二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百五十一話 一角 ( No.295 )
日時: 2015/02/25 11:43
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドが両腕の刃に念力を纏わせ、念の刃を連続で二発放ち、さらにその刃を追うように飛び出す。
「グライオン、スカイアッパー!」
グライオンも両腕の鋏を振り上げ、刃を粉砕するが、
「リーフブレード!」
淡い光を放つ刃を構えたエルレイドがすぐそこまで迫る。
「グライオン、受け止めなさい!」
両鋏で刃を挟み、グライオンはエルレイドの刃を何とか受け止める。
「ならばエルレイド、インファイト!」
エルレイドは両腕を振り下ろし、グライオンを床へ叩きつける。
その衝撃でグライオンの鋏を引き剥がし、間髪入れずに苛烈な連続攻撃を叩き込み、最後に渾身の拳の一撃でグライオンを吹き飛ばす。
効果今一つだが、剣の舞により攻撃を高めているその火力は相当なものだ。
「グライオン、反撃ですよ! 地震です!」
グライオンは立ち上がると、尻尾を床に叩きつけて地面を揺らし、衝撃波を飛ばす。
「エルレイド、躱してリーフブレード!」
大きく跳躍し、エルレイドは衝撃波を躱す。
両腕の刃を伸ばし、上空から斬りかかろうとするが、
「グライオン、アクロバット!」
グライオンは軽やかな動きで一気にエルレイドの背後まで回り、鋏を振り抜く。
「っ、エルレイド、後ろだ!」
空中で腕を後ろに振るい、どうにかグライオンの鋏を止めるが、
「スカイアッパーです!」
続くもう片腕の鋏には対応出来ず、アッパーを食らって打ち上げられる。
「グライオン、もう一度アクロバットです!」
吹き飛ぶエルレイドに先回りし、グライオンは今度こそ鋏を振り下ろし、エルレイドを叩き落とす。
「グライオン、地震!」
すぐさまグライオンは急降下し、床に落ちたエルレイドへ鋏を叩きつける。
「そうはいかない! エルレイド、リーフブレード!」
床に倒れたままエルレイドは両腕の刃を伸ばし、身を守るように腕を交差させ、どうにかグライオンの鋏を食い止める。
「グライオン、アクロバット!」
「エルレイド、サイコカッター!」
グライオンが立ち上がったエルレイドの背後まで回るが、エルレイドは鋏を躱し、念力を纏った刃でそのまま斬りかかる。
「グライオン、スカイアッパー!」
グライオンは右鋏を勢いよく振り上げ、エルレイドの刃を迎え撃つ。
激しく拮抗するが、威力は互角。やがてお互いに一旦離れる。
「そろそろ決めたいところだな! エルレイド、リーフブレード!」
「真っ向勝負ですか! グライオン、スカイアッパー!」
エルレイドが両肘の刃を伸ばし、自然の力を込めた淡く光を放つ刃を携え、床を蹴って飛び出す。
対するグライオンも両鋏を固く閉じ、翼膜を開き、一直線に飛ぶ。
お互いの技が、正面から激突する。
まさにその直前。

「グライオン、アクロバット!」

尻尾で床を蹴って飛び上がり、グライオンはエルレイドの刃を躱す。
「……っ! エルレイド、後ろだ!」
咄嗟にロフトが指示を出すが、時すでに遅し。
空中で宙返りし、背後を取り、両鋏でエルレイドを叩き飛ばした。
効果抜群の一撃を食らい、エルレイドは吹き飛ばされて床に落ちる。
目を回し、既に戦闘不能となっていた。



「マニューラ、氷柱落とし!」
マニューラが打ち上げた冷気が無数の氷柱となり、体勢を崩したテイルーンに降り注ぐ。
「テイルーン、全て躱せ」
少しふらついていたテイルーンだが、それでも持ち前のスピードを生かし、氷柱を次々と躱していく。
しかし、
「マニューラ、辻斬り!」
一本の氷柱に乗ったマニューラが、鉤爪をテイルーンへ突き刺す。
「サイコパンチ!」
さらにマニューラは拳に念力を纏わせ、動きが止まったテイルーンを殴り飛ばす。
「……テイルーン、立て直せ。十万ボルト」
「遅い! マニューラ、辻斬り!」
テイルーンがマニューラから距離を取り、高電圧の強烈な電撃を放とうとする。
しかしそれよりも早くマニューラがテイルーンとの距離を詰め、その鉤爪を振りかざす。
「テイルーン、躱してブレイブバードだ」
十万ボルトを中断し、テイルーンは素早く後ろへ退き、背後の雲を鳥の形に変えると共に青い炎のオーラを纏い、マニューラへ突貫する。
スピード特化のマニューラでも流石に躱せず、直撃を受けて吹き飛ばされる。
「テイルーン、十万ボルト」
「マニューラ、サイコパンチ!」
吹き飛ばされたマニューラは受身を取って起き上がり、撃ち出された高電圧の電撃を、念力のこぶしで迎え撃つ。
「テイルーン、影撃ちだ」
「マニューラ、もう一度サイコパンチ!」
影に身を隠し、テイルーンはマニューラの背後から襲撃を仕掛ける。
だがそれを予測していたマニューラは拳に念力を纏わせ、テイルーンの攻撃を受け止める。
「だんだん余裕が無くなって来てるんじゃない? マニューラ、氷柱落とし!」
大きく跳躍し、マニューラは冷気を放って無数の氷柱を落とす。
「テイルーン、ブレイブバード」
青い炎のオーラを纏い、テイルーンは降り注ぐ氷柱の中へ突撃する。
氷柱を突破し、その上にいるマニューラ諸共吹き飛ばす。
「あら、そう来るのね」
はずだったのだが。

「いくつか反撃を予測していたけど、その手はちょっと悪手じゃないかしら?」

氷柱の上に、マニューラはいなかった。
「マニューラ、辻斬り!」
ジンがそれに気づいた、その刹那。
マニューラが飛び出し、一瞬で両手の鉤爪を二度振るう。
狙い澄ました鉤爪で切り裂かれ、テイルーンはゆっくりと地に落ちる。
床に着いた時には、既にテイルーンは戦闘不能だった。
「……ここまでか。テイルーン、戻って休め」
テイルーンをボールに戻し、ジンはアスカの方を向きもせず、そのまま立ち去ろうとするが、
「待ちなさいよ」
マニューラを控えさせたまま、アスカが詰め寄る。
「倒した敵をここで逃すわけないでしょ。ここで捕まってもらおうかしら」
「……」
少しだけジンはアスカの方を振り返り、懐から小さな機械を取り出し、そのボタンを押す。
直後。
天井から鉄の壁が落ち、アスカとジンを分断してしまう。
「っ! 出て来なさいゴウカザル、気合玉! マニューラ、サイコパンチ!」
咄嗟にアスカはゴウカザルを繰り出し、気合玉を撃たせ、さらにマニューラも念力の拳を飛ばす。
鉄の壁が音を立てて崩れ落ちるが、すでにジンはどこにもいなかった。



「ミカルゲ、岩石封じだ!」
オニゴーリの行く手を遮るように、ミカルゲは何重にも岩をばら撒く。
「それくらいで止められると思ってんのかぁ!? オニゴーリ、突き進め!」
立ち塞がる岩をいとも容易く噛み砕き、オニゴーリはその奥にいるミカルゲへ一直線に突き進む。
しかし、
「影撃ちだ!」
その岩の先にはすでにミカルゲはいない。
オニゴーリの背後から姿を現し、襲い掛かる。
「効かねえっつってんだろうが! オニゴーリ、氷柱落とし!」
「ふふ、だがダメージが通っていないわけではないだろう? ミカルゲ、不意打ちだ!」
オニゴーリが攻撃に入る直前、ミカルゲがオニゴーリの背後に回り、一撃を浴びせる。
だがオニゴーリは怯まず上空に冷気を打ち上げる。
冷気は急速に凝固して無数の巨大な氷柱となるが、今回オニゴーリが打ち上げた冷気はオニゴーリの真上。
「そいつを逃がすなよ! オニゴーリ、噛み砕く!」
要石に噛みつき、オニゴーリはミカルゲの動きを止める。
つまり。
巨大な氷柱が、ミカルゲだけでなくオニゴーリ本人にも襲い掛かってくる。
オニゴーリの顎から抜け出せず、ミカルゲに氷柱が次々と突き刺さる。
同時に、オニゴーリにも氷柱の雨が打ちつけられる。
「オニゴーリ、吹き飛ばせ! ダイヤブラスト!」
無数の氷柱を浴びても、オニゴーリは体勢を崩さない。
口を開くと同時に青白く煌めく爆風を周囲へ放ち、ミカルゲを吹き飛ばす。
「道連れもあるからな、倒し切らない程度にじわじわ追い詰めてくぜ。氷柱落とし!」
オニゴーリがミカルゲの真上に冷気を打ち上げ、無数の氷柱を落とす。
「むぅ、ミカルゲ、影撃ち!」
すぐに回避は出来ないこの体勢で、ミカルゲが出来る行動はこれしかない。
影を伸ばして潜り込み、氷柱を躱し、オニゴーリの背後から

「絶対零度!」

姿を現したその瞬間。
オニゴーリが振り向き、絶対零度の氷の砲弾を放つ。
着弾した刹那、周囲が凍りつき、ミカルゲを絶対零度の氷の中に閉じ込めてしまう。
「一丁上がりだ。あんなこと言ってた直後に絶対零度を使ってくるとは思わなかっただろ? これだからこういう騙し討ちはやめらんねえぜ。ギャヒャヒャヒャ!」
満足そうにメジストは高笑いする。
「むー、これは一本取られたよ。ミカルゲ、よくやった。ゆっくり休んでいろ」
ミカルゲをボールに戻し、セイラは新しいエースが入った、最後のボールを手に取る。
「さて行くか。相手は強敵だが、確実に勝ってくれよ」
モンスターボールが、開く。

「こいつに勝てるか? 出て来い、ヒョウカク!」

セイラの最後のポケモンは、白く美しい体に、銀色に輝く長い尾ビレを持つ魚のようなポケモン。
頭部は非常に硬く、額からは金色の鋭く長い角が生えている。
一角ポケモンのヒョウカク。氷タイプだ。
「ヒョウカクか。珍しいポケモンだが、オニゴーリとの相性がいいわけでもねえ。どれくらいの力があるのか、見せてもらおうじゃねえか」
「ふふ、いいだろう。ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクが動く。
尾ビレで床を蹴って飛び上がり、ドリルのように高速回転しながら突撃する。
「正面突破なら好都合! オニゴーリ、絶対零度!」
だが。
オニゴーリが絶対零度を放つ隙など与えず、ヒョウカクのドリルの如く重い一撃がオニゴーリを捉え、吹き飛ばした。
「っ、速え……! オニゴーリ、ダイヤブラスト!」
「そうはさせない。ヒョウカク、吹雪!」
オニゴーリが体勢を整え、青白く煌めく爆風を放つが、ヒョウカクが放つ猛烈な吹雪に掻き消され、
「もう一度ドリルライナー!」
次の瞬間には、高速回転するドリルの如き勢いでヒョウカクが突撃し、オニゴーリに迫って来る。
顔のど真ん中に直撃し、オニゴーリは再び吹っ飛ばされ、戦闘不能となった。
「ハッ、思ってたよりやるじゃねえの。オニゴーリ、休んでな」
オニゴーリを戻し、メジストは凶悪な笑みを浮かべる。
「そうこなくっちゃなあ! この俺様とまともに戦おうってんだ、それくらいの力があってこそ、俺様の相手をするのに相応しいってもんだよなあ! ギャヒャヒャヒャヒャ!」
狂ったような高笑いをあげ、メジストは最後のボールを手に取る。
「さあて、俺様のエースだ。覚悟はいいな?」