二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第七話 N・E団 ( No.34 )
- 日時: 2013/08/15 13:33
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
ツバキに勝利し、ジムを出たレオ。
「次の町に行ってもいいけど、少々遠いな……」
次のジムがある町、デンエイシティは、地図を見た感じ、距離が結構ある。
今から出ても、夜までに着くことは出来ないだろう。
「今日は一日、ハスバナで過ごすか」
とりあえずポケモンセンターに戻り、ポケモンを回復させる。
他に行くところはないかと、レオはハスバナシティのパンフレットを取る。
「お?」
丁度いいところがあった。町のはずれにあるハスバナの大池。
池がたくさんあるこの町の中でも、一際大きな池らしく、ツバキがわざわざその周辺を広場にしたところだ。
その時、アスカがポケモンセンターへと入ってきた。
レオがちょうど顔を上げ、アスカに気付いたと同時に、アスカもレオに気付いたようだ。
「あら、レオ。ジムには挑んだ?」
「勿論。しっかり勝って来たぜ」
レオは自慢げにバッジケースを取り出し、ミザールバッジを見せる。
「うっそー、レオに先を越されちゃったわけ? こうしちゃいられないわ、私ももうちょっとララベリーと特訓して、あの技を……」
どうやら、アスカの草タイプのポケモンというのは、ララベリーというポケモンのようだ。
ララベリーはウチセトにいたポケモンなので、レオはララベリーを知っている。丸っこく、イチゴのようなポケモンで、頭のヘタからは美味しい実がなっているのだ。
「へえ、ララベリーをゲットしたんだ」
「ええ。もうちょっとでこの子、日本晴れをマスター出来るんだけど、なかなか上手くいかなくてね」
日本晴れとは、天気を日差しの強い晴天に変える技。雨に頼った戦法のツバキにはいい対策だろう。
「僕も手伝おうか? バトルなら出来るけど」
「ううん、大丈夫。攻撃技ならともかく、日本晴れをバトルで練習したって仕方がないでしょ?」
アスカの言い分ももっともである。
とりあえず、アスカと一旦別れ、大池に行こうとしたその時だ。
ポケモンセンターに、女の子が駆けこんで来た。見た感じ泣いているらしい。
(何だ?)
その子はジョーイさんのところまで一直線に走っていき、こんなことを言った。
「……わ、私のポケモンが、変な服を着たおじさんたちに取られちゃった……!」
「!?」
思わずそちらを振り返るレオ。
アスカもそれを聞いていたらしく、女の子へと近づいていた。
レオも話に加わるべく、そこへ近づく。
「ねえ、そのポケモンはどこで取られたの?」
ジョーイさんが聞くと、女の子は泣きながらも言葉を絞り出す。
「……お、おっきな池の近くで……」
「……ハスバナの大池ね。分かったわ、ちょっと待っててね。ツバキさんに連絡を——」
電話を取出し、ジムへと連絡を取ろうとするジョーイさん。
その一方で。
「レオ、聞いたわね」
「ああ。はっきりとな」
話の一部始終を聞き、動き出す少年と少女。
「だったら、あんたは今どうしようとしてる?」
「決まってんだろ。ハスバナの大池に向かい、ポケモンを取り返す」
「そうこなくっちゃね」
レオとアスカはポケモンセンターを出ると、走り出す。
ハスバナの大池。
広場のように作られており、中央には一際大きな池がある。
さらにその中央には、普通よりも大きな蓮の花が浮かんでいる。
パンフレット曰く、その花は人工的な技術が加えられ、通常より大きく育てられたようだ。
その池の端っこの方に、見るからにその雰囲気を壊している人影が二つ。
黒ずくめの服を着、口を黒いマスクで多い、フードを被った(目は見えている)二人組の男だ。
傍らには手で持てる程度の大きさの小さな檻があり、中にはモンスターボールが三つほど。
そう。
こいつらは、N・E団の下っ端。
「というか、何でボスは下っ端のポケモンは支給してくれないんですかねえ?」
「しょうがねえだろう。N・E団のボスは、部下への戦力の支給なんていっさいしねえ。『天将』の方々も、自分でゲットしてポケモンを使ってるんだ。新人のお前はよく分からんかもしれんが、ここの組織の最大のルールは『自己責任』ってことだ。その自己責任と引き換えに、俺達はある程度の自由行動が認められているんだぞ」
他の組織と違い、N・E団は下っ端にもある程度の自由行動が認められている。
しかし、そこでの負担は全て自己責任。自由行動でへまをすれば、その罰は大きい。
「だからとりあえず、そろそろここを出るぞ。人影も減ってきた、逃げるなら今のうちだ」
「はい」
檻を持って立ち上がり、この場から逃げようとする二人の下っ端。
しかし、
「見つけたぞ、悪党!」
「その檻の中にあるボールを、返してもらおうかしら」
下っ端にとって、最悪の事態が訪れる。
先ほども言った通り、自由行動でのへまは厳しい罰が下るのだ。
しかも、この下っ端の目の前にいる二人——レオとアスカは、既にボールを取り出している。
「一応言っておくけど、逃げられないぞ。こっちには空を飛べるポケモンだっているんだ」
レオが強い口調で言う。
勿論、実際はレオは空を飛べるポケモンなど持っていない。
しかし、この切羽詰まった状況でそういう事を聞くと、元々焦っている下っ端は、それがハッタリかどうか考える余裕を失ってしまう。
「くそったれが、何でこのタイミングで来るんだよ」
「うう、もう少し早く逃げておけば……」
新人の弱気な発言に、
「怖気づいてんじゃねえ! まだ俺達には助かる道が残されているだろうが。こいつらを倒し、さっさとずらかるぞ!」
「は、はい!」
もう一人の下っ端が叱咤し、新人はアスカを、もう一人はレオを見据え、ボールを取り出す。
「はあ……往生際が悪い奴らだ。悪いけど」
「戦うならそれなりの覚悟を持ってきなさいよ」
レオとアスカもボールを取出し、戦闘態勢に入る。負ける気はしない。