二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百五十八話 到来 ( No.303 )
- 日時: 2015/04/20 22:30
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: 某漫画リスペクト。
「行くぞ! ポッチャマ、水の波動!」
先攻を取ったのはポッチャマ。
溜め込んだ水の力を、波動の弾として撃ち出す。
「フーディン、シャドーボール」
対するフーディンは影を集めた黒い弾を放ち、水の波動を打ち消す。
「攻撃力じゃ負けてないな。っし、ポッチャマ、冷凍ビーム!」
水の波動が相殺されると、すぐさまポッチャマは冷気の光線を放つ。
「フーディン、躱してダイヤブラスト」
座禅を組んで超能力で浮かび上がり、冷気の光線を躱すと、フーディンは手にしたスプーンを掲げる。
同時にダイヤのように青白く煌めく爆発が起き、爆風がポッチャマを襲う。
「くっ、ポッチャマ、連続で水の波動!」
爆発で吹き飛ばされるが、素早く受身を取って起き上がり、ポッチャマは水の力の波動を連続で放つ。
しかし狙いはフーディン本体ではない。
フーディンの周囲を取り囲むように波動を放って、その逃げ道を塞ぎ、
「ドリル嘴!」
本命はこっち。
嘴を伸ばし、高速回転しながらポッチャマが突撃する。
水の波動の真ん中を潜り抜け、逃げ道のないフーディンへ突撃する。
対して。
「なるほど、いい戦法です。ですが」
オパールが、次の手に出る。
「フーディン、フラッシュです」
スプーンを突き出し、フーディンが強い光を放つ。
薄暗いホール全体を眩しく照らすほどの光を至近距離で受け、ポッチャマの目が眩んで動きが止まる。
「フーディン、シャドーボール」
オパールがその隙を逃すはずもなく、フーディンの放った影の弾がポッチャマに直撃する。
「マジかよ……! ポッチャマ、大丈夫か?」
ポッチャマは起き上がり、問題ないと言うように頷く。
「ちっ、いい戦法だと思ったんだけどな……!」
「発想自体はいいと思いましたね。しかし、私が貴方の戦術を上回っていた」
「へっ、まだ最初の戦術を潰されただけだ。これで終わりなんて思ってると痛い目見るぞ。ポッチャマ、切り替えていくぞ! スプラッシュ!」
ポッチャマが水を纏う。
水飛沫を上げながら、猛スピードでフーディンへ突っ込む。
「フーディン、ダイヤブラスト」
フーディンの周囲に爆発が起き、爆風が周囲をなぎ払うが、
「そう来ると思ったぜ! ポッチャマ、飛び上がって水の波動!」
ダイヤブラストを予測していたポッチャマが大きく飛び上がる。
爆風を躱して、真上から水の波動をフーディンへと叩き込む。
「やりますね。フーディン、シャドーボール」
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
素早く体勢を整え、フーディンが影の弾を放つ。
同時に、ポッチャマも凍える冷気の光線を撃ち出す。
双方の技は激突し、互いに相殺される。
「スプラッシュ!」
巻き上がる煙の中を、水を纏ったポッチャマが突き進む。
水飛沫を上げながら、フーディンとの距離を詰めていく。
「フーディン、サイコキネシス」
強い念力を発生させ、フーディンはその念力を衝撃波にして飛ばす。
「だったら、躱して冷凍ビーム!」
衝撃波を躱してポッチャマは飛び上がり、凍える冷気の光線を放つ。
「サイコキネシスです」
フーディンが今度はスプーンに念力を溜め込み、冷気の光線を防ぐ。
とはいえ完全な防御は出来ず、直撃は防いだものの、体の一部が氷に覆われる。
「これくらいはどうということはありません。振り払いなさい」
念力で氷を剥がすと、座禅を組んで再びフーディンは浮き上がる。
「シャドーボールです」
フーディンが両手のスプーンを突き出し、その先端から連続で影を集めた黒い弾を次々と撃ち出す。
「数はすごいが、全部弾き返してやるぜ! ポッチャマ、その場でドリル嘴!」
嘴を伸ばして真上を見上げ、ポッチャマはその場でドリルのように高速回転する。
回転によってシャドーボールを片っ端から弾き、フーディンへとはね返す。
「受け止めましょう。サイコキネシス」
構えを崩さず、両手のスプーンから念力を放ち、フーディンは逆に自分へと向かってくる影の弾を容易く止めるが、
「そこだ! ポッチャマ、そのまま突っ込め!」
フーディンの両手が塞がったその隙を狙い、ポッチャマはドリル嘴で特攻を仕掛ける。
動きの止まった影の弾の間を突き進み、一気にフーディンへと迫る。
「回避する余裕はありません、シャドーボールを潰しなさい。そしてダイヤブラスト」
念力を強めて影の弾を破壊し、フーディンはさらにポッチャマを迎撃すべく動くが、爆風を放つよりも早くポッチャマの嘴がフーディンを捉えた。
ドリルの如き嘴がフーディンを抉るように突き、吹っ飛ばす。
「まだ終わらないぜ! 水の波動!」
吹き飛ぶフーディンへ、ポッチャマはさらに水の力を凝縮した波動を撃ち出す。
「フーディン、サイコキネシスです」
体勢を崩しながらも、フーディンは念力を操作する。
万全の念動力は出せなかったものの、水の波動に念力を掛け、軌道を逸らして何とか回避する。
「冷凍ビーム!」
「ダイヤブラストです」
さらにポッチャマが凍える冷気の光線を放って追撃を掛けるが、その一撃は体勢を立て直したフーディンの煌めく爆風によって防がれる。
「そろそろ調子づいてきたようですね。最初と比べて格段に動きがよくなっているように見えます。流石は主が注目する人物」
ですが、とオパールは続け、
「ここまででそのポッチャマの動き、技は大体把握しました。加えて、ここまでの三体による戦闘で、貴方のバトルスタイルも把握。ここからは、より厳しい戦いになりますよ」
「それはどうかな。こっちもそのフーディンの技は全て確認したし、どんな戦法を取ってくるかもある程度分かった。条件は互角だぜ」
「そうですか」
レオの返答を聞いた上で、表情一つ変えずにオパールは告げる。
「では、知能指数5000を超える、私のフーディンの全てを計算され尽くした戦術を超えて見せてください」
刹那、フーディンが動く。
「シャドーボールです」
再びスプーンを突き出し、次々と影の弾を放つ。
「知能指数5000、確かに圧倒的だけど、それがどうした! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマが嘴を伸ばして高速回転する。
シャドーボールなら怖くない。ドリル嘴によって弾き飛ばし、フーディンとの距離を一気に詰められる。
ここまでは先ほどと同じ。だが、
「サイコキネシスです」
フーディンが強い念力を発生させる。
念力を仕掛ける対象は、ポッチャマではなく、自らが放ったシャドーボール。
それら全てを一箇所に集め、巨大な影の弾を作り上げる。
「どうってことないぜ! ポッチャマ、突き破れ!」
対してポッチャマはそのまま影の弾の中に突っ込む。
巨大シャドーボールを貫き、フーディンの目の前に迫る。
「フラッシュです」
「甘い! 水の波動!」
フーディンのスプーンから眩い光が放たれるが、それを予期していたレオの指示によってポッチャマはその場から離れ、水の波動を放った。
眩しいとはいえただの光。水の波動にとっては、何の障害にもならない。
しかし。
「ダイヤブラストです」
光に隠れていつの間にかポッチャマへの後ろへと回り込んでいたフーディンが煌めく爆風を放ち、ポッチャマを吹き飛ばす。
「一度見た戦法を忘れるほどあなたは愚かではない。そんな貴方がフラッシュを警戒することなど、読めていましたよ。フーディン、サイコキネシス」
フーディンは強い念力を操作し、ポッチャマへと念力を仕掛け、その動きを完全に掌握してしまう。
「ようやくこの状況を作れましたよ。フーディン、振り回して壁に叩きつけなさい」
フーディンが両手のスプーンを指で回転させる。
見えない糸でも付いているかのように、ポッチャマが抵抗することも出来ずに空中を振り回される。
やがてフーディンがスプーンを突き出し、ポッチャマはその方向に投げ飛ばされ、壁に思い切り叩きつけられる。
「っ!ポッチャマ、大丈夫か!」
壁を凹ませ、ヒビが出来るほどの勢いで激突したポッチャマが、壁の破片と共に床へと落ちる。
まだ辛うじて体力は残っているらしく、起き上がろうとするが、
「残念、これで終わりです。フーディン、シャドーボール!」
フーディンがシャドーボールを一点に固める。
巨大な影の弾が、ポッチャマへと叩きつけられる。
「やばい! ポッチャマ、立ってくれ!」
レオの声が、響く。
巨大な影の弾が、ポッチャマに直撃する。
刹那。
爆発的な輝きが、影の弾を消し飛ばした。
「っ……?」
一点を見据える、オパールの目が細くなる。
「これは……!」
立ち上がったポッチャマを覆うのは、圧倒的な生命エネルギーが溢れ出す激しい光。
光に覆われたポッチャマのシルエットが、みるみるうちに変化していく。
頭身の高い、がっしりした姿のシルエットへ変化していくが、有り余るエネルギーがその変化をさらに進ませる。
体はさらに大きく、より頑強そうなものに変化し、翼もより大きく鋭くなる。
光がようやく収まった時。
非常に精悍な顔つき、紺色の体、鋼の刃が付いたような鋭く大きい翼、そして王冠を模す三つ叉の槍のような角を持つ、巨大なペンギンのようなポケモンがその場に立っていた。
皇帝ポケモン、エンペルト。水・鋼タイプを持つ、ポッチャマの最終進化系。
本来ポッチャマは途中進化であるポッタイシを経てさらにエンペルトへ進化するのだが、爆発的な進化エネルギーが、ポッチャマの進化を加速させたのだ。
「……エンペルト。遂に、遂に進化してくれたのか!」
レオの声に応えるようにエンペルトは僅かに振り向き、頷く。
同時に、エンペルトの体が青いオーラに包まれる。
体力を消耗したことで、特性の激流が発動したのだ。
「……まさか、まさかポッタイシを飛び越え、エンペルトまで最終進化してしまうとは。流石です、これも貴方たちの絆が成した奇跡なのでしょうね」
ようやくオパールが口を開く。
「ですが、私の優位は変わりません。エンペルトの戦術も貴方のバトルスタイルも、根本的なところは変わらない。私とフーディンの計算され尽くしたこの戦闘、例え進化というイレギュラーが起こったとして、結果は変わりなどしないのです」
「それはどうかな。エンペルト、ここまで来たらやることは一つだ。目の前の敵を打ち破るぞ。最後の壁を、超えてみせるぞ」
フーディンが両手のスプーンを構え、宙に浮かび上がる。
対するエンペルトは一歩進み出し、その鋭い瞳にフーディンの姿を捉える。