
「セラーナ、ソーラービーム!」
ビビッドンの視界の端で、何かが光る。
ビビッドンがそこを振り向いた次の瞬間、太陽の光を受けた白い光線が撃ち出された。
光線の直撃を受け、ビビッドンが吹っ飛ばされる。
「ビビッドン、反撃よ! 十万ボルト!」
ビビッドンが起き上がり、高電圧の電撃を放とうとするが、既にセラーナはそこにはいない。
「反撃してもいいんですわよ? もっとも、セラーナの姿をその目に捉えられたらの話ですが」
「くっ…うぅ……」
目に見えない敵が、確実に自分を追い詰めていくのを、シーアスは明確に感じ取っていた。