二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百六十二話 青海龍 ( No.309 )
- 日時: 2015/05/27 11:56
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: /48JlrDe)
突然提案された、リュードウとのジム戦。
リョーマとエフィシ、そしてライロウは、ネオイビル迎撃の準備に取り掛かるべく、既に部屋を出て行き、リュードウも先にジムへ向かった。
「とりあえず、挑戦の順番はどうする?」
「私は最後でいいぞ」
レオの言葉に真っ先に答えたのはセイラだ。
「正直、ジム戦にさほど興味はない。先に貴様たちが行ってくるといい」
「分かった。じゃ、あとは適当にじゃんけんでいいか」
レオの提案に頷くホロとアスカ。
じゃんけんの結果、今日行く一番目がアスカ、明日の二番目がレオ、三番目がホロとなった。
リョーマに休んでいていいと言われたので、ポケモンセンターの部屋を借りることにした三人。
ロビーでアスカを待っていると、日が暮れ始めた頃、ようやくアスカがポケモンセンターに戻って来た。
「お、アスカねーちゃん! ジム戦どうだった?」
ホロがアスカに駆け寄り、アスカは疲れた表情に笑みを浮かべて、バッジケースを取り出し、それを開く。
「ふふ、この通り。何とかリベンジ成功よ。それでもかなりギリギリだったけど」
そこには見事、八個目のバッジが填め込まれていた。
「おおー、すっげー! これでポケモンリーグへ出場出来るんだな!」
「まあね。あんたたち、これだけ教えてあげる。リュードウさんは強者揃いのドラゴンポケモンの使い手。あとは自分の目で確かめなさい。私は疲れたから休んでるわ」
そう言ってアスカはバッジケースを仕舞い、セイラの横に座る。
「ドラゴンポケモンか……。どれだけカッコいいポケモンが出て来るのか、今から楽しみだぜ! なぁ、レオにーちゃん!」
「ああ! 俄然燃えてきた、明日が楽しみだ!」
明日のジム戦に燃える二人を眺め、セイラがやれやれといった様子で首を振る。
「早くも燃え上がるのはいいが、明日までそれを保てるのか? ジム戦前に燃え尽きても知らないぞ」
「大丈夫だって! 今から楽しみでたまんないんだ! よーしホロ、今から食堂行くぞ!」
「オッケー! どっちが沢山食べられるか勝負しようぜ!」
言うが早いか、レオとホロはポケモンセンターの食堂へと走り去ってしまう。
「やれやれ。あのやる気と気力が三日後まで持ってくれるといいんだがな」
「まあ大丈夫よ。レオは昔からああいう奴だから」
残った女性陣二人は、顔を見合わせて小さく笑う。
ジム戦の日、レオは朝一でテンモンジムに向かった。
体調は万全。ポケモンもベストコンディション。
龍を模した大きな城、その最上階へ、レオは突き進んでいく。
「お願いします!」
大きく叫んで、レオは城の最上階、リュードウが待ち受ける部屋の扉を開ける。
壮大な龍が豪華に描かれた壁、四方に大きな龍像が立つバトルフィールド。
その向こう側、壁際にアルファベットのYのような独特の形をした銀色の西洋兜に同色の甲冑が立ち、その前には最後のジムリーダー、リュードウが立つ。
「よく来たな、待っていたぞ。名前は確か、レオだったな」
「はい。ホクリク最後のジムに、挑戦しに来ました!」
「いいだろう。バトルの前に言葉などいらぬ、早速始めるとするか。使用ポケモンは五体だ。準備はいいな?」
「はい! いつでもいけます!」
レオの言葉を聞き、リュードウは小さく頷き、モンスターボールを取り出す。
「では、行くぞ! 大海に臨め、ギャラドス!」
リュードウの一番手は、いきなりの大物。
東洋の青い龍のような姿をしており、その巨体は7メートルを超えるほど。
凶悪ポケモンのギャラドス。水・飛行タイプだが、その見た目はまさに巨大な龍。
「ッ、でかい……! 初っ端から、こんな大物か!」
しかし、恐れることはない。これより大きいポケモンを、レオは見てきている。
「でも倒してやるぜ。まずは頼んだぞ、レントラー!」
対するレオのポケモンはレントラー。
水・飛行のギャラドスに対し、電気は非常によく効く。
ギャラドスは大きく咆哮を上げ、それに負けじとレントラーも吼え、互いに相手を威嚇する。
「なるほど、よく育てられたレントラーだ。それでは、その力を見せてみよ!」
「上等です! レントラー、ギガスパーク!」
先攻を取ったレントラーが激しく破裂音を立てる巨大な電撃の砲弾を作り上げ、ギャラドス目掛けて撃ち出す。
「ギャラドス、ストーンエッジ!」
ギャラドスの周囲を、無数の白い光が舞う。
光は刃のように鋭い無数の岩を形作り、その岩が一斉に放たれる。
岩の刃が電撃の砲弾を破壊し、さらにレントラーを狙う。
「燃やせ! レントラー、怒りの炎!」
レントラーは憤怒の感情の如く激しく荒れ狂う炎を放ち、ストーンエッジを薙ぎ払う。
「炎など脅威ではない。ギャラドス、龍の舞!」
辺りを囲む炎など気にせず、ギャラドスは龍の力を込めて激しく舞う。
レントラーの威嚇で下がった攻撃力を戻し、さらにスピードを上げる。
「スプラッシュだ!」
ギャラドスが尾に水を纏わせ、その尾を振り回す。
放たれる水飛沫が、一瞬で辺りを鎮火する。
「では反撃と行こうか。ギャラドス、地震だ!」
ギャラドスが太い尾を床に叩きつける。
地面を大きく揺らして相手の動きを止め、衝撃波を飛ばす。
「レントラー、躱して氷の牙!」
しかし、ギャラドスが尾を振るう直前にレントラーは跳躍し、地震を躱す。
そのまま牙に長く鋭い氷を纏わせ、上空からギャラドスへ食らいつく。
「ギャラドス、スプラッシュ!」
ギャラドスの尾が再び水を纏う。
水飛沫を散らしながら大きく尾を振るい、レントラーを迎え撃つ。
レントラーの牙とギャラドスの尾が激突するが、氷の牙がギャラドスの尾に食い込み、水を徐々に凍りつかせる。
しかし、
「ギャラドス、地震だ!」
ギャラドスは怯みもせず、尻尾をレントラーごと地面に思い切り叩きつけ、効果抜群の一撃を与えて強引に引き剥がし、さらに、
「ストーンエッジ!」
ギャラドスの周囲を無数の岩の刃が舞う。
刃はレントラーに矛先を向けると、一斉に撃ち出される。
「くっ、レントラー、ギガスパーク!」
何とか体勢を立て直し、レントラーは巨大な電撃の砲弾を放つ。
無数の岩の刃は、電撃の砲弾に相殺される。
(やっぱり、攻撃ダウンはきついな……!)
ギャラドスの特性・威嚇によって、レントラーは攻撃力を下げられている。
それだけならお互いの条件は同じだが、ギャラドスは攻撃力を上げられる技、龍の舞を持っている。
そのせいで、どうしてもレントラーが押し負けてしまいやすい。
「……しょうがない。始まったばっかりだけど、レントラー、一旦戻ってくれ」
攻撃力の低下が辛いと判断し、レオはレントラーを一旦戻す。
「この手のパワータイプに対しては、こいつかな。頼んだぞ、ディザソル!」
交代でレオが繰り出したのはディザソル。
ギャラドスの攻撃は強力な分、大振りなものが多いので、ディザソルならその隙を突けるという判断だ。
「なるほど、二番手はディザソルか。先ほどのレントラーにも負けない強さを感じるぞ」
「ありがとうございます。実際、このディザソルも強いですよ」
「ほう、どんなものか楽しみだ。ギャラドス、ストーンエッジ!」
ギャラドスの咆哮とともに、その周囲に岩の刃が渦巻く。
ディザソルへと狙いを定め、岩の矛先を向けて一斉に撃ち出す。
「ディザソル、躱して辻斬り!」
持ち味の瞬発力を生かし、ディザソルは岩の刃を全て躱し、直後に一瞬でギャラドスとの距離を詰め、額の刃を振るってギャラドスを瞬時に二度切り裂く。
「……随分と速いな。ならばこちらも動こうか。ギャラドス、龍の舞!」
再びギャラドスは龍の力を得て激しく舞う。
さらに能力を上昇させて、ディザソルを見据え、
「スプラッシュ!」
初めてギャラドスが自分から攻撃に動く。
とぐろを巻いた体を伸ばすと、まるで蛇のように自らの体で瞬時にディザソルを囲い、ディザソルの逃げ場を封じて水を纏った尾を叩き込む。
「ッ! ディザソル、神速だ!」
対してディザソルは目にも留まらぬスピードで、ギャラドスの顔と尾の間の僅かな隙間を潜り抜け、何とか逃れる。
「ほう、この一手を躱すとは、なかなかやるな」
「へへっ。そんな動きも出来るとは、意外でしたけどね。巨体の割に随分と動きが速い」
「龍の舞によってスピードも上昇しているからな。ギャラドス、地震!」
「ディザソル、躱してサイコカッター!」
ギャラドスが尻尾を地面に叩きつけるが、ディザソルは跳躍して衝撃波を躱し、額の刃に念力を纏わせて二本の念の刃を飛ばす。
「ギャラドス、ストーンエッジ!」
ギャラドスの周囲に、無数の岩の刃が渦巻く。
無数の岩がギャラドスを守る盾となり、サイコカッターを防ぎ、
「撃ち出せ」
残った岩の刃が、ディザソル目掛けて発射される。
「撃ち落とせ! ディザソル、火炎放射!」
ディザソルは灼熱の炎を鞭のように振るい、無数の岩を撃墜する。
「スプラッシュ!」
「辻斬り!」
尾に水を纏わせたギャラドスが動くと同時に、ディザソルも地を蹴って飛び出す。
動きを封じようと襲い来るギャラドスの胴体を次々と掻い潜り、最後の尾の一撃を何とか躱し、そのすれ違いざまに額の刃を瞬時に二度振るい、ギャラドスを切り裂く。
「逃がすな! ギャラドス、地震!」
しかしギャラドスも怯まない。太い尻尾を地面に叩きつけて大地を揺らし、ディザソルの動きを止めて衝撃波で吹き飛ばす。
「ッ、流石です。ディザソルの辻斬りをまともに受けた状態で、すぐにそこまで動けるなんて」
「君のディザソルの動きも相当なものだ。これは面白いバトルになりそうだな」
まだ勝負は始まったばかり。
ギャラドスとディザソルも、双方の敵を見据えて睨み合う。
『テンモンシティジム ジムリーダー リュードウ 龍が如き者』