二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百七十四話 如何様 ( No.324 )
日時: 2016/05/20 10:50
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: PprBnMey)

「ミロカロス、まずは冷凍ビーム」
先手を取ったミロカロスが、凍える冷気の光線を放つ。
「パンプッチ、シャドーボールだ!」
手にした木の葉の杖を振り、パンプッチは黒い影の弾を放って冷凍ビームを防ぐと、
「続けてエナジーボール!」
その杖をもう一振りし、今度は自然の力を溜め込んだ念弾を放つ。
「効きませんよ。ミロカロス、ドラゴンテール」
対してミロカロスはその身を捻り、龍の力を込めた尻尾を振り下ろす。
エナジーボールは容易く跳ね返され、逆にパンプッチに命中する。
「ハイドロポンプです」
間髪入れずにミロカロスが大量の水を噴射する。
「パンプッチ、シャドーボール!」
パンプッチは杖を構えて、影の弾を飛ばす。
シャドーボールの勢いがやや弱かったが、威力は互角。一旦退いて、体勢を立て直す。
「ふむ、攻撃力はこちらが劣っているようですね。技の威力が劣り、しかも無理した体勢から互角にまで持ち込みますか」
「当たり前だろ。直属護衛如きに遅れをとってたまるかよ」
レオのそんな言葉を受けてもなお、ブレイズは不敵に笑うのみ。
「あまり甘く見てもらっては困ります。我ら直属護衛も『覚醒』を使った天将の方々に直々に鍛えられている身。強くなっているのは貴方達だけではないのですよ」
お喋りはこの辺にしておきましょうか、とブレイズは続け、
「再開しましょう。ミロカロス、ドラゴンテール」
ミロカロスの尻尾が龍の力を帯び、パンプッチ目掛けて振り下ろされる。
「パンプッチ、落ち着いていけ。躱してエナジーボール!」
パンプッチはミロカロスの横へと回りこみ、ミロカロスの尻尾を躱して杖を構える。
パンプッチを逃した龍の尾は床に叩きつけられ、硬い床にヒビを入れる。
「躱せませんね。ミロカロス、一発耐えてください。その後ハイドロポンプです」
正面からエナジーボールを受け、ミロカロスは大きく押し戻される。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
ミロカロスの放つ水柱に合わせ、パンプッチも杖を振って大量の水を噴射する。
双方の水柱が衝突し、水飛沫が飛び散る。
「やはり上々の火力。侮れませんね」
「耐えてから反撃なんて、そんなのを許すほど僕のパンプッチの攻撃は甘くないぞ。シャドーボールだ!」
両手で杖を握り、パンプッチは連続で何発もの影の弾を発射する。
「それならば、ミロカロス、躱して冷凍ビーム」
口元に冷気を溜め込み、ミロカロスは長い体をくねらせて影の弾を躱しつつパンプッチへと接近し、冷気の光線を至近距離から撃ち出す。
「耐えてから反撃ってのはな、こうやるんだよ。パンプッチ!」
背中のマントを翳して、パンプッチは冷気を受け止める。
多少ダメージは受けるも、パンプッチはその場に踏み止まり、
「よくやった! そのままエナジーボール!」
返す刀で杖を振り、自然の力を込めた念弾を撃ち出す。
効果抜群の攻撃がクリーンヒットし、ミロカロスを吹き飛ばす。
「押されていますね……。しかし、私のミロカロスが一番秀でるのは特防。まだまだやられはしませんよ」
事実、エナジーボールを二連続で受けてもなお、ミロカロスはすぐに起き上がってくる。
「さあミロカロス、仕切り直しですよ。ドラゴンテール!」
「このまま押し込むぞ。パンプッチ、ハイドロポンプ!」
ミロカロスが龍の力を纏った尻尾を振るい、対してパンプッチは杖から大量の水を放つ。
お互いの一撃が激突し、激しく競り合う。


黒焦げになったルナバインをボールへ戻し、ラピスは次なるポケモンを出す。
「ブラッキー、優雅なひと時を」
ラピスの二番手はブラッキー。相手を選ぶが、型にはまれば相当な力を発揮する厄介なポケモンだ。
そしてそのブラッキーを見て、セイラが苦い顔になる。
「……だめだな。そのブラッキーが曲者だということは聞いているが、それ以前の相性が悪すぎる。すまないがホムロソク、戻れ」
ホムロソクを一旦戻し、セイラは別のボールを取り出す。
「とはいえ私の手持ちは全体的に悪タイプが不得手だが……こいつならやってくれるだろう。行け、ペガーン!」
代わりにセイラが出したのはペガーンだ。
「ふぅん、本当に悪タイプに弱いのね、貴女の手持ち」
「ふふ、勘違いするなよ。不得手ではあるが、決して弱くはないぞ」
「へぇ、じゃあ見せてもらおうかしら。ブラッキー、悪の波動」
先に動いたブラッキーが、悪意に満ちた波動を放つ。
「ペガーン、躱してブレイブバード!」
対するペガーンは大きな翼を広げて飛翔する。
華麗に舞い上がり、悪の波動を躱すと、炎の如き勇気のオーラを纏い、ブラッキーに突撃する。
躱す隙も与えぬ素早さで突貫し、ブラッキーを吹き飛ばす。
「ペガーン、続けてギガスパーク!」
さらにペガーンは電気を一点に集め、羽ばたきと共に巨大な電撃の砲弾を放つ。
「っ、ブラッキー、サイコキネシス」
ブラッキーは体勢を崩したまま強い念力を操り、電撃の砲弾に念力を掛ける。
精一杯念力を操り、電撃が体を掠めたものの、何とかギガスパークの軌道を逸らす。
「あら、思ったよりも攻撃力が高いのね。でも」
ブラッキーが立て直したのを確認し、
「そのペガーン、物理主体なのね。いい情報を得たわ」
表情を変えないラピスの口元が、わずかに緩む。
「ほう。それならペガーン、熱風!」
激しく羽ばたき、ペガーンは灼熱の風を吹かせる。
「特殊技も備えている、と。それならブラッキー、バークアウト」
対して、ブラッキーは怒鳴るような咆哮を放つ。
技の威力で勝るはずの熱風だが、咆哮の前に掻き消されてしまう。
「ペガーン、もう一度ブレイブバード!」
熱風が効かないのを見るや、セイラは直ちに次の指示を出す。
大きく飛翔したペガーンが上空で勇気のオーラを身に纏い、凄まじい勢いで突貫する。
しかし、
「来たわね。ブラッキー、イカサマ」
突っ込んでくるペガーンの攻撃力を逆に利用し、ブラッキーはブレイブバードを受け流し、ペガーンの横から打撃を仕掛ける。
予想外の一撃を受け、ペガーンは大きく吹き飛ばされる。
「悪の波動よ」
さらにブラッキーは悪意に満ちた波動を撃ち出す。
これもペガーンに直撃。効果抜群の技を二発も受ければ、ダメージはかなりのものだろう。
「っ! ペガーン、まだやれるか」
何とかペガーンは立ち上がり、セイラの言葉に応えるように頷く。
「……なるほど、イカサマか。こちらの攻撃力が下がるわけではないが、やりにくい事に変わりはないな。厄介だ」
「今回のブラッキーは珍しく全て攻撃技。バークアウトで特殊技主体の、イカサマで物理技主体の相手を倒す、対アタッカーの調整をさせているわ」
その分耐久してくるポケモンには弱いけど、とラピスは続ける。
「貴女のポケモンの残りはホムロソクとあと一体。エースは絶対最後に出したいでしょうし、かなり辛いんじゃないかしら?」
「むー、チェキッドがやられたのは痛かったな。言いたくはないが、正直苦しい状況だよ」
かと言って、勝機がないわけではない。
「だが、相手の手の内が分かればまだいくらでもやりようはある。ペガーン、ここからだぞ」
優雅に翼を広げて、再びペガーンは飛翔する。