二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百九十話 瓶 ( No.345 )
- 日時: 2016/07/31 09:18
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
影の弾がヒカリゴケに直撃、爆発が起こった。
砂煙がフィールドに巻き起こる。パンプッチのシャドーボールをまともに食らったのだ、大ダメージを負っただろう。
だが。
「ヒカリゴケ、ギガドレイン!」
突如として砂煙の中から光を帯びたヒカリゴケの尻尾が飛び出し、パンプッチに絡みついた。
「パンプッチ!?」
尻尾に締め上げられるだけでなく、パンプッチの体力が少しずつ吸い取られていく。
「俺のヒカリゴケはあれくらいではやられん! とはいえ流石にダメージが大きいからな、パンプッチの体力を吸い取らせてもらうぞ!」
パンプッチがもがくが、ヒカリゴケの拘束は全く緩まない。
「こうなったら、パンプッチ! 放電だ!」
パンプッチがヒカリゴケの尻尾を掴み、電撃を放つ。
ヒカリゴケに電撃を流し、尻尾の拘束を緩ませる作戦だ。
しかし、
「ガハハハハ! 俺のヒカリゴケにその程度の電気は効かんぞ!」
電撃を受けてもヒカリゴケの拘束は全く緩まない。
寧ろ、電気を含んだ苔に放電の電撃が吸収されているようにも見える。
「さあ、終わらせるか! ヒカリゴケ、十万ボルト!」
ヒカリゴケが尻尾から高電圧の強力な電撃を放つ。
パンプッチの全身に電撃を浴びせ、残りのパンプッチの体力を削り取る。
拘束が解かれると、パンプッチは力なく地面に崩れ落ちた。
「くっ……パンプッチ、ありがとう。よく頑張った」
パンプッチを戻すと、レオはイダの方に向き直る。
「シャドーボールを防いだのは、こいつの苔だ! 柔軟性のある苔によって衝撃を吸収し、致命傷を防いだのさ!」
「そういうことだったんですね。まさかパンプッチがやられるなんて。でも、そろそろ倒させてもらいますよ」
そう言うと、レオは次のボールを取り出す。
「頼んだぜ、ディザソル!」
レオの次なるポケモンは、ディザソルだ。
「次はディザソルか! タイプ相性は関係無い、ということは、単純に実力に自信のあるポケモンなのだろう!」
「そういうことです。ディザソル、行くぞ! サイコカッター!」
ディザソルが地を蹴って飛び、ヒカリゴケとの距離を一瞬で詰める。
すれ違いざまに念力を纏った二枚の額の鎌を振り抜き、瞬時にヒカリゴケを二度切り裂く。
「ぐっ、速い……! それならば!」
パンプッチの体力を吸収していたおかげか、ヒカリゴケはまだ倒れない。
「ヒカリゴケ、ギガドレイン!」
ヒカリゴケの瞳がギョロリと動き、淡い光を帯びた尻尾が伸びる。
ディザソルを縛り上げて再び体力を回復しようとするが、
「ディザソル、神速で躱せ!」
神がかった速度でディザソルは縦横無尽にフィールドを飛び回る。
フィールドに生える木すら足場に使い、ヒカリゴケに居場所を全く掴ませない。
「今だディザソル! 火炎放射!」
ヒカリゴケが僅かに尻尾を引っ込めた瞬間を狙って、ディザソルはヒカリゴケの真上に飛び、灼熱の業火を吐き出す。
ヒカリゴケが炎に包まれる。いくら柔軟性のある苔でも、全身を焼く炎を防ぐことなど出来ず、ヒカリゴケは炎に焼かれて戦闘不能になった。
「……何というスピードだ。まさか、俺のヒカリゴケに狙いすら付けさせないとはな! ヒカリゴケ、よくやった! 戻って休んでいてくれ!」
ヒカリゴケを戻し、イダは次のボールを取り出す。
「圧倒的なスピード、さらに攻撃力も侮れん。そのようなポケモンを相手取るならば、こいつしかいないな! ぶちかませぃ、リーフィス!」
イダの三番手は、観葉植物のようなポケモン、リーフィスだ。
「こいつは知ってるぞ。防御、特防、とにかく耐久力に優れたポケモンだ。だけどお前なら行ける。頼むぜディザソル」
レオの言葉にディザソルは頷き、リーフィスの方を向く。
「では行くぞ! リーフィス、ハイドロポンプ!」
リーフィスが瓶の中の水を吸い上げ、大量の水を噴き出す。
「ディザソル、突っ込め! ぶち壊す!」
額の鎌を構えたまま、ディザソルは水の中に突っ込んでいく。
水流を両断しながら突き進み、リーフィス本体まで到達し、額の鎌を思い切りリーフィスへと叩きつける。
「リーフィス、冷凍ビーム!」
だがそこは四天王のポケモン。リーフィスは少し押し戻されるものの、すぐさま反撃に出る。
放たれた冷気の光線がディザソルの足元を捉え、四肢を凍りつかせて地面に縫い止める。
「ディザソル、砕け! サイコカッター!」
「そんな隙はやらん! リーフィス、エナジーボール!」
念力を纏った鎌を足元に叩きつけてディザソルは氷を砕こうとするが、リーフィスの放った自然の力を込めた光の弾がディザソルに襲い掛かる。
氷は砕いたが、次の一撃を躱すには間に合わず、ディザソルは光の弾の直撃を食らって吹き飛ばされてしまう。
「撃墜しろ! リーフィス、ハイドロポンプ!」
上を向き、吹き飛ぶディザソルに向けてリーフィスが大量の水を放出する。
「ディザソル、神速で回避!」
空中のディザソルの姿が突如として消える。
「ぶち壊す!」
つぎの瞬間、フィールドを囲む木々の中からディザソルが飛び出す。
前足の鋭い爪を、リーフィスへと叩きつけた。
「一瞬でそこまで……何という素早い動き! だがリーフィス、冷凍ビーム!」
破壊の爪を瓶で受け止め、ダメージを最低限に抑え、リーフィスは身体中の葉の先から冷気の光線を放つ。
「燃やせ! ディザソル、火炎放射!」
同じ轍は踏まない。ディザソルは灼熱の炎を噴き出し、冷気の光線ごとリーフィスを炎に飲み込む。
「甘いぞぉ! リーフィス、ハイドロポンプ!」
業火を受けてもリーフィスは怯まない。
炎の中から太い水柱が飛び出し、ディザソルをレオの元まで押し戻した。
「だったらディザソル、サイコカッター!」
ディザソルが額の鎌に念力を纏わせる。
今度はその場で鎌を振り抜き、二発の念力の刃を飛ばす。
「リーフィス、冷凍ビーム!」
対してリーフィスは冷気の光線を発射し、刃を氷漬けにし、粉砕する。
「さあリーフィス、ハイドロ——ん!?」
いざ反撃を撃とうとしたその時、イダの声が止まる。
先ほどまでリーフィスの目線の先にいたディザソルが、消えているのだ。
「なるほど、今の隙に森の中へ隠れたか! リーフィス、集中だ! 出てきた瞬間にハイドロポンプ!」
全神経を集中させて、リーフィスはディザソルの気配を探る。
「ディザソル、今だ!」
先に動いたのはレオだった。
森の中からディザソルが飛び出し、リーフィスの頭上を取る。
「リーフィス、やれ!」
すぐさまリーフィスは反応し、大量の水を噴射する。
噴水のように、水柱がディザソルに迫るが、
「ぶち壊す!」
鋭い爪を構えた前脚を振り抜き、ディザソルは水柱を一撃で吹き飛ばす。
そのまま一気に急降下し、額の鎌をリーフィスに叩きつける。
その、直前。
「リーフィス、殻を破る!」
リーフィスが瓶内の全ての水を吸収する。
刹那、リーフィスの体を守る透明な瓶が粉々に砕け散った。
「!?」
ガラス瓶の破片がディザソルに刺さり、一瞬ディザソルの動きが止まる。
その隙に、リーフィスは先ほどとは比べ物にならないスピードでディザソルの鎌の一撃を回避した。
「っ……殻を破る、か!」
「知っているようだな! そう、殻を破るは身を守る盾を捨て、代わりに攻撃性能とスピードを飛躍的に上昇させる諸刃の剣よ! 防御力は下がるが、その分上がった攻撃力は相当なものだぞ!」
ガラス瓶を捨てたリーフィスは、打って変わって身軽に動き、イダの元へと帰って来る。
「それでは、見せてやろう! リーフィス、ハイドロポンプ!」
植物の体だけとなったリーフィスが、一気にディザソルとの距離を詰め、大量の水を噴射する。
「くっ、速い! ディザソル、ぶち壊す!」
額の鎌を携え、ディザソルも突撃する。
だがリーフィスが放つ水の量が、さっきまでとは明らかに違う。
先程の水柱の二倍近くの質量の水が、至近距離からディザソルに襲い掛かった。
「っ、ディザソル!」
二対の鎌でも防ぎ切れず、ディザソルが大量の水に飲み込まれ、押し流される。