二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百七十五話 灼熱 ( No.325 )
日時: 2016/06/03 09:43
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: BceVEIca)

グライオンの大きな鋏が、スカタンクを穿つ。
その刹那。

「お前も道連れだ! スカタンク、ダークリゾルブ!」

鋏を撃ち込まれたスカタンクの体から、どす黒い闇の力が放出される。
「ッ! グライオン!」
慌ててエフィシが叫ぶが間に合わず、グライオンの体が闇に覆い尽くされる。
グライオンの一撃でスカタンクは倒れるが、闇の力がグライオンの体力を貪り食い、グライオンも地に伏してしまう。
「っし、仕事は果たしてくれたな。スカタンク、戻ってな」
「グライオン、お疲れ様です。休んでいてください」
ケケとエフィシが、お互いに自分のポケモンを戻す。
「そう簡単にアドバンテージは取らせねえ、何せ今回は大事な任務なんでね。ポケモンも持ってる三体全員使わせてもらうぜ」
不敵な笑みを浮かべた仮面がエフィシを見据え、次のボールを取り出す。
「上等です。こちらとてリョーマに余計な負担を掛けさせるわけにはいかない」
対するエフィシも相変わらず真剣な表情のまま、次のボールに手をかける。
「行きな、ドクケイル!」
「お願いします、ナマズン!」
ケケのポケモンはドクケイル、エフィシのポケモンはナマズンだ。
「それじゃあ早速始めようか。ドクケイル、ヘドロ爆弾!」
「いいでしょう。ナマズン、波乗り!」
ドクケイルが無数のヘドロの塊を撒き散らす。
対してナマズンは水の大波を呼び起こし、ヘドロ爆弾を掻き消す。
「ちッ、ドクケイル、サイコキネシス!」
ドクケイルは強い念力を操作し、どうにか大波を食い止めるが、
「大地の力!」
直後、ドクケイルの真下から土砂が放出され、ドクケイルを吹き飛ばす。
「一気に行きますよ。ナマズン、波乗り!」
再びナマズンは水の波を呼び出す。
吹き飛ぶドクケイルに対して、荒れ狂う大波が襲い掛かる。


ギガインパクトが、テペトラーへと直撃した。
咄嗟にテペトラーはブニャットの一撃を受け止めようとしたが、ブニャットの勢いに押され、そのまま壁にヒビを入れる勢いで激突。
だが。

「テペトラー、波動弾!」

刹那、ブニャットが吹き飛ばされた。
「ブニャット!?」
勢いよく吹っ飛ばされたブニャットがキキの後ろの壁へと激突する。
慌ててキキが振り向いた時には、ブニャットは壁にめり込み、戦闘不能となっていた。
「よっし、テペトラー、よく耐えた! 俺は信じてたぞ!」
ギガインパクトの直撃を食らったテペトラーだが、真正面から受け止め、どうにか耐え切ったのだ。
スピードが自慢のブニャットだが、ゼロ距離からの波動弾は流石に避けられなかったようだ。
「今の攻撃を耐えたというの……? やってくれるわね……ブニャット、休んでなさい」
表情こそ見えないが、悔しげに呟き、キキはブニャットをボールへと戻す。
「よくもやってくれたわね。ここからは容赦しないわよ。行きなさい、アゲハント!」
キキの二番手はアゲハント。ドクケイルとは対をなすポケモン。
「アゲハント、まずはあいつを仕留めるわよ。蝶の舞!」
宙にふわりと舞い上がり、アゲハントは美しい舞と共に自信の能力を高める。
「テペトラー、サイコパンチ!」
「アゲハント、サイコキネシス!」
テペトラーが拳に念力を纏わせて殴りかかるが、対してアゲハントは強い念力を操り、その波を放つ。
テペトラーの拳を覆う念力は、アゲハントの放った念力の波に掻き消される。
「突っ込め! アクアジェット!」
テペトラーの全身が水に覆われる。
ジェット噴射のように水を噴射し、一気にアゲハントに迫る。
しかし、
「アゲハント、ギガドレイン!」
アゲハントの巻かれた細い口が光を帯びて伸びる。
突っ込んでくるテペトラーに口を巻きつかせて動きを止め、先端を突き刺し、テペトラーの体力を吸い取る。
「まずい! テペトラー、本体を叩いて抜け出せ! 波動弾だ!」
「させないわよ。アゲハント、サイコキネシス!」
テペトラーが両手に波動を溜めようとするが、それよりも早くアゲハントが念力をテペトラーに仕掛け、その動きを止めてしまう。
念力を操り、アゲハントはテペトラーを床へと叩きつける。
「ッ、テペトラー!」
ブニャット戦でのダメージもあり、効果抜群の攻撃を立て続けに受けたテペトラーは、ここで戦闘不能となってしまう。


「トロピウス、ハイドロポンプ!」
「ガルラーダ、襲撃!」
トロピウスの放つ水柱を潜り抜け、ガルラーダがトロピウスの眼前に迫る。
「ちぃっ、トロピウス、飛べ!」
「逃がさん。ガルラーダ、ブレイブバード!」
咄嗟に大きく飛翔し、ガルラーダの翼を躱すトロピウスだが、ガルラーダはすぐさま燃える炎の如き勇気のオーラを纏い、トロピウスを追って急上昇。
「くッそ! トロピウス、ドラゴンダイブ!」
迎撃に出ようとするトロピウスだが、しかし間に合わず、ブレイブバードに貫かれる。
トロピウスの巨体が地に堕ちる。力を使い果たし、遂に戦闘不能となった。
「トロピウス、よく頑張ってくれたな。休んでてくれよ」
リョーマがトロピウスを労い、ボールに戻す。
「さぁて、次はどっちを出すかねえ。あのガルラーダに対抗するには……」
二つのボールを見比べるリョーマは、やがて片方を戻し、
「こいつが適任だな。疾走せよ、ギャロップ!」
二番手に選んだのは、ギャロップの方だ。
「予想通りだな。我のガルラーダのスピードについていけると考えてのチョイスか」
「くーっ、見抜いてくるねぇ。やりづらいことこの上ねえぜ」
「先程も言ったが、ラピスから貴様の手持ちの情報は全て得ている。大方の戦法もな」
「だがな、たかだか一試合の結果如きで読み切れるほど俺の実力は浅くねえぜ。百聞は一見に如かずってのを見せてやるよ」
トパズの威圧感にも全く臆さず、リョーマはニヤリと笑うと、
「それじゃあ行くぜ! ギャロップ、ニトロチャージ!」
たてがみの炎を全身に纏わせ、ギャロップが駆け出す。
みるみるうちにそのスピードは加速し、ガルラーダの周囲を一瞬で駆け抜け、旋回してガルラーダの背後からさらに地を駆る。
「ガルラーダ、悪の波動!」
対してガルラーダは振り向きざまに悪意に満ちた波動を撃ち出す。
炎の突進と悪意の波動が激突する、その寸前で、
「ギャロップ、跳べ!」
ギャロップが大きく跳躍し、悪の波動を躱して、
「フレアドライブ!」
ギャロップを纏う炎が、爆発的に展開される。
鎧の如き炎を纏ったギャロップがガルラーダに激突し、壁まで吹き飛ばす。
「さあここからだぜ! ギャロップ、ワイルドボルト!」
「ほう。ガルラーダ、襲撃!」
ギャロップは今度は激しい電気を身に纏う。
対して、壁に激突したガルラーダが再び翼を広げる。
ギャロップが突撃するが、ガルラーダはそれを躱して横に回り込み、翼をギャロップに叩きつける。
「悪の波動!」
「メガホーンだ!」
さらにガルラーダが悪意の波動を撃ち出すが、ギャロップは素早く体勢を立て直し、額の角を突き出して波動を砕く。
「もっとスピードを上げろ! ギャロップ、ニトロチャージ!」
体を纏う炎を大きく展開させ、再びギャロップが駆け出す。
「そうは行かぬ。ガルラーダ、ブレイブバード!」
対して、ガルラーダの体が青い炎の如き勇気のオーラに包まれる。
ギャロップの背後を取り、翼を折りたたみ、ミサイルのように上空から突撃を仕掛ける。
「来るぞ! ギャロップ、回避!」
炎に覆われたギャロップの瞳が背後を見据え、迫るガルラーダの姿を捉える。
直撃の寸前、再びギャロップは跳躍し、ガルラーダの渾身の突撃を躱した。
「まだ終わらんぞ。ガルラーダ、ブレイブバード!」
一撃目を外したガルラーダが高速旋回し、今度はギャロップの正面から再び突撃を仕掛ける。
「この瞬間を待ってた! ギャロップ、フレアドライブ!」
対するギャロップの体を覆う炎が、再び爆発的な展開を見せる。
灼熱の紅を超えてさらに勢いを増す青い炎がギャロップの周囲を渦巻き、二者の隕石の如き突撃が真正面から激突する。
刹那。
建物全体を揺らすほどの、大爆発が起こる。