二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百八十話 一閃 ( No.332 )
- 日時: 2016/07/16 20:46
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Ft4.l7ID)
レオとブレイズの戦いは、互角に進んでいる。
「オオイナリ、サイコキネシス」
「トゲキッス、サイコバーン!」
本来は実力的にはレオのトゲキッスの方が勝っているのだが、ブレイズのオオイナリは瞑想によって互角に立ち回っている。
オオイナリが強い念力を操って念力の波を放ち、トゲキッスは溜め込んだ念力を爆発させて衝撃波を飛ばす。
「トゲキッス、波動弾!」
念力同士が激突して巻き起こった爆煙の中に、トゲキッスは体内の波動を一点に集めた念弾を撃ち出す。
「集中しなさい、オオイナリ。煙から出てきた瞬間にシャドーボールです」
オオイナリの口元に黒い影が集まる。
「来ます!」
煙の中から波動弾が現れた瞬間、オオイナリが影の弾を放ち、波動弾を相殺するが、
「今だ! トゲキッス、エアスラッシュ!」
煙に紛れて浮上していたトゲキッスが、波動弾と全く違う方向から空気の刃を飛ばす。
「間に合うか……オオイナリ、サイコキネシスです」
オオイナリが念力を生み出すが、空を切る刃の方が速く、念力を操る前に刃に切り裂かれてしまう。
「トゲキッス、大文字!」
さらにトゲキッスが燃え盛る大の字型の炎をオオイナリへ撃ち込む。
しかし、オオイナリは眼前に迫った炎を吸い込み、食べてしまった。
「……しまった、そいつ貰い火か!
「ご名答、私のオオイナリの特性は貰い火です。残念でしたね、今の大文字、有効活用させていただきます」
ブレイズが不敵な笑みを浮かべ、
「オオイナリ、火炎放射」
口を開き、オオイナリが灼熱の業火を噴き出す。
「トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
放たれた炎を躱そうとするトゲキッスだが、思っていたよりも炎の攻撃範囲が広い。
直撃は避けたものの、翼の先を焦がされ、トゲキッスの体勢が崩れてしまう。
「サイコキネシスです」
その隙を逃さずオオイナリは強い念力を操り、滞空しているトゲキッスに念力を掛け、床へと落とす。
「決めましょうか。火炎放射」
床に叩きつけられたトゲキッスへ、オオイナリは荒れ狂う灼熱の業火を噴き出す。
「っ、やられてたまるか! トゲキッス、真下に波動弾だ!」
床に倒れたまま、トゲキッスは真下、つまり床へと波動の念弾を放つ。
技を撃ち出した反動により、トゲキッスの体が僅かに浮く。
「今だトゲキッス、飛べ!」
大きく羽ばたき、トゲキッスは間一髪で宙へ舞い上がる。
次の瞬間には、トゲキッスが先ほどまで倒れていたところを荒れ狂う炎が飲み込んだ。
「逃がしませんよ。オオイナリ、火炎放射!」
「貫け! トゲキッス、エアスラッシュ!」
上空のトゲキッスを見上げて、オオイナリは灼熱の業火を放つ。
対してトゲキッスは思い切り羽ばたき、空を切り裂く空気の刃を飛ばす。
空気の刃は灼熱の炎の中を突き進み、オオイナリの顔面に直撃した。
しかし、トゲキッスも灼熱の炎を正面から浴びてしまう。
刃を顔面に食らってオオイナリが倒れ、直後にトゲキッスも墜落し床に落ち、両者とも戦闘不能になった。
「トゲキッス、よく頑張った。戻って休んでてくれよ」
「ここまででしたか。オオイナリ、よくやりました」
レオとブレイズはお互いにそれぞれのポケモンをボールに戻す。
「瞑想を数回使って、さらに貰い火まで発動させたオオイナリの炎に負けないとは。驚きました」
「僕のトゲキッスの特殊攻撃は僕の手持ちでもトップクラスだ。そう簡単には打ち破れないぜ」
そして、両者が最後のボールを取り出す。
「頼んだぜ、ヘラクロス!」
「守護せよ、ハッサム!」
レオのポケモンはヘラクロス、ブレイズのポケモンはハッサム。
どちらも、物理攻撃力に優れる虫タイプだ。
「それでは行きましょうか。ハッサム、バレットパンチ!」
ハッサムが猛スピードで動く。
一瞬のうちにヘラクロスとの距離を詰め、弾丸のような連続パンチを繰り出す。
「ヘラクロス、受け止めろ!」
対してヘラクロスは防御の構えを取る。
体の硬さを生かし、ハッサムのバレットパンチを受け切り、
「メガホーンだ!」
長く硬い角をハッサムの腹の下にねじ込み、ハッサムを持ち上げ、軽々と投げ飛ばす。
「何という怪力……ならばハッサム、馬鹿力!」
投げ飛ばされて床に落ちたハッサムだが、即座に起き上がり反撃に出る。
パワーのリミッターを外し、渾身の力でヘラクロスに殴りかかる。
「ヘラクロス、もう一度メガホーン!」
対してヘラクロスは長い角を突き出し、ハッサムを迎え撃つ。
鋼の鋏と硬い角の一撃が、真っ向からぶつかり合う。
「エーフィ、サイコショック!」
エーフィが額の宝石から念力を発して実体化させ質量を持った念力を放つ。
「マンタイン、冷凍ビーム!」
対してマンタインは冷気の光線を放ち、念力を凍らせて破壊する。
「エーフィ、シャドーボール!」
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
エーフィが黒い影の弾をマンタインへと飛ばすが、マンタインは大量の水を噴射し、シャドーボールを押し流す。
「ならばエーフィ、躱して電磁砲!」
跳躍して水柱を躱し、エーフィは額の宝石に電撃を溜め込むが、
「させねえよ! マンタイン、バグノイズ!」
マンタインが耳をつんざく超音波を放ち、空気を振動させて溜めた電撃を霧散させ、さらに超音波がエーフィの体力を削り取っていく。
「エーフィ、シャドーボール!」
ノイズを受けながらも、エーフィは額に影を集め、黒い影の弾を撃ち出す。
マンタインに直撃し、ノイズは止まる。
「どうやら、ノイズの発射中は動けないようだな」
「よく気付いたな。確かにノイズを止めないとマンタインは動けない。だけどマンタインは特防も高いし、シャドーボール如きじゃ致命傷にはならないぜ」
「ならば物理で叩いてやろうか。エーフィ、サイコショック!」
エーフィが念力を実体化させ、質量を持った念力をマンタインへ飛ばす。
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
マンタインは大量の水を噴射して、実体化した念力を防ぎ、
「エアスラッシュ!」
大きなヒレを羽ばたかせ、空気の刃を飛ばす。
「刃ごと砕け。エーフィ、電磁砲!」
エーフィの額の宝石に電気が集まり、電気の砲弾が作り上げられる。
撃ち出された砲弾は空気の刃を粉砕し、その後ろのマンタイン本体に迫る。
「バグノイズじゃ間に合わねえな、だったらマンタイン、ハイドロポンプ!」
マンタインは大量の水を噴き出し、電気の砲弾をなんとか食い止める。
しかし、
「エーフィ、サイコショック!」
その隙を突いてエーフィは宙に浮かぶマンタインの真下に入り込み、実体化させて質量を持った念力を打ち上げる。
マンタインの腹部に念力が直撃し、空中でマンタインの体がぐらりと傾く。
「ちっ、マンタイン、バグノイズだ!」
ゆっくりと降下しながら、マンタインは耳をつんざく超音波を放つ。
「もうその技は効かんぞ。シャドーボール!」
ノイズを受けながらも、エーフィは黒い影の弾を撃ち出す。
マンタインの額に命中し、マンタインは押し戻され、ノイズは止まる。
「ならばこうするか。エーフィ、マンタインに飛び乗れ!」
エーフィが大きく跳躍する。
体勢を立て直したばかりのマンタインの背中に着地し、マンタインの上を取った。
「んだと!? マンタイン、振り落とせ!」
マンタインがヒレを激しく振り、上に乗ったエーフィを振り落とそうとするのだが、エーフィも中々離れようとしない。
「叩き落とせ。サイコショック!」
エーフィが念力を発生させる。
念力を実体化させて質量を持たせ、それをマンタインの額に叩きつける。
マンタインの巨体が撃墜され、床に叩き落とされる。
「とどめだ。電磁砲!」
エーフィの額の宝石から、電撃の砲弾が撃ち出される。
地面にうつ伏せになるマンタインの背に着弾し、マンタインの体全体に激しい電撃が走る。
マンタインは水・飛行タイプで、電気技には非常に弱い。いくら特防が高くとも流石に耐えきることは出来ずに、戦闘不能にされてしまった。
「ここまでか。マンタイン、よく頑張った」
リョーマはマンタインの頭を撫で、ボールに戻す。
「やっぱ天将第二位の称号は伊達じゃねえな。こないだの第三位と比べても明らかに実力が飛び抜けてやがるぜ」
少しずつではあるが、リョーマはトパズの強さの正体に気付きだした。
輝天のトパズは隙を見逃さない。普通のトレーナーであれば絶対に気付かないような隙でも、トパズは的確に突いてくる。
さらに彼のポケモンの並外れた能力、数多の戦場で培った圧倒的な戦闘経験。
そして、
「そんな相手に勝てるとしたら、こいつだけだよなぁ!」
そんな化け物を相手取っても、リョーマは全く恐れない。
寧ろ攻略するのを楽しむかのように、最後のボールを取り出す。
「行くぜ相棒! 出て来い、ブレイオー!」
リョーマの最後のポケモンは、勿論エースのブレイオー。天将第三位のラピスをして本物と言わしめるほどのポケモンだ。
「やはりブレイオーで来たな。その力を見せてもらおうか。エーフィ、リフレクター!」
「上等だぜ。ブレイオー、リーフブレード!」
一歩進み出るブレイオーの右手の刀が淡く光る。
次の瞬間には、エーフィがリフレクターを作り上げるよりも早く、刀がエーフィを切り裂いていた。
目にも留まらぬ一撃を受け、エーフィの体がドサリと音を立てて崩れ落ちた。
「……ほう。エーフィ、休んでいろ」
僅かに驚いたような表情を見せ、トパズはエーフィをボールに戻す。
「さあ、これで条件は五分だ。最後のエースを出してもらおうか」
「なるほど、ラピスが高く評価するだけのことはあるな。いいだろう、我が最後のポケモンで、全力を持って相手をしてやろう」
トパズが最後のボールを手に取った。二重に描かれた鎖の模様が、橙の光を放つ。
「輝天の明光を受けよ、マカドゥス!」