二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百四十五話 余裕 ( No.285 )
- 日時: 2015/01/25 16:40
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
ガブリアスとエルレイドが真っ向勝負で激突し、爆発を起こす。
「ここからよ!エルレイド、冷凍パンチ!」
爆風と砂煙の中を突っ切り、エルレイドは拳に冷気を纏わせ、ガブリアスに迫る。
「ガブリアス、躱してダブルチョップだ!」
砂煙の中、ガブリアスはエルレイドの位置を見定め、エルレイドの氷の拳を躱すと、両腕を構え、左手と右手を立て続けに振るい、エルレイドを叩き飛ばす。
「炎の牙!」
さらにガブリアスは牙に炎を灯し、吹っ飛ぶエルレイドを追って大きく口を開く。
「くっ、エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドの右腕の刃が伸び、念力を纏う。
体勢を崩しながらも、エルレイドは右腕を横薙ぎに振り抜き、念力の刃を飛ばす。
「ガブリアス、砕け!」
炎を纏った牙で噛み付き、ガブリアスは念力の刃を噛み砕く。
だがその隙にエルレイドは体勢を整えなおし、
「リーフブレード!」
両腕の刃を伸ばし、自然の力を込めた二本の刃をガブリアスに向ける。
「ガブリアス、受けて立つぞ! ダブルチョップ!」
両腕の爪を構え、ガブリアスは真っ向からエルレイドを迎え撃つ。
金属が擦れ合うような激しい音が響く。
エルレイドの目にも留まらぬ斬撃を、ガブリアスも両爪で捌いていく。
「なかなかやるわね! エルレイド、マグナムパンチ!」
エルレイドが僅かに後ろへ下がり、その直後にミサイルの如き勢いの右拳を突き出す。
「ガブリアス、炎の牙!」
それに合わせるように、ガブリアスも牙に炎を纏わせ、エルレイドの拳を迎え撃つ。
ガブリアスの牙がエルレイドの拳を少しずつ焦がしていくが、一方でエルレイドの拳も少しずつガブリアスを押し戻す。
「まだまだ甘いわね。この状況、エルレイドはまだもう片腕が使える! エルレイド、冷凍パンチ!」
エルレイドの左腕が冷気を纏う。
均衡状態で動けないガブリアスへ、最大の弱点である氷の拳が突き刺さり、ガブリアスを吹っ飛ばした。
「仕留めるわよ! エルレイド、リーフブレード!」
両腕の刃を伸ばし、エルレイドは床を蹴って跳ぶ。
ガブリアスに確実に止めを刺さんと、双刃を振りかざす。
だが、ガブリアスもただではやられない。
「このまま終わってたまるかよ! ガブリアス、龍星群!」
ガブリアスが龍の力を一点に集め、頭上に打ち上げる。
その直後、ガブリアスはエルレイドの刃に切り裂かれ、力尽きる。
しかし。
上空に打ち上げられた龍のエネルギーが炸裂し、無数の流星となって降り注ぎ、エルレイドも流星の雨に打たれ、力を使い果たしてその場に倒れる。
両者ともに、戦闘不能だ。
「ガブリアス、よくやった。後は戻って休んでてくれよな」
「エルレイド、お疲れ様。休んでいなさい」
ホロとガーネットは互いに自分のポケモンをボールに戻す。
「お子様の割には、なかなかやるじゃないの。少なくともここまではね。この先、私のあと二体を相手にどこまでやれるかしらけ」
「へへっ、負けるわけにはいかないからな。N・E団に、これ以上好き勝手させないぞ」
ガーネットの挑発を受け流し、ホロは笑みを浮かべる。
両者ともに余裕の表情で、次なるボールを取り出す。
「ユニサス、メタルブラスト!」
「リーフィス、大地の怒り」
ユニサスが強大な鋼エネルギーを溜め込み、一斉に放出する。
対して、リーフィスは床から瓦礫や土砂を噴き出させ、鋼エネルギーの砲撃を防ぐ。
「メガホーン!」
ユニサスが黄金の角を構えて突進する。
「リーフィス、迎え撃て。ハイドロポンプ」
対するリーフィスは瓶の中から大量の水を放つ。
雨が降っているため、威力はハイドロポンプの方が勝っているが、
「ユニサス、飛び越えなさい!」
強く地面を蹴ってユニサスは跳躍し、ハイドロポンプを躱すと同時に、上空からリーフィスへと角を突き刺す。
「っ、リーフィス、ハイドロポンプ」
再びリーフィスが大量の水を放とうとするが間に合わず、黄金の角の一撃を食らってしまう。
「……晴らした方が正解だったか。リーフィス、立て直せ。大地の怒りだ」
リーフィスは体勢を立て直し、ユニサスの足元の床から土砂を噴出させるが、
「読めてるわよ! ユニサス、メタルブラスト!」
ユニサスが足元に鋼エネルギーの砲撃を放ち、放たれる土砂や瓦礫を強引に食い止める。
「……リーフィス、ハイドロポンプ」
だがリーフィスが立て続けに大量の水を放ち、雨によって強化された水柱がユニサスを押し飛ばす。
と、ここで、
「……ん」
ジンが天井を見上げる。
それと同時に、雨の勢いがどんどん弱くなっていく。
雨が止み、天井を覆っていた雨雲が晴れる。
雨乞いの効果が切れ、天候が元に戻ったのだ。
「倒しきれなかったか。雨が降っているうちに決めたかったところだが、仕方がない。リーフィス、光合成」
雨がなくなったことによって、光合成の回復量が元に戻る。
この機を逃さず、リーフィスは光合成によって体力の回復を図るが、
「させないわよ! ユニサス、メガホーン!」
アスカは当然その隙を与えない。
ユニサスが黄金の角を突き刺し、リーフィスを吹っ飛ばす。
「決め切るわよ! 思念の頭突き!」
額に思念の力を浮かべ、再度ユニサスはリーフィスを一突きし、再び吹っ飛ばす。
連続で黄金の角の攻撃を食らい、リーフィスはここで戦闘不能となる。
「まあ頑張った方だろう。リーフィス、戻れ」
無表情でジンはリーフィスをボールに戻し、テイルーンの入った最後のボールを取り出す。
「ベタデーム、エナジーボールだ!」
ベタデームが命の力を集め、一点に集中させて撃ち出す。
「シャワーズ、シャドーボール!」
対するシャワーズは影の弾を放ち、エナジーボールを相殺。
「放電!」
その隙を突いてベタデームはシャワーズのすぐ近くまで迫り、周囲へと電撃を放ち、シャワーズに電撃を浴びせる。
「くっそ! シャワーズ、シグナルビーム!」
セドニーが次第に苛立ちを募らせる。
シャワーズは体勢を立て直し、激しい光を放つ光線を放つ。
「ベタデーム、熱湯!」
ベタデームは煮えたぎる熱湯を放ち、シグナルビームを打ち消すが、
「シャワーズ、こっちもだ!」
シャワーズがベタデームの上を取るように跳躍し、同じように煮えたぎる熱湯をベタデームに浴びせ掛ける。
「ベタデーム、負けんなよ! エナジーボール!」
ベタデームは怯まなかった。
すぐさま命の力を集めた自然の力を放ち、シャワーズを逆に吹っ飛ばす。
「シャワーズ、シグナルビーム!」
吹っ飛ばされたシャワーズが再び起き上がり、激しい光を放つ光線を放つ。
「ベタデーム、一発耐えろ。次で決めるぞ」
ライロウがニヤリと笑って指示を出す。
ベタデームも頷き、シャワーズの方に向き直る。
シグナルビームを敢えて躱さず、ベタデームは光る光線を耐えきる。
そして、
「ベタデーム、オーバーヒート!」
返す刀で、ベタデームが爆炎を撃ち出す。
爆炎はシャワーズに命中した瞬間に大爆発を起こし、周囲を火の海に変える。
効果今一つであるにも関わらず、シャワーズは大ダメージを受け、力を使い果たして倒れてしまう。
「っ……シャワーズ、よくやった。休んでてくれよ」
シャワーズをボールに戻し、セドニーは次のボールを手に取り、ライロウの方に向き直る。
「ったく、なんつー威力だ。炎技が弱点で、なおかつ弱いポケモンなら、跡形もなく消し飛んじまうんじゃねえか?」
「そんな可能性のあるポケモンにはこの技は使わねえよ。フルパワーでこれを使ったってことは、お前はそれに値するだけの相手ってことだ。誇りに思えよ」
「ハンッ、何を偉そうに」
鼻で笑うと、セドニーは次のポケモンを繰り出す。
「任せたぞ、サーナイト!」
セドニーの三番手となるポケモンはサーナイトだ。
「おや? 聞いてる情報と違うな。普段はボールから出していると聞いているが」
「お前らが攻めてくるような状況で、わざわざ外に出しておけるかよ。襲撃を受けて怪我でもしたらどうすんだ。あとこいつを傷つけたらマジでぶっ殺すからな」
一通り言いたいことを言い終えると、軽くセドニーは息を吐き、
「そんじゃ行くか! サーナイト、ムーンフォース!」
サーナイトが両手に白い光を灯し、その光を上空に打ち上げる。
その光は一瞬白く輝く月を形作り、次の瞬間、聖なる光が光線のようにベタデームに降り注ぐ。
「来たか! ベタデーム、オーバーヒート!」
ベタデームは再び爆炎を撃ち出すが、オーバーヒートは連続して放つと威力が下がる。
爆炎は打ち消され、聖なる光がベタデームを捉えた。
「サーナイト、十万ボルトだ!」
手をかざし、サーナイトは高電圧の強力な電撃を放つ。
再びベタデームに直撃、効果抜群の一撃がベタデームの体力を削り取り、戦闘不能にする。
「ベタデーム、よくやった。後は後続に任せろ」
ベタデームをボールに戻し、ライロウは次のボールを取り出す。
「もう一回行ってきな、ハガネール!」
ライロウのポケモンは、先ほどフワライドを倒したハガネール。
「調べは付いてるんだぜ。そのサーナイトが持つフェアリータイプは、鋼タイプが弱点だそうじゃねえか」
「ちっ、知ってんのかよ。黙っとこうと思ったんだがな」
「『ブロック』の情報網を甘く見てもらっては困るな。まあお前らに比べれば劣るかもしれねえが」
「まあな。こっちにはソライトっつう最強の頭脳がいるからな」
対峙するライロウとセドニー。
その表情に、焦燥はない。