二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百話 雪霊 ( No.357 )
日時: 2016/08/10 09:22
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: w4lZuq26)

「頼んだぜ、トゲキッス!」
「やっちゃえ、ユキメノコ!」
レオの次なるポケモンはトゲキッス。氷タイプには弱いが、一方で氷タイプへの打点を二つも持っている。
対してミトリのポケモンは、振袖を纏った雪女のようなゴーストポケモン、ユキメノコ。先ほどのオニゴーリとは対を成すポケモンだ。
「ユキメノコか。波動弾は通らないけど、大文字はそのまま入るな。向こうからもゴースト技は入らないし」
トゲキッスかパンプッチかでレオは迷っていたが、ユキメノコ相手となればトゲキッスで正解だっただろう。
「あれれー、飛行タイプのトゲキッス? 氷タイプには不利だけど、策でも?」
「勿論。何の策もなしに、飛行タイプは出さないぜ」
「そりゃそうよねー。じゃあ行くわよ! ユキメノコ、冷凍ビーム!」
ユキメノコが先手を取り、冷気を込めた光線を撃ち出す。
「トゲキッス、躱して大文字!」
華麗に飛び回ってトゲキッスは冷気の光線を躱すと、激しく燃え盛る大の字型の炎を放つ。
「やっぱり炎技があるんだね。でも、ユキメノコ、水の波動!」
ユキメノコの翳した手に水の力が溜め込まれ、掌から水の弾が放出される。
大文字の核に水の波動が命中し、炎は掻き消されてしまう。
「こんなのはどう? 十万ボルト!」
大文字を防いだユキメノコは、さらに身体中から高電圧の強力な電撃を放つ。
「っ、電気技か! トゲキッス、サイコバーン!」
対してトゲキッスは念力を体内に溜め込み、それを爆発させて衝撃波を起こし、電撃を防ぐと、
「エアスラッシュ!」
ユキメノコの頭上を飛び回り、四方八方から空気の刃を飛ばす。
「ユキメノコ、もう一度十万ボルト!」
しかしユキメノコは周囲に高電圧の電撃を放ち、空気の刃を全て防ぎ切ってしまう。
「ユキメノコ、水の波動!」
「トゲキッス、波動弾で相殺だ!」
ユキメノコが掌から水の弾を放ち、トゲキッスは体の奥から波動の力を生み出し、それを一点に集めて念弾を放つ。
二つの波動の弾がぶつかり合い、白い爆煙を巻き起こす。
「チャンスよユキメノコ! 冷凍ビーム!」
煙に姿を消し、ユキメノコはゴーストタイプらしく気配を消してトゲキッスへと接近、凍える冷気の光線を放ってトゲキッスを吹き飛ばす。
「っ、いつの間に……! トゲキッス、大文字!」
「させないわよぉ! ユキメノコ、水の波動!」
トゲキッスが大の字型の炎を吹き出すが、ユキメノコは水を凝縮した弾を放ち、炎をかき消す。
「十万ボルト!」
「躱してサイコバーン!」
そのままユキメノコは高電圧の電撃を放つが、それを躱してトゲキッスは体に念力を溜め込み、爆発させて念力の衝撃波を起こし、ユキメノコを吹き飛ばす。
「よし! トゲキッス、続けて大文字だ!」
「ユキメノコ、来るよ! 水の波動!」
吹き飛ぶユキメノコを狙って、トゲキッスが大の字型の燃え盛る炎を放つが、ユキメノコは飛ばされながらも水の弾を投げ飛ばす。
大文字の中央に炸裂して炎を止めるが、体勢が中途半端だった分威力が弱く、ユキメノコは残った炎を浴びてしまう。
「畳み掛けろ! トゲキッス、エアスラッシュ!」
「これくらいの火の粉なら問題ないわよ! ユキメノコ、躱して十万ボルト!」
トゲキッスが飛び回って無数の空気の刃を放つが、ユキメノコは空中を滑るように動き回って刃を躱すと、両掌から高電圧の強い電撃を撃ち出す。
「くっ、トゲキッス、これは躱せ!」
咄嗟にトゲキッスは横へ逸れるが、電撃が翼を掠めた。
「逃しちゃダメ! ユキメノコ、水の波動!」
さらに空中を滑ってユキメノコはトゲキッスの背後に回り、掌から水の弾を放ってトゲキッスを雪の床へと叩き落とす。
「よぉーし! ユキメノコ、冷凍ビーム!」
地面へと落ちていくトゲキッスへ、ユキメノコは口を開いて冷気の光線を撃ち出す。
「まずい、トゲキッス、立て直せ! 急上昇だ!」
凍える光線がトゲキッスへと迫る。
直撃するその寸前、トゲキッスは強引に体勢を整え、間一髪で冷気の光線を躱し、
「サイコバーン!」
念力を溜め込みながら一気に上昇、飛び上がって来たところを狙おうとしていたユキメノコへと念力の衝撃波を放ち、逆に吹き飛ばす。
「危なかった……隙あらば容赦なく狙ってくるな。トゲキッス、落ち着いて行くぞ。ここから仕切り直しだぜ」
「おにーさん、なかなかやるねぇ。今のタイミングで攻撃を指示してくるなんてさすがだよ」
吹き飛ばされたユキメノコが、再びミトリの元へ戻って来る。
「いっくよー、ユキメノコ、水の波動!」
「トゲキッス、波動弾で相殺!」
ユキメノコが手にした水の弾を投げ飛ばし、トゲキッスは波動の力を凝縮した念弾を撃つ。
二者の波動が激突し、再び白い爆煙が上がる。
「焼き払えトゲキッス! 大文字!」
煙全体を巻き込むように、トゲキッスは大の字型に燃え盛る炎を放つ。
「なるほどー、さっきのを警戒してるね? だけど」
炎が煙を突き抜けるが、ユキメノコに命中した気配はなく、
「こっちだよ! ユキメノコ、十万ボルト!」
今度は積もる雪に隠れたユキメノコがトゲキッスのすぐ横に現れ、高電圧の強い電撃を放つ。
激しい電撃を浴び、トゲキッスは撃墜されて雪の積もる床へと落ちる。
「ユキメノコ、冷凍ビーム!」
雪の上に落ちたトゲキッスへ、ユキメノコは接近しながら凍える冷気の光線を放つ。
「させるか! トゲキッス、地面に大文字だ!」
床に伏したまま、トゲキッスは真下へ炎を放つ。
炎は雪を溶かしながら広がり、トゲキッスを中心として大の字型の火柱が上がった。
「やばいっ! ユキメノコ、避けて!」
慌てて冷気の光線を中断するユキメノコだが、突然の反撃に反応しきれずに、火柱を受けて宙に打ち上げられる。
その間にトゲキッスは体勢を立て直し、再び浮上し、
「エアスラッシュ!」
力強く羽ばたき、大きな空気の刃を飛ばす。
「ユキメノコ、水の波動!」
吹き飛ばされながらも、ユキメノコは掌から凝縮した水の弾を放つ。
空気の刃がユキメノコを切り裂くと同時、水の弾がトゲキッスに直撃した。
「トゲキッス、大文字!」
無理やり体勢を立て直して、トゲキッスは激しく燃え盛る大の字型の業火を吹き出す。
「ユキメノコ、避けてからトゲキッスに近づいて!」
不規則な動きでユキメノコは大の字型の炎を躱すと、雪の中へ姿を消し、気配を完全に殺して密かにトゲキッスへと忍び寄る。
「気配が掴めない……ならトゲキッス、炙り出せ! サイコバーン!」
体内に念力を溜め込み、それを爆発させてトゲキッスは周囲に衝撃波を起こす。
しかし、
「今だよユキメノコ! トゲキッスを掴んで!」
雪の壁の中からユキメノコが現れ、念力の衝撃波を躱すと、トゲキッスの翼を掴んだ。
「冷凍ビーム!」
間髪入れずに、翼を掴んだユキメノコの手から凍える冷気の光線が撃ち出される。
抗えるはずもなく、トゲキッスは氷の光線を受け、床へと叩き落とされた。
「トゲキッス!?」
翼と胴体を凍り付かせ、トゲキッスは戦闘不能となって床に倒れていた。
「トゲキッス、お疲れ様。相性の悪いポケモン相手に、よく頑張ってくれた」
レオはトゲキッスをボールに戻すと、ミトリの方に視線を戻す。
「タイプ相性だけでバトルは決まらないっていうけど、やっぱりタイプ相性って大事だよね。そのトゲキッスも強かったけど、ユキメノコとの相性は悪かったかな?」
「あんまり認めたくはないけど、その通りだった。トゲキッスはよく頑張ってくれたよ」
それなら、とレオは続け、
「次はこいつしかいないな。頼んだぜ、ディザソル!」
レオの次なるポケモンは、悪タイプのディザソル。
今度はセオリー通りのチョイスだ。タイプ相性で有利、さらにユキメノコにもスピードで負けていない。
「さあ、あたしのユキメノコに勝てるかな?」
「勝つさ」
レオとミトリ、まだまだ余裕の表情を浮かべて、バトルを進めていく。