二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百七十三話 狂気 ( No.322 )
日時: 2016/06/03 09:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: BceVEIca)

こちらは屋外での戦い。
「我が誇りにかけて、エルレイド!」
「行ってきなさい、ユニサス!」
ガーネットの繰り出すエルレイドに対し、アスカのポケモンは黄金の角を持つ馬のようなポケモン。どことなくペガーンに似ている。
角馬ポケモンのユニサス。ペガーンと同じくマホースから進化するポケモンで、こちらは鋼・エスパータイプを持つ。
「さあ始めるわよ。エルレイド、インファイト!」
両拳を握り締め、エルレイドは大地を蹴り、一気にユニサスとの距離を詰めてくる。
「ユニサス、サイコバレット!」
対して、ユニサスの周囲に念力が渦巻く。
念力の渦は尖った弾のような形を作り出し、銃弾のように一斉に撃ち出される。
「エルレイド、そのまま突っ込みなさい! 全て打ち砕くわよ!」
弾幕の中に自ら飛び込み、エルレイドの百烈の拳が念の銃弾を全て捌き切る。
そして肘の刀を瞬時に伸ばし、ユニサスに締めの一太刀を浴びせる。
「ユニサス、反撃よ! ギガスパーク!」
ユニサスの角に電気が迸る。
黄金の角の先に巨大な電撃の砲弾を作り上げ、それをエルレイドに向けて放つ。
「エルレイド、躱しなさい! 上からサイコカッター!」
大きく跳躍してエルレイドは電撃の砲弾を躱し、念力を帯びた両肘の刀を伸ばす。
しかし、
「跳んだわね。ユニサス、メタルブラスト!」
ユニサスの黄金の角が白く輝き、強大な鋼エネルギーの砲撃が撃ち出される。
空中にいるエルレイドは自由に動けず、吹き飛ばされてしまう。
「チャンスよ。ユニサス、メガホーン!」
吹っ飛ぶエルレイドを追い、ユニサスは駆ける。
起き上がったエルレイドに対し、黄金の角を向けて突進する。
「エルレイド、間に合うわ! 冷凍パンチ!」
エルレイドの拳に冷気が宿る。
ユニサスの黄金の角と、エルレイドの冷気を込めた拳が激突する。
威力は互角、激しく競り合った末、お互いに押し戻される。
「ガキのくせにやるじゃないの。エルレイド、サイコカッター!」
「絶対に負けられないもの! ユニサス、サイコバレット!」
エルレイドの両肘の刀が伸び、念力を帯びる。
ユニサスの放った念力の弾丸を二太刀で切り落とし、
「インファイト!」
両拳を握り、守りの態勢を捨て、一気にユニサスの懐へと飛び込む。
そのまま百烈の打撃を浴びせ、最後に肘の刀を伸ばすが、
「メタルブラスト!」
その直前、ユニサスの黄金の角から鋼エネルギーの砲撃が放たれる。
エルレイドも砲撃に対抗しようとするものの、流石にこの一撃に打ち勝つことは出来なかった。
最後の一撃を食らわすことは出来ず、砲撃を浴びて吹き飛ばされてしまう。
「ユニサス、ギガスパーク!」
ユニサスの黄金の角の先に、再び電撃の砲弾が作り上げられる。
激しい破裂音を立てる電撃の砲弾を、エルレイドへと撃ち出す。
「同じ手は通用しないわよ。エルレイド、リーフブレード!」
今度は砲弾を躱さず、エルレイドの淡い緑の光を帯びた肘の刀が伸びる。
刀が一閃し、電撃の砲弾が真っ二つに裂けた。
「よし、エルレイド、ここから仕切り直しよ」
「ユニサス、油断しないで行くわよ。このまま落ち着いて勝ちを狙っていこう」
ガーネットとアスカ、双方一旦立て直し、相手の姿をその目に捉える。


「コモラゴン、穴を掘る!」
素早くコモラゴンは大地に穴を掘り、地下に潜む。
戦いが始まった、この時点で。
リュードウはまず、激昂する宿敵の腕前を測ろうとしていた。
素早い動きで小回りも利くコモラゴンをわざわざ相手の切り札にぶつけたのもそのため。
勿論、戦力を測るためでも手は抜かない。本気でぶつかって、相手の戦力を分析する。
しかし。
目の前の宿敵は、リュードウが想像していたよりも、はるかに強大になっていた。

「はぁ? ティラノス、グランボールダ!」

ティラノスが右脚で思い切り地面を踏み付ける。
たったそれだけでティラノスの周囲の大地が揺らぎ、割れ、吹き飛ばされる。
当然、地中のコモラゴンも吹き飛ばされ、地上に姿を晒すことになる。
直後、割れた大地から無数の岩が出現し、瞬く間にコモラゴンを覆い、その動きを完全に封じてしまう。
「砕け散れ! ティラノス、ぶち壊す!」
ティラノスが咆哮し、その尻尾を振り下ろす。
コモラゴンのパワーを持ってしても砕けない無数の岩を容易く砕き、鉄槌のような靭尾がコモラゴンを叩き伏せた。
「……ッ!」
一撃。
たった一撃で、コモラゴンは戦闘不能にまで追いやられてしまった。
「……コモラゴン、済まなかった。休んでいろ」
コモラゴンをボールに戻し、リュードウはメジストの方に向き直る。
メジストの眼光が、猛獣のように鋭く光る。
「ククク、ゲヒャヒャ、ギャヒャヒャヒャハハハハハハハ!!! 何だ何だよ何ですかぁ!? 俺様の切り札を前に、よくもまぁそんな雑魚を出せたもんだ! それともあれか? ひょっとして俺様のこと舐めてました? こっちはこの五年間、てめぇをぶっ潰すためにわざわざイビルの軍門に下ってひたすら力を手に入れてきたったのによぉ! 」
狂ったように笑い、叫び、怒鳴る。
激昂と嘲笑、狂気に塗れたグチャグチャの感情が、龍の顔面の刻印を刻んだ顔を染め上げる。
「んだぁ今のふざけたバトルは? さっさとてめぇの切り札を出しやがれよ。こちとら一秒でも早くてめぇを叩き潰したくて仕方がねえんだよぉ!」
(……挑発に乗るつもりはないが、止むを得んな。私のポケモンでは、ドラドーンを除いてこいつを止められるポケモンなどいないだろう。仕方あるまい、私も切り札を出すしかないようだ)
「いいだろう。私も私とてお前に負けるつもりはない。私の切り札でお前とそのティラノスを倒し、お前達を制圧する」
顔を上げ、リュードウはボールを取り出す。

「天界に臨め、ドラドーン!」

巨体を誇るメジストのティラノスをさらに上回る巨大な影が、テンモンシティ上空に降臨する。
リュードウの切り札、ドラドーンが現れたのだ。
「ギャヒャヒャヒャ! これを待ってたぜ、この瞬間を! てめぇを倒して、五年間の屈辱を終わらせる。覚悟しろよ!」
「それはこちらの台詞だ。今度こそ、お前を逃しはしない。ここでお前の闇に終止符を打つ」
刹那。
「ティラノス、グランボールダ!」
「ドラドーン、流星群!」
ティラノスが大地を揺らし、無数の岩をドラドーンへと撃ち出す。
ドラドーンは龍のエネルギーを天に打ち上げ、破裂させ、無数の流星を落とす。
空中で双方の攻撃が衝突し、大爆発を起こす。
爆風が巻き起こるが、それを直に受けても、メジストもリュードウも顔色ひとつ変えない。
「これだ、これでこそだ! ただ倒すだけじゃ物足りねえ、全力を出させた上で、その上からさらに叩き潰す。そこまでやんねえと、この復讐は達成できねえ。頼むぜリュードウさん、俺を失望させないでくれよなぁ! ギャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
破天を司る狂人メジストの雄叫びが、テンモンの戦場に響き渡る。