二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百六十三話 紫毒龍 ( No.310 )
- 日時: 2015/05/27 11:55
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: /48JlrDe)
「ギャラドス、ストーンエッジ!」
ギャラドスの周囲に白い光が迸り、無数の岩の刃が宙を舞う。
「ディザソル、サイコカッター!」
ディザソルが念力を鎌に纏わせ、二枚の念の刃を飛ばすが、ギャラドスを覆う岩に阻まれ、直後、残った岩が一斉にディザソルへ襲い掛かる。
「だったらディザソル、神速だ!」
ディザソルが地面を蹴り、目にも留まらぬスピードで飛び出す。
残像すら残るほどのスピードでディザソルは岩と岩の間を掻い潜り、一気にギャラドスとの距離を詰める。
「スプラッシュ!」
「躱して辻斬りだ!」
ギャラドスが水を纏った太い尾を振るうが、ディザソルは神速でそれも躱し、ギャラドスをすれ違いざまに二度切り裂く。
「ストーンエッジ!」
刹那、ギャラドスの周囲に白い光が渦巻く。
二対の刃がギャラドスを捉えるが、その直後に無数の岩の刃が出現。
この至近距離からの攻撃を躱すことは出来ず、岩が次々とディザソルに突き刺さる。
「ギャラドス、弾き飛ばせ。スプラッシュ!」
ディザソルの動きが揺らいだ隙を、リュードウは見逃さない。
水を纏った太い尻尾が水飛沫を散らしながら振るわれ、ディザソルを叩き飛ばした。
「ディザソル! 大丈夫か?」
ディザソルは起き上がり、まだまたやれると言うように頷く。
「よしッ、ディザソル、サイコカッター!」
ディザソルの額の二つの鎌が念力を纏う。
今度は念力の鎌を飛ばすのではなく、そのままギャラドスとの距離を一気に詰めていく。
「なるほど、直接攻撃で来るか。ギャラドス、迎え撃て! スプラッシュ!」
再びギャラドスの尻尾が水を纏う。
水飛沫を撒き散らしながら、太い尾がディザソルを狙うが、
「今だディザソル! サイコカッターを放て!」
ここでディザソルは鎌を振り抜き、二枚の念力の刃を飛ばす。
「辻斬り!」
サイコカッターでスプラッシュを打ち破ることは出来ないが、少なくとも尻尾の動きを止められる。
そしてその隙にディザソルは飛び上がり、ギャラドスの首筋に狙いを定めて二対の鎌を振る。
「ストーンエッジ!」
ようやく念力の刃を破壊したギャラドスが周囲に無数の岩を出現させるが、ディザソルの方が早い。
瞬時に首筋を二度切り裂かれ、初めてギャラドスが痛みを顔に表す。
「ギャラドス、地震だ!」
それでもギャラドスはすぐに体勢を立て直す。
ディザソルが着地する瞬間を狙って床を叩きつけ、地面を揺らして衝撃波を飛ばし、ディザソルを吹き飛ばす。
「スプラッシュ!」
ギャラドスが大蛇のように体を伸ばして瞬時にディザソルを囲い込み、逃げ場を封じて尻尾に水を纏う。
「それを待ってた! ディザソル、辻斬り!」
対して、ディザソルのやることは一つ。
ギャラドスの動きが止まった瞬間を狙い、一瞬の隙を突いて額の鎌を振るい、ギャラドスの首筋を切り裂いた。
「ッ、ギャラドス、ストーンエッジ!」
「決めるぞ! ディザソル、サイコカッター!」
ギャラドスが起き上がるよりも早く、ディザソルは鎌に念力を纏わせ、念力の鎌で直接切り裂き、仕留める。
ギャラドスは吼え、何とか起き上がろうとするがそこで力尽き、戦闘不能となった。
「……やるな。まさか私のギャラドスがあっさりやられてしまうとは。ギャラドス、よく頑張った。休んでいろ」
レオを賞賛し、リュードウはギャラドスをボールに戻す。
「本来ならばギャラドスでもう少し暴れる予定だったが、こうなってしまえば仕方がない。それに、私にはまだ四体のポケモンが残っている。ここから逆転させてもらおうか」
「望むところです。逆転なんて、させませんけどね」
レオの言葉にリュードウはうっすらと笑みを浮かべ、次のボールを取り出す。
「大地に臨め、コモラゴン!」
リュードウの二番手は、アヤメも持っている毒トカゲポケモンのコモラゴン。
毒・ドラゴンタイプで通常サイズと比べて少し小型だが、それでもレオやリュードウより大きい。
「だからどうということでもないが、一つ言っておこう。私の持つポケモンの中で一番小さいのは、このコモラゴンだ」
「なるほど。大物揃いってことですね。それならそれで、なおさら戦い甲斐がありますよ」
「ほう、流石はあの方が——いや、何でもない。始めるぞ、コモラゴン、クロスポイズン!」
コモラゴンが雄叫びを上げ、両手の爪に毒を纏わせる。
その両手を交差させて振り抜き、十字の毒の刃を飛ばす。
「ディザソル、サイコカッター!」
対して、ディザソルは念力の刃を放ち、クロスポイズンを破壊、さらに、
「辻斬り!」
一気にコモラゴンとの距離を詰め、額の鎌を振り抜く。
だが、
「コモラゴン、躱してドラゴンクロー!」
巨体に似合わない俊敏な動きでコモラゴンは鎌を躱し、龍の力を込めた右腕で逆にディザソルを切り裂く。
「っ、速い……! ディザソル、サイコカッター!」
体勢を立て直し、ディザソルは素早く距離を取って念力の刃を放つが、
「コモラゴン、穴を掘る!」
コモラゴンは体勢を屈め、瞬く間に床に潜って姿を隠してしまう。
「ディザソル、気をつけろ。どこから来るか分からないぞ」
フィールド全体に気を配るレオとディザソル。
しかし。
「コモラゴン、アイアンテール!」
刹那、ディザソルの足元が割れると同時に、太く鋭い槍のような鋼鉄のコモラゴンの尻尾が飛び出す。
尻尾はディザソルを突き刺し、そのまま上空へと突き上げる。
「クロスポイズン!」
床下から飛び出したコモラゴンが跳躍し、毒を纏った両腕でディザソルを切り裂いた。
ディザソルは地面に叩きつけられ、戦闘不能となってしまう。
「……マジかよ。ディザソル、お疲れ様。休んでてくれ」
ディザソルをボールに戻し、レオはリュードウの方を向く。
「そのコモラゴン、強いですね。スピードが持ち味かと思ったら、パワーも相当なものだ」
「そうだろう。このコモラゴンは他の個体に比べて小さい分素早く、さらにパワーも劣らない。そしてそうなれば、君はどう対応する?」
「次のポケモンは決まりました。スピードは敵わないけど、パワーで互角以上に渡り合います」
レオがそう言って、次のボールを取り出す。
「次はお前だ。頼んだぞ、ヘラクロス!」
レオの二番手は、怪力の持ち主、ヘラクロス。
ヘラクロスなら、コモラゴンのパワーを相手にしても互角以上に戦える。
「ヘラクロスか。力勝負に持ち込みたいようだが、その力勝負なら負けんぞ。コモラゴン、ドラゴンクロー!」
コモラゴンが龍の力を込めた右腕を振りかざし、一気にヘラクロスとの距離を詰める。
「ヘラクロス、お前の技を見せてやれ! メガホーン!」
ヘラクロスは翅を広げ、少し下がって勢いをつけ、硬い角を突き出して突撃する。
コモラゴンの爪とヘラクロスの角が激突し、激しく競り合うが、やがてヘラクロスの角がコモラゴンに打ち勝ち、吹き飛ばす。
「よっし! ヘラクロス、瓦割り!」
吹っ飛ぶコモラゴンを追ってヘラクロスは飛び、硬い角を大きく振り下ろす。
「コモラゴン、穴を掘る!」
しかしコモラゴンは着地すると瞬く間に床下に潜ってしまう。
ヘラクロスの角の一撃は床に叩きつけられるが、コモラゴンには何の影響もない。
「アイアンテール!」
さらにコモラゴンは返す刀で、ヘラクロスの足元へ太い鋼の槍のような尻尾を突き出し、ヘラクロスを上空へ突き上げる。
「コモラゴン、クロスポイズン!」
「ヘラクロス、岩雪崩!」
床から飛び出したコモラゴンが腕を振り、十字形の毒の刃を飛ばすが、ヘラクロスは虚空から無数の岩を落とし、毒の刃を防ぐ。
「ヘラクロス、メガホーン!」
ヘラクロスが角を突き出し、全力の突貫を仕掛ける。
「コモラゴン、躱してドラゴンクロー!」
対してコモラゴンはヘラクロスの横へと逸れて角の一撃を躱し、龍の力を纏った爪を構えるが、
「ヘラクロス、辻斬りだ!」
メガホーンを躱されたヘラクロスが腕を振り抜き、鋭い爪で瞬時にコモラゴンを切り裂く。
「コモラゴン、立て直せ。アイアンテール!」
すぐに体勢を整え、コモラゴンがヘラクロスを追う。
太い尻尾を鋼の如く硬化させ、その尻尾を振りかざす。
「ヘラクロス、躱して瓦割り!」
「そうはさせん。コモラゴン、連続でアイアンテールだ!」
ヘラクロスが大振りの尻尾を躱し、角を叩きつけようとするが、コモラゴンの動きはそこで終わらない。
続いて二振り、三振り目が連続で放たれ、ヘラクロスに反撃の隙を与えない。
「ヘラクロス、一旦離れろ! そこからメガホーンだ!」
「甘い! コモラゴン、躱してアイアンテール!」
ヘラクロスは大きく離れ、その刹那角を突き出して突撃する。
だがコモラゴンはその動きを読んでいたようにヘラクロスの突進を躱し、太い槍のように硬化した尻尾を放ち、ヘラクロスを突き刺す。
「ヘラクロス! 大丈夫か!?」
吹き飛ばされるヘラクロスだが、何とか空中で体勢を整えて着地し、レオの声に応えるように頷く。
(くっ、流石に強いな……。パワーでは互角だけど、スピードが段違いだ。特にあの反応速度、僕のディザソルより上なんじゃないか……?)
思った以上の強敵、コモラゴンを前に苦戦を強いられるレオ。
「このコモラゴンのパワーとスピード、どう攻略する。さあレオ、私に君のポケモンと君自身の力を見せてくれ」
腕を組み、レオとヘラクロスを見据えるリュードウの口元が、僅かに緩む。