二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百九十二話 大将 ( No.347 )
日時: 2016/08/01 20:46
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

ドリル嘴と瓦割りが正面からぶつかる。
激しく火花を散らし、お互いに一歩も引かずせめぎ合うが、
「エンペルト、ジオインパクト!」
次の動きはレオの方が早かった。
回転するエンペルトの翼に、銀色の光が集まる。
回転を解き、間髪入れずにエンペルトは銀色の鋼の翼を振り下ろす。
狙いはサムラダケの手。そこを狙って翼を振り下ろし、サムラダケの持つ剣を弾き飛ばした。
「な……っ! しまった!」
イダが驚きの声を上げる。
これでサムラダケは剣が使えない。
剣が落ちた場所は、取りに行くには少し遠い位置だ。そんな隙があれば、レオとエンペルトが逃さない。
「どうですか。剣を失えば、サムラダケが出来ることはかなり減るはずですよね」
「ガハハハ! 所詮はリーフブレードが使えなくなるだけのこと! サムラダケはまだ戦えるぞ! 瓦割り!」
剣を失ったサムラダケが、エンペルト目掛けて走り出す。
大きく跳躍し、回転しながらエンペルト目掛けて急降下、勢いをつけて踵落としを繰り出す。
「エンペルト、ジオインパクト!」
両翼に銀色の光を纏い、エンペルトは右の翼を構えて瓦割りを防ぐ。
そのまま左翼でサムラダケを吹き飛ばそうとするが、サムラダケは右翼を足場に使って跳躍し、衝撃波を回避する。
「俺のサムラダケは脚力も強い! 剣を失おうと、瓦割りは問題なく使えるぜ! サムラダケ、ストーンエッジ!」
銀色の光が消えた瞬間を狙って、サムラダケは上空から無数の尖った岩をエンペルトに向けて発射する。
咄嗟にエンペルトは鋼の翼で防御体勢をとり、何とかダメージを最小限に抑える。
だが、
「瓦割り!」
再び自由落下の勢いをつけてサムラダケが踵落としを繰り出す。
今度こそ、エンペルトの脳天にサムラダケの蹴りが直撃した。
エンペルトがよろめき、後ずさりする。
「今だぜサムラダケ! フレアドライブ!」
着地すると、サムラダケは激しく燃え盛る豪炎をその身に纏い、渾身の力を込めて突撃する。
エンペルトとの距離が、一気に縮まっていく。
しかし。
「それを待ってましたよ! エンペルト、ハイドロカノン!」
エンペルトがカッと目を見開く。
膨大な量の水を口元の一点に集め、一気に水を圧縮させ、エンペルトは巨大な水の砲弾を放つ。
炎弾となって突撃するサムラダケに水の砲弾が直撃し、大爆発を起こした。
「……っ! サムラダケ!」
炎を掻き消され、サムラダケが吹き飛ばされる。
地面に叩きつけられて二度三度とバウンドし、サムラダケは戦闘不能となった。
「ぬぅ、サムラダケ、よくやった! 戻って休んでいてくれ!」
弾かれた剣をサムラダケの手元へと戻し、イダはサムラダケをボールへと戻す。
「なるほど、エンペルトのふらつきはフェイクだったか! すっかり好機だと思ってしまったわ!」
「半分は本当によろめいていたんですけどね。ただそのおかげで、逆に演技をさせやすかったですよ」
「ガハハハハ! 本当に面白いトレーナーだ! ここまで楽しいバトルも久し振りなものだ! さあ、今から出てくるのは俺の大将! 心して挑めよ!」
豪快に笑うと、イダは最後のボールを投げる。

「ぶちかませぃ、ドダイトス!」

イダの最後のポケモンは、巨大なリクガメのようなポケモンだ。
土で出来た背中の甲羅には尖った岩や草が生え、さらに一本の大きな樹が生え、まるで小さい山のようである。
大陸ポケモンのドダイトス。草・地面タイプだ。
だがこのドダイトス、通常の個体より二倍近く大きいサイズを誇る。
「……随分と大きなドダイトスですね。まさしく規格外だ」
「ガハハハハ! そうだろう、何せ俺もこの地方の生まれでな! その時最初に貰ったナエトルが最終進化したのがこいつだ! 昔から、今も、俺に似て大食らいでな! ここまででっかくなったのもそのせいかもな!」
おっと、つい語り過ぎちまったぜ、とイダはバトルの方に戻る。
「それじゃあ、行くぜえ! ドダイトス、大地の怒り!」
ドダイトスが大きく咆哮し、地面を踏み鳴らす。
刹那。
エンペルトの足元の地面が崩れ、土砂と瓦礫が噴き出す。
「ッ、エンペルト!」
エンペルトが吹き飛ばされ、宙に打ち上げられる。
「ドダイトス、大成長!」
ドダイトスの甲羅の草が急速に成長し、無数の太い蔦がエンペルトへと飛び出す。
「エンペルト、ジオインパクト!」
エンペルトが両翼に銀色の光を纏わせ、襲い来る蔦を全て切り裂き、
「こっちも大技で行くぞ! ハイドロカノン!」
口元に有りっ丈の水の力を凝縮して巨大な水の砲弾を作り上げ、エンペルトの口を砲台として砲弾を発射する。
ドダイトスに着弾すると、水蒸気爆発のような大爆発を起こす。
しかし、
「うぐっ、やってくれるな! だが、ドダイトス、大成長!」
ドダイトスを覆う白い煙の中から、無数の太い蔦が飛び出した。
攻撃の反動でエンペルトは動けず、鈍器のような無数の蔦の打撃を諸に受けてしまう。
「決めろ! ドダイトス、大地の怒り!」
「まだいける! エンペルト、ジオインパクト!」
ドダイトスの咆哮によってエンペルトの足元が割れた瞬間、エンペルトは銀色の光を纏った両翼を思い切り地面に叩きつける。
足元から噴き出す土砂や瓦礫を相殺しようとしたのだが、しかし、大地の怒りの方が威力が強かった。
何とか対抗しようとするも、瓦礫に押し負け、エンペルトは上空に吹き飛ばされてしまう。
「くっ、エンペルト!」
吹き飛ばされたエンペルトは重力に逆らえずに落下し、地面に落ち、戦闘不能となった。
「エンペルト、よく頑張ってくれた。二体も倒してくれたのは相当でかいぜ」
レオはエンペルトを労い、ボールへと戻す。
「やっぱり大地の怒りは相当な威力ですね。その技の恐ろしさは僕も一年前からよく味わってますよ」
「ガハハハハ! これぞ俺の大将、ドダイトスの力よ! 大地の怒りの威力はピカイチだがそれだけじゃねえ、どの技も天下一品! さあ、最後はトゲキッスだな! 全力でかかって来い! 俺もドダイトスも、全力で相手をするぜ!」
「勿論です! 最後に勝つのは僕だ! 頼んだぜ、トゲキッス!」
レオの最後のポケモンは、勿論トゲキッス。
ヒカリゴケの十万ボルトを一発は受けたが、しばらく休んでいたためある程度回復している。
「狙ってたわけじゃないですけど、トゲキッスを残しておいて正解でしたよ。大地の怒りが効かないのは大きいです」
「甘く見てくれるなよ! 相手が飛行タイプで来ることなど計算のうち! 空を飛ぶポケモンと戦うための策などいくらでもあるぞ!」
「四天王ですからね、そうこなくっちゃ! それじゃ行きます! トゲキッス、大文字!」
トゲキッスが煌々と燃え盛る大の字型の巨大な炎の弾を撃ち出す。
「ドダイトス、グランボールダ!」
対してドダイトスが大地を踏み鳴らすと、大小様々な無数の岩が飛び出してくる。
無数の岩は炎を防ぐ壁となり、さらに残った岩はトゲキッスへと襲い掛かってくる。
「トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
舞うように華麗な動きでトゲキッスは無数の岩を躱すと、大きく羽ばたいて空気の刃を飛ばす。
刃はドダイトスの額に命中し、ドダイトスが少し引き下がる。
「ドダイトス、大成長!」
ドダイトスの背中から無数の太い蔦が飛び出し、一斉にトゲキッスへと向かってくる
「トゲキッス、サイコバーンだ!」
念力を体内に溜め込み、爆発させて念力の衝撃波を起こし、トゲキッスは周囲に迫り来る蔦を纏めて突き破る。
「グランボールダ!」
「波動弾!」
再びドダイトスが地面を踏み鳴らし、数多の岩を呼び寄せる。
対するトゲキッスは飛び回って岩を躱しながら、体の奥から呼び覚ました波動の力を込めた念弾を撃ち放つ。
波動の弾が岩を次々と貫通しながら、どっしりと構えるドダイトスを狙う。