二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百五十三話 流儀 ( No.297 )
- 日時: 2015/03/13 14:10
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「ハガネール、アクアテール!」
ハガネールの尻尾とサーナイトの念力が激しく拮抗するが、ハガネールの尻尾がさらに水を纏い、より勢いをつけて振り下ろされる。
念力を打ち破り、サーナイトを吹き飛ばす。
「ハガネール、氷の牙!」
ハガネールが牙から長く鋭い氷を伸ばし、大口を開けてサーナイトに食らいつく。
「マジかよ! サーナイト、気合玉!」
吹き飛ばされながらも、サーナイトは右手にありったけの気合を溜め込み、ハガネールへ投げつける。
「噛み砕いてアイアンテールだ!」
しかし、ライロウの方が一枚上手だった。
ハガネールが気合玉を氷の牙で噛み砕き、体を大きく捻って鋼鉄よりさらに硬く巨大な尻尾を振り抜き、サーナイトを叩き飛ばした。
「っ!? サーナイト!」
効果抜群の一撃を食らって勢いよく壁に叩きつけられ、サーナイトは戦闘不能となってしまった。
「サーナイト、大丈夫か? よく頑張ったな、ゆっくり休んでてくれよ」
サーナイトに駆け寄り、その頭を撫でながら、セドニーはサーナイトをボールに戻すと、ライロウの方に向き直る。
「よくもやってくれたじゃねえか。ムカついた、こうなりゃもう容赦しねえ! 俺の切り札で叩き潰してやるぜ!」
セドニーが大きく目を見開く。その瞳から、さらなる翠の光が漏れ出す。
「碧天に火花を散らせ、バジリール!」
セドニーの最後のポケモンは、碧天将の切り札、バジリール。
「悪いが、叩き潰されるのはそっちだ! ハガネール、アイアンテール!」
雄叫びを上げ、ハガネールが鋼鉄よりさらに硬い尻尾を思い切り振り下ろす。
「ほざけ。バジリール、大成長!」
バジリールの足元から、大量の太い蔦が飛び出す。
ハガネールの尻尾に絡みつき、瞬く間にその動きを食い止めてしまう。
「ちっ、ならハガネール、氷の牙!」
「バジリール、もう一度大成長!」
ハガネールが牙から鋭く長い氷を伸ばす。
だが、もう一度バジリールが足元から無数の蔦を放ち、氷を砕き、ハガネールを殴り飛ばし、鋼の巨体を床に叩きつけ、戦闘不能にする。
「……流石の火力だな。ハガネール、よくやった。戻って休んでいろ」
ハガネールをボールに戻し、ライロウは最後のボールを取り出す。
「それじゃあ、俺も切り札を出すか。ぶちかませ、ライチュウ!」
ライロウの最後のポケモンは、エースのライチュウ。
「そいつがてめえのエースか。だが、タイプ的にはバジリールとの相性は悪いぞ」
「例え相性が悪くとも、相手の切り札にはこっちの切り札をぶつける。それが俺の流儀ってもんだ」
セドニーの言葉に対し、ライロウは笑みを浮かべてそう返す。
ライチュウも頬袋からバチバチと電気を発し、気合を高める。
「へえ。だったら、かかって来いよ。全力で来ねえと、俺のバジリールには傷一つ付けられねえぞ」
セドニーの言葉に呼応し、バジリールも尻尾を激しく点滅させ、肩を回す。
ジバコイルが、黒い闇のオーラに覆われる。
「ロズレイド、ギガドレイン!」
その闇のオーラの中に、ロズレイドは花束から伸ばした棘だらけの鞭を撃ち込み、ジバコイルをがんじがらめに拘束する。
鞭が淡く発光し、ジバコイルの体力を吸い取る。
刹那。
「ジバコイル、大爆発!」
ジバコイルの赤い目が光を放ち、次の瞬間に大爆発を起こす。
「っ!? ロズレイド、離れなさい!」
ガーネットが叫ぶが、間に合わない。
そもそも、爆心地のすぐ近くにおり、さらにジバコイルに鞭を絡みつかせていた状態のロズレイドが無事でいられるわけがない。
爆発に巻き込まれて派手に吹き飛ばされ、壁に激突して戦闘不能となる。
「くっ、強引に倒しに来たわね。ロズレイド、よくやったわ」
「ジバコイル、よく頑張った。後はムクホークに任せとけ」
お互いにポケモンを戻し、最後のボールを手に取る。
「ここまで私と互角に戦えて来たことは評価してあげるわ。でも、私の最後の切り札に勝てるかしらね」
「当たり前だろ。俺たちは勝つぜ、どんなに強い敵が出て来てもな」
双方のエースが、ボールから現れる。
「緋天に舞い上がれ、フィニクス!」
「最後は頼んだぞ、ムクホーク!」
ホロのボールから勢いよくムクホークが飛び出し、ガーネットのボールからは火の粉を撒き散らしながらフィニクスがゆっくりと舞い上がる。
「行くぜ! ムクホーク、敵討ち!」
「迎え撃つわよ! フィニクス、大文字!」
倒れたジバコイルの無念を力に変え、ムクホークは翼を力一杯叩きつける。
対するフィニクスは煌々と燃え盛る巨大な大の字型の炎を撃ち出す。
互いの全力の一撃が、初っ端から炸裂する。
「カバルドン、サンドソニック」
「ディザソル、躱して辻斬り!」
カバルドンが背中から砂を吹き出し、地を這う砂の衝撃波を放つ。
対してディザソルはそれを躱しながらカバルドンに接近し、額の二対の鎌を振るう。
「カバルドン、グランボールダ」
斬撃を受けたカバルドンは痛みに顔を引きつらせるが、すぐさま周囲に大量の岩を浮かべ、ディザソルを押し潰すようにその岩を飛ばす。
「ディザソル、神速だ!」
目にも留まらぬスピードでディザソルは大量の岩を潜り抜け、そのままカバルドンへと突撃するが、
「ならばカバルドン、砂嵐です」
カバルドンが背中から大量の砂を吹き出し、竜巻を作り上げる。
一直線に迫って来たディザソルへ、竜巻を振り下ろす。
神速の勢いによって曲がることが出来ず、ディザソルは竜巻を叩きつけられ、大きく吹き飛ばされてしまう。
「これを待っていました。カバルドン、グランボールダ」
カバルドンが床を踏み鳴らし、大量の巨大な岩を浮かべ、吹き飛ぶディザソルへ向かわせる。
「まずい……! ディザソル、神速だ!」
最初の岩にどうにか張り付くことに成功し、ディザソルは神速を発動させ、何とか無数の岩を躱し切った。
「よく躱しましたね。ではカバルドン、サンドソニック」
「ディザソル、サイコカッター!」
カバルドンが砂を吹き出して二対の衝撃波を放つが、ディザソルは念力を込めた鎌を振り抜き、衝撃波を破壊し、
「辻斬りだ!」
さらに一瞬でカバルドンとの距離を詰め、カバルドンを切り裂く。
「最初はやけに硬い難敵だと思ったけど、まあ確かに硬いとはいえ、思ってたほどではないみたいだな。ダメージが溜まっているのが見えるぜ」
最初のうちは攻撃を食らってもびくともせず、目を少し細めるくらいだったカバルドンが、今は明確な痛みを表情に表すようになっている。
「そうですね。そのディザソルの攻撃力が予想以上だったのもありますが、確実にダメージは蓄積しているようです」
ですが、とオパールは続け、
「それはそちらも同じなのでは? 寧ろ砂嵐がある分、そちらの方が消耗しているようにも見えるのですが」
カバルドンと違い、ディザソルは砂嵐によって少しずつ体力を奪われている。
そう考えると、体力がより削れているのはディザソルかもしれない。
「確かにな。だからもうそろそろ決めたいところだぜ。ディザソル、火炎放射!」
「そうは行きません。カバルドン、サンドソニック」
ディザソルが放つ灼熱の業火を、カバルドンは砂の衝撃波で相殺する。
「ディザソル、サイコカッターだ!」
額の鎌に念力を纏わせ、素早く鎌を振り抜いてディザソルは二本の念力の刃を飛ばす。
「辻斬り!」
サイコカッターのすぐ後を追うように、ディザソルは一気に距離を詰める。
念力の刃が命中、さらにディザソルの鎌がカバルドンを切り裂く。
「カバルドン、噛み砕く」
その直前。
カバルドンが大口を開き、目にも留まらぬスピードでディザソルの鎌に噛み付いた。
「っ、しまった……! ディザソル、抜け出せ! サイコカッターだ!」
「無駄です。このカバルドンの顎の力にはどうやっても勝てませんよ。カバルドン、投げ飛ばしてグランボールダ」
頭を大きく振ってカバルドンはディザソルを放り投げ、周囲に大量の岩を出現させ、ディザソルへ放つ。
今度は流石のディザソルでも躱せず、無数の岩の中に閉じ込められてしまう。
「終わりです。カバルドン、砂嵐」
カバルドンが背中の穴から砂を吹き上げ、一際巨大な竜巻を作り上げる。
その竜巻を、岩に囲まれて動けないディザソルへ叩きつける。
無数の岩を容易く粉砕し、ディザソルを叩き飛ばして壁に激突させ、ディザソルを戦闘不能にした。
「くっ……ディザソル、よく頑張った。休んでてくれ」
ディザソルをボールに戻し、レオは最後のボールを取り出す。
最後のポケモンを選ぶのに迷いはなかった。こいつしかいない。
「後はお前が頼りだ。頼んだぜ、ポッチャマ!」
レオの三番手は、エースのポッチャマ。レオの手持ちで一番小さいが、一番強いエースだ。
「やはりポッチャマで来ましたか。妥当な判断です。カバルドン、砂嵐」
カバルドンが再び砂を吹き上げ、竜巻を作り上げるが、
「遅い! ポッチャマ、スプラッシュ!」
水を纏ったポッチャマが水飛沫を上げながら猛スピードで突撃し、カバルドンの脳天に直撃する。
カバルドンが仰け反り、竜巻が霧散する。
「カバルドン、噛み砕く」
「させるかよ! ポッチャマ、水の波動だ!」
カバルドンがポッチャマを捕らえんと大口を開くが、その口の中にポッチャマは水の力を凝縮した波動の弾を放つ。
カバルドンの口の中で水の弾が炸裂し、カバルドンの巨体が吹き飛ばされる。
「とどめだ! ポッチャマ、スプラッシュ!」
再び水をその身に纏い、ポッチャマは突貫する。
水飛沫を散らしながらカバルドンに激突、効果抜群の攻撃を立て続けに食らって、カバルドンは戦闘不能となる。
「おやおや、思っていたよりも火力があるようですね。カバルドン、ご苦労様でした。戻ってお休みなさい」
カバルドンをボールに戻し、オパールは最後のボールを取り出しながらレオの方を向く。
「その小さい体にそこまでの攻撃力があるとは思いませんでした。やはり流石ですね」
「そりゃあ僕の頼れるエースだからな。油断してるとあっという間にやられるぞ」
「そのようですね。では、私も最後まで全力を持ってお相手いたしましょう」
オパールが手にしたボールを高く掲げる。
「最後は貴方です、フーディン」
オパールの最後のポケモンは、異質なポケモンだった。
顔は長い髭の生えた狐か何かのようにも見えるが、体格は人型。非常に細く華奢な体型をしており、両手にスプーンを持っている。
念力ポケモンのフーディン。エスパータイプで、強大な超能力と非常に高い知能を両立したポケモンだ。
「ちなみに、このフーディンの特性は珍しい隠れ特性のマジックガード。砂嵐のダメージを受けるのは、そちら側だけです」
「……なるほど。ポケモンの並びも計算されてるってわけか。でも、負けないぜ。勝つのは僕だ。最後の壁、僕が越えてみせる」
「いいでしょう。では、 私に貴方の全力を見せてください」
対峙するポケモンはお互い最後の一体。
N・E団の真実を知る戦いの、最終楽章が始まる。