二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百七十六話 杖 ( No.326 )
- 日時: 2016/06/11 09:51
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9yNBfouf)
ミロカロスの龍の力を込めた尻尾が振り下ろされ、パンプッチの放った水柱は両断される。
さらにミロカロスは再び長い尾を振るうが、
「当たんないぞ! パンプッチ、躱してエナジーボール!」
ふわりと舞い上がり、パンプッチは杖を振って自然の力を凝縮した念弾を撃つ。
ミロカロスの尾は空を切り、エナジーボールがミロカロスを捉えて吹き飛ばす。
「パンプッチ、シャドーボール!」
さらにパンプッチは杖を指揮棒のように振り続け、その杖の先から影の弾が飛び出す。
「やりますねぇ。それならば」
ブレイズが呟き、ミロカロスは起き上がる。
襲い来る影の弾を、長い体を器用に動かして躱し、
「ミロカロス、もう一度ドラゴンテールです」
ミロカロスの尾が、長い槍のように一直線にパンプッチに迫る。
「その技は見切ってる。パンプッチ、躱してシャドーボール!」
「そうは行きません。ミロカロス、杖を狙いなさい」
再びパンプッチが浮上するが、ミロカロスの長い尾は軌道を変え、執拗にパンプッチを狙う。
龍の力を帯びた尾が振り抜かれ、パンプッチの握る杖がレオの後方に吹き飛ばされた。
「っ!」
「さあ、これで攻撃手段は失われましたね。ミロカロス、ハイドロポンプ」
杖を失ったパンプッチへ、ミロカロスの放つ大量の水が迫る。
「くっ、パンプッチ、マントで防御だ!」
羽織るマントを翳して、パンプッチはどうにか水柱を受け止める。
しかし、
「冷凍ビームです」
直後にミロカロスが冷気の光線を放つ。
反撃の手段も無く、パンプッチは冷凍ビームをまともに浴びる。
効果抜群の一撃を受けた上、さらにパンプッチの下半身が凍りつき、床に縫い止められてしまった。
「決めますよ。ミロカロス、ドラゴンテール」
ミロカロスの尾が龍の力を帯びる。
パンプッチの脳天へと、長い尻尾が振り下ろされる。
その刹那。
「どうかな! パンプッチ、放電だ!」
パンプッチが周囲へと電撃を放つ。
撒き散らされた電撃はミロカロスを襲い、電撃を食らったミロカロスは尻尾のコントロールを失い、ドラゴンテールはパンプッチのすぐ横に逸れる。
「考えが甘かったな。杖が無くたって、放電は使えるんだ」
予想外の一撃で大ダメージを受け、さらに放電の影響で体が麻痺したようで、ミロカロスは中々起き上がれずにいる。
「……まずいですね。ミロカロス、立て直しますよ。自己再生です」
「そうはさせないぞ! パンプッチ、エナジーボール!」
レオが木の葉の杖を拾い上げ、パンプッチへ投げる。
レオからのパスを受け取り、パンプッチは杖を突き出し、自然の力を込めた念弾を撃ち出す。
回復する隙など与えず、エナジーボールが炸裂し、ミロカロスは吹き飛ばされ、戦闘不能となった。
「ミロカロス、よくやりました。休んでいなさい」
ミロカロスをボールに戻すと、ブレイズはレオの方に向き直る。
「流石ですね。やはりオパール様や覚醒したソライト様を撃破しているだけのことはあります」
「悪いが、直属護衛のお前ごときにやられるタマじゃないぜ」
「しかし私の任務は時間を稼ぐことです。私が勝てずともトパズ様一人が勝てば私たちの勝ち。さあ、ここからも相手になってもらいますよ」
不敵な笑みを作り、ブレイズは次のボールを取り出す。
「ペガーン、ギガスパーク!」
飛翔したペガーンが、巨大な電撃の砲弾を放つ。
「ブラッキー、サイコキネシス」
対してブラッキーはその場から動かず、強い念力を操作してギガスパークの軌道を逸らし、さらに、
「悪の波動よ」
返す刀で悪意に満ちた波動を撃ち出し、上空のペガーンを狙う。
「ペガーン、熱風!」
ペガーンもその場から動かずに翼を羽ばたかせ、灼熱の風を放って悪の波動を掻き消し、さらにブラッキーを狙う。
「効かないわよ。バークアウト」
ブラッキーが怒鳴り散らすような咆哮を放った瞬間に、
「撃ったな。ペガーン、ブレイブバード!」
ペガーンが青い炎の如き勇気のオーラを身に纏い、ブラッキー目掛けて超速で突貫する。
「っ、なるほど。ブラッキー、躱しなさい」
ブラッキーは大きく跳び上がり、間一髪でブレイブバードを躱すが、
「ふふ、まだ終わっていないぞ。ギガスパーク!」
ブラッキーの背後からペガーンが電撃の砲弾を放ち、空中のブラッキーを吹き飛ばす。
「ふふ。イカサマさえ気を付ければ、そのブラッキーは充分勝てる相手だ」
「悔しいけどそのようね。こればっかりは戦闘経験の差かしら」
セイラは、ブラッキーの何かしらの行動の直後に技を指示することで、ブラッキーがイカサマを繰り出す隙を無くして攻撃させている。
「言っておくが、ここでブラッキーを戻しても意味はない。私もそれに対してペガーンを戻し、ホムロソクを出すからな」
「流石にそれくらいは分かるわよ。あたしをそこまで甘く見ないでもらえるかしら。ブラッキー、立て直しなさい」
ブラッキーはゆっくりと起き上がるが、その隙とも見える間にもペガーンは攻撃を仕掛けず、徹底的に相手の行動を待つ。
「……仕方ないわね。ブラッキー、悪の波動」
起き上がったブラッキーが悪意に満ちた波動を撃ち出す。
「ペガーン、躱してギガスパーク!」
悪意の波動を躱して、ペガーンは再び電撃の大きな砲弾を放つ。
「ブラッキー、避けなさい。もう一度悪の波動」
ブラッキーが大きく跳躍し、砲弾を躱して再び悪の波動を放つ。
「貫け。ペガーン、ブレイブバード!」
その瞬間にペガーンは翼を折りたたみ、青い炎のオーラを纏って突撃。
悪意の波動を容易く打ち破り、ブラッキーを狙う。
「性に合わないけど玉砕覚悟よ。ブラッキー、突撃しなさい。イカサマよ」
ミサイルの如きペガーンに対し、ブラッキーは正面衝突を仕掛ける。
ペガーンの攻撃力を利用し、その力を使って正面から突撃。
結果は、相打ち。ブラッキーもペガーンも吹き飛ばされ、壁に叩きつけられ、双方とも力尽きる。
「……まあいいわ。ブラッキー、お疲れ様。休んでなさい」
「ふふ。ブラッキーさえ倒せば上出来。ペガーン、よくやった」
お互いにそれぞれのポケモンを戻し、次のボールを取り出す。
「もう一度行って来い、ホムロソク!」
「プラネム、神秘のひと時を」
セイラのポケモンは先程出したホムロソク、対するラピスのポケモンはプラネム。
タイプ相性的には、どちらが有利とは一概には言えない。
「まぁ、ここのぶつかり合いになることは予期していた。ここまでは想定内だぞ」
「こっちも想定内よ。勝負はここからってことね」
「そのようだ。ホムロソク、シャドーボール!」
両手を構えて掌に影を集め、ホムロソクが黒い影の弾を放つ。
「プラネム、スターフリーズ」
対してプラネムは瞬時に巨大な星型の氷塊を作り上げる。
影の弾ごときでは傷一つつかない氷塊が、ホムロソクを押し潰さんと迫る。
「溶かせ。ホムロソク、火炎放射!」
炎の頭からホムロソクは燃え盛る業火を撃ち出す。
氷塊の中央に炎が炸裂し、瞬く間に蒸発させ、
「次だ、ホムロソク、熱風!」
「プラネム、こちらも熱風よ」
ホムロソクが灼熱の風を放つと同時、プラネムもそれに負けない熱い風を吹かせる。
二つの風のぶつかりによって、通路一帯に熱い風が吹き荒れる。
「ホムロソク、シャドーボール!」
ホムロソクが影を両手に集め、二発の影の弾を放つ。
「プラネム、破壊しなさい。ストーンエッジ」
対してプラネムの周囲を白い光が舞う。
白い光が無数の尖った岩を形作り、その岩が一斉に撃ち出されるが、
「ふふ。無駄だぞ」
激しい風の流れに乗った影の弾はラピスはおろかセイラにも予測不能の滅茶苦茶な軌道を描き、ストーンエッジも当たらず、
「サイコキネシスだ!」
ホムロソクが強力な念力を操り、シャドーボールとストーンエッジに念力を仕掛ける。
先程までおかしな動きをしていた影の弾が急に一直線に飛び、プラネムを捉えて吹き飛ばす。
さらに先程放った岩の刃が逆に牙を剥き、プラネムの岩肌に次々と突き刺さる。
「火炎放射!」
「その辺にしてもらおうかしら。黒い霧よ」
吹っ飛ぶプラネムの体から、漆黒の霧が吹き出され、プラネムの姿を隠す。
直後にホムロソクが灼熱の炎を撃ち出す。
炎が黒い霧を貫くが、既にそこにプラネムの姿はない。
そして、
「スターフリーズ」
ゴバッ! と、漆黒の霧が一瞬で薙ぎ払われる。
「……!」
はっとセイラが上を見上げると、そこには体中から冷気を放つプラネム。
刹那。
星型の巨大な氷塊が、ホムロソクを押し潰す。