二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百七十七話 姉弟 ( No.327 )
- 日時: 2016/07/02 21:46
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
ナマズンの放った大波に、ドクケイルが飲み込まれる。
「ナマズン、吹雪です!」
ナマズンが冷気を溜め込み、放とうとする直前。
「ドクケイル、ピッカリ玉!」
ドクケイルが光の玉を投げつける。
ナマズンの目の前で光が炸裂し、ナマズンの視界を一時的に奪う。
吹雪は不発に終わり、エフィシとナマズンがドクケイルの場所を見失ってしまう。
だが、仮面のおかげか、ケケにはポケモンの位置がはっきり見えているようで、
「どっち見てんだ、ここだぜ? ドクケイル、毒々!」
ドクケイルが見るからに毒々しい液体を放ち、ナマズンに浴びせかける。
毒の液体を食らい、ナマズンは猛毒を浴びてしまう。
「これでドクケイルの仕事は完了。あとは出来る限り時間を引き延ばすぜ」
「……なるほど。毒でナマズンの体力を奪おうということですか」
「まぁな。何となく気づいてるかもしれねえが、このドクケイルは正直そこまで強くない。だからこそ、姑息に戦わせてもらうぜ」
羽ばたきながらドクケイルはケケの元へと戻ってくる。
「関係ないですね。さっさと貴様を倒してしまえばいいだけの話だ」
「ハッ、ドクケイル、ヘドロ爆弾!」
「ナマズン、大地の力!」
ドクケイルが無数のヘドロの塊を放ち、対してナマズンは目の前の床から土砂を噴出させる。
土砂によって、無数のヘドロは遮断される。
「サイコキネシス!」
ナマズンの頭上から、ドクケイルが念力の波を叩きつける。
「甘いですね。ナマズン、吹雪!」
念力を受けても怯まず、ナマズンは激しい吹雪をナマズンに吹き付ける。
吹雪に飲まれて翅を凍えさせ、ドクケイルが床へと墜落する。
「ピッカリ玉!」
「甘い! 大地の力です!」
ドクケイルが光の玉を投げつけるが、再びナマズンは自身の目の前から大量の土砂を噴出、放たれた閃光を完全に遮断し、
「ナマズン、地割れです!」
床に力を加え、ナマズンは床を叩き割る。
割った床の隙間にドクケイルを落とし、直後に割れた床が動いてドクケイルを押し潰し、戦闘不能にする。
「ちっ、一撃必殺ならしゃあねえな。ドクケイル、休んでろ」
ドクケイルを戻し、ケケは笑う仮面の奥からエフィシを見据える。
「これで最後の一体。だがドクケイルは言い方は悪いが前座、こいつは俺の切り札だ。そう簡単には……いや、てめえにゃ勝たせねえ」
仮面の奥の瞳がギョロリと動き、ケケが最後のボールを手に取る。
「行きな、プラネム!」
ケケの最後のポケモンは切り札プラネム。
ゆっくりと回転し、無機質な赤い瞳をエフィシへと向ける。
「それじゃあ行くか。プラネム、大地の怒り!」
刹那。
ナマズンが割った床が粉砕され、土砂や瓦礫がナマズンへと襲い掛かる。
「っ!? ナマズン、波乗り!」
咄嗟にナマズンが荒れ狂う大波を発生させるが、瓦礫は半分ほどしか薙ぎ払えず、残った瓦礫に飲まれてしまう。
「サイコバーン!」
瓦礫を食らったナマズンに対して、プラネムは念力を極度に強めて爆発させる。
念力の衝撃波が瓦礫ごとナマズンを捉え、吹き飛ばす。
吹っ飛んだナマズンは床に叩きつけられ、毒のダメージもあり、戦闘不能になってしまう。
「ナマズン、よくやりました。戻って休んでいてください」
ナマズンを戻し、エフィシが手に取るのは三番目、最後のボール。
「最後は頼みますよ、アルデッパ!」
エフィシの最後のポケモンは、草・水タイプのアルデッパ。
「……またか。臆するこたぁねえプラネム、こいつはこの間のアルデッパとは別個体だ」
「その口調だと、以前別のトレーナーのアルデッパに負けたようですね」
「ハッ、てめぇにゃ関係ねえ話だ。プラネム、ダイヤブラスト!」
プラネムの目が激しく点滅する。
直後、プラネムの周囲が爆発し、青白く輝く爆風を起こす。
「アルデッパ、ハイドロポンプ!」
対してアルデッパは爆発の中心に向けて水柱を噴射するが、煌めく爆風に阻まれ、プラネムには届かない。
「ならばアルデッパ、凍える風!」
アルデッパが冷気を含んだ風を吹き付ける。
冷たい風に打ち付けられ、プラネムの動きが少し鈍る。
「アルデッパ、パワーウィップ!」
「その程度痛くもねえ。プラネム、熱風!」
アルデッパが両手から長い蔓を伸ばすが、プラネムは回転して灼熱の風を放つ。
アルデッパの蔦は焦がされ、押し戻されてしまう。
「プラネム、もう一度だ!」
「同じ手は効きません。アルデッパ、ハイドロポンプ!」
再びプラネムが灼熱の風を吹き付け、対してアルデッパは大量の水を放ち、熱風を貫き、プラネムに大量の水を浴びせる。
「今です、メタルニッパー!」
アルデッパが口を大きく開く。
鉄のように硬化された牙を、プラネムの岩の体に突き立てるが、
「プラネム、ダイヤブラスト!」
牙を突き刺したその刹那、青白い煌めきと共にプラネムが爆発し、逆にアルデッパを吹き飛ばした。
ホロのテペトラーを下したキキのアゲハントだが、次のポケモンに大苦戦している。
というのも、
「ドサイドン、アームハンマー!」
ポケモンの相性が悪すぎるのだ。
「っ、アゲハント、躱してサイコキネシス!」
ドサイドンの鉄拳を躱し、アゲハントは強い念力を操り、念波を放つが、
「効かねえぜ! ドサイドン、メガホーン!」
ドサイドンが硬い角を突き出し、見た目に似合わぬスピードで突撃。
念力を破ってアゲハントに角をぶつけ、吹き飛ばす。
「ドサイドン、畳み掛けろ! アームハンマー!」
「立て直しなさいアゲハント! ギガドレインよ!」
ドサイドンが勢いに任せて腕を叩きつける。
どうにか紙一重でそれを躱すと、アゲハントは細い口を伸ばしてドサイドンに突き刺す。
しかし、
「その技が来るのを待ってた! ドサイドン、アゲハントの動きを止めろ!」
ドサイドンの特性はハードロック。効果抜群の攻撃を食らっても、そのダメージをある程度抑えることが出来る。
それでもギガドレインは四倍の抜群なのでダメージはかなり大きいが、両手でドサイドンはアゲハントを掴み、その動きを完全に止めてしまう。
「まずいわ……! アゲハント、抜け出しなさい! 虫のさざめき!」
翅を激しく振動させ、アゲハントは衝撃波を起こすが、
「それくらいじゃ俺のドサイドンは怯まないぜ! ドサイドン、放り投げろ!」
衝撃波を食らっても拘束は緩めず、ドサイドンはアゲハントを天井へと放り投げ、
「岩石砲!」
ドサイドンの右手に巨大な岩が作り出される。
筋肉の力で岩を飛ばし、アゲハントに岩を叩きつけ、吹き飛ばす。
効果抜群の岩タイプ最強の大技を食らってアゲハントが耐えられるはずもなく、力尽きて倒れてしまう。
「アゲハント、よく頑張ったわ。相性が悪すぎたわね……」
アゲハントを戻し、キキは感情のない紙袋の奥からホロを見据える。
「さあ、これで最後の一体ね。勿論出て来るのは私の切り札よ。最後に勝つのは私なんだから」
そう言って、キキは最後のボールを手に取る。
僅かに見える紙袋の奥の瞳が光る。
「行きなさい、プラネム!」
キキの最後のポケモンは、弟と同じくプラネム。
赤い瞳が、目の前のホロを捉える。
「やってしまいなさい。プラネム、スプラッシュ!」
突如、ドサイドンの頭上に水を纏った岩が出現。
無数の岩は水飛沫を散らしながら、ドサイドン目掛けて次々と降り注ぐ。
「くっ、さっきのアゲハントより随分強いな……ドサイドン、メガホーン!」
硬い角を構え、ドサイドンはプラネム目掛けて角を突き出し突撃する。
「プラネム、サイコバレット!」
対して、プラネムは周囲へ念力を放つ。
念力は実体化して無数の弾となり、その無数の弾がドサイドンへ一斉に撃ち出される。
角の一撃は無数の念弾に相殺され、
「ドサイドン、アームハンマー!」
「プラネム、スプラッシュ!」
ドサイドンが右腕を振り上げた瞬間に、プラネムが水を纏った無数の岩を放つ。
無数の岩はドサイドンの横腹に命中し、ドサイドンの体勢が崩れる。
コントロールを失った鉄拳はプラネムを捉えられず、
「サイコバレット!」
直後、プラネムの周囲に浮かんだ念力の銃弾が一斉に射撃される。
念力の弾幕をまともに食らい、ドサイドンの巨体が傾き、床に崩れ落ちた。
「ドサイドン、よくやってくれたな。ゆっくり休んでてくれよ」
ドサイドンをボールに戻し、ホロも最後のボールを取り出す。
「プラネムにはこいつしかいないな。頼んだぞ、ディザソル!」
ホロの最後のポケモンはディザソル。火力・スピードと共に高く、何より主力の悪タイプの技を効果抜群でぶつけられる。
「行くぜディザソル、十万ボルト!」
「防ぎなさい! プラネム、サイコバレット!」
ディザソルが高電圧の電撃を放ち、プラネムは無数の念力の銃弾を撃ち出す。
電撃が打ち破られるが、エスパー技であるサイコバレットは悪タイプのディザソルに効果はない。
「プラネム、スプラッシュ!」
プラネムの周囲に水を纏った岩が出現する。
無数の岩はディザソル目掛けて飛んで来るが、
「こいつには効かないぜ! ディザソル、サイコカッター!」
額の刃に念力を纏わせ、ディザソルは刃を振るい、無数の岩を両断し、さらに、
「ぶち壊す!」
地を蹴ってディザソルが突撃する。
プラネムとの距離を一気に詰め、鋭い爪を立てた前脚を突き出し、プラネムを叩き飛ばす。
「甘く見ないでもらえるかしら! プラネム、ストーンエッジ!」
吹き飛ばされながら、それでもプラネムが無数の鋭く尖った岩を飛ばし、ディザソルはストーンエッジの直撃を受けてしまう。
「やるな、やっぱり切り札は一味違うぜ。でも負けないぞ、俺のディザソルの方が強い!」
ホロの言葉に応えるように、起き上がったディザソルが大きく咆哮する。