二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百五十話 砂嵐 ( No.294 )
- 日時: 2015/02/14 20:34
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
「おやシーアス、お帰りなさい。モニターから見ていましたよ、惜しかったですね」
バトルから戻って来たシーアスを、上司ソライトが迎える。
「うぅ、ごめんなさいソライト様。どうにか少女の方とは引き分けましたが、副統率を消耗させられませんでした」
「構いませんよ。例えあのカイリキーに勝っていたとして、副統率のブレイオーに瞬殺されていたでしょう。正直、私でもあの男には勝てる自信がありません」
それよりも、とソライトは続け、
「やはり私一人だと、作業の効率が落ちてしまいます。シーアス、貴女も引き続き先ほどの仕事を手伝ってください。奴らがここに辿り着くまでには完成させたいところです」
「はいっ、了解です!」
一礼し、シーアスは自分の作業場所に向かう。
「優秀な部下を持てて、私は幸せですねぇ。さて、あともう一息、頑張るとしますかね」
一息つき、ソライトも引き続き機械に手を掛ける。
「サーナイト、サイコキネシス!」
「ハガネール、アイアンテール!」
サーナイトが強い念力を操り、念力の波を放つが、ハガネールの尻尾の強烈な一振りが念波を容易く打ち消す。
「地震だ!」
さらにハガネールは尾を床に叩きつけ、床を大きく揺らして衝撃波を起こす。
「サーナイト、躱してムーンフォース!」
念力で浮かび上がり、サーナイトは地震の衝撃波を躱す。
さらに、宙に浮かんだサーナイトが上空に白い光を打ち上げる。
光は満月を一瞬形作り、無数の光弾となってハガネールへ降り注ぐ。
「構うな! ハガネール、氷の牙!」
体に打ちつけられる光弾をものともせず、ハガネールは太く鋭い氷を歯に纏わせ、大口を開けてサーナイトに迫る。
本来威力は飛び抜けて高い訳でもない技だが、この巨体から繰り出されるとなれば相応の迫力と、それに見合った力強さがある。
「噛み砕かれるのはごめんだな。サーナイト、気合玉!」
サーナイトは気合を両手に溜め込み、凝縮して作り上げた波動の弾を、ハガネールの口に狙いを定めて撃ち出す。
「ん! ハガネール、砕け!」
氷を纏った牙で気合玉に噛みつき、ハガネールは気合玉を破壊する。
「サーナイト、サイコキネシス!」
その隙を狙い、サーナイトが強い念力を操作し、念力の波を放ってハガネールを押し戻す。
「ちっ、流石に硬いな。気合玉が通らないと、まともにダメージも入れられなさそうだ」
本来ハガネールは特防はそこまで高くもないのだが、ライロウの個体はかなり鍛えられているようだ。
「さあ、ガンガン攻め込むぜぇ! ハガネール、アイアンテール!」
ただでさえ硬い尻尾をさらに硬化させ、ハガネールは巨大な棍棒のような尻尾を振り下ろす。
「サーナイト、躱して気合玉だ!」
サーナイトはテレポートで瞬時に尻尾を躱し、両手を構えるが、
「アクアテール!」
水を纏ったハガネールの尻尾が横薙ぎに振るわれ、サーナイトを叩き飛ばす。
「マジかよ! サーナイト、大丈夫か?」
吹き飛ばされたサーナイトは、尻尾が直撃した横腹をさすりながら立ち上がる。
「よくもやってくれたな! サーナイト、気合玉だ!」
サーナイトが再び両手を構え、気合を凝縮した波動の弾を今度こそ撃ち出す。
「ハガネール、砕け。氷の牙だ!」ハガネールが牙から長く鋭い氷を伸ばし、大口を開ける。
だが、
「サーナイト、サイコキネシス!」
サーナイトが強い念力を操作し、操りの念力を発生させる。
狙いは、ハガネールの牙——ではない。
気合玉を念力で操り、ハガネールの氷の牙を避けさせ、その額に気合玉を叩き込む。
「さあ! サーナイト、ムーンフォース!」
サーナイトは白く煌めく光を頭上に打ち上げる。
光は一瞬だけ月を形作り、今度は一筋の光線となり、体勢が崩れたハガネールへ降り注ぐ。
「くっ! ハガネール、ここは耐え切れ!」
輝く光線の直撃を食らうが、ハガネールはそれを耐えきり、体勢を立て直してその目にサーナイトを捉える。
「ハガネール、反撃だ! アイアンテール!」
「サーナイト、受け止めろ。サイコキネシス!」
ハガネールがダイヤのように硬い鋼の尻尾を振り下ろすのに対し、サーナイトは両手を突き出し、念力を両手に集中させてハガネールの尻尾を食い止める。
双方の技がぶつかり合い、激しく拮抗する。
「ディザソル、辻斬り!」
吹き荒れる砂嵐をものともせず、ディザソルは一瞬のうちにカバルドンへ一気に近づき、額の双刃を振るう。
しかしこのカバルドン、非常に打たれ強いようだ。
立て続けの斬撃を食らっても全く怯まずに、ディザソルの行方を目で追い続ける。
「カバルドン、グランボールダ」
カバルドンの周囲から大量の大きな岩が出現し、ディザソルを押し潰す如き勢いで向かってくる。
「ディザソル、神速!」
ディザソルが超スピードで飛び出す。
襲い来る岩すら足場とし、残像すら残るほどのスピードでカバルドンに激突する。
「余裕ですね。カバルドン、サンドソニック」
背中から吹き出した砂に衝撃を与え、カバルドンは地を這う二対の衝撃波を放つ。
「ディザソル、サイコカッター!」
ディザソルは額の二枚の鎌から念力の刃を放つ。
「火炎放射だ!」
サイコカッターで衝撃波を相殺し、さらにディザソルは口から灼熱の業火を吹き出す。
「カバルドン、耐えなさい。グランボールダです」
灼熱の炎をまともに浴びても、カバルドンは少し顔をしかめるのみ。
すぐに周囲から大量の岩を起こし、全てを一斉にディザソルへ向かわせる。
「ディザソル、全て躱せ! 神速だ!」
ディザソルが目にも留まらぬ超スピードで動く。
岩と岩の僅かな隙間を一瞬のうちに通り抜け、カバルドンの前に飛び出し、
「辻斬り!」
その一瞬ののちには姿を消し、カバルドンの背後まで回り込むと同時に二本の鎌を振るい、
「ディザソル、サイコカッター!」
さらに鎌に念力を纏わせ、二枚の念の刃を飛ばす。
「カバルドン、噛み砕く」
しかし念の刃は、カバルドンの大口に噛み砕かれてしまう。
「非常に機動力に長けているようですね。今のところはまだまだ余裕ですが、このままバトルが長引けばこちらが先に力尽きてしまうのは明白です……それでは」
こうしてみましょうか、とオパールは続ける。
ほんの僅かに、その口元が緩む。
「カバルドン、砂嵐です」
周りの砂を飲み込み、カバルドンが背中の全ての穴から、大量の砂を吹き出す。
(砂嵐!? 既にフィールドは砂嵐が吹き荒れてる以上、それを指示する意味はない。ってことは、何か来るな!)
意図が読めない指示に身構えるレオとディザソル。
カバルドンが吹き出した砂は上空で巨大な竜巻を作り上げ、ディザソルへと叩きつけられる。
「ッ!? ディザソル、神速だ!」
残像が残るほどのスピードで、ディザソルはカバルドンの背後へと回り、砂の竜巻を回避する。
(こんな大技を隠し持ってたのか……! サンダースといい、こいつは技の応用が得意みたいだな。でも単発の技であれば、こいつの機動力なら恐れることは——)
「おや、よく躱しましたね」
オパールの言葉が、レオの思考を中断させる。
「でしたら、こうしましょうか? カバルドン、砂嵐!」
再びカバルドンは背中から大量の砂を吹き出す。
しかし今度は先ほどと違う。吹き上げられた砂は三つの竜巻を形作り、それらが順番にディザソル目掛けて撃ち出される。
「マジかよ……っ! ディザソル、躱すぞ! 神速だ!」
再び超スピードを発動するディザソルだが、竜巻が小さい分先ほどよりも早い。
一発目、二発目を躱すが、三発目の竜巻を躱しきれず、吹き飛ばされてしまう。
「くっ、ディザソル、大丈夫か?」
ディザソルは立ち上がり、まだまだやれると頷く。
(流石は天将一位だな。予想もしない技や戦法を使うだけじゃなく、それをここぞってところで使ってくる。最後にまだ一体控えてるし、一瞬の油断も出来ないぞ)
「さあ、バトルを続けます。私を超えなければ、真実を確かめることは出来ませんよ」
「分かってるよ。一度見た技なら怖くない。勝つのは僕だ」
相変わらず考えの読めない穏やかな表情を浮かべ、オパールはレオの目を見つめる。
対するレオも一歩も引かず、オパールとカバルドンを見据える。