二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百四十四話 安定 ( No.284 )
日時: 2015/01/25 00:35
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「祝福せよ、オオイナリ!」
ブレイズの二番手は、ガーメイルに有利な炎タイプのオオイナリ。
「炎タイプねえ。相性が悪いけど、このまま行くわよお! ガーメイル、エアスラッシュ!」
ガーメイルが翅を大きく羽ばたかせ、空気の刃を飛ばす。
「オオイナリ、サイコキネシス」
対して、オオイナリは強い念力を操り、刃を捻じ曲げると、
「熱風です」
口を開き、灼熱の風を放つ。
「ガーメイル、躱して虫のさざめき!」
風を躱して、ガーメイルは翅を激しく振動させ、音波と共に衝撃波を撃ち出す。
「オオイナリ、もう一度熱風です」
オオイナリは再び灼熱の息を吹き、衝撃波を打ち消し、さらに、
「動きを止めなさい。サイコキネシス」
強力な念力をガーメイルに仕掛け、ガーメイルの動きを封じてしまう。
「ガーメイル、抜け出して! 負けちゃだめよお!」
「無駄ですね。床に叩き落として、熱風です」
念力を操作してガーメイルを床へと落とし、すかさず灼熱の息を放つ。
風がガーメイルの体を焦がし、ガーメイルの残った体力を削り取る。
「ありゃりゃ、ここまでねえ。ガーメイル、よく頑張ったわあ」
ガーメイルをボールに戻し、サクラは次のポケモンを繰り出す。
「それじゃあ次は……ヘラクロス、頼んだわよお!」
サクラの二番手はヘラクロス。
タイプ相性だけで見れば、不利な相手。
「ヘラクロスですか。何か策でもあるんでしょうが、こちらにとっても都合のいい相手。オオイナリ、ここは確実に取りますよ」
「そんなに上手く行くかしらねえ? ヘラクロス、メガホーン!」
ヘラクロスは翅を広げて飛び、硬い角を突き出して突撃する。
「止めなさい。オオイナリ、サイコキネシス」
オオイナリが強い念力を操り、ヘラクロスを止めようとする。
しかしヘラクロスの勢いの前に打ち破られ、オオイナリは角の一撃を正面から食らって吹き飛ばされる。
「おやおや、押し負けますか。ならばオオイナリ、瞑想です」
オオイナリは起き上がると、精神を研ぎ澄ませて特殊能力を上昇させる。
「させないわよお! ヘラクロス、ロックブラスト!」
ヘラクロスが岩を連続で飛ばす。
オオイナリに命中するが、瞑想は止められなかった。
「さて、それでは反撃です。オオイナリ、シャドーボール」
首の札を怪しく光らせ、オオイナリは影を固めた複数の黒い弾を放つ。
「ヘラクロス、躱してぶち壊す!」
ヘラクロスは無数の影の弾を掻い潜り、角を振り上げ、オオイナリへと叩きつけようとするが、
「熱風です」
待ち構えていたオオイナリが口を開き、灼熱の息を放つ。
逆風と熱によってヘラクロスの勢いは徐々に削がれ、やがて押し戻されてしまう。
「瞑想によって強化された私のオオイナリの力、正面衝突で突破出来るとは思わないことです」
オオイナリの背後に立つブレイズが、薄ら笑いを浮かべる。



「ほな行くでー、ポリゴンZ!」
マゼンタが繰り出すポケモンはポリゴンZ。
攻撃力も平均並みにあるが、特殊技主体で戦うため、イカサマはそれほど怖くない。
「思った通り特殊型のポケモンで来たわね。行くわよブラッキー、バークアウト」
ブラッキーが先攻を取り、怒鳴り声のような咆哮を放つ。
「ポリゴンZ、チャージビーム!」
咆哮を一発食らうが、返す刀でポリゴンZは電撃を素早く溜め込み、電気の光線を撃ち出し、ブラッキーに直撃させる。
「イカサマでは物理主体のポケモンしか見れへんし、特殊ポケモンへの対策もあるはず。バークアウト辺りやと思ったけど、その通りやったな」
バークアウトによって下がった特攻も、チャージビームの追加効果で打ち消せる。
「ポリゴンZ、磁力線!」
周囲に強い電気を放ち、ポリゴンZは周囲の磁力を歪ませ、強烈な磁力の波を飛ばす。
「打ち合いでは勝ち目はなさそう、かと言ってここでブラッキーを戻しても結果は知れてるわね。ブラッキー、サイコキネシス」
ブラッキーは強い念力を操作し、念力の壁を作って磁力の波を食い止める。
「ポリゴンZ、チャージビーム!」
念力の壁が消えた瞬間を狙って、さらにポリゴンZが電気の光線を放つ。
咄嗟にブラッキーは避けようと動くが躱しきれず、ブラッキーの足元に命中、ポリゴンZはさらに特攻を上げていく。
「ポリゴンZ、さらにチャージビーム!」
「一旦体制を立て直すわよ。ブラッキー、守る」
ポリゴンがさらに攻撃を仕掛けるが、ブラッキーは守りの結界を張り、チャージビームを遮断する。
「ちょっと厳しいわね……ブラッキー、バークアウト」
「ポリゴンZ、チャージビーム!」
再びブラッキーが怒鳴るような咆哮を放ち、ポリゴンZは溜め込んだ電撃を光線として撃ち出して相殺。
「イカサマよ」
ブラッキーが一気にポリゴンZに接近し、ポリゴンZの攻撃力を利用した一撃を放つ。
ポリゴンZに直撃するが、
「それくらいなら問題あらへんね。ポリゴンZ、チャージビーム!」
すぐにポリゴンZが返しの電気の光線を放ち、ブラッキーに電撃を浴びせる。
「イカサマのダメージもそんなに大きくない……はぁ、今回のブラッキーのチューニングは失敗ね。また新しい戦法を考える必要がありそう」
ラピスは残念そうに息を吐くが、バトルはまだ続いている。
「ブラッキー、サイコキネシス」
「ポリゴンZ、磁力線!」
ブラッキーが放つ強い念力の波と、ポリゴンZが起こした磁力の歪みが正面からぶつかり合う。



「サンダース、シャドーボール」
「パンプッチ、こっちもシャドーボール!」
サンダースが影の弾を放ち、同時にパンプッチも杖を振るって影の弾を飛ばす。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
シャドーボールの威力は互角、相殺されるのを見越して、レオは次の指示を出すが、
「サンダース、磁力線です」
既にサンダースも動いている。
磁力を歪ませて波を飛ばし、パンプッチの放つ大量の水を再び相殺させる。
「もう一度行きますか。サンダース、ミサイル針」
一瞬動きを止めるサンダース。
次の瞬間、床を蹴って音速の如きスピードでパンプッチの周りを駆け回り、全身の体毛を逆立たせてパンプッチを取り囲むように硬い針を放つ。
「……これだ! パンプッチ、ギリギリまで引きつけて飛び上がれ!」
レオの指示通り、パンプッチは針を直前まで引きつけ、当たる寸前で大きく飛ぶ。
急に標的を見失った無数の針はそのまま直線に飛び、中央でぶつかり合って打ち消される。
「おやおや、こんなにも早く攻略されてしまいましたか。流石は我らの主が警戒するお方ですね」
そう言うオパールの口調からは、焦りも不安も感じない。
この戦いを楽しむように柔和な笑みを浮かべ、戦況を見据えるのみ。
「二度目の戦法は通用しないぞ。パンプッチ、エナジーボール!」
パンプッチは指揮者のように杖を振るい、自然の力を凝縮した波動の弾を連続で放っていく。
「サンダース、全て躱しますよ」
サンダースは素早い動きでエナジーボールを躱していく。
上を飛び越え、横に逸れ、掻い潜りつつ、着実に距離を詰めていく。
「見えた! パンプッチ、シャドーボール!」
パンプッチが杖を横に振り、影の弾を飛ばす。
サンダースが横に素早く逸れ、影の弾を躱そうとするが、パンプッチの杖で操られた影の弾はカーブを描き、サンダースを確実に捉える。
「見事です。サンダース、こちらも反撃しますよ」
シャドーボールの直撃を受けたサンダースだが、すぐに体勢を立て直す。
そして、

「行きます。サンダース、ミサイル針、十万ボルト、そして磁力線です」

サンダースが全身の鋭い体毛を逆立たせて、無数の硬い針を飛ばす。
さらに間髪入れずに飛び上がり、上空から落雷のように高電圧の強力な電撃を放つ。
「!? パンプッチ、なぎ払え! ハイドロポンプだ!」
パンプッチが杖を振り、大量の水を飛ばす。
ミサイル針は全て撃ち落とす。
十万ボルトも相殺することは出来なかったが、威力を削いだ上に、効果は今一つ。
しかし、サンダースが着地と同時に放った磁力の波を止めるには間に合わず、パンプッチは磁力の波の直撃を受けてしまう。
「……マジかよ。こんな連続攻撃、初めて見たぞ」
「だろうと思いましたよ。今まで、この連続攻撃を初見で全て捌けた人は一人もいません。我らの主ですら、最初はこの全てに対応は出来なかったのですよ」
「……くっそ、パンプッチ、ここからだ! シャドーボール!」
パンプッチが杖を構え、影の弾を放とうとするが、
「いいえ、これで仕留めます。サンダース、シャドーボール」
サンダースが床を蹴り、一瞬のうちに姿を消す。
レオが気づいた時には既にサンダースはパンプッチの背後まで回り込み、影の弾を放っている。
この至近距離からの攻撃を躱すことは出来ず、パンプッチは効果抜群の一撃をまともに受け、床に倒れて戦闘不能となってしまう。
「っ、マジかよ……。パンプッチ、よく頑張った。休んでてくれ」
レオはボールを取り出し、パンプッチをボールに戻す。
(流石に強いな。セドニーやガーネットをまともに相手取れるだけはある)
現在のオパールの彼らとの決定的な違いは、安定性だろう。
覚醒によって力を引き出した天将たちは、トパズを除けば使える力が不安定なものである。
しかし現在、オパールは覚醒を使っていないため、覚醒の割合によって力を増減させられることがなく、非常に安定した力を発揮出来ているのだ。
「でも、ここで負けるわけにはいかない。お前たちのリーダーの顔を、この目で見ないといけないからな」
気持ちを切り替え、レオは次のボールを取り出す。