二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百四話 百戦錬磨 ( No.363 )
- 日時: 2016/08/13 23:21
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9AGFDH0G)
四天王の三人目、ミトリに勝ち、レオはセーターを脱いで次のフロアへと進む。
四天王戦も、これで四人目。折り返しを過ぎている。
次なるバトルフィールドは、荒野のフィールド。
あちこちに岩山が設置されており、加えてさっきまで雪の部屋にいたのもあって部屋は暑く感じる。
そして、フィールドの向こう側に立つのは、最後の四天王。
「よくぞここまで来ましたな。私の名はセンドウ。ホクリク地方四天王最後の一人、地面タイプの使い手です」
四天王センドウ。
燕尾服を着て白い杖をつき、右目にはモノクルを掛けた初老の男性だ。
その佇まいからは、数多の戦いを乗り越えてきたような、ただならぬ荘厳な雰囲気を感じ取れる。
「イダとヤグモは長年四天王を務めるベテランのトレーナー。ミトリはあの若さで四天王まで上り詰めた天才。その彼らに勝ってここまで来たということは、レオ君、貴方も相当腕の立つトレーナーなのでしょうな。しかし」
表情をほとんど変えずに、センドウは語る。
「リカルドに会うためには、四天王最後の関門である、この私を倒す必要がある。自慢する訳でもありませんが、私がポケモンリーグに身を置いてからもう三十年以上が経つ。四年前、リカルドに敗れてしまいましたが、それまでの十年間は私がチャンピオンを務めておりました。そんな私に勝つ自信、貴方におありですかな?」
「勿論です。必ず勝ってみせます。それくらいの自信がなけりゃ、ここに来てませんよ」
自信満々の笑みでレオがそう返すと、センドウの口元が僅かに上がる。
「よろしい。それでは、百戦錬磨のセンドウの力、ご覧に入れましょうぞ」
そして、二人は同時にボールを取り出す。
「頼むぜ、パンプッチ!」
「吼えろ、ガブリアス!」
レオの一番手は、地面タイプに強いパンプッチ。
対するセンドウのポケモンは、刃にも見える鮫のような鰭を腕と背に持つ、青い恐竜のようなドラゴンポケモン、ガブリアス。
(先鋒でいきなりガブリアスか……ペースを握られるとまずいことになるな)
経験則から警戒を強めるレオ。シュウヤの個体やホロの個体など今までガブリアスというポケモンは何回か見てきたが、弱いガブリアスをレオは見たことがない。
「それでは、行きますぞ。ガブリアス、ドラゴンダイブ!」
ガブリアスが動く。
翼を折りたたみ、凄まじい殺気と共に龍の力を纏い、地を蹴って一直線にパンプッチへと突貫する。
躱す隙も与えず、パンプッチに激突し、吹き飛ばした。
「っ、速い! パンプッチ、シャドーボール!」
空中で体勢を崩しながらも、パンプッチは杖を振って黒い影の弾を飛ばす。
勢い余って飛んでいくガブリアスへと影の弾が迫るが、
「ガブリアス、辻斬り!」
ガブリアスの長い爪が黒い力を纏う。
爪を振り抜き、ガブリアスはシャドーボールを破壊してしまった。
さらに、
「怒りの炎!」
ガブリアスの瞳に赤い光が宿る。
直後、憤怒の感情の如く荒れ狂う爆炎が放たれ、パンプッチへと襲い掛かる。
「っ、パンプッチ、ハイドロポンプ!」
杖の先から大量の水を噴き出し、パンプッチは何とか炎を打ち消すが、
「今です。ドラゴンダイブ!」
宙に浮かぶパンプッチへ、龍の力を纏ってガブリアスは一気に飛び上がってくる。
「っ、パンプッチ、エナジーボール!」
素早く杖を振ってパンプッチは自然の力を込めた光の弾を飛ばす。
ガブリアスの額に直撃し、纏う龍の力を削がれるが、それでもガブリアスの勢いは止まらず、パンプッチを吹き飛ばした。
「確実に捉えますぞ。辻斬り!」
地面に落ちたパンプッチに対して、上空からガブリアスが襲い掛かる。
ガブリアスの長く鋭い爪が、パンプッチを狙う。
「やば……っ! パンプッチ、躱せ!」
咄嗟にパンプッチは地面を転がり、何とかガブリアスの爪から逃れる。
直後、先ほどまでパンプッチがいた地面に黒い爪が深々と突き刺さった。
「エナジーボール!」
起き上がったパンプッチが杖を振り、自然の力を込めた光の弾を飛ばすが、
「防御しなさい」
腕の鰭を構えて、ガブリアスは光の弾を受け切ってしまう。
「怒りの炎!」
「ハイドロポンプ!」
再びガブリアスが荒れ狂う灼熱の業火を放ち、パンプッチは杖から大量の水を噴き出して何とか炎を消し去る。
(やっぱり強い。しかも、パンプッチとの相性が悪過ぎる。向こうはこっちに効果抜群の技を二つも持ってるし、対するこっちはまるで打点がない。しょうがないけど……)
「よし、パンプッチ、一旦休んでてくれ」
始まったばかりだが、レオはパンプッチをボールに戻す。
小回りの利く技で確実にダメージを稼ぐのがパンプッチのスタイルだが、このガブリアスはちょっとやそっとのダメージでは怯まない。
もっと威力の高い技で、確実にダメージを与える必要がある。
「それが出来るのは……こいつだな。頼んだぜ、トゲキッス!」
代わりにレオが出したのはトゲキッス。パンプッチよりも小回りは利かないが技の威力は高く、さらに地面技を無効化できる。
「なるほど、トゲキッスですか。私のポケモンにどうしても地面技を使わせたくないようですな」
「主力技を封じられるのは大きいですからね。トゲキッス、波動弾!」
体の奥から波動を生み出し、それを凝縮してトゲキッスは波動の念弾を撃ち出す。
「ガブリアス、ドラゴンダイブ!」
対するガブリアスは龍の力を纏い、地面を蹴って飛び出す。
正面から波動弾を打ち破り、その奥のトゲキッスを狙う。
「トゲキッス、サイコバーン!」
トゲキッスが体内に念力を溜め込み、それを爆発させて念力の衝撃波を起こす。
波動弾を受け、さらに念力の衝撃波を受け、ガブリアスを纏う龍の力は全て削がれる。
「今だ! トゲキッス、波動弾!」
「まだ終わりませんぞ。ガブリアス、辻斬り!」
トゲキッスが体の奥から生み出した波動の弾を放ち、対するガブリアスは黒く染まった鋭い爪を振り抜く。
しかし悪タイプは格闘タイプには弱い。ガブリアスの爪が押し切られ、波動の念弾に吹き飛ばされる。
「エアスラッシュ!」
トゲキッスが飛び回り、ガブリアスに向けて周囲から空気の刃を飛ばす。
地面に落ちたガブリアスを次々と空気の刃が切り裂いていくが、
「その程度恐るるに足りませんな。ドラゴンダイブ!」
砂煙の中から、龍の力を纏ったガブリアスが一直線に突撃を仕掛ける。
トゲキッスに激突し、大きく吹き飛ばした。
「ガブリアス、怒りの炎!」
ガブリアスが大きく息を吸い込み、憤怒の感情の如く荒れ狂う爆炎を放つ。
「っ、トゲキッス、立て直して大文字!」
トゲキッスは空中で体勢を整え、再び上昇すると、激しく燃え盛る大の字型の炎を吹き出す。
両者の放った炎が激突し、大爆発を起こした。
「初っ端から随分な強敵が出て来たな……トゲキッス、ここから仕切り直しだぜ」
レオの声に応えてトゲキッスは頷き、立ちはだかる強大な龍を見据える。