二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百四十二話 熱戦 ( No.281 )
- 日時: 2014/12/16 16:46
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: j0x8WVaG)
「さあ行ってきな、ハガネール!」
ライロウの二番手は、巨大な鋼の塊をいくつも連結させたような無骨な蛇のようなポケモン。
10メートルに迫るほどの巨体を持ち、顎が大きく発達しており、岩を容易く噛み砕くほどの力と非常に硬い体を併せ持つ。
鉄蛇ポケモンのハガネール。鋼・地面タイプ。
「また地面タイプか。それにしてもでっけえな、ただのデカブツじゃないといいんだがな」
「もしそう思ってんなら、速攻後悔させてやるぞ。ハガネール、ストーンエッジ!」
ハガネールが顔の周囲に尖った岩を纏い、それらを一斉に撃ち出す。
「フワライド、ゴーストダイブ!」
対して、フワライドが虚空に姿を消す。
ストーンエッジを躱し、絶対に見えないところからハガネールに迫り、
突然姿を現して四本の腕を叩きつける。
しかし、
「効かんぞ! ハガネール、アイアンテール!」
ハガネールは怯まず、白く輝くほどに硬化させた大きな尻尾をフワライドへ叩きつける。
脳天に直撃し、フワライドが吹き飛ばされる。
「決めろ。ストーンエッジだ!」
さらにハガネールが無数の尖った岩を撃ち出す。
フワライドの体に岩が次々と突き刺さり、力を使い果たしたフワライドがゆっくりと地面に落ちた。
「よく頑張った。フワライド、休んでろ」
フワライドをボールに戻し、セドニーはハガネールを見上げる。
「随分と硬いな、そのハガネール。フワライドのゴーストダイブを食らって、びくともしねえとはよ」
「だから言っただろうが。ただのデカブツだと思ってんなら後悔させてやるってよ」
「だが」
セドニーの表情に焦りはない。
「物理耐久の高さは確かに一級品だが、特殊が相手ならどうするよ?」
次のボールを取り出したセドニーが、不敵な笑みを浮かべる。
「行って来な、シャワーズ!」
セドニーの二番手はシャワーズ。
ハガネールほどではないが高い耐久を持ち、水技で弱点を突ける。
「シャワーズか。このまま押し切る……と言いたいところだが、このハガネールじゃ厳しそうだな」
それなら、とライロウはボールを二つ取り出す。
ハガネールを一旦戻し、別のポケモンを繰り出す。
「行ってきな、ベタデーム!」
ライロウが出したポケモンは、直方体に近い体つきの魚型のポケモン。
上部は黒く、それ以外の部分は赤で、左右をヒレは体を覆うほど大きい。
闘魚ポケモンのベタデーム。気性の荒いポケモンで、水・炎という極めて珍しい複合タイプを持つ。
「なるほどベタデームか。つーか、ここまで見る限り攻撃的なポケモンばっかだな」
「守りのスタイルなんざ俺には合わねえからな。攻撃あるのみだぜ! ベタデーム、熱湯だ!」
先に動いたのはライロウ。
ベタデームが体内で水を急激に沸騰させ、煮えたぎる熱湯を放つ。
「シャワーズ、こっちも熱湯だ!」
シャワーズも高熱の熱湯を噴射するが、ベタデームの方が強いようで、シャワーズの放った熱湯が打ち破られる。
「マジかよ、だったらシャワーズ、シグナルビーム!」
熱湯を躱し、シャワーズは激しく光を点滅させている光線を放つ。
「ベタデーム、エナジーボール!」
対するベタデームは溜め込んだ自然の命の力を発射し、シグナルビームを打ち消し、
「放電だ!」
ヒレを振動させて電気を起こし、周囲に電撃を撒き散らし、シャワーズに電撃を浴びせる。
「くっ、やるじゃねえか。見たところ特殊技ばっかりみたいだから溶けるもあんまり有効じゃねえし、しょうがねえな! シャワーズ、シャドーボール!」
電気を浴びたシャワーズだがすぐに体勢を立て直し、黒い影の弾を何発も浮かべ、次々に撃ち出していく。
「ベタデーム、もう一度放電だ!」
再びベタデームは電撃を周囲に撒き散らす。
何発も襲い来るシャドーボールを破壊し、反撃に出ようとするが、
「シャワーズ、熱湯!」
ベタデームが電撃を終えたところでシャワーズが煮えたぎる熱湯を放ち、ベタデームに浴びせかける。
「畳み掛けるぜ。シグナルビームだ!」
さらにシャワーズは激しく光を放つ光線を撃ち出す。
「好き勝手させねえぞ。ベタデーム、熱湯!」
だがベタデームは赤い目を見開き、灼熱の熱湯を放ち、シグナルビームを打ち消すと、
「反撃だ! エナジーボール!」
自然の命の力を凝縮し、シャワーズに向けて発射する。
「シャワーズ、シャドーボール!」
シャワーズも三発の影の弾を周囲に浮かべ、一斉に放つ。
白い弾と黒い弾が激突し、爆発を起こす。
「次はこいつだ。行け、マリルリ!」
ネクロシアを戻し、ロフトの二番手は水タイプのマリルリ。
「まずはそのゲンガーを仕留めさせてもらうぞ。マリルリ、アクアテール!」
マリルリが尻尾に手をかけ、水を纏った尻尾を振り回し、勢いをつけて荒波のように尾の一撃を放つ。
「ゲンガー、躱しなさい」
ゲンガーが後ろに飛び退くが、しかし、マリルリの尻尾のリーチが思ったよりも長い。
エフィシの予想の二倍ほどの伸びを見せた尻尾がゲンガーを叩き飛ばし、ネクロシア戦でのダメージもあったゲンガーはここで戦闘不能になる。
「思ったよりも伸びますね……ゲンガー、よく頑張りましたね。休んでいてください」
エフィシはゲンガーを労い、ボールに戻す。
「マリルリが相手ならば、次はこのポケモンで行きましょう。お願いしますよ、アルデッパ!」
エフィシの二番手はアルデッパ。タイプ相性で見れば、マリルリに対しては有利。
「草タイプか。だが、タイプ相性だけで私のマリルリを止められると思うなよ! マリルリ、気合パンチ!」
拳を構えたマリルリが地を蹴って飛び出す。
ありったけの力を拳に集中させ、渾身のパンチを繰り出す。
「アルデッパ、パワーウィップです!」
対してアルデッパは腕の蔓を伸ばし、マリルリに向けて力一杯叩きつける。
拳と蔓が正面から激突するが、威力は互角。
「マリルリ、捨て身タックル!」
「アルデッパ、躱して凍える風!」
一旦下がったマリルリが守りを捨て、全力で突撃するが、アルデッパはそれを躱すと、凍える冷たい風を飛ばす。
効果は今一つで威力も低く、マリルリには大したダメージも入らないが、エフィシがこの技を指示した目的はそこではない。
「今です。アルデッパ、パワーウィップ! マリルリを捕らえなさい!」
アルデッパが両腕から蔓を伸ばし、瞬く間にマリルリに蔓が絡みつく。
凍える風によって動きを鈍らされたマリルリは咄嗟の反応が出来ず、蔓にあっさりと捕まり、アルデッパのすぐ近くまで引き寄せられる。
「よくやりましたよ。アルデッパ、メタルニッパー!」
アルデッパの牙が鋼のように硬化し、マリルリに噛み付く。
「ッ、いい気になるなよ! マリルリ、抜け出せ! 気合パンチだ!」
マリルリもただ捕まっているだけではない。
自らに突き刺さる牙も気にせず、両手に精一杯の力を溜め込み、拘束する蔓を緩ませようともがく。
「このくらいが限界でしょうか。アルデッパ、ハイドロポンプ!」
アルデッパが蔓の拘束を解き、間髪入れずに大量の水を噴射し、マリルリを吹き飛ばす。
「くっ、好き勝手やってくれる。だが、メタルニッパーもハイドロポンプもマリルリには効果今一つ。この程度で勝てると思うなよ」
ロフトの言葉とともに、瞳に闘志を込めたマリルリが再び立ち上がる。
「ルカリオ、悪の波動!」
ジンの二番手、テイルーンに対し、ルカリオは悪意に満ちた波動を撃ち出す。
「テイルーン、躱してブレイブバード」
だがテイルーンは軽やかな動きで悪の波動を躱し、頭の雲を鳥の形に変えると同時に凄まじい量の激しいオーラを纏って突貫する。
圧倒的なスピードの前にルカリオは反応が間に合わず、直撃を受けて吹っ飛ばされる。
「仕留めろ。テイルーン、影討ち」
何とか起き上がろうとするルカリオだが、影を伸ばしたテイルーンが背後から一撃を浴びせ、ルカリオにとどめを刺す。
「先制技持ちとは、抜かりないわね。ルカリオ、お疲れ様」
「まあこんなところか。テイルーン、休憩だ。一旦戻っていろ」
アスカが戦闘不能となったルカリオを戻すのを見て、ジンもテイルーンを戻す。
「よし、行って来なさい、ユニサス!」
「次はお前だ、リーフィス」
ジンのポケモンはリーフィス。
アスカの二番手は、白く輝く体に紫色の体毛を持つ馬のようなポケモン。
額には眩しく光る立派な黄金の角が生えている。
ユニサス、角馬ポケモン。鋼・エスパータイプだ。
ユニサスはリーフィスを鋭く睨み、威嚇する。
そして、テイルーンが場を離れたことによりエアロックが解け、再び雨が降り始める。
「雨なんて気にならないわ。ユニサス、行くわよ! 思念の頭突き!」
ユニサスが嘶き、額に思念の力を集めて突進する。
「リーフィス、ハイドロポンプ」
リーフィスはユニサスの額を狙い、大量の水を撃ち出す。
ハイドロポンプは雨に強化されて勢いを増し、ユニサスを押し戻す。
「だったらユニサス、メタルブラスト!」
ユニサスが角に力を溜め込み、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「リーフィス、もう一度ハイドロポンプだ」
再びリーフィスは大量の水を放つ。
鋼の砲撃と大量の水がぶつかり合うが、今度はメタルブラストの方が強く、水が打ち破られ、砲撃がリーフィスに命中する。
「今よユニサス、メガホーン!」
ユニサスが再び駆け出し、黄金の角を突き出す。
「なるほどメタルブラストは破れないか。リーフィス、大地の怒りだ」
リーフィスが床に力を送ると、次の瞬間、ユニサスの足元が割れ、瓦礫と土砂が噴き出し、ユニサスを吹き飛ばす。
「あら? アジト壊しちゃって大丈夫なのかしら」
「どの道貴様らに場所を知られてしまった時点で、このアジトはもう使えん。何の問題もないだろうよ」
余裕を見えるアスカに、ジンは僅かに、小さく、不気味な笑みを浮かべる。