二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百八十一話 闇鎌 ( No.333 )
- 日時: 2016/07/13 18:52
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: RUUNG3Sd)
「キキ、貴方負けてしまったの?」
「姉貴だって負けてんじゃねえかよ」
自分たちを打ち負かした敵二人を目の前にしながら、姉弟は動揺一つしない。
「エフィシにーちゃん、こいつらどうするんだ?」
「決まっています。ここで縄についてもらう」
エフィシとホロが二人に詰め寄るが、キキとケケはまるで気に留めず、
「でもさ、ケケ。今回の任務は時間稼ぎだったわよね」
「ある程度時間は稼いだけど、トパズ様はまだ戦ってるぜ」
そんな訳で、とケケが続けたその直後。
ガタン! と天井から鉄のシャッターが降り、最上階への通路を塞いでしまう。
「私たちが戦ってる間に、ソライト様がここのシステムをハッキングしてくれたのよ」
「最上階まで辿り着きたけりゃ、このシャッターを壊していくことだな」
シャッターの向こう側から、キキとケケの声が聞こえる。
「っ、しまった!」
「逃さないぞ! ディザソル、ぶち壊す!」
ホロのディザソルがシャッターへ攻撃するが、シャッターはびくともしない。
「本来は火事などを防ぐための強固なセキュリティドアですからね、そう簡単には破れないでしょう。仕方がありませんが、別の道から行きましょう」
「オッケー、わかったぜ」
最後の最後で姉弟に一杯食わされ、やむなくエフィシとホロは引き返す。
お互いの一撃が激突するが、
「ハッサム、退きなさい」
競り合う途中で、素早くハッサムは後退し、体勢を立て直す。
「ヘラクロス、瓦割り!」
翅を広げ、ヘラクロスが飛翔する。
一気に接近し、ハッサムの頭上から固い角を振り下ろす。
「ハッサム、シザークロス」
両手の鋏を交差させ、ハッサムはヘラクロスの角を防ぐ。
「バレットパンチです」
角の勢いが緩んだところに、ハッサムは弾丸の如き連続パンチを放ち、ヘラクロスを押し戻す。
「まだ行きますよ。ハッサム、燕返し!」
ヘラクロスの動きが止まったところに、ハッサムが迫る。
刀身のように白く輝く鋏を、ヘラクロスへと突き出す。
「ヘラクロス、辻斬り!」
ヘラクロスの鋭い爪が光を纏って伸びる。
ハッサムが刀を振るうように二本の腕による攻撃を繰り出してくるが、それをヘラクロスは両手の爪で防ぎ切った。
「今だヘラクロス、瓦割り!」
間髪入れずにヘラクロスは硬い角を思い切り振り下ろし、ハッサムの脳天に叩きつける。
「なかなかやりますね。ハッサム、退きなさい」
一旦ブレイズの元まで下がり、ハッサムは体勢を整える。
「なかなかの動体視力です。私のハッサムの燕返しを、全て見切るとは」
「パワーだけが僕のヘラクロスの取り柄じゃないってことさ」
ニヤリとレオは笑い、
「ヘラクロス、次は岩雪崩!」
ヘラクロスはハッサムの頭上から無数の大きな岩を落とす。
無数の岩がハッサムの動きを封じてしまうが、
「それは効きません。ハッサム、馬鹿力」
次の瞬間には、無数の岩は粉々に砕け散ってしまう。
「もう一度馬鹿力です」
「だったら、メガホーンだ!」
ハッサムが床を蹴って飛び出し、渾身の力を込めて鋼の鋏を振り下ろす。
ヘラクロスも前方に飛び出し、硬い角を突き出す。
双方の全力の一撃が激突し、火花を散らすが、
「ヘラクロス!」
床にしっかりと爪を食い込ませ、ヘラクロスがさらに角の力を込め、ハッサムを突き飛ばした。
「っ、やはりパワーでは劣りますか。ならばハッサム、バレットパンチ」
鉄砲玉のようにハッサムが飛び出し、弾丸のような目にも留まらぬ連続パンチを繰り出す。
「ヘラクロス、辻斬りだ!」
連続パンチを受け切ったヘラクロスの爪が光を纏って伸びる。
「ハッサム、シザークロス」
しかしハッサムの鋼の鋏によって防がれ、
「燕返しです」
ハッサムの脚が刀身のような光を放ち、ヘラクロスの脇腹を蹴飛ばす。
「ハッサム、もう一度シザークロスです」
さらにハッサムが両手の鋏を構え、ヘラクロスを追う。
鋏を交差させ、X字型にヘラクロスを切り裂く。
「ヘラクロス、瓦割だ!」
対してヘラクロスは硬い角を叩きつけ、ハッサムの鋏を何とか受け止める。
「ヘラクロス、メガホーン!」
「ハッサム、退きなさい」
ヘラクロスが角でハッサムをすくい投げようとするが、ハッサムは後ろに跳び、素早く身を退く。
「だったらそのまま突っ込め!」
翅を広げ、ヘラクロスが飛び立つ。
硬い角を突き出し、一気にハッサムとの距離を詰める。
だが、
「ハッサム、捕まえなさい」
角が当たる寸前で、ハッサムが横に逸れる。
そのまま、頑丈な鋼の鋏でヘラクロスの角を挟み、ヘラクロスを捕らえた。
「馬鹿力です」
右の鋏でヘラクロスを捕まえたまま、ハッサムが左の鋏を振り上げる。
「夜天の闇に蠢け、ネクロシア!」
ラピスの切り札、ネクロシアが現れた。
真っ赤に血走った目は赤い残光を引き、鉤爪や鎌は鋭く悍ましい。
「これは……ホムロソク、ここまでよくやってくれた。後は戻っていろ」
ネクロシアを見て、セイラはまだ戦えるはずのホムロソクをボールに戻した。
「あら、懸命な判断ね」
「見た瞬間に確信した。私のホムロソクが弱いとは微塵も思っていないが、間違いなくそのネクロシアには勝てない。ここは私もエースを出させてもらう」
セイラが最後のボールに手を掛ける。
「こいつに勝てるか? 出て来い、ヒョウカク!」
セイラの最後のポケモンは、勿論エースのヒョウカク。
「じゃあ行くわよ。ネクロシア、シャドークロー」
鉤爪を構えて、音も無くネクロシアが動く。
静かに、しかし一気にヒョウカクに近づき、影を纏った黒い爪を振るう。
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクは角を伸ばし、ドリルの如く回転しながら突撃する。
高速回転によってネクロシアの爪は弾かれ、
「ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
ネクロシアが体勢を崩したところに、ヒョウカクが太い水柱を噴き出す。
「ネクロシア、スプラッシュ」
だがネクロシアはその場で宙返りしながら、水を纏わせた下半身の刃を振るい、水柱を両断してしまう。
「サイコバレットよ」
ネクロシアの周囲に念力が発生する。
念力は無数の念弾を形作り、一斉に射撃される。
「ヒョウカク、守る!」
対してヒョウカクは守りの結界を張り、念弾を完全防御し、
「吹雪だ!」
雪を乗せた暴風を起こし、周囲を纏めて吹き飛ばす。
「ネクロシア、ギガスパーク」
吹雪に吹き飛ばされるが、着地するとネクロシアはすぐさま反撃に出る。
掌に電気を集めて巨大な電撃の砲弾を作り上げ、それをヒョウカクへと投げつける。
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクは高速回転し、砲弾の中へと突っ込む。
ドリルライナーは地面技。ギガスパークの中心を貫いて撃ち破り、そのままネクロシアへ突撃する。
「ネクロシア、受け止めなさい。シャドークロー」
ネクロシアが両手に影の爪を纏う。
ドリルのように高速回転するヒョウカクを両手で挟み込んで受け止め、
「スプラッシュ」
水を纏った下半身の鎌を振り抜き、ヒョウカクを切り裂き、吹き飛ばす。
「続けなさい。ネクロシア、シャドークロー」
「っ、ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
ネクロシアがヒョウカクを追って影の爪を突き出し、ヒョウカクは体勢を崩しながらも大量の水を噴き出す。
しかしネクロシアの爪の一振りによって大量の水は一発で吹き飛ばされ、
「スプラッシュ」
鎌に水を纏ったネクロシアが、その切っ先をヒョウカクへと向ける。
「させない。ヒョウカク、守る!」
鎌が振り下ろされる瞬間、ヒョウカクの周囲に守りの結界が張られる。
鎌の一撃はヒョウカクを捉えられず、逆に結界に弾き返されてしまう。
「ふふ。ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
返す刀でヒョウカクが太い水柱を放ち、ネクロシアを押し流した。
「ヒョウカク、続けてドリルライナー!」
さらに角を伸ばして高速回転し、ヒョウカクはドリルの如く突撃を仕掛ける。
「ネクロシア、スプラッシュ」
しかしネクロシアもヒョウカクの突撃に合わせ、体勢を立て直して下半身の鎌に水を纏わせて素早く振り抜く。
ヒョウカクの角とネクロシアの鎌が激突し、直後に双方素早く退いて距離を取る。
「ネクロシア、ギガスパーク」
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ネクロシアが電撃の砲弾を投げつけ、それに対してヒョウカクは再び高速回転しながら突撃する。
電撃の砲弾を破って、さらにネクロシアへと矛先を向けるが、
「甘いわよ。ネクロシア、サイコバレット」
刹那、無数の念力の銃弾がヒョウカクに撃ち込まれ、ヒョウカクは逆に吹き飛ばされてしまう。
「むー、ポケモンの力はともかく、戦術的にはあのフード男に勝っているな。流石は第三位、攻撃こそ全てのあの第四位とは違うな」
「それはどうも。真っ向から相手を破壊するメジストとは違って、私はあらゆる角度から相手を闇に沈める。さあ、次はどこから攻めようかしら」
起き上がったヒョウカクの姿が、血走ったネクロシアの赤い瞳に映る。