二次創作小説(紙ほか)

Re: 第百九十六話 念力 ( No.351 )
日時: 2016/08/05 09:56
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「さあ行くぜ! エンペルト、ハイドロポンプ!」
エンペルトが大きく啼き、大量の水を放出する。
「フーディン、サイコキネシス!」
対してフーディンが座禅を組んで浮き上がり手にしたスプーンを翳す。
スプーンが折れ曲がると同時に強い念力が生じ、水柱の軌道を捻じ曲げる。
「次はこっちの番よ。フーディン、マッハボルト!」
フーディンの持つスプーンが電撃を放つ。
一瞬のうちに電撃の波が飛来し、エンペルトに電撃を浴びせる。
効果抜群だが威力は低く、ダメージもそこまで大きくない。しかし、
「気合玉!」
フーディンがスプーンを交差させ、気合の力を込めた念弾を放出する。
電撃で痺れたエンペルトは反応が遅れ、弾の直撃を受けてしまう。
「フーディン、手を緩めないで。エナジーボール!」
フーディンの持つ両手のスプーンが淡い光を帯び、そこから自然の力を込めた二発の光の弾を放つ。
「弾き返せ! エンペルト、ジオインパクト!」
強引に耐性を立て直し、エンペルトは銀色に輝く両翼を振るって光の弾を弾き返す。
エナジーボールを放ったフーディンは、逆にその光の弾を受けてしまう。
「今だエンペルト、ハイドロポンプ!」
エンペルトが再び大量の水を噴き出す。
空中で体勢を崩すフーディンに対し、太い水柱が向かってくるが、
「フーディン、サイコキネシス!」
スプーンを持つ手を振り抜くと、水の柱は軌道が逸れ、明後日の方向に飛んで行ってしまう。
「エンペルト、ドリル嘴!」
「フーディン、エナジーボール!」
嘴を伸ばしてエンペルトは地を蹴り、ドリルのように回転しながら飛び出す。
対してフーディンは淡く光るスプーンの先端に二つの自然の力を込めた光の弾を作り出す。
一発目でエンペルトの勢いを抑え、二発目でドリル嘴を完全に食い止め、
「気合玉!」
交差させたスプーンから気合の力を込めた念弾が飛び出し、エンペルトを床へと叩き落とした。
「エンペルト! 大丈夫か!?」
地面に落ちたエンペルトだが、すぐに起き上がり、上空のフーディンを睨み付ける。
「そう簡単に私のフーディンを倒すことは出来ないわよ。何しろフーディンは私の手持ちナンバー2、攻撃性能なら私のエースにも劣らない。何としても流れをここで引き寄せさせてもらうわ」
「なるほど。だけどそうは行きませんよ。僕のエンペルトは、タイプ相性を考えなければうちの手持ちのナンバー1です。僕としてもここは絶対に勝ちたい場面ですからね。エンペルト、ハイドロポンプ!」
エンペルトがフーディンを見上げて大量の水を放出するが、
「その技は効かないわよ。サイコキネシス!」
フーディンが念力を纏ったスプーンを突き出すと、水柱は弾け飛んで消えてしまう。
「だったらこいつはどうだ! ジオインパクト!」
「遅いわ。マッハボルト!」
エンペルトが翼に銀色の光を纏うが、フーディンは高速で飛ぶ電撃を放ち、エンペルトの動きを止め、
「気合玉!」
スプーンを交差させて気合を溜め込んだ念弾を撃ち出す。
「しょうがない、エンペルト、ジオインパクトで防御!」
両翼で防御体制を取り、エンペルトは気合玉を防ぐ。
「お次はエナジーボールよ!」
「躱してドリル嘴!」
両手の淡く輝くスプーンから自然の力を込めた光の弾を放つフーディンだが、エンペルトは大きく跳躍してそれを躱し、嘴を伸ばしてドリルのように高速回転しながら突撃する。
「フーディン、サイコキネシスで防御!」
両手を突き出してスプーンから念力を発し、フーディンは念力の壁を作る。
だがエンペルトのドリルのような嘴は壁を砕き、その後ろのフーディンに嘴を突き刺し、吹き飛ばした。
「いいぞ! エンペルト、続けてジオインパクト!」
ドリル嘴の勢いを残したまま、エンペルトは銀色の光を纏わせた翼をフーディンへと叩きつける。
「っ、やっぱり壁じゃ防げないわね。フーディン、立て直して! 気合玉!」
空中で体勢を崩しながら、それでもフーディンはスプーンから気合を込めた念弾を放ち、エンペルトの翼の一撃を何とか防ぐ。
「エンペルト、ドリル嘴!」
「ダメよ。フーディン、マッハボルト!」
エンペルトが再び嘴を伸ばすが、フーディンは高速の電撃を飛ばしてエンペルトの動きを止め、
「エナジーボール!」
両手に持つ淡く輝くスプーンの先から、自然の力を込めた光の弾を放つ。
痺れて動きの止まったエンペルトに、二発の光の弾が直撃した。
「フーディン、サイコキネシス!」
さらにフーディンは両手のスプーンから念力の波を放出するが、
「っ、エンペルト、ハイドロポンプ!」
エンペルトは起き上がると大量の水を放ち、念力を何とか相殺した。
(しかしマッハボルトが面倒だな……こっちから動こうとしても、マッハボルトで妨害されてしまう)
マッハボルトのダメージ自体は大したものではないが、攻撃の出鼻を挫かれてしまうのは厄介だ。
(だけどマッハボルトは威力は低いから、エンペルトの攻撃なら簡単に弾ける。それなら!)
「何を考えてるのか知らないけど、ガンガン攻めさせてもらうわよ。フーディン、気合玉!」
両手のスプーンを交差させ、フーディンは気合を込めた念弾を撃ち出す。
「エンペルト、躱してドリル嘴!」
気合玉を跳躍して躱すと、エンペルトは嘴を伸ばしてドリルの如く突撃する。
「今度は防ぐわ。フーディン、サイコキネシス!」
フーディンのスプーンから強い念力が放出され、念力の波となって放たれる。
念力の波によって、エンペルトの突撃は防がれるが、
「まだ終わりませんよ! ジオインパクト!」
「そうだと思ってたわ! 気合玉!」
さらにエンペルトは両翼に銀色の光を纏わせ、それを読んでいたフーディンはスプーンを交差させて気合を込めた念弾を発射する。
翼を振り下ろすエンペルトだが、フーディンの放った気合玉によって防がれてしまう。
「よし、エンペルト、一旦仕切り直しだ」
エンペルトはさらなる追撃はせず、着地して体勢を整える。
「来ないならこっちから行くわよ。フーディン、エナジーボール!」
フーディンの持つスプーンが淡く緑色に光り、自然の力を込めた二発の光の弾が放たれる。
「エンペルト、躱してジオインパクト!」
エンペルトの両翼が銀色の光を帯びる。
二発の光の弾を躱すと、宙に浮かぶフーディンの元まで一気に跳躍し、輝く翼を叩きつける。
「フーディン、気合玉!」
対するフーディンがスプーンを交差させて気合を溜め込み、念弾を発射する。
「エンペルト、そのままだ! 一発耐えてジオインパクト!」
放たれる気合玉を目前にして、エンペルトは防御しなかった。
気合玉の直撃を受けるが、吹き飛ばされながらも両翼を振り抜き、返す刀で銀色の衝撃波をフーディンに叩きつけ、吹き飛ばす。
「ハイドロカノン!」
宙を舞いながら、それでもエンペルトは水の力を一点に集めた巨大な水の砲弾を発射する。
同じく吹き飛ばされるフーディンを狙って水の砲弾は一直線に飛び、着弾すると同時に大爆発を起こした。
「フーディン!?」
フーディンは攻撃性能に優れる一方、耐久力は脆い。
落下して地面に叩きつけられ、戦闘不能になってしまった。
「フーディン、よくやったわ。戻って休んでてね」
ヤグモはフーディンをボールへと戻し、次のボールを取り出す。
「後半からはやりやすくなりましたよ。マッハボルトが厄介だったので、フーディンを先に動かすことでマッハボルトを撃たせないようにしたんです」
フーディンがマッハボルトを撃つのは、エンペルトが攻撃を仕掛けた時。
レオはそれを逆手にとって受けの体勢で戦うことで、逆にマッハボルトを撃つという選択肢をなくしたのだ。
「なるほど、やるじゃない。まさか私のフーディンが一体も倒せずに終わるなんて。でも、まだまだ終わらないわよ」
手持ちのナンバー2を失い、それでもまだ不敵な笑みを浮かべて、ヤグモが次のボールを掲げる。