二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百五話 地龍 ( No.364 )
日時: 2016/08/14 21:50
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: RnkmdEze)

「トゲキッス、波動弾!」
トゲキッスが体の奥から波動を生み出し、それを凝縮した波動の念弾を放つ。
「ガブリアス、防御です」
しかし波動弾が命中する直前に、ガブリアスの鰭によって防御されてしまい、大したダメージは入らない。
「ではこちらも行きますぞ。ガブリアス、ドラゴンダイブ!」
強く地面を蹴り、ガブリアスは龍の力を纏って上空のトゲキッスへと一気に突っ込んでいく。
「トゲキッス、躱してサイコバーン!」
素早く横に飛び、トゲキッスは何とかガブリアスの突撃を躱し、体内に念力を纏う。
しかし、
「一撃では終わりませんぞ。辻斬り!」
上空に飛んでいったガブリアスが、長い爪を構える。
トゲキッスが念力の衝撃波を放つが、ガブリアスの爪の一撃に切り込まれ、衝撃波は打ち破られてさらにトゲキッスも切り裂かれる。
「辻斬りは悪タイプの技。エスパー技のサイコバーンでは防ぐことは出来ませんな」
「くっ、トゲキッス、エアスラッシュ!」
空中で体勢を立て直し、トゲキッスはガブリアスの頭上を旋回する。
「怒りの炎!」
ガブリアスの頭上から次々と空気の刃が落とされるが、ガブリアスは真上に荒れ狂う灼熱の業火を放ち、空気の刃を全て防ぎ切ってしまう。
「ドラゴンダイブ!」
「サイコバーン!」
龍の力を纏ってガブリアスは地を蹴り、突貫する。
対するトゲキッスは念力を溜め込んで爆発させ、衝撃波を起こす。
衝撃波によって、ガブリアスの纏う龍の力は削がれてしまうが、
「辻斬り!」
ガブリアスの動きはそこで止まらない。
すぐさま黒く染まった爪を振り下ろし、トゲキッスを地面へと叩き落とした。
「ドラゴンダイブ!」
そのまま龍の力を纏って凄まじい殺気と共に急降下、トゲキッスに激突し、吹き飛ばす。
「トゲキッス! 大丈夫か!?」
吹き飛ばされたトゲキッスだが、レオの言葉に頷き、何とか翼を広げ、再び浮上する。
「強い……まるで隙が無い」
いつかのシュウヤ戦を思い出すレオ。あの時も散々ガブリアスに苦戦させられた。
「当然。このガブリアスは我がエースに匹敵するほどの実力を持っています。言わば切り込み隊長、先鋒で登場し、確実に流れを引き寄せるのが彼の役目です」
やはりレオの読みは当たっていた。序盤で一気にペースを握るため、センドウは初手から強いポケモンを出して来たのだ。
「さて、行きましょうか。ガブリアス、怒りの炎!」
飛翔するトゲキッスに対して、ガブリアスは憤怒の感情の如く荒れ狂う灼熱の業火を放つ。
「トゲキッス、大文字!」
対してトゲキッスは激しく燃え盛る大の字型の炎を撃ち出す。
二者の炎は再び激突し、大爆発を起こした。
「トゲキッス、波動弾!」
爆煙の中へと、トゲキッスは波動の力を込めた念弾を撃ち出す。
波動弾は必中技、相手が煙の奥にいても確実に標的を捉える。
「ドラゴンダイブ!」
だが次の瞬間、爆煙の中からガブリアスが龍の力を纏って突貫して来る。
予期せぬ突然の一撃、トゲキッスは反応しきれず、直撃を受けてしまう。
「波動弾の軌道から、トゲキッスがどこにいるかを探らせてもらいましたぞ。返しの主力技を当てられるなら、一発の被弾くらい安いもの」
センドウはそう言うが、トゲキッスの波動弾は決して威力の低い技ではない。
それを食らってなお、ガブリアスはすぐに反撃に出られるのだ。
「くっ、トゲキッス、立て直すぞ」
「そうはさせませんぞ。ガブリアス、怒りの炎!」
撃墜されたトゲキッスを追い込むように、ガブリアスは荒れ狂う灼熱の業火を放つ。
飛び上ろうとしていたトゲキッスを爆炎が取り囲み、トゲキッスの体力をじわじわと削っていく。
「ドラゴンダイブ!」
地面を蹴ったガブリアスが大きく跳躍する。
上空で龍の力を纏い、凄まじい殺気と共に急降下攻撃を仕掛ける。
「っ! トゲキッス、サイコバーン!」
地面に倒れながらも、トゲキッスは体内に念力を溜め込み、爆発させて念力の衝撃波を飛ばす。
しかし、落下の勢いまでも味方につけたガブリアスの一撃を食い止めることは出来ず、競り合った末に衝撃波は打ち破られ、ドラゴンダイブの直撃を受けてしまう。
「トゲキッス……!」
上がった砂煙の中から、ガブリアスが飛び出して来る。
砂煙が晴れたその時には、トゲキッスは地面にめり込んで戦闘不能となっていた。
「ありがとう、トゲキッス。ゆっくり休んでてくれ」
トゲキッスをボールへと戻し、レオはガブリアスを見据える。
実力が違う。トゲキッスの技で通ったのは数発の波動弾とサイコバーンだけ。
パンプッチ戦でもダメージは少ない。間違いなく、まだかなりの体力が残っているだろう。
「あのガブリアスに勝つには、連続攻撃を捌ききれるスピード、さらに体勢を崩しきれるだけの攻撃力。甘い攻撃じゃあいつは怯みすらしない。となれば」
レオの手持ちにはそのようなポケモンは一体しかいない。
「こいつで突破できなきゃ、後がない。頼んだぜ、ディザソル!」
レオの繰り出すポケモンはディザソル。ガブリアスの攻撃力にもスピードにも負けないのは、レオの手持ちではディザソルだけだ。
「次はディザソルですか。私のガブリアスにどのように対抗するのか、見せてもらいましょうぞ」
「上等です! ディザソル、火炎放射!」
大きく咆哮し、ディザソルは灼熱の業火を放つ。
「ガブリアス、突っ込みなさい。ドラゴンダイブ!」
龍の力を纏い、ガブリアスは炎に正面から突撃する。
炎の中を突っ切り、ディザソルへと突っ込んでいく。
「ディザソル、神速!」
ガブリアスの突進がディザソルに命中する寸前、ディザソルの姿が消える。
ガブリアスの周囲で、空気を切る音だけが聞こえる。
「サイコカッター!」
ディザソルがガブリアスの背後に現れ、念力を纏った二枚の鎌でガブリアスを切り裂いた。
「ほう、見事な素早さ。ガブリアス、辻斬り!」
素早く後ろを向いてガブリアスは黒く染まった爪を振り抜くが、ディザソルは既にガブリアスとの距離を取っている。
「ようやくこの技を使えます。ガブリアス、地震!」
ガブリアスが右脚を地面へ叩きつける。
フィールド全体が大きく揺れるが、
「ディザソル、躱せ!」
ディザソルは跳躍し、地震を躱している。
「逃すなガブリアス! ドラゴンダイブ!」
「来るぞディザソル! ぶち壊す!」
上空のディザソルを見据え、ガブリアスは龍の力を纏いながら地面を蹴り、ディザソルとの距離を一気に詰める。
対するディザソルは渾身の力を込めて額の鎌を振り下ろす。
両者の一撃が激突する。威力は互角。
「辻斬り!」
間髪入れずに、ガブリアスの爪が振り下ろされる。
ディザソルを地面に叩き落とすも、効果は今ひとつ。だが、
「地震!」
上空から、ガブリアスが脚を構え、恐ろしい勢いで急降下を仕掛けてくる。
「まず……っ! ディザソル、神速!」
咄嗟に神速を発動させ、その場から逃れるディザソル。
直後、ガブリアスの蹴りが地面に命中し、フィールドが激しく揺れ、地震の衝撃でディザソルが吹き飛ばされる。
「蹴りの直撃を食らうよりずっとマシだ。ディザソル、サイコカッター!」
受け身を取って起き上がり、ディザソルは額の鎌に念力を纏わせ、鎌を振り抜いて二枚の念力の刃を飛ばす。
「砕きなさい。辻斬り!」
ガブリアスが両手の爪を黒く染め、両手を振り上げる。
まさにその瞬間、
「ディザソル、ぶち壊す!」
地を蹴って飛び出し、ディザソルは一瞬のうちにガブリアスとの距離を詰める。
ガブリアスの両爪が二枚の念力の刃を破壊したその次の瞬間、対応する隙も与えず、ディザソルがガブリアスの懐に潜り込み、二枚の鎌をガブリアスへと叩きつけた。
「……!」
初めてガブリアスが派手に吹き飛ばされ、ようやくセンドウの表情が変わる。
ガブリアスの底が、ようやくレオにも見えてきた。