二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第百九十三話 瓦礫 ( No.348 )
- 日時: 2016/08/02 16:52
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: F8Gg2X0Y)
「ドダイトス、噛み砕く!」
ドダイトスが大きく口を開く。
飛来する波動弾に噛み付き、顎の力で一撃で食い破った。
「大成長!」
そしてすぐさま反撃に出る。
ドダイトスの背中の草が急速に成長し、上空のトゲキッスへと一斉に襲い掛かってくる。
「トゲキッス、躱して大文字だ!」
「逃すなよ! ドダイトス、グランボールダ!」
舞うように飛び回りながら蔦を躱し、トゲキッスが大の字型の炎を放とうとするが、立て続けにドダイトスが岩の弾幕を張り、技を放つ隙を与えない。
「だったら纏めて薙ぎ払え! トゲキッス、サイコバーン!」
ドダイトスの頭上でトゲキッスは念力を溜め込み、体内で爆発させて衝撃波を起こし、周囲の岩や蔦を纏めて弾き飛ばす。
対して、
「今だぜドダイトス! 大地の怒り!」
イダの指示は大地の怒り。
だが飛行タイプのトゲキッスには、大地の怒りは効かないはずだ。
(ここで大地の怒り……? 普通に考えてあり得ない、ってことは、別の目的が何かあるのか……?)
そんなレオの疑問をよそに、ドダイトスは咆哮する。
その刹那。
ドダイトスの足元の大地が割れ、土砂や瓦礫が噴き出した。
「……?」
イダの狙いがよく分からなかったレオだが、次の瞬間。
噴き出した土砂や瓦礫の勢いによって、ドダイトスが天高く飛び上がったのだ。
それこそ、トゲキッスと同じ高度まで。
「っ、なぁ!?」
「ガハハハハ! どうよこの大ジャンプ! ドダイトス、噛み砕く!」
ドダイトスが首を伸ばし、目の先にいたトゲキッスの翼に噛み付いた。
「っ、トゲキッス、サイコバーン!」
「甘い! ドダイトス、投げ飛ばせ!」
トゲキッスが念力を体に溜め込むが、ドダイトスは首を振ってトゲキッスを下へと投げ飛ばし、地面に叩きつける。
「グランボールダ!」
重力に従い、ドダイトスが自由落下する。
轟音を上げて着地し、その衝撃でフィールドから大小様々な岩が飛び出し、トゲキッスへと一斉に向かってくる。
「やばい! トゲキッス、飛べ!」
寸でのところでトゲキッスは翼を広げ、飛び上がる。
無数の岩が激突してふらつくが、それでも何とかバランスを取って飛翔する。
「危なかった……今の沢山の岩に動きを封じられたら、ゲームセットまで持っていかれてたな……」
「ガハハハハ! 言っただろう、飛行ポケモンと戦うための策などいくらでもあると! もっとも、まさかこの巨体であれほどの跳躍を見せるとは考えもしなかっただろうがな!」
「ええ、流石に驚きましたよ。重量級のポケモンが、あんなアグレッシブな動きをするなんて」
だけど、とレオは続け、
「方法が大掛かりな分、一度見てしまえば脅威じゃありません。その手はもう通用しませんよ」
そして、
「こっちも見せてやりますよ! 行くぞトゲキッス!」
トゲキッスが、ドダイトスの頭上を旋回し始める。
「何を考えているかは知らんが、次の行動の前に撃墜する! ドダイトス、大成長!」
ドダイトスの背中の甲羅の草が急速に成長する。
無数の太い蔦が真上に飛び出し、宙を舞うトゲキッスを狙う。
「トゲキッス、全弾回避!」
ダンスのように軽やかに舞いながら空中を飛び回り、トゲキッスは蔦を次々と躱していく。
「エアスラッシュ!」
トゲキッスが飛ぶ速度をさらに加速させる。
ドダイトスの頭上を飛び回り、流れる空気を刃に変え、四方八方から空気の刃をドダイトスに向けて落とす。
「おお、これはまた斬新な攻撃法! だがドダイトス、全て防げ! グランボールダ!」
ドダイトスが地面を踏み鳴らし、大小無数の岩を呼び寄せる。
ドダイトスの真上に岩を集め、空気の刃を全て遮断し、
「放て!」
さらにその岩を上へ向かわせ、トゲキッスの動きを止めにかかる。
しかし、
「こっちですよ! トゲキッス、大文字!」
岩で頭上を覆うということは、視界は欠けるということ。
その隙にトゲキッスはドダイトスの後ろに周り、激しく燃え盛る大の字型の炎を撃ち出す。
灼熱の炎がドダイトスを焼いていく。ようやくドダイトスが苦しそうな呻き声をあげる。
「波動弾!」
さらにトゲキッスが体の奥から波動の力を生み出し、波動を込めた念弾を放つ。
後ろを振り返ったドダイトスの脳天に直撃し、ドダイトスが後退りする。
「好き放題はさせんぞぉ! ドダイトス、大成長!」
ドダイトスは怯まない。体に残る煤など気にも留めず、甲羅から無数の蔦を飛び出させる。
「っ、トゲキッス、躱せ!」
迫り来る蔦を掻い潜り、トゲキッスは何とか蔦の群れを躱していくが、全てを避けきれずに右翼を貫かれ、体勢を崩して降下する。
「噛み砕く!」
ドダイトスの巨体が動く。
意外に素早い動きで一気にトゲキッスへと迫り、万力の顎でトゲキッスを挟み込まんとする。
「させるか! トゲキッス、サイコバーン!」
トゲキッスが目を見開く。
念力を体内に溜め込み、一気に爆発させ、衝撃波を起こす。
今まさにトゲキッスに喰らいつこうとするドダイトスの口の中に衝撃波を叩き込み、逆にドダイトスを押し戻す。
「ぐっ、ドダイトス、やれ!」
押し戻されたドダイトスがすぐに一歩踏み込むが、トゲキッスは既に上空に浮上している。
「反撃だ! トゲキッス、エアスラッシュ!」
大きく羽ばたき、トゲキッスは大きな空気の刃を飛ばす。
「逃さんぞ! グランボールダ!」
刃に切り裂かれるのも気にせず、ドダイトスは地面を踏み鳴らして大小無数の岩を呼び出す。
「岩の量が増えてる……! トゲキッス、サイコバーン!」
念力を体内に溜め込み、それを爆発させてトゲキッスは念力の衝撃波を放出する。
だが如何せん岩の量が多い。衝撃波が途絶えた後も岩は飛び続け、結果的にトゲキッスはいくつか岩に当たってしまう。
「今だドダイトス! 大地の怒り!」
高度を落とすトゲキッスに対し、ドダイトスは大きく咆哮する。
ドダイトスの足元から無数の土砂瓦礫が噴き出し、ドダイトスを大きく跳躍させる。
トゲキッスよりも高く飛び上がり、
「噛み砕く!」
大口を開いて急降下。
凄まじい殺気と共に、万力の大顎がトゲキッスへと襲い掛かる。
対して。
レオとトゲキッスは、全く逃げも隠れもしない。
「ここだ! トゲキッス、大文字!」
トゲキッスが大きく息を吸い込み、煌々と燃え盛る灼熱の巨大な大の字型の炎を撃ち出す。
「なにぃっ!? ドダイトス……!」
こうなってしまった以上、ドダイトスはもう退けない。
灼熱の大の字の炎に、自ら飲まれていく。
豪華にその身を焼かれ、ドダイトスの巨体がそのまま地面に墜落した。
「ぐううっ! 最後の最後まで、諦めるなぁ! ドダイトス、大成長!」
黒焦げになりながらも、ドダイトスはまだ倒れない。
もはや起き上がることも出来ないが、ドダイトスの甲羅の木が急速に成長、そのまま巨大な一本の木の幹、木の枝となり、最後の力を振り絞ってトゲキッスに襲い掛かってくる。
「トゲキッス、エアスラッシュ!」
トゲキッスが、ドダイトスの頭上を高速で旋回する。
襲い来る木の枝を飛び越え、掻い潜り、トゲキッスは四方八方から空気の刃をドダイトスへと放つ。
最後の大成長を躱されたドダイトスには、もう出来ることは何も残っていなかった。
無数の刃に次々と体を刻まれ、ついにドダイトスは戦闘不能になった。
「実に見事なバトルであった! 随分と楽しい戦いが出来た! 負けたが、俺は満足だ!」
「ありがとうございました。僕も楽しい戦いが出来ました」
負けてもなお、イダはレオの力を認め、豪快に笑う。
「ガハハハハ! レオ! 負けた俺から一言やろう! ここから先、俺よりも強い四人が残っている! この後の四戦、存分に楽しめ! 自身の特訓、修業の成果、確かに大事だ! だがな、そんなお堅い理由に縛られては、本当の実力は出せん! ここからの四戦、精一杯楽しんで、その実力を精一杯ぶつけてきな!」
「はい、ありがとうございます! ここから先も、勝ち抜いて見せますよ!」
四天王の一番手、イダを倒し、レオは次なる部屋へと向かう。