二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百八十九話 苔 ( No.344 )
日時: 2016/07/30 09:10
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

モジャンボとヘラクロスが地面に墜落し、砂煙が上がる。
その中に、うっすらとポケモンの影が映る。
煙が晴れた時にレオの目に映ったのは、無数の傷を負いながらも立ち上がっているモジャンボと、力尽きて倒れたヘラクロス。
「くっ、ダメだったか……。ヘラクロス、よく頑張った。休んでてくれ」
レオはヘラクロスを労い、ボールに戻す。
「俺には見えていたぞ! 地面に激突した直前、モジャンボの方が上を取って、ヘラクロスが下敷きになったようだな!」
「なるほど……流石の強さですね。抜群の耐久力に加えて、攻撃力も侮れない。流石は四天王のポケモンです」
ヘラクロスのメガホーンを二発、さらに他の攻撃を何発も受けたにも関わらず、モジャンボはまだふらつくこともなく立っている。
「ガハハハ! そうだろう! 俺のモジャンボの防御力はピカイチだ! さあ、次はどんなポケモンを出してくる! 早く二番手を出してくれよ!」
「望むところです。それじゃあ、次はこいつの出番かな」
そう言いながら、レオは次のボールに手を掛ける。
「頼んだぜ、トゲキッス!」
レオの二番手はトゲキッス。草タイプには有利な飛行タイプで、さらに特殊技主体で戦える。
「やはり特殊技を持つポケモンで来たか! だが、俺のモジャンボも有効打はあるぞぉ! モジャンボ、パワーウィップ!」
モジャンボが蔓の両腕を振り回し、トゲキッスに向けて放つ。
傷だらけでも、その勢いは全く衰えない。
「トゲキッス、躱して大文字!」
回転しながらモジャンボの頭上を飛び回り、トゲキッスはモジャンボの両腕を躱すと、激しく燃え盛る大の字型の炎を撃ち出す。
「モジャンボ、ダイヤブラスト!」
モジャンボを囲むように爆発が起き、青白く煌めく爆風が炎を防ぐ。
「トゲキッス、波動弾!」
体の奥から波動の力を生み出し、トゲキッスが波動弾を放つ。
爆風の中に吸い込まれるように起動を描き、煙に姿を隠すモジャンボを捉える。
「ぐっ、モジャンボ、リーフストーム!」
「させるか! トゲキッス、エアスラッシュ!」
モジャンボの周囲で空気が渦を巻く。
だがトゲキッスは素早く旋回してモジャンボの後ろを取り、大きく羽ばたいて空気の刃を放つ。
葉の嵐が起こる寸前、空気の刃がモジャンボを切り裂く。
背後からの一撃をまともに受け、モジャンボの体が大きくよろめく。
モジャンボの周囲の空気の渦が乱れ、
「もう一度エアスラッシュ!」
そこにもう一撃空気の刃が襲い掛かる。
再び空気の刃に蔓状の体を切り裂かれ、ついにモジャンボは二、三歩ふらついた後その場に倒れ、戦闘不能となった。
「ぐぬぬ、やはり苦手タイプの特殊型ポケモン相手では分が悪いか。モジャンボ、よくやった! 戻って休んでいてくれ!」
モジャンボをボールに戻し、イダは次のボールを取り出す。
「飛行タイプが相手であれば、次はこいつだ! ぶちかませぃ、ヒカリゴケ!」
イダの繰り出す二番手は、これまた奇妙な姿のポケモン。
全長の半分を占めるような長い尻尾と、尖った顔は露出しているが、その他の部位は苔に覆われている。
苔ポケモンのヒカリゴケ。草・電気タイプ。
「なるほど、電気タイプのヒカリゴケか。トゲキッス、油断するなよ。落ち着いて行くぞ」
レオの元まで戻り、トゲキッスは体勢を整え直す。
「それじゃあ行くぞ! ヒカリゴケ、まずはヘドロ爆弾!」
ヒカリゴケの長い尻尾がヘドロの塊を掴み、尻尾を振るってヘドロをトゲキッスへと投げつける。
「トゲキッス、躱して大文字!」
ヘドロを躱して、トゲキッスは激しく燃え盛る大の字型の炎を放つ。
「ヒカリゴケ、十万ボルト!」
対するヒカリゴケの、体を覆う苔から高電圧の強力な電撃が放出される。
大の字型の炎の中心を貫き、大文字の核を破壊して炎の勢いを止め、さらに炎の奥にいるトゲキッスを捉えた。
「ギガドレイン!」
ヒカリゴケが跳躍し、その尻尾が触手のようにトゲキッスへと襲い掛かる。
「くっ、トゲキッス、サイコバーン!」
体勢を崩しながらも何とかトゲキッスは念力を爆発させて衝撃波を起こし、ヒカリゴケの尻尾を弾く。
(危ない……でもトゲキッスだとやっぱり相性が悪いな……)
やはり電気タイプが入っていると、トゲキッスでは相手がし辛い。
加えて、このヒカリゴケの特攻も桁違いだ。このままトゲキッスで戦っても、電気技で落とされるのが目に見える。
「よし、トゲキッス、ここはいったん戻ってくれ」
そう考え、レオはトゲキッスをボールへと戻す。
「なるほど、いい判断だな! ならば次はどのポケモンで来る?」
「次は、こいつです! 頼んだぜ、パンプッチ!」
レオが出したのはパンプッチ。主力の草技は通りにくいものの特防が高く、電気と草の両技を半減出来る。
ヒカリゴケにはヘドロ爆弾があるが、ゴーストタイプを併せ持つパンプッチは抜群ではない。
「なるほど、パンプッチを選んだか! ならば俺のヒカリゴケの圧倒的な特殊攻撃で、タイプ相性もろとも突き破ってやろう!」
「そうは行きませんよ、勝つのは僕です! パンプッチ、エナジーボール!」
「ヒカリゴケ、ヘドロ爆弾!」
パンプッチが葉の杖を振るって自然の力を込めた光の弾を放ち、ヒカリゴケは長い尻尾でヘドロの塊を投げつける。
双方の放った弾は、正面からぶつかって爆発する。
「パンプッチ、シャドーボール!」
煙に紛れ、気配を消して接近し、パンプッチがヒカリゴケのすぐ横から影を固めた黒い弾を撃ち出す。
影の弾が直撃、ヒカリゴケが吹き飛ばされる。
「さっきのモジャンボほどの耐久力は無いな。パンプッチ、押していけ! ハイドロポンプ!」
指揮棒のように杖を振り、パンプッチが大量の水を放出。
「そうはさせんぞ! ヒカリゴケ、ハイドロポンプ!」
吹き飛ばされながらも、ヒカリゴケが尻尾を伸ばす。
尻尾の先から大量の水が放たれ、パンプッチの放つ水流と激突。
互いに激しく競り合い、やがて消滅する。
「パンプッチ、エナジーボール!」
パンプッチの持つ杖が淡く光る。
その杖を振り、自然の力を込めた光の弾を放つが、
「ヒカリゴケ、十万ボルト!」
ヒカリゴケが体を激しく振動させ、苔から高電圧の強力な電撃を放出する。
光の弾を粉砕し、さらに突き進む電撃がパンプッチを貫く。
「よぉし今だ! ヘドロ爆弾!」
すぐさまヒカリゴケが尻尾でヘドロの塊を掴み、投げつける。
パンプッチに直撃するとヘドロが炸裂し、吹き飛ばす。
「パンプッチ! 大丈夫か!?」
地面へ落ちたパンプッチだがすぐに起き上がり、レオの声に頷く。
(特防の高いパンプッチを選んで正解だった。最後の技もハイドロポンプだし、まともに通る技はヘドロ爆弾しかない。あとは十万ボルトさえ気を付ければ……)
ヒカリゴケの一番厄介な技は、十万ボルトだ。
この技だけは威力が桁違いだ。タイプ相性など嘲笑うかのように大ダメージを与えてくる。
「ガハハハ! どうだ、こいつの電撃は! 俺のヒカリゴケの電撃はそんじょそこらのポケモンの電気とはわけが違う! タイプ相性など関係無いぞ!」
余裕の表情を見せるイダが豪快に笑う。
「流石ですね、痺れさせられますよ。だけどさっきのモジャンボよりはやりやすい。モジャンボと違って、攻撃を入れれば手応えを感じますからね」
「ほう、言うではないか! ならばヒカリゴケ、もう一度十万ボルト!」
再びヒカリゴケの苔から電気が発生し、高電圧の強力な電撃が飛び出す。
「パンプッチ、躱してシャドーボール!」
ふわりと飛んで電撃を躱し、パンプッチは杖を振る。
その先に影の力が集まり、黒い影の弾となって杖から撃ち出される。
「効かんぞ! ヒカリゴケ、ヘドロ爆弾!」
尻尾でヘドロの塊をつかみ、ヒカリゴケはそれを影の弾に向けて投げる。
ヘドロが炸裂し、シャドーボールを打ち消すが、
「そこだ! パンプッチ、ハイドロポンプ!」
ヒカリゴケの頭上からパンプッチが杖を振り下ろし、滝のような水柱を落とす。
激流を浴び、ヒカリゴケが押し流される。
「っ、上からか! ヒカリゴケ、こっちもハイドロポンプ!」
「遅いです! パンプッチ、シャドーボール!」
ヒカリゴケが水の流れから脱出し、長い尻尾を構える。
だが既にパンプッチは杖を振り下ろし、黒い影の弾を撃ち出していた。
シャドーボールがヒカリゴケに直撃し、爆発が起こる。