二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百三話 雪女 ( No.360 )
日時: 2016/08/12 21:21
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「最後は頼んだ、エンペルト!」
「やっちゃえ、フローリア!」
レオの最後のポケモンは、エースのエンペルト。
対するミトリのポケモンは、水色の和服を着た雪女のようなポケモン、フローリア。
「最後はフローリアか。氷タイプの中でも特攻に優れるポケモンだな」
「なるほど、エンペルトね。タイプ相性だけなら私の方が不利だけど、それだけで決めさせないからね!」
お互いのエースが、雪の上に立つ。
「それじゃ行くよ! フローリア、冷凍ビーム!」
「よっし! エンペルト、ドリル嘴!」
フローリアが両手を突き出し、凍える冷気の光線を撃ち出す。
対してエンペルトは嘴を伸ばしてドリルのように回転しながら突撃する。
冷気の光線を弾き、ドリルの如き嘴がフローリアを捉える。
「いいパワーだねー! フローリア、サイコキネシス!」
すぐに体勢を立て直し、フローリアは強い念力を発して、念力の波を飛ばす。
「エンペルト、ジオインパクト!」
エンペルトの両翼が銀色の光を纏う。
翼を振り抜いて銀色の衝撃波を飛ばし、エンペルトは気合玉を相殺する。
「ハイドロポンプ!」
大きく息を吸い込み、エンペルトは大量の水を噴射するが、
「フローリア、避けて!」
フローリアは雪の上を滑るように軽やかな動きで水柱を回避し、
「気合玉!」
体の奥から気合を生み出し、それを溜め込んだ念弾を発射する。
「エンペルト、来るぞ! ジオインパクトで弾き飛ばせ!」
エンペルトの翼が銀色の光を纏い、その翼を振るって光の弾を打ち返す。
「遠距離攻撃に強いのかな? ならちょっとやりづらいねー」
口ではそういうものの、ミトリの表情は余裕そうだ。
「エンペルト、ハイドロポンプ!」
「フローリア、冷凍ビーム!」
エンペルトが大量の水を噴き出すが、フローリアが掌から放つ凍える冷気の光線に阻まれ、水柱はフローリアに命中する前に氷漬けにされて止まってしまう。
「サイコキネシスだよ!」
さらにフローリアが強い念力を生み出す。
念力によって氷漬けになったハイドロポンプを砕き、無数の尖った氷の破片を操ってエンペルトへと飛ばす。
「そう来るか! エンペルト、弾き返せ! ドリル嘴!」
エンペルトは真上を向いて嘴を伸ばし、その場で高速回転する。
回転によって氷の刃は次々と弾き飛ばされていく。
しかし、
「気合玉!」
エンペルトが回転を解いたその瞬間、両手に気合の念弾を構えたフローリアが雪の上を滑るように突っ込んでくる。
一気にエンペルトとの距離を詰めると共に、掌に生み出した気合玉を直接エンペルトへ叩きつけた。
効果抜群の技の直撃を受け、エンペルトは吹き飛ばされる。
「いいよぉフローリア! 冷凍ビーム!」
「ぐぅっ、エンペルト、ジオインパクト!」
フローリアがさらに凍える冷気の光線を放つが、エンペルトは起き上がりながら光を纏った翼を振り、銀色の衝撃波を放って冷気の光線を防ぐ。
「やるねえ、連続攻撃を許すほど隙はないかぁ」
「当然! エンペルト、ハイドロポンプ!」
体勢を立て直したエンペルトが、再び大量の水を噴き出す。
だが。
それなら、と笑みを浮かべたミトリが、次の手に出る。

「フローリア、バグノイズ!」

フローリアが大きく息を吸い込み、甲高い声と共に耳をつんざく超音波を放つ。
「ッ……バグノイズか!」
苦い顔を浮かべるレオ。この技には毎回苦戦させられているからだ。
フローリアの放つ超音波が空気を激しく振動させてハイドロポンプを掻き消し、さらにエンペルトの動きを止め、体の中からダメージを与える。
「フローリア、冷凍ビーム!」
その隙を逃さず、フローリアは凍える冷気の光線を放つ。
エンペルトを押し戻し、鋼の翼を凍らせてしまう。
「一気に行くよフローリア! 気合玉!」
「これ以上はさせないぜ! エンペルト、ドリル嘴!」
滑るような動きでフローリアが接近してくるが、対するエンペルトは高速回転で翼の氷を振り払い、嘴を伸ばしてドリルのように突っ込む。
フローリアが直接気合玉を叩きつけ、ドリル嘴の勢いは相殺される。
「ジオインパクト!」
「避けてからサイコキネシス!」
続けてエンペルトは銀色の光を纏った翼を振り下ろすが、フローリアは素早く飛び退いてそれを躱し、強い念力を発して念力の波を放つ。
だが翼を振り抜いたことで衝撃波が放たれ、念力の波は防がれる。
「ハイドロポンプ!」
続けざまにエンペルトは大量の水を噴射し、今度こそフローリアを吹き飛ばした。
「ドリル嘴!」
「させないよ! バグノイズ!」
さらにエンペルトは嘴を伸ばし、高速回転しながらフローリアへ突撃する。
しかしフローリアの放つ耳をつんざくような超音波に阻まれ、エンペルトの突貫はフローリアには届かず、
「サイコキネシス!」
勢いが衰えたところを狙ってフローリアが念力の波を放ち、エンペルトはレオの元まで押し戻されてしまう。
「フローリア、気合玉!」
フローリアの掌の一点に体内の力が集まり、気合の念弾を作り上げる。
「エンペルト、躱してハイドロポンプ!」
手にした念弾をフローリアが投げつけるが、エンペルトは大きく跳躍してそれを躱し、大きく息を吸い込んで大量の水を噴射する。
「冷凍ビーム!」
しかしフローリアの放つ冷気の光線によって再び水柱は凍らされ、止められてしまい、
「バグノイズ!」
フローリアの放つ耳をつんざく超音波が、凍った水柱を砕きながらエンペルトへと迫る。
「これならどうだ! エンペルト、地面にジオインパクト!」
エンペルトは雪の積もる床へと銀色に光る翼を叩きつける。
衝撃により雪が飛び散って雪の壁を作り、音波を防いだ。
しかし、
「チャンス! フローリア、気合玉!」
雪の壁を作れば、エンペルトの視界は狭まる。
その隙を突き、フローリアは掌に気合の念弾を構え、一気にエンペルトとの距離を詰める。
「っ、エンペルト、ジオインパクト!」
「フローリア、避けて!」
咄嗟にエンペルトが前方へ銀色の光を纏う翼を振り抜くが、直前でフローリアは跳躍する。
銀色の衝撃波が足元を掠めるものの、それを気にせず、手にした気合の念弾をエンペルトに叩きつけた。
「くっ、エンペルト!」
効果抜群の一撃を受け、エンペルトが吹き飛ばされる。
「そろそろスタミナ切れなんじゃない? フローリア、冷凍ビーム!」
雪の上に倒れるエンペルトへ、フローリアは凍える冷気の光線を放つ。
エンペルトは何とか起き上がるが、冷凍ビームを躱す余裕はない。
冷気の光線をまともに浴び、首から下を氷漬けにされてしまう。
「さっきは砕かれたけど、もうそんな隙はあげないよ! 気合玉!」
掌に気合の念弾を構えたフローリアが雪の上を滑るように動き、エンペルトとの距離を詰める。
凍って動けないエンペルトへ、掌の気合玉を直接叩きつける。
その、寸前。

「その瞬間を待ってた! エンペルト、ハイドロポンプ!」

首から上さえ動けば充分。
フローリアが腕を振り上げたその瞬間、エンペルトが大量の水を噴き出し、フローリアを逆に吹き飛ばした。
「うそっ!? フローリア!」
フローリアが雪の壁に叩きつけられる。ハイドロポンプの直撃に加えて、手にしていた気合玉が暴発し自らへと命中。ダメージは相当なものだ。
「決めるなら今だ! エンペルト、ハイドロカノン!」
エンペルトの口元の一点に、水の力が集まっていく。
膨大な水の力が凝縮され、巨大な水の砲弾を作り上げる。
「やば……っ! フローリア、バグノイズ!」
ようやく起き上がったフローリアが、甲高い金切り声と共に耳をつんざく超音波を放つ。
空気を振動させて水の力を掻き消そうとしたのだが、時既に遅し。
エンペルトの口元を砲台として放たれた巨大な水の砲弾は、超音波を容易く打ち破り、フローリアに着弾した瞬間に大爆発を起こした。
「フローリア!?」
フローリアの体が宙を舞う。
雪の上に落ちた時には、既に戦闘不能だった。


「あーあ、負けちゃった。最後のあの場面、チャンスだと思ってたのに、本当は誘い込まれてたんだね」
「まあな。氷漬けになったエンペルトを見れば、絶対攻めてくると思ったよ」
勝負に負けても、ミトリは楽しげな表情を崩さない。
さすがだね、と笑みを浮かべ、
「あたしを倒したから、これで折り返しは過ぎたね。だけど次の四天王はあたしよりも強いよ? レオおにーさん、勝てるかな?」
「へへっ、勝ってやるさ。僕にはこの六匹がついてる。絶対負けないぜ」
「うふふ、おにーさんがどこまで進めるか、楽しみにしてるね」
四天王の三人目、ミトリを倒し、レオは最後の四天王の待つ次の部屋を目指す。