二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百七十八話 氷砕 ( No.328 )
日時: 2016/07/06 08:21
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「祝福せよ、オオイナリ!」
ブレイズの次なるポケモンはオオイナリ。確実にパンプッチを倒すためだろう。
「炎タイプか……パンプッチ、相性はよくないけど、やれるところまで頼むぞ」
レオの言葉にパンプッチは頷き、杖を構える。
「よし、パンプッチ、ハイドロポンプ!」
杖を突き出し、パンプッチは大量の水を放つ。
「オオイナリ、サイコキネシス」
対してオオイナリは強い念力を操り、水柱の軌道をねじ曲げて攻撃を避けると、
「瞑想です」
目を瞑り、精神を集中させ、特殊能力を高める。
「パンプッチ、シャドーボール!」
「オオイナリ、シャドーボール」
パンプッチが杖を振って黒い影の弾を放ち、同じくオオイナリも目を開き、影の弾を撃ち出す。
お互いのシャドーボールが衝突し、爆発して消滅する。
「パンプッチ、放電だ!」
爆煙の中を潜ってパンプッチはオオイナリに近づき、体から電気を放つ。
撒き散らされた電撃がオオイナリを捉えるが、
「構いません。オオイナリ、火炎放射!」
電撃を受けても動きを止めず、オオイナリは口から灼熱の炎を吐き出す。
勢いよく放たれた炎がパンプッチの体を焦がし、吹き飛ばす。
「パンプッチ!?」
想定外に攻撃力の高いオオイナリの一撃をまともに受け、パンプッチはこれで倒れてしまう。
「っ、そうだった、瞑想で特殊能力が上がってるんだ。よくやったぞパンプッチ、お疲れ様」
パンプッチの体の煤を払ってボールの中へと戻し、レオは次のボールを手に取る。
「それじゃあ次は、トゲキッス、頼んだ!」
続くレオの二番手はトゲキッスだ。
「なるほど、オオイナリの瞑想に対抗して特防の高いトゲキッスを選びましたか。ならばオオイナリ、瞑想です」
「させるかよ! トゲキッス、波動弾!」
オオイナリが再び瞑想に入るが、トゲキッスはそれをさせまいと、波動を凝縮した念弾を放つ。
猛スピードで飛ぶ波動弾がオオイナリを捉え、瞑想は中断される。
「仕方ありません。オオイナリ、火炎放射」
瞑想を諦め、オオイナリは灼熱の炎を吐き出す。
「トゲキッス、大文字!」
トゲキッスも燃え盛る大の字型の炎を撃ち出し、オオイナリの火炎放射を防ぎ、さらに、
「サイコバーン!」
体内に念力を溜め込んで爆発させ、衝撃波を放つ。
「オオイナリ、受け止めてサイコキネシス」
オオイナリが床を踏みしめて防御体制に入る。
念力の直撃を正面から受け止め、すぐさま反撃に出る。
返す刀でオオイナリが念力の波を放ち、トゲキッスを押し戻す。
「効果今一つのエスパー技など恐るるに足りません。今ので分かりましたが、貴方のトゲキッスの技は、オオイナリに対してほとんどの技の通りが悪いようですね」
「それはそっちも同じことだろ? トゲキッスにシャドーボールは効かない。オオイナリはサイコキネシスと火炎放射で戦うしかないよな」
「ふふふ、その通りです。しかし主力技が二つ通ればそれで充分。加えて瞑想もありますしね」
ではバトルを続けますよ、とブレイズは締め、
「オオイナリ、サイコキネシス」
オオイナリが念力を操作し、一点に集め、巨大な念力の塊をぶつける。
「トゲキッス、エアスラッシュ!」
対してトゲキッスは大きく羽ばたき、空をも切り裂く空気の刃を飛ばす。
刃は念力の塊を貫き、両断し、さらにオオイナリ本体を狙う。
「オオイナリ、もう一度サイコキネシス」
再びオオイナリは強い念力を操作し、空気の刃に念力を掛ける。
「その物騒な刃物をお返ししてやりなさい」
オオイナリが念力を操ると、空気の刃がUターンし、トゲキッスへと切っ先を向ける。
「それならトゲキッス、もう一度だ!」
再びトゲキッスは空気の刃を放ち、二つの刃は正面からぶつかって砕け散る。
「オオイナリ、火炎放射」
そこにオオイナリが灼熱の炎を放つ。
対応しきれずに、トゲキッスは炎を浴びてしまう。
「サイコキネシスです」
「くっ、トゲキッス、サイコバーン!」
オオイナリがさらに念力の波を放ち、トゲキッスは不安定な状態ながらも何とか念力の衝撃波を放出する。
相殺こそできなかったが威力を弱め、トゲキッスが受けるダメージは最低限に留める。
「あんた、思ってたよりやるな。直属護衛の中じゃ強い方なんじゃないか?」
「光栄です。直属護衛間での序列は定められておりませんので何とも言えませんがね」
「だけど覚醒した天将ほどじゃあない。あいつらに比べたら、底まで掴み取るのは簡単だぜ」
「それはそうですよ。我ら直属護衛と天将様を比べられても、月とスッポンというものです」
レオとブレイズ共、お互いにまだ余裕を見せつつ、勝負を進めていく。


建物全体を揺るがす大爆発と共に、凄まじい爆風が巻き起こる。
ギャロップとガルラーダ、共に吹き飛ばされて壁に激突し、戦闘不能となる。
「ギャロップ、よくやった。後は戻って休んでな」
「ガルラーダ、上出来だ。充分な仕事振りだ」
お互いにそれぞれのポケモンを労い、ボールに戻す。
「さあこっから折り返しだぜ。やっぱ互角の戦いってのはいいよなぁ」
「随分と余裕が見えるな。貴様のペースを崩せていないのも事実だが」
「そりゃお互い様よ。二体落とされても表情一つ変えないってのは、流石軍神様ってところだねぇ」
「まだそのような局面ではない。我が表情を変えるのは、勝利を確信した時のみ。さあ、次のポケモンを出せ」
「言われるまでもねえさ。潜行せよ、マンタイン!」
「ならばこちらは、征服せよ、エーフィ!」
リョーマのポケモンはマンタイン、トパズのポケモンはエーフィだ。
「行くぞ。エーフィ、電磁砲!」
エーフィの額の宝石が光り、電撃の砲弾が作り出される。
「おおっと! マンタイン、こいつぁ躱せ!」
巨大な翼のような胸ビレを動かし、マンタインは浮上して電磁砲を躱し、
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
上空から大量の水を滝のようにエーフィ目掛けて落とす。
「エーフィ、サイコショック!」
対して、エーフィは実体化させ、質量を持った念力で壁を作り、水柱を食い止める。
「マンタイン、冷凍ビーム!」
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
再び上空からマンタインが冷気の光線を放つが、エーフィは素早い動きで光線を躱しつつマンタインに接近していき、マンタインの真下に潜り込んで真上に影の弾を放つ。
マンタインの腹部に影の弾が直撃するが、
マンタインはバランスを保ったままゆっくりと下降してくる。
「マンタインは特防が高い。それくらいじゃびくともしないぜ」
さらに、とリョーマは続け、
「エーフィが冷凍ビームを躱し続けてくれたお陰で、床全体が凍りついた。マンタインは浮いてるし、寒さにも強いからいいけど、四足歩行のエーフィには中々きついんじゃねえのか?」
「ふん、我がポケモンはいついかなる場合での戦闘にも備えて鍛えられている。それこそ、例え極寒の地であっても通常通り動けるようにな。これしきの氷、何の障害にもならぬわ」
「うへぇ、流石は軍神様だぜ。マンタイン、エアスラッシュ!」
マンタインが空気の刃を水平に放つ。
刃は床すれすれのところを飛び、エーフィの足元を狙うが、
「エーフィ、躱してサイコショック!」
氷を障害ともせずにエーフィは跳躍して刃を躱し、実体化させて質量を持った念力をマンタインへ叩きつける。
サイコショックは特殊技だが、物理的なダメージを与える。特防が高くても意味がないのだ。
「なるほど、確かに氷のフィールドは効果がなさそうだ。それなら」
トパズの言葉の真偽を確認し、リョーマは次の手に出る。
「こんな技も持ってるぜ? マンタイン、バグノイズ!」
マンタインが耳をつんざく超音波を放つ。
超音波による空気の振動によって床を覆う氷が瞬く間に粉砕され、さらにエーフィの体の内側からダメージを与えていく。
「エーフィ、電磁砲!」
「無駄だぜ。マンタイン、そのまま続けろ」
ノイズに苦しみながらもエーフィは電撃を溜めようとするが、空気の振動によって電気のコントロールが乱され、一点に集まりかけていた電気は霧散してしまう。
「こんなもんか。マンタイン、ハイドロポンプ!」
「エーフィ、ダメージを抑えろ。サイコショック!」
超音波を止め、マンタインは大量の水を噴き出す。
苦し紛れにエーフィは念力を実体化させて、壁を作り出す。
最初のうちは念力の壁がハイドロポンプを食い止めるが、やがて打ち破られてしまい、エーフィは水柱を食らって吹き飛ばされる。
「マンタイン、エアスラッシュ!」
「エーフィ、立て直せ。シャドーボール!」
マンタインが空気の刃を放つが、エーフィは床に伏せながらも黒い影の弾を放ち、エアスラッシュを相殺する。
「ラピスが戦った時と技が変わっているな。覚えている技が全て特殊技のようだが」
「あら、知ってたか。二刀流させるとどうしても火力が中途半端になるんでね、特殊技一本に育て直した。おかげで火力が一気に伸びたぜ」
「そうなるとリフレクターの出番はなさそうだ。エーフィ、サイコショック!」
「それも見越した上だぜ? マンタイン、冷凍ビーム!」
エーフィが実体化させた念力の塊を飛ばし、マンタインは冷気の光線を放つ。
念力の塊は凍りついて動きを止め、砕けて消滅する。
「エーフィ、接近して電磁砲!」
「そうはいかねえ! マンタイン、ハイドロポンプ!」
砕けた氷を潜り抜け、エーフィが電撃の砲弾を放つ。
対して、マンタインは大きく浮上し、上空から滝のような大量の水を噴射する。
双方の一撃が正面から激突し、激しく競り合う。