二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百六十六話 神界龍 ( No.313 )
- 日時: 2015/07/16 13:50
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Ewheah.s)
「ミロカロス、ハイドロポンプ!」
アクアリングを纏ったミロカロスが、大量の水を噴き出す。
「くっ、レントラー、これは躱せ!」
ハイドロポンプを躱し、レントラーはミロカロスとの距離を詰めていく。
「リングの隙間を狙うぞ! レントラー、氷の牙!」
牙に長く鋭い氷を纏わせ、レントラーは水の輪の隙間から氷の牙をねじ込もうとするが、
「させん。ミロカロス、アイアンテール!」
ミロカロスが硬化された尻尾を振るい、レントラーの氷の牙を砕く。
「もう一度、アイアンテールだ」
「だったら、躱してギガスパーク!」
素早く身を引いてミロカロスの尻尾を躱し、レントラーは巨大な電撃の砲弾を放つ。
水のリングを纏ったミロカロスに直撃、強い衝撃を受け、アクアリングは消滅する。
「なるほど。いくら頑丈なアクアリングでも、強烈な一撃を受ければ壊せるんですね」
「その通り、しかしまだ甘い。ミロカロス、アクアリング!」
だが、ミロカロスはすぐにアクアリングを再生させてしまう。
「そもそも、そんな強烈な一撃を連続で放てるポケモンはそういない。相手が次の技を放つまでの間に、ミロカロスはアクアリングを再生出来る」
これで状況は先ほどと同じ。戦況は何も変わっていない。
「だったらこうだ! レントラー、もう一度ギガスパーク!」
再びレントラーは電撃の砲弾を放ち、まずはアクアリングを消滅させる。
「アクアリング!」
「氷の牙!」
ミロカロスがアクアリングを再生させると同時、すかさずレントラーは牙に長く鋭い氷を纏わせ、ミロカロスを狙う。
「遅い。ミロカロス、躱してアイアンテール!」
体をくねらせて氷の牙を躱し、ミロカロスは硬化させた長い尻尾をレントラーに叩きつける。
(くそっ、あのアクアリングが厄介すぎる! こいつは何としてもレントラーで仕留めないといけないのに、突破口が見つからない!)
レオの残りの手持ちはエンペルトかパンプッチ。
つまり、最後の一体まで回してしまうと、今度はミラーコートを警戒しなければならない。
故に、レオは何としてもここでミロカロスを倒しておく必要があるのだ。
「さあ、悩んでいる暇はないぞ。ミロカロス、ハイドロポンプ!」
「っ、レントラー、ギガスパーク!」
ミロカロスの放つ太い水柱を、レントラーは巨大な電撃の砲弾を放って打ち消す。
水のリングが一つ吸収され、ミロカロスの体力を回復させる。
(焦るな、落ち着け、考えろ。アクアリングさえどうにか出来れば、こいつは怖くない。アクアリングを対処する方法が、何かあるはずだ。アクアリングは決して万能じゃない。仮に万能だとしたら、リュードウさんは初めからミロカロスを出してこっちを圧倒してるはずなんだ)
それをしてこない以上、どこかに穴がある。それさえ見つけられれば、ミロカロスは突破出来る。
「くそっ、レントラー、もう一度ギガスパーク!」
「ミロカロス、ハイドロポンプ!」
レントラーが電撃の砲弾を放つが、ミロカロスのアクアリングに止められ、同時にミロカロスは太い水柱を撃ち出して反撃。
「レントラー、躱して氷の牙!」
飛び退いて水柱を躱し、レントラーは牙に長く鋭い氷を纏わせ、ミロカロスに牙を突き立てる。
「ミロカロス、アイアンテール!」
対するミロカロスは尻尾を硬化させて氷の牙を砕き、
「アクアリング!」
すぐさまアクアリングを再生させる。
(……ん……? 待てよ?)
ここで、
(今、何ですぐにアクアリングを作らなかった? 馬鹿力すら耐えるはずの耐久力なら氷の牙くらい耐えられるはずだし、リングの隙間を突いてもそんな大きなダメージでもないだろ……あ)
レオは気付いた。
(そういうことか。なるほど、それなら、これでミロカロスは突破出来る!)
「行くぞレントラー、ギガスパーク!」
レントラーがバチバチと破裂音を立てる巨大な電撃の砲弾を撃ち出す。
「ミロカロス、受け止めてアクアリング!」
「レントラー、馬鹿力!」
電撃の砲弾をアクアリングで相殺し、ミロカロスはすぐにリングを再生させる。
同時に、レントラーが地面を蹴り、渾身の突撃を仕掛ける。
「ミロカロス、ハイドロポンプ!」
「今だ! レントラー、躱して氷の牙!」
ミロカロスが大量の水を放った、その瞬間。
レントラーが大きく跳躍し、一気にミロカロスとの距離を詰め、長く鋭い氷の牙でアクアリングを射抜く。
刹那、アクアリングが凍りつき、みるみるうちに崩れていく。
「……! 見破られたか!」
「もらった! レントラー、ギガスパーク!」
間髪入れずに、レントラーは巨大な電撃の砲弾を放つ。
至近距離から効果抜群の大技の直撃を受け、ミロカロスは吹き飛び、壁に激突し、戦闘不能となった。
「ミロカロス、ご苦労だった。ゆっくり休め」
ミロカロスをボールに戻し、リュードウはレオの方に向き直る。
「しかし、アクアリングの弱点が氷であるとよく気付いたな」
「思えば気になる点はあったんですよ。ギガスパークすら防ぐ強度を持つアクアリングを纏いながら、氷の牙だけはリングで防ごうとしなかった。一旦冷静に考えてみれば、すぐに思いつきました」
レオの言葉を聞いて、リュードウは感心したように笑う。
「流石だな。そう、バトルで大切なことは焦らず冷静に場を見ること。焦りが生じると、見えるはずのものが見えなくなってしまう。このミロカロスを倒すには、自身の焦燥を乗り越える必要がある。見事だった」
レオを称賛した上で、
「しかし、これで終わりではないぞ」
リュードウの表情が、再び真剣なものに戻る。
「分かっている通り、最後の一体、私の切り札が残っている。レオ、よくぞ自身を乗り越えた。これで最後だ。最後は、私を乗り越えてみせよ」
リュードウが最後のボールを手に取る。
最後の切り札が、君臨する。
「天界に臨め、ドラドーン!」
現れたのは、巨大な東洋の龍の姿をしたドラゴンポケモン。
照明を反射して光を放つ橙色の鱗、白い立派な顎鬚を生やし、両手の甲には紅に輝く宝玉がある。
しかし、その最大の特徴は、何と言ってもその巨大さ。
一番手のギャラドスを軽く超え、10メートル近いその巨体は、見上げるだけでその威圧感に圧倒される。
「これが、リュードウさんの切り札ですか」
見るだけでも分かる。
このポケモンは、今までの4体とは明らかに違う。
「そうだ。こいつが私の今の切り札であり、10年以上共にいる相棒でもある。では、その力を見せてやろう」
リュードウの言葉と共に、ドラドーンが咆哮する。
「行くぞ! ドラドーン、ハイドロポンプ!」
ドラドーンが上昇し、天空から大量の水を噴き出す。
だがその量が、先ほどのミロカロスと比べても桁違いだ。
滝のように降り注ぐ大量の水が、瞬く間にレントラーを飲み込まんと迫り来る。
「ッ! レントラー、ギガスパーク!」
躱す余裕はないとレオは判断し、レントラーは巨大な電撃の砲弾を放つ。
しかしレントラーの最大火力を持ってしてもハイドロポンプを打ち破れず、威力は削いだものの、水柱を受けてしまう。
「レントラー、立て直せ。氷の牙だ!」
何とか体勢を整え、レントラーは牙に長く鋭い氷を纏わせる。
地面を蹴って思い切り跳躍し、氷の牙でドラドーンを狙うが、
「ダイヤブラスト!」
ドラドーンの周囲に煌めきが迸り、次の瞬間、青白い爆風と共に爆発を起こす。
青い打ち上げ花火の如きドラドーン全体を覆う爆発は、レントラーの氷の牙を粉砕し、さらにレントラー本体も返り討ちにし、床へと叩き落とす。
撃墜されたレントラーは、戦闘不能となっていた。
「レントラー、お疲れ様。よくミロカロスを止めてくれた」
レントラーを労い、ボールに戻し、レオも最後のボールを取り出す。
「流石はリュードウさんの切り札です。ここまでのポケモンとは一味も二味も違いますね」
だけど、とレオは続け、
「僕の最後のポケモンなら、必ずそのドラドーンを打ち破れる。立ちはだかる最後の壁を、僕は超えてみせます!」
「その言葉を待っていた。さあ、レオ。お前の実力の全てを、私にぶつけてこい!」
「望むところです! 頼むぞ、エンペルト!」
レオの最後のポケモンは、勿論切り札のエンペルト。
このドラドーンに勝てるとしたら、このエンペルトしかない。
「ドラドーン、分かっているな。こちらのやることは一つ、勝つことだけだ。それ以外、何も考える必要はない」
リュードウの言葉に応えるようにドラドーンは低く吼え、対峙する挑戦者を見下ろす。
「エンペルト、このドラドーンを倒せば、ホクリクジム全制覇だ。いつもの通り、本気で行くぞ」
レオの言葉に、分かっている、とでも言うようにエンペルトは頷き、上空の巨大な龍を見据える。