二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百四十一話 一位 ( No.280 )
- 日時: 2014/12/02 22:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「至福のひと時を、ブラッキー」
ラピスの二番手は、以前マゼンタを散々苦しめ、リョーマをも手こずらせたブラッキー。
「出よったね、ブラッキー。けど、うちのバフォットは今攻撃力が最大まで上がってる。いくらそのブラッキーでも、今のバフォットは止められへんで」
「そうね。いくら覚醒を使ったとはいえ、確かに攻撃を止める術は難しいかもしれない」
だけど、とラピスは続け、
「だったら、無理に攻撃を止める必要はない。攻撃を止めなくても、勝つ手段はいくらでもある。あと、積み技を使う相手に私が滅法強いってことも忘れないでね」
「ふうん。だったら、見せてもらうで」
マゼンタの言葉と共に、バフォットが吠える。
「行くでー。バフォット、メガホーン!」
バフォットが頭を屈め、角を突き出して突進する。
一撃必殺と言っても過言ではない威力の一撃が、恐るべき勢いでブラッキーに迫る。
「ブラッキー、躱しなさい」
対してブラッキーは近くまでバフォットを引きつけ、当たる寸前で横に大きく跳び、メガホーンを躱す。
さらに、
「行くわよ。ブラッキー、イカサマ」
バフォットの猛進を躱したブラッキーが、その横からバフォットに突っ込む。
だがその威力が尋常ではない。
タックルを受けたバフォットが大きく吹っ飛ばされ、壁に激突する。
「バフォット!? な、何や今のは……?」
予想だにしていなかった突然の事態に、驚きを隠せないマゼンタ。
「何が起こったのか分からないみたいね」
対するラピスは、その様子を見て余裕の笑みを浮かべる。
「イカサマは相手の力を利用して攻撃する技。つまり、今の攻撃でブラッキーはそのバフォットの攻撃力で攻撃したってわけ。元々攻撃の高いバフォットが、さらに攻撃力を最大まで上げている。これだけの威力の技を受ければ、流石に大ダメージは免れないみたいね」
バフォットはどうにか起き上がるが、ダメージは効果今一つとは思えないほど大きい。
「っ、バフォット、メタルブラスト!」
バフォットが大きく雄叫びを上げ、鋼の力を集結させ、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「ブラッキー、守る」
対するブラッキーは守りの結界を張り、メタルブラストを完全に遮断する。
「バフォット、ぶち壊す!」
「ブラッキー、イカサマ」
バフォットが立ちふさがるもの全てを破壊する勢いで猛進し、ブラッキーはそのバフォットの力を一時的に利用し、真っ向からバフォットを迎え撃つ。
お互いが正面から激突する。
攻撃力は完全に互角、だが技の威力で僅かにバフォットが勝り、競り合った末にブラッキーを吹き飛ばすが、
「ブラッキー、もう一度イカサマ」
ブラッキーは上手く着地すると、すぐさま地を蹴って飛び出し、バフォットに突撃。
最大の攻撃力でバフォットを吹き飛ばし、バフォットは床に叩きつけられ、戦闘不能となってしまった。
「……バフォット、よう頑張ったで。ゆっくり休んどき」
マゼンタは屈んでバフォットを労い、ボールに戻す。
「これでポケモンの数は同じになった。加えて私はさらにもう一体のポケモンの体力を半分まで減らしている。腹太鼓から一気に抜き切る作戦だったんだろうけど、そうは行かないわよ」
「ふふふ、こうなることも予測しとらんかった訳やないで。イカサマは確かに面倒やけど、その種が分かればどうにかするのは簡単や。バトルはこっからやで、あんたもそう簡単に勝てると思わんときや」
ラピスの挑発を受け流し、マゼンタは気持ちを切り替え、次のボールを手に取る。
「ホムロソク、熱風!」
「グライオン、砂風だ!」
セイラとメジストのバトル。
ホムロソクが灼熱の風を起こし、グライオンは風に砂を乗せた砂嵐を放って対抗する。
「炎の牙!」
その激しい風の中にグライオンは突っ込む。
牙に炎を灯し、自らの放った砂の風に乗り、急加速してホムロソクに牙を剥く。
「ホムロソク、躱してシャドーボール!」
ホムロソクは片手を突き出し、後ろに下がり、影の弾を撃ち出す。
グライオンの牙は空気を引き裂くに止まり、直後、影の弾がグライオンの顔面を捉える。
「チィッ、グライオン、ストーンエッジ!」
首を振って体勢を整え、グライオンが周囲に無数の岩を浮かべる。
グライオンの合図で、尖った岩が一斉に撃ち出される。
「ホムロソク、サイコキネシス!」
ホムロソクは強い念力を操作する。
全ての岩を食い止め、さらにその向きを変え、岩を放ったグライオン本人にその矛先を向ける。
「甘い! グライオン、ハサミギロチン!」
グライオンの鋏が光り、白く長い刃のように伸びる。
その鋏を斜め十字に振り抜くと同時、全ての岩が一瞬で砕け散る。
「ゴーストタイプなんか出しやがって。そうじゃなければ、一瞬でハサミギロチンの餌食にしてやったのによお!」
「ふふ、それが分かっていたからゴーストのホムロソクを出したのさ。一撃必殺の使い手と馬鹿正直に殴り合ってたまるかって話だよ。ホムロソク、火炎放射!」
グライオンに忍び寄り、ホムロソクが灼熱の業火を放つ。
「グライオン、炎の牙!」
グライオンは牙に炎を灯し、灼熱の炎の中へ飛び込む。
燃え盛る炎を牙に吸収してさらに力を強め、ホムロソクに牙を突き立てる。
対して、
「掛かったな。ホムロソク、サイコキネシス! 絶対逃がすなよ」
グライオンに噛みつかれたまま、ホムロソクは強い念力を放ち、グライオンの動きを念力で封じる。
「決めろ。シャドーボール!」
ホムロソクの両手に、二つの影の弾が作り出される。
グライオンを挟み込むように、両手の影の弾がゼロ距離でグライオンに直撃した。
影の弾の炸裂によって吹き飛ばされ、グライオンは戦闘不能となってしまう。
「チッ、ここまでか。グライオン、戻って休んどきな」
物足りなさそうにボールを取り出し、メジストはグライオンをボールに戻す。
「どうもお前と戦うと、上手く俺のペースに持っていけねえな。手を抜いてるつもりはねえんだが」
「ふふ、私が強いからじゃないのか?」
「ギャヒャヒャ、そうだといいんだがな! それじゃ、次行くぜ!」
猛獣のような笑みを浮かべ、メジストが次のボールを掲げる。
「捻り潰せ、リーフィア!」
メジストの二番手はリーフィア。タイプ相性だけで見れば、ホムロソクには不利だ。
「タイプ相性なんざ関係ねえ。行くぜ! リーフィア、リーフブレード!」
リーフィアの尾の葉が鋭く逆立つ。
地を蹴って飛び出し、ホムロソクとの距離を一気に詰め、尾を振りかざしてホムロソクを切り裂く。
「ホムロソク、躱して火炎放射!」
後ろに下がってリーフブレードを躱し、ホムロソクが灼熱の炎を噴き出す。
「リーフィア、躱しな!」
対してリーフィアは大きく跳躍し、炎を躱してホムロソクの上を取る。
「シャドーボール!」
「甘い! はたき落とす!」
ホムロソクが影の弾を撃ち出すが、リーフィアは尾を振り下ろしてシャドーボールを打ち返す。
シャドーボールが勢い付いて跳ね返り、撃ったはずのホムロソクに直撃。
体勢を崩したところに、リーフィアの尾の打撃がホムロソクを地面に叩き落とした。
効果抜群の攻撃を立て続けに受け、これでホムロソクも戦闘不能となる。
「よく頑張った。ホムロソク、休んでいろ」
ホムロソクをボールに戻し、すぐにセイラは次のボールを手に取る。
「さて、次は誰だ? 以前お前とやり合った時も、忍者の長と戦った時も、消化不良で終わっちまったからよ。そろそろ、ガチのバトルを最後までやりてえところなんだがなあ!」
「ふふ、安心しろ。今回は途中で撤退したりはしないさ。少なくとも、私の方はな」
ボールを取り出し、セイラは次のポケモンを繰り出す。
「頼んだぞ、パンプッチ!」
「サンダース、まずは貴方です」
レオのポケモン、パンプッチに対し、オパールのポケモンは全身に鋭い黄色の体毛を持つ四足歩行の獣型ポケモン。
サンダース、雷ポケモン。電気タイプで、ブースターやエーフィと同じイーブイからの進化系だ。
「よし、行くぞ! パンプッチ、シャドーボール!」
先攻を取ったのはレオ。
パンプッチが木の葉の杖を取り出し、それを振り抜いて影の弾を撃ち出す。
「サンダース、シャドーボール」
対するサンダースも影の弾を放ち、お互いの技が相殺させられる。
「磁力線です」
さらにサンダースは強い電流を発生させて磁力を歪ませ、磁力の波を飛ばす。
「パンプッチ、もう一度シャドーボール!」
再びパンプッチは杖を振るって影の弾を放ち、磁力線を相殺、さらにもう一発をサンダースへと放つ。
「サンダース、こちらもシャドーボール」
再び影の弾がぶつかり合い、爆発するが、
「まだだ! エナジーボール!」
煙の奥から撃ち出された草木の生命の力を集めた念弾がサンダースを捉える。
「目くらましですか。サンダース、十万ボルトです」
エナジーボールを喰らったサンダースだが、すぐに起き上がり、全身の体毛を逆立たせ、火花を散らしながら高電圧の電撃を放つ。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
ふわりと浮き上がって電撃を躱し、パンプッチは杖の先から大量の水を噴射するが、
「サンダース、もう一度十万ボルト」
再びサンダースが強い電撃を撃ち出す。
ハイドロポンプの勢いを打ち消し、さらに水を伝ってパンプッチに電撃を浴びせる。
「今ですよ。サンダース、シャドーボール」
動きが鈍った隙を逃さず、サンダースの放った影の弾がパンプッチを捉え、吹き飛ばす。
「っ、流石第一位、なかなかやるな……パンプッチ、大丈夫か?」
パンプッチは起き上がり、レオの言葉に頷くと、再び宙に浮かび上がる。
「いまいち攻め切れていない様子ですね。ですが、本当の恐ろしさはここからですよ」
柔和な笑みのまま、オパールがそう告げる。
そして、
「サンダース、ミサイル針!」
刹那。
サンダースが、消えた。
「なっ……!?」
風を切るような音が周囲に響く。
次の瞬間。
パンプッチの周囲360度から、無数の針がパンプッチに襲い掛かる。
「何だこれ!? パンプッチ、薙ぎ払え! ハイドロポンプだ!」
慌ててパンプッチが杖を振り、大量の水を鞭のように振るうが、針の量が多過ぎて対応し切れない。
前方のものは撃ち落とせるが、後ろから来るものまで対応する余裕もなく、残った針が次々とパンプッチに突き刺さる。
「サンダースは特攻に優れるポケモンですが、やはり一番優れているのはそのスピードです。ここまで殆ど動かず単調に攻撃していたために、突然の速攻に戸惑ったのではないですか?」
聖天のオパールは正確にレオの考えを見透かしてくる。
「勿論、常に今のスピードを出せるわけではありませんけれど。動き回る戦いであればもう少し遅くなりますが、瞬間的な動きであれば、あれくらいの動きが容易く可能になります」
「ッ、マジかよ……パンプッチ、ここから立て直して行くぞ」
気持ちを切り替え、パンプッチも再び戦闘態勢に入ったところで、
「ああ、ちなみに」
言い忘れていたかのようにオパールが告げる。
「天将第一位である私は、『覚醒』を使用せずとも、覚醒したセドニーさんやガーネットさんともほぼ互角に戦うことが出来ます。一応、その事も覚えておいてくださいね」